「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-42h

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
『…あぁ、黒服さんか?』
「はい…すみません、Tさん。お忙しい中」
『いや、こっちはさほど忙しくないさ…それで、どうしたんだ?』

 夕日がゆっくりと沈もうとしている街並み
 それを見下ろしながら、黒服はTさんに連絡をとっていた
 その背後では、マッドガッサー事件の被害者達が、慌ただしく保護されていっている

「マッドガッサーの件に関しまして、良い報告と悪い報告が」
『……ひとまず、良い報告から聞こうか』

 はい、と頷き…黒服は、ゆっくりと話し出す
 それは、今まさに、彼の背後で行われている事
 …行方不明になっていた被害者達が保護された、ということだ
 全員ではないが、かなりの人数が保護された
 その中に、「富山の薬売り」の姿もあった事は幸いだ

『それは、連中のアジトが見付かったと言う事か?』
「いえ、それが…被害者達は、西区の空きビルの中に、放置されていたんです」

 …そう、まるで
 獲物をおびき寄せる餌として、利用されたように

「アジトに関しては、いまだ情報がありません」
『そうか…アジトに関して情報がない事が、悪い報告か?』
「………いえ」

 そうだったら、どれだけ良かった事か
 ちらり、黒服は背後の同僚たちに目をやる
 こちらの会話に耳を傾けている者は、いない
 問題は無さそうだ

「…あなたたちとも面識があります、髪が伸びる私の同僚なのですが…」
『あぁ、あの黒服さんか』
「はい………彼の消息が、途絶えました」

 …一瞬
 会話が途絶え、沈黙が流れる

『消息が途絶えた?それは…』
「生きているのか、死んでいるのか…生死すら、不明です」

 彼は、この空きビルでマッドガッサーたちの姿を見たという報告を聞いて、現場に向かっていたのだ
 担当契約者達は戦闘向きではないからと、一人で向かって
 ……そして
 その消息が、途絶えてしまった

『確か、「組織」には黒服を管理・監視しているシステムがあると聞いた事があるが…それにも引っかからないのか?それとも、そのシステムは今は稼動していないのだろうか?』
「そのシステムは今も稼動しています…まぁ、半分が「夢の国の黒服」である上、契約者を得ています私は、そのシステムの影響をほとんど受けないのですが……その同僚も、元・人間のせいなのか、それとも彼個人の特性だったのか、そのシステムの影響をあまり受けていなかったんです」

 お陰で勝手な行動がとりやすい、とあの同僚は笑っていたが
 今回は、それが裏目に出てしまった
 システムが感知できないが故に、その状態が把握できない

「マッドガッサー一味の襲撃を受けたのではないか…と言うのが、「組織」の推測です。私も、そう考えています」
『…厄介な事になってきたな。まぁ、元々厄介な件だが』
「……全くです」

 ここ数日、マッドガッサーの一味は沈黙したかのように大人しくなっていた
 ……その矢先の事である
 「あの件」と含めて、一味が大きな動きを開始しようとしているのかもしれない

「最後に」
『悪い報告は、もう一件あったか』
「はい、すみません………ただ、これは確定情報ではありません。しかし、限りなく、マッドガッサー達に関連していている可能性が高い事なのです」

 …もし、こちらの推測が当たっていれば
 事態は、取り返しのつかないことになるかもしれない

「…先日、学校町に、ガスを詰め込むタイプの…ミサイルのような物が持ち込まれたという情報が有ります」
「…ガスを詰め込む、ミサイル?』
「はい」

 内部にガスを詰め込み、発射すると…それは、目標地点の上空で炸裂し、ガスをばら撒くという代物だ
 それが、一つではない数個、学校町に持ち込まれた
 …もし
 それらが、一斉に破裂した場合

 その効果範囲は、学校町全体をあっさりと飲み込んでしまう

「もし、それを持ち込ませたのがマッドガッサー達であるならば…」
『連中、学校町全体に、一気にガスをばら撒こうとしている、ということか』
「推測が、全て正しければ……ですが」

 推測が、当たっていなければ良い、と思いつつも
 しかし、当たっているのでは…と言う、悪い予感がしてならない

「近々、学校町を離れた方が良いかもしれません。ひとまず、学校町の外までは範囲に含まれないはずですので」
『…黒服さんは、どうするんだ?』
「……せめて、契約者二人だけでも逃がす事ができれば、と思ってはいます」

 しかし、二人とも承諾してくれないだろう
 黒服は、小さく苦笑する
 …ならば
 自分が、二人を護るしかないのだ
 それが、自分などと契約してくれた二人の為に、自分がすべき事だ

「…お伝えする事は、以上です。用件だけで不躾ですが…それでは」
『あぁ、ありがとう』

 …電話を切る
 被害者達は、ひとまず全員、運び出されたようだ
 正確な人数を聞きだし、後々の処置について通達し……一人、その部屋に残されて
 黒服は再び、ビルの窓から外を眺めた
 …夕日は、もうほとんど沈みきっている

「……これ以上、悪い事が、起きなければよいのですが」

 ぽつり、呟かれた黒服の言葉は、じわり、生まれてきた夜の闇に飲み込まれていったのだった



to be … ?





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー