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連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち-26

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 …あぁ、畜生
 どうして、お前が泣くんだ

 「爆発する携帯電話」が、泣いている
 マッドガッサーの傷の治療は終わった
 マリの失った片足も、復活した
 けれど、「爆発する携帯電話」は、静かに涙を流し続けている

 自分が傷ついた訳でもないと言うのに
 仲間が傷ついたことを、悲しんで
 静かに、静かに泣き続けている

 …二人が戦ってきた相手は、「はないちもんめ
 そう言えば、「組織」にいた頃にそいつを討伐しに行って、相手の能力をロクに知らされてなかったから返り討ちにあった馬鹿がいたと聞いた事があるようなないような…
 とにかく、その能力でマッドガッサーの支配権を奪われたのは、不味い
 普段は問題なくとも、いざと言う時に動きを封じられると言うのは、操られると言うのは不味すぎる
 くそ、何か解除方法はなかったか?
 考えてみるが、思い出せず

 …それよりも
 目の前で泣いているこいつの事が、気になって気になって

「…あぁ、もう、泣くな」

 ぐしゃり、その頭を慰めるように撫でてやるのだが、なかなか泣き止まない
 あぁ、もう、どうすりゃいいんだよ
 誰かを慰めた経験なんて、ない
 だから、どうすればいいのかわからない

「二人とも、ちゃんと助かってんだ。だから、もう泣くな」
「………」

 前髪で隠れているその目の端から、ぽろぽろ、ぽろぽろ
 涙は、絶え間なく流れ続けている
 「爆発する携帯電話」は、その涙を拭こうともせず、泣き続けていて


 …あぁ、畜生
 こいつが泣いている所を見るのが、嫌だ


「-----くけっ?」

 ぼす、と
 その顔をこっちの胸元に押し付けて、抱きしめる
 「爆発する携帯電話」が、小さく首をかしげたのがわかった

「あぁ、もう…仕方ないから、泣きたかったら、思う存分泣け。ただ、その泣き顔、俺に見せるな」

 ……こいつが悲しんでいる顔を、見たくないのだと
 その理由に、ようやく気づく

 「爆発する携帯電話」は、しばし、不思議そうにこちらを見つめ
 …しかし、すぐに、こちらの胸元に顔を押し付けたまま、小さくしゃっくりあげ始めた


 慰め方がわからない
 涙の止め方がわからない
 「組織」ではそんな事は教わらなかったから

 結局、俺は「組織」で教わった事以外、何もできないままだったのだと
 今更ながらに気づかされたのだった



fin




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