「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 人肉料理店とその契約者-09

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人肉料理店とその契約者 09


「特訓だな!!」

 買い物帰りに唐突にそんな事を言い出す。

「いきなりどうしたんですか?」
「禿さんと同じ高みを目指す為だっ!それにこないだの戦いで判った事がある!オレは弱い!!…認めたくねーけど」

 言ってから軽く落ち込む少年。なら言わなきゃいーのに。あと前半はスルーしておく。

「それで特訓と言いましたが具体的にはなにを?」
「いや、まだ決めてない。どーしよっか?」

 どうやら勢いだけで何も考えずにいた様だ。

「先ずは何処を鍛えたいかを考えてみては?」
「うーん?攻撃はオーナーがそばにいればそれなり、か……問題はやっぱ防御かな?」

「契約したとはいえ、今の所身体能力は一般人と大差ありませんからね」
「身のこなしをどーにかする?でも急になんとかなるモンじゃねーしな。
 逆に攻撃力をもっと上げれば……いやそれも同じか……ん?攻撃力?」

 思い出すのは契約した時の事。同時に嫌な記憶も頭を過ぎるが、振り払う。

(……そーいやあの時アホみてーに速く動けたよな?あん時の力を自由に使えたら?)
「妙な事を考えていませんか?」
「思考を読むなオーナー。いや契約した時の事をだな「いけません」

 最後まで聞かず、即座に却下される。

「な、なんでだよ?あんときみたいに動けりゃ滅多な事じゃ負けねーだろ?」
「……言っていませんでしたね。
 あれは暴走の様なものです。下手すれば都市伝説に…【人肉料理店】に飲み込まれます」
「飲み込まれたら……どうなるんだ?」
「解りません。最悪二人共自我が消滅し、言葉通りの【人肉料理店】になる可能性もあります」

言ってからふと考える。
(普通、あそこまで堕ちていればそのまま飲み込まれている筈……何故少年は戻ってこれた?)

「どしたの?オーナー?」
「いえ、なんでもありませんよ。……おや、あなたは…?」

「……はぁ。やっぱ地道に走り込みとか組み手でもするしかないか」
「そうぢゃな。そもそもいきなり強くなろうというのが間違っておるんぢゃよ」
「いやそうはいってもなー?早いに越したこたぁないし?さっさと体治すにゃー一発ガツンと…つよ……く……」

 自然に会話に交ざってきた老婆を見て絶句する少年。オーナーはさっきから気付いていたのだが、敵意が無い様子だったので放っておいたのである。

「な、な、な、なんでこんなトコに居んだよ!?ばーちゃん!」
「お前さんが学校町に越したって聞いたからぢゃよ?
 あたしも昔ここに住んでたからねぇ。久々に見物がてら様子を見にきたんぢゃよ」
「はぁ?ばーちゃんが学校町に?」
「お祖母様?……本当ですか?」

 困惑する少年。
 怪訝な表情のオーナー。

「本当ぢゃよ。お前さんかえ?今、孫と暮らしちょる人は?」
「はい、オーナーと申します」
「あたしゃひきこというもんぢゃ。いつも孫がお世話になっちょるようで」
「いえとんでもない……失礼ですが、本当にお祖母様で?」
「ほぅ?納得いかんっちゅう顔ぢゃな?
 この子は正真正銘、あたしと血の繋がった孫ぢゃよ」
「……ですが…そんな事が?」
「実例が目の前にあるんぢゃから観念せい。」

「待て待て待て二人だけで話を進めんな!?わけわかんねーよ!一体なんの話だよ!?」

 すっかり置いてきぼりをくらった少年が叫ぶ。

「ほっほっほっ、驚きんしゃい?」


    あたしゃ都市伝説【ヒキコさん】ぢゃよ


 固まる少年。ギ、ギ、ギ、と音がしそうな動きで傍に佇むオーナーに視線を合わせる。

「確かに彼女は都市伝説です。信じられませんが」

 自身が都市伝説だと暴露した祖母を見る。

「……え?なに?じゃあオレ都市伝説の孫?」
「うむ、そうぢゃ。契約者はお爺ちゃんぢゃよ?契約したのは50年も前ぢゃが。
 ちなみにお前さんの両親はなーんも知らんぞい?あたしらが近づけさせんかったからのぅ」

祖母のさらなる爆弾発言に完全に動きを停める。もはや少年の処理能力を越えていた。

「成る程。もしかしたらその影響で取り込まれずに……」
「ん?なんの話ぢゃ?」
「あ、いえ、私と契約した時の事なんですが―――

(説明中)

―――といった訳です」
「そりゃあれぢゃな?あたしの血が入っちょるせいで耐性があったんぢゃろ」
「やはりそうでしたか……ある意味必然、ですかね?」
「いんや、運が良かったんぢゃよ。……ほれ、いつまでほうけてるつもりだい?」

未だに固まったままの孫に呼び掛ける。

「ぼやぼやしとらんと!とっとと帰るよ!」
「うぇ!?まさかついてくる気かばーちゃん!?」
「ほっほっほっ、お前さんの特訓とやらに付き合っちゃるわい。
 うむ、久々に腕がなるのぅ♪」
「ばーちゃんの馬鹿力で稽古つけられたら死ぬわ!?…ってあの怪力は都市伝説だったからか!?
 うわっ!ちょっ!?離し……オーナー助けてっ!?」
「……申し訳ありません」「見捨てられたっ!?」

「ほれ、早くきな」
「やだぁぁあぁあぁぁぁぁっ!?

 ゆ、許して、ばーーーーーーちゃぁぁあぁ…ぁぁ………ぁ………」




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