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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 占い師と少女-a02

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uranaishi

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占い師と少女 マッドガッサー決戦編 02


○月×日 20:03


「……何にも起こらないな」
「……何にも起こりませんね」

占い師さんが別の占い師の人から電話を受けてから2時間近く。
マッドガッサー一味による学校町全体に及ぶ悪意的な「何か」が、20時に起こる。それを伝える電話だったのだが……。

「時間、間違えてませんよね?」
「夜の8時で間違いないはずだが……」

子機を手に、占い師さんが電話をかけ始める。恐らく相手は先程の同業者さんだろう。

「…………もしもし。ああ、じいさんか。こっちはもう8時になってるんだが、何も起こらない。どうなってるんだ?」
「ほっほ、もう既に始まっておる。お前さんの目がおかしいんじゃないのかね?」

占い師さんが気を配ってスピーカーにしてくれたのか、私にもおじいさんの声が聞こえてきた。
以前に一度だけおじいさんには会ったことがある。都市伝説になって間もない占い師さんを育てた人だそうだ。

「馬鹿言え、学校町を覆う程の惨事になるんだろ? 気付かないわけがないだろうが」
「ふむ……お前さんは何か勘違いをしておるようじゃの」
「……勘違い?」
「確かにわしは『今夜8時に』マッドガッサー一味が行動に出るとは伝えた。じゃが、何もその行動の結果が8時だとは言っておらんじゃろうが」
「…………つまり、それと分かる惨事になるのはもっと後なのか?」
「ふむ、わしらの預言通りなら今夜0時辺りになるじゃろうな」
「………………」
「どうした、黙りおって」
「どうしてっ、それをっ、先に、言わなかったんだっ!!」

怒鳴る、というより叫ぶのに近い占い師さんの言葉。

「あ、あの、占い師さん、一応もう夜ですから……」
「おお、その声はお嬢ちゃんじゃの」

おじさんの声が嬉しそうにかわる。

「いやはや、よくそんながさつで乱暴な者の所にいられるのう……よければわしらの家へ来てもいいんじゃぞ?」
「未来はやらんぞ、じいさん。つーか話をそらすな、話を。あんたのせいでこっちはこの1時間、死に物狂いで準備をしてたんだ」

確かに、私たちの周囲にある荷物はすごい。
対マッドガッサーのガス用に特別に運命の改変を行ったマスクや、その他日用品に、よくわからない大きな布、煙幕まである。

「……ほっほ、まぁそう怒る出ない。償いと言っては何じゃが、お前さんにまた新しく情報を与えようぞ」
「…………何だ」
「マッドガッサー一味じゃがの、どうやらその町の中心付近にある高校で籠城を続けているようじゃ。そこで0時に起こるじゃろう事の為の準備をしておる」
「……本当か? 今度また適当な事ぬかしてたら、次会った時殺すぞ、じいさん」
「なに、お前さんに殺される未来は見ておらん。平気じゃろう」
「……よし、分かった。今度こそ信じてるぞ、じいさん」
「ほっほ……ではの、お嬢ちゃん、本当に嫌になったらさっきの件、考えて――」

プツッ

占い師さんが会話の途中で電話を切った。
……いいのかな。

「で、学校町中央の高校なわけだが……未来、お前はどうする」
「……何が、ですか?」

何となく占い師さんが何を言おうとしているかは分かっていたが、口から疑問が出てしまう。

「今回の騒動は今までのマッドガッサーが起こしたもんとは桁違いだ。死ぬ可能性だってある」
「……ここで待機するか、占い師さんと一緒に行くか、ですか?」
「ああ」

……そんなの。
そんなの、聞かれる前から答えは決まっている。

「一緒に行きます」
「いいのか?」
「……占い師さんの邪魔にならなければ、ですけど」

少し弱気になって言うと、ぽむ、と占い師さんの手が頭にのせられた。
周囲に散乱する荷物を顎でさし

「じゃ、持っていくものを選ぶぞ、さすがにこれ全部持っていくわけにはいかないからな」
「……はいっ」



○月×日 20:10

暗闇の中、町の中心にあるという高校へと急ぐ。
都市伝説とは言え肉体機能は一般の人と同様な私たちは、軽いリュックを背負い町中を走っていた。
時々漏れているテレビや家族の声以外、辺りはひどく静かだ。これから何か恐ろしい事が起こる事なんて、信じられないくらい。
……そんな静かな町だったが、車の走る音が木霊し始めていた。
ライトで道を照らしながら進むそれは、小さいながらも搭載量はそこそこあるだろうバン。
…………そして、そのバンは私たちの前で止まった。

「…………敵、ですか?」
「さあな……」

マッドガッサー一味は学校外にも出ていたのだろうか。
身構える私たちだったが……。

「こんな所で何やってんだ、兄ちゃんに嬢ちゃん」

かけられた声が、よく知っている声だったので、思わず脱力する。
バンから降りてきた中肉中背の男は、私たちのよく知る八百屋の大将だった。

「……八百屋さんも、何やってるんですか」
「明日の分の野菜、仕入れに行く途中だけどよ」

そういえば、この先は八百屋さんのある商店街だ。

「で? 嬢ちゃんたちは、この先になんか用事でもあんのか?」
「えっと……」

思わず、占い師さんの方を見てしまう。

「……なんでもねぇよ、大将」

このまま大将が仕入れに行けば、少なくとも学校町からは離れられる……多分、そう判断したのだろう。

「ほーお、じゃあ何か、んな荷物背負って今からピクニックってか?」
「ああ」
「……そんじゃぁ、俺も混ぜてもらわねぇとなぁ」

占い師さんの答えに、大将はくっくっと笑ってバンを降りた。

「……大将、悪いがこれは俺と未来、二人だけで行くつもりだ」
「分かってるよ、兄ちゃん達がそういうつもりなのはな」

それから軽くため息をついて

「……ならよ、もっと顔をほぐせや。強張ってて男前が台無しだからよ」

その言葉に、慌てて顔をこする占い師さん。
……ああ、これはもう『何かあります』と白状しているようなものだ。普段は冷静なのに、どうしてこういうときはそれが発揮されないんだろう。

