「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 占い師と少女-a06

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uranaishi

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占い師と少女 マッドガッサー決戦編 06



○月×日 21:03

Tさんたちと合流してから数分後、私たちはまた別の都市伝説のグループと合流していた。
食堂前でTさんたちと戦っていた青年(声から少年を想像していたが、明るい所で見ると20以上の青年だった)と瓜二つの男性を中心とした数人のメンバーで、その男性は青年の兄だといった。

「……いいんですか、なんだか大所帯になっちゃいましたけど……」

既に10名近いグループとなってしまったのを見て、傍らの占い師さんに小声で聞く。

「あまり目立つ行動は取りたくなかったが……まぁ、2階に上がるにはこの中にいた方がいいんだ。仕方ない」

占い師さんの視線の先では、「骨を溶かすコーラ」の契約者とTさんが何やら揉めていた。
どうやら、Tさんとしては、自分には強引な方法でしか階段を壊せいない以上、「骨を溶かすコーラ」の能力で階段をスロープ上にして欲しいようだが

「それ、物凄く精神使うんですよー。出来ればやりたくないなぁ」

と、けんもほろろの対応である。

「……何だか、2階に上がれるまで時間がかかりそうですね」
「…………ったく。壊すにしろ溶かすにしろ、あいつらにしかできないんだから、さっさと決めて欲しいんだがな」

占い師さんと私の能力で、一応辺り一帯の監視カメラは私たちを写してはいない。
しかし、Tさんや白衣の人が監視カメラを潜り抜けていたとは考えられない以上、「歩いていた人間がいきなり消えた」ようにカメラには見えているはずなのだ。
……そして、恐らくマッドガッサー一味はそれを不信に思わない程抜けてはいないだろう。
もう既に、こちらに向かって一味の誰かが向かっているのかもしれない。

「少しは俺が手伝うつもりだ。『骨を溶かすコーラ』の契約者には、大まかな作業をやってもらうだけでいい」
「それって結局僕がほとんどやるってことだよね? でもさ、別に僕がいなくてもできるんでしょ?」
「だから――――」

……そんな中でも、言い合いを続けている2人。
ふと、それを見ていた占い師さんがため息を漏らした。

「悪いな、未来。……ちょっと仲裁に行ってくる」
「はい。何だか険悪そうですから、気をつけて下さいね」
「分かってる」

ぽん、と頭に手を乗せた後、占い師さんは2人の方へと歩いて行った。
占い師さんも加えて、3人で話を始める2人。
占い師さんがいなくなったことで少し手持無沙汰になった私は、この階段前に集まっていた人たちを見渡した。

「いやぁ、あんたとやんでる兄ちゃん、ほんとに似てんなぁ」
「……弟とは双子だからな」
「で、俺はあんたの事をなんて呼べばいいんだ? あれか、やんでる兄ちゃんの『兄ちゃん』か?」
「生徒には『不良教師』なんて呼ばれてる。お前がいいなら出来ればそれで呼んでくれ」
「よっし分かった不良教師の兄ちゃん! そういやー、つい3日前にもあのやんでる兄ちゃんが俺んとこに買い物にきたんだが、あれ、あんたも食べたのか?」

私たちから少し離れたところで、大将と白衣の男性が話し込んでいた。
他の面々と言えば、白衣の男性と一緒に行動していた人達は、なにやら自分たちの輪の中で話しているし、Tさんの契約者さんとリカちゃんは2人でTさんたち3人の議論をぼーっと観戦していた。
…………なんだか、マッドガッサーの要塞の中にいるとは思えないくらい、ほのぼのとした空間だ。

*******************************

……それから数分後


「…………よっし、じゃあそれでいいな、『骨を溶かすコーラ』の契約者、Tさん」
「うん」
「分かった」

どうやら話し合いの決着がついたようだ。……しかも、いい方向で。
「骨を溶かすコーラ」の契約者の青年が3人から離れ、白衣の男性の元へと駆け寄る。

「兄さん兄さん。僕、階段溶かすの頑張るんだけどさ、偉いよね? ね?」
「ああ、偉いな」
「うん! だからさ、今度お休みの日、一日兄さんを独占するから、よろしくね!」
「ああ…………って、何がだ、おいっ!」

白衣の男性の制止の声が聞こえなかったのか、青年は階段の前まで駆け足で行った。…………ついでに、鼻歌まじりに。

「そこの銀髪のお前、弟に何を吹き込んだ?」
「いや? ただあんたの契約した都市伝説は二階いるみたいだから、二階へ行けるようになったら喜ぶぞ、としか言ってないが」
「嘘を付くな。そこからどうして『一日兄さんを独占するから』に繋がるんだ?」
「聞き間違えだろう」
「だが――――」

そこまで白衣の男性が言った時

ごぽごぽごぽごぽごぽ

先程の戦闘の開始時に響いた音が、再び響き始めた。
階段の前では、青年が何やら楽しそうな笑みを浮かべながらコーラを操っている。

「それっ」

掛け声と同時に、青年の手に持っていたペットボトルから溢れていたコーラが、生き物のように階段を這った。
それが通る度、階段が少しずつ削られていく。
……まるで、コーラが階段を食べているような錯覚を抱いた。
そしてコーラが踊り場を伝い、二階へと消えた時――

「……すっげぇ」
「つるつる……」

――階段は、段差が全てスロープ状へと変貌していた。
その状況に、白衣の男性と一緒にいた2人が感嘆の声を漏らす。
他の人たちこそ声を出していないけれど、占い師さんやTさん、白衣の男性を覗いた皆、驚いた顔をしていた。

「…………できたよっ、兄さん!」

最後にコーラを二階から階段の上を通して呼び寄せ、ペットボトルへと戻す青年。
……ついに、二階への道が開けたのだ。

○月×日 21:10 食堂横階段、二階まで開通




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