「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-39f

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
 会場から、料理と飲み物を少し持ち出させてもらって
 その部屋の前に立ち…黒服は、小さく深呼吸した
 とんとん、と軽くノックする

「んー?Tさんかー?」
「いえ…黒服です」

 そう声をかけると、黒服さん?とTさんの契約者の声が返ってきた
 がちゃり、扉が開く

「黒服さんも、来てたんだな」
「はい…将門公とは、縁がありますし」

 どうぞ、とTさんの契約者に、料理と飲み物を手渡す
 部屋に入らせてもらい…「夢の国」に、小さく、頭を下げて見せた
 「夢の国」…夢子も、慌てて、頭を下げ返してくる

「お楽しみのところ、お邪魔するようで申し訳ありません」
「いや、いいんだよ。そろそろ料理とか取りに行こうかと思ってたし」

 お陰で行かずにすんだけど、とTさんの契約者は笑う
 早速、稲荷寿司やら焼き秋刀魚やらの料理をテーブルに並べていっている
 …黒服は、静かに夢子に視線を向ける

「今夜の宴が終わったら、旅立つそうですね?」
「はい」

 こくり、夢子は頷いてきた

 強い、強い決意
 夢子の、その強い意志を感じ取り、黒服は小さく苦笑した

 …自分に止められる訳でもないし、止める権利がある訳でもない
 ……自分にできることは、彼女を見送る事だけだ

「それでしたら、その前に…これを、お渡ししておきますね」
「?」
「ん?何だ?」
「何ー?」

 すすす
 Tさんの契約者と、彼女の頭に乗っている人形も、こちらの手元を覗き込んできた
 見られて困るものではないので、止める事はしない

 それは、ふわふわした、何かの動物の毛で出来ている、お守り
 かっくん、人形が首をかしげた

「何それー?」
「お守り、ですよ………知り合いが、拵えてくれました」

 幸運の都市伝説・カーバンクルの毛を使って作ったお守り
 カーバンクルの契約者から、預かって来た物の一つだ
 彼が手に入れた幸運ほどではないが…ささやかに、彼女を護ってくれるだろう

「…世界中に、夢を与える。あなたなら…きっと、成し遂げられるでしょう」

 頑張ってくださいね、と、そう、声をかけると…夢子は、そっとそのお守りを手にして
 …きゅう、とそれを握り緊めて、頷いてきた

 大丈夫
 彼女なら、できる
 「夢の国」の新しい王様、強い意志を抱えた、もう、悪夢に犯される事はない優しい王様
 彼女なら…大丈夫だ

「…ん?黒服さん、まだ何か、スーツのポケットに入ってるみたいだけど…」
「え?……あぁ、これですか?」

 …しまった
 これは、出さないつもりだったのだが
 Tさんの契約者に、気づかれてしまった
 好奇心の瞳を向けられ、黒服は小さく苦笑した

「……いえ、これも、知り合いから預かった物だったのですが」
「あ、クッキーじゃん」

 包みを取り出し、広げれば…確かに、それはクッキーなのである
 カーバンクルの契約者に持たされた、クッキー

「一つもらうぜ?」
「あ、しかし、それは」

 ぱくっ
 Tさんの契約者はクッキーを一つ摘み上げ、口にし

 ………固まった

「っど、どうしたんですか?」
「どうしたのー?」

 夢子と人形が、慌てて声をかける

 ……直後
 Tさんの契約者は、慌てて飲み物…烏龍茶に手を伸ばし
 ごっごっごっごっご!!と飲み干した

「~~~~~~~~甘っ!?」
「その知り合いが作ってくれた物なのですが…彼の作る菓子は恐ろしく甘い物で…渡すべきか否か、悩んでいたのですが…」

 …どうやら、身をもって体験してくれたようで
 黒服は、小さく苦笑した

「あ、でも、「夢の国」には甘い物が好きな子も多いですし…」

 頂きます、とそう言って
 一応、夢子は受け取ってくれた

「…夢子ちゃん、もし、口にするなら覚悟した方がいい……その甘さは、脳天に突き刺さる甘さだ……!!」

 よろり
 ようやく、甘味の地獄から完全生還したらしいTさんの契約者
 悪い事をしてしまったな、とそう考えて
 黒服は、また何か飲み物なり何なりもってきてやろう、とそう考えたのだった




 終われ





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー