「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-03

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【電磁人の韻律詩~3号~ ライディーン 】

「いや~、あの黒服さん良い人だったね!」
「あっさり買収されてるんじゃねえ………!」
学校町のどこにでもある一戸建て、その中でくつろいでいる少年と少女。
とはいっても
少年はこだわりのコンポーネントステレオでYM●のライディーンを聞いているだけだし
少女は電子レンジの山の中で幸せそうに寝そべっているだけである。

「テン、テン、テ~ン、テッテテテッテレテッテッテ~♪
 いや、YM●の音楽は本当に最高だなぁ………。
 高橋さんも鼻歌でこのレベルとかね……。」
「うへへ、自動解凍機能、自動暖め機能、スチームで暖め………。
 燃費も良いし技術の進歩最高!!」
どうやら明日真はテクノも嗜むそうだ。

今日、二人は某大手家電量販店にて組織の手伝いとして都市伝説退治を行っていた。
部屋に大量に散らかっている電子レンジはその後、黒服Hに買って貰った物である。

「見てくれアスマ!電子レンジが変わると私の衣装も変わるんだよ!」
「ほらほら、例えばこのパメンニックの【3つ☆】で変身すると……。」
恋路が只の古い電子レンジに戻る。
その後すぐに煙のような物がそこから出てきて隣の電子レンジに入る。
そうすると隣の電子レンジが光に包まれてあっという間に人間になってしまった。
「じゃじゃーん!シェフの格好だぞ!」
出てきたのはいつも通りの恋路なのだが服装が違った。
彼女は真っ白な帽子を被って赤いスカーフを首に巻き、さらに所謂コック服を着ていたのだ。
「イタリアの映画でも見ているようだね~♪」
明日は相変わらず音楽を大音量で聴いているようだ。
こんな様子で恋路の話など聞こえているのだろうか?
「え、本物のシェフみたい?仕方ないな、今日の晩ご飯はイタリア料理だ!」
「君に、胸キュン~♪」
「なんだいなんだい、やけに素直じゃないか。
 そこまで私の手料理が好きかい?
 嬉しいこと言ってくれるじゃないの。」
「気があるの?って怖いくらい読まれてる~♪」
「はっ、ははは!女の感を舐めちゃいけないよ!
 わわわ、私のこと気に入っちゃったかい?」
「愛してるって♪」
「もう!今日のアスマおかしいってば!」
ステップ混じりで台所に向かう恋路。
明日の態度が急に変わったと思い、テンションが上がっている様子だ。
二十分後、恋路が晩飯を作り終えてリビングに戻ってくると明日はまだ音楽を聞いていた。

「アスマ~、出来たよイタリアン定食B!」
「ふんふんふ~ん♪」
「アスマ、聞いてる?」
明日真は目を閉じて鼻歌を歌っている。
とてもじゃないが人の話を聞いているとは思えない。
「ちょっと!なにやってるの?」
恋路は明日のヘッドフォンを外して声を掛ける。
「―――――ふわっ!」
驚いて思わず声をあげる明日。
「もしかしてさっきも私の話聞いてなかった……?」
「え、なんのこと?それより今日はイタリアンか、あんまり食ったこと無いんだよなぁ~。」
「………ナンテコッタイ。」
「これもう食べても良いの?よっしゃ!いただきまっす!」
明日はポカーンとする恋路を残して目の前の料理を食べ始めてしまったのであった。


翌日、明日が学校の準備をしていると恋路が眠そうな目を擦って二階から降りてきた。
「あれ、明日何処行くの?」
「学校、俺は一応真面目な学生なんだ。
 留守番してろよ、知らない人が来てもドアを開けちゃあ駄目だぞ!」
「うん、解ったよー。」
ガチャン
月曜日、明日真はその日も学校に向かった。
彼は学校に着くといつも通り隅っこの席に座って数少ない彼の友人と会話しながら教師を待った。
都市伝説と契約したせいか彼はこの学校にもある程度の数の都市伝説を使う人間が居る事に気づいたようだ。
できるだけ関わり合いになりたくないものであると彼は考えて居た。
「次、移動教室だってよ。」
「化学の授業かよ~。」
どうやら次は化学の授業のようだ。
明日は教科書を持って化学室に向かった。

