チャラ男に受難をより
≪はないちもんめ≫の嬢ちゃんと一緒にチャラい兄ちゃんでまた遊ばせてもらった後、俺たちは夢子ちゃんの所で小規模な宴会を楽しんでいた。
「契約者」
Tさんが幾本目かの酒瓶を空け、次の瓶を取り出しつつ声をかけてきた。
「ん? なに? Tさん」
「少しはしゃぎ過ぎじゃあないか?」
注意する、とはまた少しニュアンスが違う声色で言われた。
「んなこたぁ無いと思うぜ? 俺より激しい人間あそこに多いし。なぁ? 夢子ちゃん?」
夢子ちゃんに話を振ると、
「え……はい」
夢子ちゃんはややためらいがちに答えた。
「会場を知らん夢子ちゃんに話を振るな。あと契約者は今素面だろう」
あそこのおかしい人間の多くは酔っていた。同列で考えてやるな。とTさん。
「会場の熱気に中てられたってことで、Tさんだって協力してくれたじゃねえか」
シュークリームをほおばりつつ言うと、Tさんは溜息。カメラを俺から取り上げ、
「協力したのは一応契約者のためだ」
そう言いながらカメラの画像を一つ一つ確認しつつ、
「だが写真は無闇にばらまくなよ? 黒服さんの心労に繋がるし、被写体にも悪い。――使う時にはここぞという時に使う」
とTさん。いい性格してる。
「あの」
「ん?」
「あの男の方、あの格好のままなんですけど、いいんですか?」
言って扉の方を眺めている。自分が会場に無闇に出るわけにはいかないからやきもきしているらしい。
俺はと言えば、
「あー」
服のこと、すっかり忘れてた。
「きっとなんとかするさ」
この前もなんか勝手に着替えてたっぽいし、と投げやりに言った。
「でも」
言葉を重ねようとする夢子ちゃんにリカちゃんが言う。
「ゆめのお姉ちゃん、いまお姉ちゃんはがんばってるの」
「がんばる?」
「がんばるか、はははっ、そいつは良い表現だっ!」
リカちゃんの言うことに何故か一人だけTさんがうけている。
「なんだよ、酔ったのか?」
「そんなことはない」
尚も笑いながらTさんは夢子ちゃんを見る。
「夢子ちゃん」
「はい」
「ちょっとこっち来い」
「?」
頭の上にはてなマークを複数浮かべた夢子ちゃんがTさんの誘いのままに歩いて行き、Tさんに何やら耳打ちされた。
「え?」
「まあそう言うことだ」
若干驚いたような顔の夢子ちゃんにTさんはニヤけながら言う。
「それは、とってもありがたいことですけど」
いいんでしょうか? とTさんに顔を向ける夢子ちゃん。
「あの青年には少し割を食ってもらったが、まあアレの上司に夢子ちゃんも散々な目に遭わされた、間接的にだがな。まあこれくらいは大目に見てもらおう。将門公もあのような遊びは好きそうだし」
笑うTさん。リカちゃんも「いいの」とか言ってる。
三人で何か分かりあってるっぽい。
「なんだよ? 俺にも教えろよ」
「秘密だ。契約者」
「ひみつ、なの」
相変わらずニヤけながらTさん。
くそ、俺にだけ秘密かよ。
俺はヤケになってジュースを一気に呷った。
「契約者」
Tさんが幾本目かの酒瓶を空け、次の瓶を取り出しつつ声をかけてきた。
「ん? なに? Tさん」
「少しはしゃぎ過ぎじゃあないか?」
注意する、とはまた少しニュアンスが違う声色で言われた。
「んなこたぁ無いと思うぜ? 俺より激しい人間あそこに多いし。なぁ? 夢子ちゃん?」
夢子ちゃんに話を振ると、
「え……はい」
夢子ちゃんはややためらいがちに答えた。
「会場を知らん夢子ちゃんに話を振るな。あと契約者は今素面だろう」
あそこのおかしい人間の多くは酔っていた。同列で考えてやるな。とTさん。
「会場の熱気に中てられたってことで、Tさんだって協力してくれたじゃねえか」
シュークリームをほおばりつつ言うと、Tさんは溜息。カメラを俺から取り上げ、
「協力したのは一応契約者のためだ」
そう言いながらカメラの画像を一つ一つ確認しつつ、
「だが写真は無闇にばらまくなよ? 黒服さんの心労に繋がるし、被写体にも悪い。――使う時にはここぞという時に使う」
とTさん。いい性格してる。
「あの」
「ん?」
「あの男の方、あの格好のままなんですけど、いいんですか?」
言って扉の方を眺めている。自分が会場に無闇に出るわけにはいかないからやきもきしているらしい。
俺はと言えば、
「あー」
服のこと、すっかり忘れてた。
「きっとなんとかするさ」
この前もなんか勝手に着替えてたっぽいし、と投げやりに言った。
「でも」
言葉を重ねようとする夢子ちゃんにリカちゃんが言う。
「ゆめのお姉ちゃん、いまお姉ちゃんはがんばってるの」
「がんばる?」
「がんばるか、はははっ、そいつは良い表現だっ!」
リカちゃんの言うことに何故か一人だけTさんがうけている。
「なんだよ、酔ったのか?」
「そんなことはない」
尚も笑いながらTさんは夢子ちゃんを見る。
「夢子ちゃん」
「はい」
「ちょっとこっち来い」
「?」
頭の上にはてなマークを複数浮かべた夢子ちゃんがTさんの誘いのままに歩いて行き、Tさんに何やら耳打ちされた。
「え?」
「まあそう言うことだ」
若干驚いたような顔の夢子ちゃんにTさんはニヤけながら言う。
「それは、とってもありがたいことですけど」
いいんでしょうか? とTさんに顔を向ける夢子ちゃん。
「あの青年には少し割を食ってもらったが、まあアレの上司に夢子ちゃんも散々な目に遭わされた、間接的にだがな。まあこれくらいは大目に見てもらおう。将門公もあのような遊びは好きそうだし」
笑うTさん。リカちゃんも「いいの」とか言ってる。
三人で何か分かりあってるっぽい。
「なんだよ? 俺にも教えろよ」
「秘密だ。契約者」
「ひみつ、なの」
相変わらずニヤけながらTさん。
くそ、俺にだけ秘密かよ。
俺はヤケになってジュースを一気に呷った。