「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-39a

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だれでも歓迎! 編集
「どうぞ」
「?」
「彼の、連絡先。あなたも、覚えておいてもいいのでは?」

 自分は、すぐに記憶できるからいい
 その気になれば、「組織」の黒服としての能力で把握できる
 そう思って、ハーメルンの笛吹きから受け取った連絡先が書かれた紙を手渡そうとしたのだが

「ううん、いらない。あいつは敵でしょ?」

 きっぱりと、コーラのペットボトルをもった青年は言い切ってきた
 迷いのない笑みで続けてくる

「だって、兄さんの教え子があいつの被害にあったら、兄さんが悲しむからね。だから、あいつは僕の敵」
「……そうですか」

 …この青年らしい考え方だ
 敵であると認識した存在に対して、決して警戒を緩めないし、いつまでも信じようとしない

「…あ、そうだ。連絡先受け取っておいて、呼び出して闇討ちするって手があったかな?」
「…やめなさい」

 ため息をつき、連絡先が書かれた紙を閉まった
 …伝えるのは危険だ
 そう、判断する

「えー、だって、「組織」的にも、アレ、いらないんでしょ?」
「人をアレと呼ぶのはやめなさい…「夢の国」や「鮫島事件」に関しては協力し合った身とは言え…次に事件を起こしたら、「組織」も黙ってはいないでしょうね」

 だが……気のせい、だろうか?
 あの、ハーメルンの笛吹きの契約者から悲しみのような感情を感じたのは
 今の彼を形成するに至った、救いようのない過去のようなものを感じたのは
 …それに関して、何かわかれば

 救う事が、できるのだろうか?

「…君は、敵に対しても同情するのはやめた方がいいと思うな、いつか、足元すくわれるよ?」

 ぽつり、青年はそう言って、黒服から離れた
 代わりに、料理を取りに行っていた少女が戻ってくる

「…?さっきの人は?」
「私が「組織」で担当している契約者です」
「へぇ…」

 すぅ、とやや警戒したようにペットボトルを持った青年の後ろ姿を見つめる少女 
 小さく、苦笑する

「大丈夫ですよ。彼は、「組織」への忠誠度がほぼありませんし、害を与えられない限りは攻撃してこない……はず、です」
「何故、自信なさげになるの」
「…いえ、彼の人格的な問題などを考えると、やや不安が」

 …かすかに、胃が痛い
 自分が「組織」から完全に捨てられなかったのは、彼のお守を自分が押し付けられているせいもあるのではないか?
 …それを考えると、ますます胃が痛くなってきた
 考えるのは、やめよう

「…ん、どうしたんだ?具合、悪いのか?」
「……あぁ、いえ、問題ありませんよ」

 と、焼き立てらしい秋刀魚を持ってきた日焼けマシンの契約者が、心配そうに声をかけてきた
 …少女が青年を睨んでいるように見えるのは、気のせいだろうか?

「そうか?…休んだ、って言っても、お前、まだ疲れ完全にはとれてないだろ?無理するなよ?」
「大丈夫ですよ…あなたこそ、ここ数日、忙しいのでしょう?無理はなさらないように」

 大丈夫、と青年は笑ってきて、秋刀魚の乗った皿を黒服たちの傍のテーブルに置いた
 ついでに、ほら、と少女にプリンを手渡す

「まだ、結構あるからな。いくらでも食べろよ?」
「えぇ……と言うか、あまり子供扱いしないでよ」
「?まだ子供だろ?」

 少女の言葉に、青年は不思議そうに首をかしげる
 む…と、少女は、やや面白く無さそうだ
 黒服は、小さく苦笑する

 確かに、青年から見たら、少女はまだ子供だろう
 だが、この少女は…その育った環境のせいか、やや精神年齢が高い
 それに比べて、この青年は、早く大人になろうと焦りすぎて、しかし、どこか精神的に未熟なままで…若干、精神年齢が低い
 そのせいか、この2人…精神的には、むしろ年齢が逆転しているようにも見えるのだ
 己の契約者2人
 その様子が、どこか微笑ましい

「…あぁ、そうだ、Tさんも、会場に来ていますか?」
「ん?あぁ、来てるけど…」

 …むぅ、と
 やや、面白く無さそうな表情を浮かべた青年
 ……まだ、Tさんに対して苦手意識があるのだろうか?
 …まぁ、将門のせいもあって、やや大変な目にもあったようなので、仕方ないのかもしれないが

「後で、彼と少々話したい事もありますので…見かけたら、私が話があると言っていたと、伝えてくださいますか?」
「……わかった」

 むぅ、と子供っぽく不貞腐れたまま、青年は頷いた
 …そして、じっと、黒服を見つめてくる

「…何かあったら、俺にもすぐ言えよ?俺は、お前の契約者だ。お前を護るのは当たり前なんだからな?」
「…普通は、立場が逆なのですがね」

 普通は、都市伝説が契約者を護るものなのだが
 黒服が苦笑すると、青年は笑って続ける

「いいだろ?別に。俺は、お前の事好きなんだし」

 -----父親みたいな存在として、と
 小さく、呟く様に、続けてきた

 …あぁ、やはり、この青年は
 心の中で、どこか、家族を求め続けているままなのだ
 本当の家族に家族らしい扱いを受けることが出来なかったがために
 いつまでも、それを求め続けている

「…それじゃあ、また後でな」

 まだ、色々と仕事が残っているのだろう
 パタパタと、青年は離れていく
 その青年の後ろ姿を、黒服は優しく見送って

「……?どうかなさったのですか?」
「あ…いえ、なんでもないわ」
「?」

 青年の後ろ姿を、鋭く睨んでいた少女の様子に
 黒服は、小さく、首をかしげたのだった


 …先程の青年の発言で、彼らの周囲が一瞬、ざわついた事に
 黒服も青年も気にしていなかったし、むしろ、一瞬足りとも気づいては居なかったのだった



 終わってしまえよ





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