「この塩基にたいして中和が起きる酸のmol数は決まっていて………。」
ガツンガツンガツン
教師が黒板にチョークで板書を書き付ける。
やる気なさげな雰囲気に反して筆圧が高い。
「と言うわけで一気に塩基性から酸性に変わる。
 これをphジャンプって言うんだ、覚えておけよ。」
やる気なさげな奴だな……、と明日は思っていたがそれは彼が言えた義理じゃない。
明日とて授業に対してやる気はないのである。
だが彼は違和感を感じていた。
今、目の前に居る教師から妙に都市伝説の気配がするのだ。
「どうした明日?」
「え、いやなんでもないっす。」
「そうか。」
クラスの人間が珍しそうに彼の方向を見ている。
だが何も無かったような顔をして明日は自分のノートに集中した。

放課後
明日は学校が終わると家に帰ろうとした。
「ねえ、明日くん。今日は風紀委員会でしょう?」
「あ?……そういえばそうか。」
クラスの女子が彼に声を掛けてきた。
そういえば彼の所属する風紀委員会が今日はあったのだ。
出ないと委員長が怖いのでそれに寄ってから彼は帰ることにした。


風紀委員会に出てから帰ると学校の時計は既に午後六時を回って居た
明日は携帯電話で恋路には連絡したけれどもすこしばかりすまない気持ちになっていた。
「さて、帰ろうか。」
校門を出るとすっかり夜だった。
彼は家までの路を急ぐ。
繁華街の喧噪を抜けて近道すると路地裏に出てくる。
そこはあまり人が通らないのでろくでもない物が捨てられていることが多い。
今日もそうだった。
目の焦点が定まらない男。
こちらの方向をぼんやりと見詰めている。
そこからは何か違和感を感じる。
明日はそれを無視して通り過ぎた。


しばらく歩いてから振り返ると男はもう居ない。
「あいつも……、この町って怪しい物だらけだぜ。」
ぽつりと呟く。
「キャアアアアアア!!」
呟いた後に急に少女の叫び声が響く。
その方向に走っていくと先程の男が少女を路地裏に引きずり込もうとしていた。
「待てお前!」
男に走り寄って少女を引きはがそうとする。
男の力は人間の全力を引き出しているかのように強く、少女を助けようと伸ばした腕ごと自分も路地裏に引きずり込まれた。
「こいつも都市伝説関係か?」
と、言い終わった直後に男の腕を物凄い勢いで熱する。
男の腕は簡単に水分を失ってミイラになった。
ミイラになった腕に力なんて入らない。
男がひるんだ隙を突いて明日は男を思い切り蹴り飛ばした。
「1500Wで、――――chin!だぜ。」
内蔵を焼かれたのか蹴られた男は動かない。
少女は脅えているのだろうか、腰を抜かして動けなくなってしまっている。
「おい、大丈夫か?」
明日は少女に手を伸ばす。
見たところ塾に行く途中だったらしく、勉強道具をその場にぼろぼろと零してしまっている。
「ああ、今のは忘れてくれ。俺は超能力者かなんかだと思って欲しい。」
冷静に考えると目の前に人間を簡単にミイラにできる男が現れたら怖いに決まっている。
明日は少女にそう言って立ち去ろうとした。
「あ、あの、………名前は?」
脅えながらも少女は彼の名前を聞いた。
「え?ああ………、まあとある高校の風紀委員だ。」
ここで明日は思わず悪のりしてしまった。
「そうだな、ライディーンとでも呼んでくれ。この道は危ないからあんまり使うなよ?」
後にこれが彼の黒歴史になるのだがそれはまた別の話である。


「お~い、アスマ!!」
「迎えに来てたのか恋路?」
家が近くになるとどこからか恋路が出てきて彼を出迎えた。
「まぁね、家だと暇だったから。」
「お、そうだ。今日帰り道で危ない奴に襲われていた女の子助けてさぁ……。」
「へぇ、良い事したね。」
「だろ?この町って都市伝説だらけだから一般の人々を守りたいなあ。」
「別にそれ位なら手伝うよ?ただ私達の身柄は組織の管理下だから
 勝手な行動は不味いんじゃないかな?」
「それくらいお咎めはないだろう。それじゃあ町を守る正義のヒーロー『ライディーン』として活動決定な。
 名前はさっき決めた。」
「どうせその女の子にそうやって名乗ったんでしょう?」
「怖いくらいに読まれているね。」
「YM●って意外と良いね、私も気に入っちゃった。」
「解る!?実は俺の部屋にまだコレクションが有るんだよ……、あとで聞かせてやるよ。」
「わーい!ありがとう!」

仲の良さそうな男女二人の姿は住宅街の静かな闇の中に溶けていった。
【電磁人の韻律詩~3号~ ライディーン fin】



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