○月×日 22:35 一年生教室
「------ん、携帯の兄ちゃん!!」
「……ぁ」
「……ぁ」
意識が、ゆっくりと覚醒する
心配そうに覗き込んできている、その顔に……「爆発する携帯電話」は、慌てて起き上がろうとして
くらり、視界が霞む
心配そうに覗き込んできている、その顔に……「爆発する携帯電話」は、慌てて起き上がろうとして
くらり、視界が霞む
「急に起き上がらない方がいいです…もう少し、休んだ方が」
「…い、や……時間…」
「…い、や……時間…」
時間が、ないのだ
とにかく、起き上がろうとする「爆発する携帯電話」
急がなければ、ならないのに
どうして、自分は気絶などしてしまったのだ…!
とにかく、起き上がろうとする「爆発する携帯電話」
急がなければ、ならないのに
どうして、自分は気絶などしてしまったのだ…!
「…発作は、もう、おさまったから……だいじょう、ぶ」
「大丈夫なら、いいんだけど…」
「大丈夫なら、いいんだけど…」
本当に、大丈夫なのだ
発作は、おさまってさえくれれば、もう苦しさも何も残らないから
…自分でも、厄介な発作だと思う
発作は、おさまってさえくれれば、もう苦しさも何も残らないから
…自分でも、厄介な発作だと思う
「…状況、は?」
『……ソレガ、ダナ。マズイゼはにー』
『……ソレガ、ダナ。マズイゼはにー』
携帯電話から響くスーパーハカーの声
機械的な声に、やや苦渋の色が混じっている
機械的な声に、やや苦渋の色が混じっている
『13カイダンノヤロウノソバニ、シンニュウシャガアツマッテヤガル』
「……!」
『ドウヤラ、セットクスルツモリラシイケドナ。イザトナッタラ、ドウナルカワカラネェ』
「……!」
『ドウヤラ、セットクスルツモリラシイケドナ。イザトナッタラ、ドウナルカワカラネェ』
…まずい
説得してくれると言うのなら…いいの、だが
「13階段」の能力は、縁距離攻撃を前に無防備なのだ
いざとなったら、どうなるかわからない
説得してくれると言うのなら…いいの、だが
「13階段」の能力は、縁距離攻撃を前に無防備なのだ
いざとなったら、どうなるかわからない
…「13階段」が、簡単に説得に応じるとは思えないのだ
彼は、頑固な面もあるから
彼は、頑固な面もあるから
「………」
ふと、「爆発する携帯電話」は考える
…面と向かって、自分が説得すれば
少しは、話を聞いてくれるかもしれない
携帯電話での、遠くからの説得よりも
面と向かって説得した方が、いいに決まっている
…面と向かって、自分が説得すれば
少しは、話を聞いてくれるかもしれない
携帯電話での、遠くからの説得よりも
面と向かって説得した方が、いいに決まっている
「……なぁ」
「?」
「…「13階段」を…説得、したい。そちらから…三階に、行こう…」
「「13階段」って…前、会った時携帯のにーちゃんと一緒にいた、あのにーちゃん?」
「?」
「…「13階段」を…説得、したい。そちらから…三階に、行こう…」
「「13階段」って…前、会った時携帯のにーちゃんと一緒にいた、あのにーちゃん?」
こくり、少年の言葉に頷く
多分、少年達も一緒に居れば…もっと、話を聞いてくれると思う
問題は、彼の前にいると言う侵入者達だが…
…こちらの話を、聞いてくれればいいのだが
多分、少年達も一緒に居れば…もっと、話を聞いてくれると思う
問題は、彼の前にいると言う侵入者達だが…
…こちらの話を、聞いてくれればいいのだが
「わかった。行こう」
「どちらにせよ、三階にあがる必要があるんじゃしの」
「どちらにせよ、三階にあがる必要があるんじゃしの」
…むくり、今度こそ「爆発する携帯電話」は起き上がった
ぴすぴす、鼻を鳴らしながら擦り寄ってきていたジャッカロープを抱き上げる
ぴすぴす、鼻を鳴らしながら擦り寄ってきていたジャッカロープを抱き上げる
…どうか、自分の言葉が「13階段」に届けばいいのだが
「爆発する携帯電話」は、そう祈らずにはいられなかった
「爆発する携帯電話」は、そう祈らずにはいられなかった
○月×日 22:50 視聴覚室横階段前
ぴくりっ
ザクロの耳が、数人の足音を拾った
ぱたぱた、ぱたぱたと
それらは、こちらに向かってきている
段々と大きくなってくる足音に、皆、気づいて
それらの姿が…視界に、入り込んでくる
ザクロの耳が、数人の足音を拾った
ぱたぱた、ぱたぱたと
それらは、こちらに向かってきている
段々と大きくなってくる足音に、皆、気づいて
それらの姿が…視界に、入り込んでくる
それは、女性が四人とナマモノ一匹
そうとしか見えない集団だった
中学生くらいの少女、見事な巨乳の女性、老婆、そして…鹿の角が生えた兎を抱いた少女
そんな、奇妙な集団
だが、その集団に、見覚えがある黒服Hと