「……兄ちゃんがんな顔してんだ。なんか厄介事でもあんだろ? 一応俺も都市伝説と契約してんだ、足手まといにならねぇんなら連れてっても損はねぇはずだぜ?」
「……命を落とすかもしれないが、いいのか?」
「構わねぇよ。むしろここで逃げたら後で後悔するだろうからな」
「死んだら、大将の奥さんとの約束も果たせなくなる。それでも、か?」
「何、かみさんなら俺のケツ叩いて応援してくれるさ」
「………………」

占い師さんはしばらく悩んだ後、手を差し出して

「手を貸してくれるか、大将」
「おうとも。そうこなくちゃな」

その手を大将がパンッ、と叩いた。

***********************

「……どこまが目的地だい?」

バンに乗り込みながら大将が尋ねてくる。

「この町の中央にある高校まで、です」
「するってぇと……ああ、戻る事になるんだな」
「悪いな、巻きこんで」
「いいんだよ……これ以上言ったら殴からな、兄ちゃん」
「…………ああ」

夜の街に、バンが喧騒を立てながら走り始めた。



○月×日 20:15

バンを高校から少し離れた角に置き、私たちは校庭の塀沿いに歩いていた。
先程数度、グラウンドで閃光が走っているのが見えた。どうやら先に来た都市伝説とマッドガッサー一味の誰かが戦っているようだ。

「校庭に3人、上空に1人と1体、屋上に1人…………」

移動の間、占い師さんは校舎の中を透視していた。

「……それで、一味は全員ですか?」
「いや、ここからじゃ遠くて校舎内にいるの奴らがよく見えないから、恐らくはもっと多いだろう」
「ほんっと、便利だねぇ、兄ちゃんの能力は」
「距離で見えにくくなる透視能力なんて、まだまだ便利とは言い難いがな」

そうこうしている内に、校舎裏の、裏門近くにまで辿り着いた。

「……ちょっと屈んで待ってろ」

私たちに指示をして、占い師さんが裏門を乗り越えて中へと入る。

「うわ、み、見られちゃいますよ!」
「………………」
(無視ですか……)

占い師さんの能力で分かったのだが、この高校には至る所に監視カメラやセキリュティが施されているらしい。
しかもその全てが相手の都市伝説の統制下に置かれているのだというんだから、いただけない。
もし見つかったら、即座にこちらの居場所が一味に知らされるのだろう。

「……俺が考えもなしに行動してるとでも思ったのか? ほら、もう入ってもいいぞ」

しばらくして、能力で裏門のカギを開けたのか、占い師さんが中から裏門を開けて出てきた。
屈んでいた私を、手を引いて立ち上がらせてくれる。
……校舎の方を見ると、監視カメラがまだ正常に動いていた。

「おい、まだ動いてるじゃねぇか、兄ちゃん」
「俺の能力で、あれはもう俺らを写さないようにしてあるんだよ、大将」
「……ほー。本当に便利だな、兄ちゃんの能力は」

(……本当だ)
能力を使って、監視カメラが本当に無力化されているのを確認する。
今のカメラは、動きに合せた風景だけを映し出すように改変され、人の姿を捉えることはなさそうだ。

「つっても、15分間しか能力は持続しないからな。さっさと行くぞ」

校門、校舎の方へと歩いて行く占い師さん。
私と大将も、その後をついて行く。
油断なく目を校舎へ向けた占い師さんは、ある場所で止まった。

「ここなら、わざわざ監視カメラを無力化する必要もないはずだからな」
「そりゃ、『男子トイレ』じゃ監視カメラなんて作動してないんでしょうけど……」

さすがに、トイレにまで監視カメラがあったら問題だ。
そのまま占い師さんは、窓枠のセキリュティを能力を使って解除……いや、作動しているように敵の都市伝説が勘違いするような細工まで加えた後、中へと入って行ってしまう。
……さすがに私も女の子。入るのには抵抗があるのだけれど……

「早く来い、見つかったら事だ」
「夜中のトイレってのは不気味だねぇ、さすがに」

……既に二人とも、中へ入って行ってしまっていた。
そりゃ、二人とも男だから抵抗も全くないんでしょうけど!

「分かってますよ」

恐る恐る窓枠に足をかけ、一気に中へと入る。
……入った瞬間、空気が変わったような気がした(……いや、変な意味ではなく)
もう既に、ここはマッドガッサーの要塞なのだ。一歩間違えれば命を落とすかも知れない。
じとり、と手に嫌な汗をかいているのが分かる。

「……行くぞ、未来」
「はいっ」

緊張をごまかすように少し大きく、けれど大きすぎない声で返事をしてから、占い師さんの元へと駆け寄る。

「おいおい、俺は呼んでくれねぇのかよ、兄ちゃん」

その後を、大将も小走りについてきた。
……ここから先、一体どんな危険があるのかは分からない。けれど、私にできる最大限の事はしよう。

○月×日 20:20 占い師と他2名、校内に侵入完了


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