そして、兎を抱いた少女に見覚えがある、TさんとTさんの契約者、リカちゃん
…そして、その少女に、見覚えがあるようなないような、微妙な感覚を抱いた姫さんと妹ちゃん、そしてザクロ
そうとしか見えない集団だった
中学生くらいの少女、見事な巨乳の女性、老婆、そして…鹿の角が生えた兎を抱いた少女
そんな、奇妙な集団
だが、その集団に、見覚えがある黒服Hと
そして、兎を抱いた少女に見覚えがある、TさんとTさんの契約者、リカちゃん
…そして、その少女に、見覚えがあるようなないような、微妙な感覚を抱いた姫さんと妹ちゃん、そしてザクロ
「……っ」
びくり
兎を抱いた少女は、集団の一部を見て…かすかに、怯えたように体を震わせた
それは、姫さんたちと戦闘した経験がある故の後ろめたさやら恐怖やらなのだが…今は、そんな細かい事情はどうでも良かった
兎を抱いた少女は、集団の一部を見て…かすかに、怯えたように体を震わせた
それは、姫さんたちと戦闘した経験がある故の後ろめたさやら恐怖やらなのだが…今は、そんな細かい事情はどうでも良かった
「…来たか。お姫様」
ぼそり
黒服Hが、呟くようにそう言ったからだ
黒服Hが、呟くようにそう言ったからだ
「へ?お姫様?」
Tさんの契約者が、きょとんとした表情をする
…その、「お姫様」と言う単語の意味する事に
一同が、誰か来たと視線を向けた様子を怪訝そうに見詰めていた「13階段」が、気づいた
スパニッシュフライで操られた黒服Hがマッドガッサー一味全員と顔を合わせた時、彼が「爆発する携帯電話」を見て
…その、「お姫様」と言う単語の意味する事に
一同が、誰か来たと視線を向けた様子を怪訝そうに見詰めていた「13階段」が、気づいた
スパニッシュフライで操られた黒服Hがマッドガッサー一味全員と顔を合わせた時、彼が「爆発する携帯電話」を見て
『…あぁ、そうか。あれがお前のお姫様か』
と、そう言っていたからだ
…「爆発する携帯電話」が、ここに来た!?
こんなに、敵がいるって言う時に!?
…「爆発する携帯電話」が、ここに来た!?
こんなに、敵がいるって言う時に!?
「……そこに…いる、のか?」
聞こえてきた…「爆発する携帯電話」の、声
息を切らしているのが、声の様子からわかる
どうやら、走ってきたようだ
息を切らしているのが、声の様子からわかる
どうやら、走ってきたようだ
何故、ここに来てしまったのか?
そんな疑問よりも何よりも、先に
「13階段」は、自然と体が動いていた
そんな疑問よりも何よりも、先に
「13階段」は、自然と体が動いていた
「……っ!」
たんっ、と
階段の踊り場から、跳んだ
目標着地地点は…自分を説得なんぞしようとしてきた連中と、二年生教室側の廊下への、間
階段の踊り場から、跳んだ
目標着地地点は…自分を説得なんぞしようとしてきた連中と、二年生教室側の廊下への、間
だんっ!!と
無事、着地した「13階段」
彼を説得しようとしていた面子と、駆けつけた「爆発する携帯電話」達との、丁度間に着地しらさる
彼を説得しようとしていた面子と、駆けつけた「爆発する携帯電話」達との、丁度間に着地しらさる
………
着地の衝撃がもろに脚にきたのか、若干うめいているのがなんとも情けない
着地の衝撃がもろに脚にきたのか、若干うめいているのがなんとも情けない
「…っお前、どうしてここに……」
急いで振り返る、「13階段」
とにかく、「爆発する携帯電話」をここから逃がさなければ
今の彼の思考は、それだけで一杯で…
とにかく、「爆発する携帯電話」をここから逃がさなければ
今の彼の思考は、それだけで一杯で…
窓の外、はるか彼方から
自分を狙う殺意に、気づいていなかった
自分を狙う殺意に、気づいていなかった
「------っち」
まずい状況だ
黒服Hは、小さく舌打ちした
「爆発する携帯電話」の契約者が、このタイミングで来てしまうとは
なんとも、最悪のタイミングだ
「13階段」が、「爆発する携帯電話」を特別に思っているのが、雰囲気で察していた
それが、どれほど強い想いなのか…今の瞬間に、再確認する
己が絶対的に有利な位置にいたにも関わらず、その有利を捨ててまで、「爆発する携帯電話」の盾になるように飛び降りてきたのだから
黒服Hは、小さく舌打ちした
「爆発する携帯電話」の契約者が、このタイミングで来てしまうとは
なんとも、最悪のタイミングだ
「13階段」が、「爆発する携帯電話」を特別に思っているのが、雰囲気で察していた
それが、どれほど強い想いなのか…今の瞬間に、再確認する
己が絶対的に有利な位置にいたにも関わらず、その有利を捨ててまで、「爆発する携帯電話」の盾になるように飛び降りてきたのだから
まずい
「13階段」が、窓から見える位置に来てしまった……!
窓の向こうからの殺意が……膨らんだ
「13階段」が、窓から見える位置に来てしまった……!
窓の向こうからの殺意が……膨らんだ
○月×日 22:52 中央高校より500㎞
-----来た!!
H-96が姿を現した!!
彼は、歓喜の表情を浮かべた
H-96が姿を現した!!
彼は、歓喜の表情を浮かべた
さぁ、殺してやろう
裏切り者の、失敗作のHナンバー共め!
裏切り者の、失敗作のHナンバー共め!
「…さぁ、行け!!」
彼の契約している都市伝説達が……姿を、現して
じゃきんっ!と
手にしていた獲物を、鳴らした
じゃきんっ!と
手にしていた獲物を、鳴らした
○月×日 22:53 視聴覚室横階段前の廊下
…その、気配に真っ先に気づいたのは、ずっと警戒していた黒服H
次に気づいたのは耳のいいザクロ、その次に気づいたのは、Tさんだった
次に気づいたのは耳のいいザクロ、その次に気づいたのは、Tさんだった
ば!!と、三人は窓の向こうに視線をやる
それに釣られるように、何人かも窓の外へ視線をやって
それに釣られるように、何人かも窓の外へ視線をやって
「…てん、し?」
女装少年が、そう呟く
窓の向こう、何かが、こちらに近づいてきている
それは、背中から翼を生やし、光を纏った……まるで、天使のようで…
窓の向こう、何かが、こちらに近づいてきている
それは、背中から翼を生やし、光を纏った……まるで、天使のようで…
「-----全員伏せろ!!」
黒服Hが、叫ぶ次の瞬間……ばりぃん!!と、一同の傍の窓ガラスが、粉々に砕け散った
「13階段」が、対応し切れなかった「爆発する携帯電話」の体を押し倒したのが、黒服Hの視界の隅に入り込む
「13階段」が、対応し切れなかった「爆発する携帯電話」の体を押し倒したのが、黒服Hの視界の隅に入り込む
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
一瞬前まで一同がいたその場所に、無数の銃弾が撃ち込まれる!
一瞬前まで一同がいたその場所に、無数の銃弾が撃ち込まれる!
「な、何なのよ、これ!?」
「「モンスの天使」だ!!「組織」の始末屋の一人が契約してる都市伝説だ!」
「…っ「組織」の、強硬派と言った所か」
「「モンスの天使」だ!!「組織」の始末屋の一人が契約してる都市伝説だ!」
「…っ「組織」の、強硬派と言った所か」
黒服Hの叫びに、Tさんが苦々しく呟く
絶え間なく撃ち込まれる銃弾
結界なりなんなりで防がなければ、立ち上がる事すらできない
そうじゃなくとも、あとほんの数分で、モンスの天使達はここまで接近してくるだろう
そうなると、手榴弾の数十発も投げ込まれたら、ヤバイ
絶え間なく撃ち込まれる銃弾
結界なりなんなりで防がなければ、立ち上がる事すらできない
そうじゃなくとも、あとほんの数分で、モンスの天使達はここまで接近してくるだろう
そうなると、手榴弾の数十発も投げ込まれたら、ヤバイ
とにかく、全員無事か?
視線を彷徨わせた黒服Hの視界に…背中を負傷している「13階段」の姿が、入り込んだ
視線を彷徨わせた黒服Hの視界に…背中を負傷している「13階段」の姿が、入り込んだ
「………ッ、ヤ」
「掠っただけだ…大丈夫、だから」
「掠っただけだ…大丈夫、だから」
泣き出しそうな声を出している「爆発する携帯電話」にそう答えている「13階段」
深い傷ではないようだが、背中を銃弾が掠り、服が破けて露出した背中に傷が見える
深い傷ではないようだが、背中を銃弾が掠り、服が破けて露出した背中に傷が見える
……あぁ、畜生が
苦々しい表情を浮かべながら…黒服Hは、スーツの懐から携帯電話を取り出した
苦々しい表情を浮かべながら…黒服Hは、スーツの懐から携帯電話を取り出した
to be … ?