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連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・似非関西弁女-04

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マッドガッサーと愉快な仲間たち・似非関西弁女編 04


――どうせ、都市伝説なんざ、人間から見りゃあ化け物だ
教会の居住スペースの廊下を、がすがすと踏み締めるように歩いていく似非関西弁女
――そんな化け物と契約してくれる人間だって希少だってのに
髪の伸びる黒服に襲撃され、言いたい放題言われて
――その化け物と、契約もしてないのに、一緒に行動するような人間がいるなんてな
彼女は心の奥底から湧き出てきた言葉を、勢いに任せて顔を真っ赤にしながら吐き出した
――どんな手を使ったんだか
「どんな手を使ってでも一緒にいたいのは、こっちの方やっちゅーねん!」
どばんと開け放たれた扉の向こう、ベッドの上で半身を起こし驚いたように彼女の方を見ているマッドガッサー
「ど……どうしたいきなり」
この建物は活動拠点になっているだけあって、防音性能は良かったらしい
扉を開ける前に叫んだ言葉は聞こえていなかったようだ
「あ、えーと、その……」
むしろ聞こえていた方が勢い任せで言えたのかもしれない
「……腕、大丈夫?」
赤くなった顔を誤魔化すように、視線と共に顔が下を向いていく
「ん? ああ、ジャッカロープのお陰でこの通りだ」
逃げる時は辛うじて繋がっているぐらいだった腕を、軽く振り回して見せる
「で、どうしたんだ突然。飯の時間にも早いが」
「あ、え、えっと、その、いくつか聞きたい事があってな?」
「聞きたい事? 何だ改まって」
「マッドはんって、契約者とか、契約したい人とかおるん?」
「へ? いや……今んとこフリーだし、これといって特には」
あまりにも唐突な質問に、マッドガッサーは首を捻りながら答える
「せ、せやったら……ウチと契約せぇへん?」
「ダメだ」
「即答っ!?」
「多重契約はダメだって前にも言ったろ」
「いや、でも、契約を結べばお互い強くなれるやろ、やっぱり。それならどっか適当な都市伝説とかより……その……マッドはんがええかなって」
「そりゃまあ俺は都市伝説としちゃ弱い方だ……強い部分はもう一人の俺に持ってかれてるようなもんだしな」
「せやったら!」
期待に満ちた表情で顔を上げる似非関西弁女だが、マッドガッサーは頑として首を縦に振らない
「それでも多重契約となったらどんな負荷が掛かるか判らん。悪い事は言わんから止めとけって」
マッドガッサーとしては仲間に、特に彼女には大きな負担を強いたくない
何かと特殊な環境下にある都市伝説である自分が、例え多重でなくとも契約を結ぶ事でどのような事が起こるかわからないからだ
「ウチと契約するのが、そないに嫌?」
真剣な表情で、ベッドの端に手をついて顔を見詰めてくる似非関西弁女
こうなるとなかなか退かないという事は知っているため、マッドガッサーはどうしたものかと思案し
「そうは言ってもな、俺は女体化&催淫ガスなんかを使うエロ都市伝説だぜ? そんな俺との契約ってなると……なぁ?」
この言葉に、似非関西弁女の顔色が目に見えて変わり
胸の奥が、ちくりと痛む
「そういう事だから、俺との契約は諦め」
「判った、そういう事なら……ウチだって覚悟を決めるわ」
「って、おい!?」
「マッドはんが相手なら大丈夫やと思うねん」
服の襟を緩めて、ぎしりとベッドの上に乗ってくる似非関西弁女
「契約に必要な事やったら……何でもしてくれてええよ?」
マッドガッサーの契約は、実際には契約を持ち掛け契約者が了承するだけの簡単なものである
だが今更それを言い出せる雰囲気ではなくなってしまっていた

―――

一度ベッドから離れ、着ているものをゆっくりと脱いでいく似非関西弁女
「本当にいいのか? 止めるなら今のうちだぞ」
「ウチ、マッドはんと契約したいねん。それに必要やったら大丈夫」
ブラウスのボタンは既に全て外され、乳房を覆うスポーツブラと鍛えている割には柔らかそうなお腹のラインが覗いている
スカートのファスナーを下ろして床に落とすと、それを跨いで改めてベッドの上に乗る
「マッドはんこそ、ええの? 多重契約とかそういうの抜きにして、ウチと……その……こういう事するの」
「そりゃどういう意味だ?」
ベッドで半身を起こしたマッドガッサーに覆い被さるように、下着姿で四つん這いになる似非関西弁女
「マッドはん、義理堅い人やし……その辺はなんとなくわかるんやけど、それでも、その……ウチみたいな女にえっちぃ気分にはならへんのかなって」
頬を染めながら申し訳無さそうに呟く
「色々あって、こないな変な口調やろ? がむしゃらに身体も鍛えて色っぽさもサッパリやし。気楽ーに誘ってみたりしたけど乗ってけぇへんし」
「あのなぁ……理由は大体いつも言ってる通り。お前は大事な仲間っつーか、今じゃ家族みたいなもんだ」
そっと背中に手を回し、両手で細くしなやかな身体を抱き締める
「んっ……」
意識せず漏れる甘い声
「……ウチもな、最初は頼りないリーダーやしちゃんと守ったらへんとあかんなって、そればっかり考えとってん」
「頼りなくて悪かったな」
「最初は、やって……もうー」
苦笑しながら首に腕を回し、頭を抱くように身体を重ねる
「こういう契約方法でなかったら、普通に契約してただ役に立ちたいなーって感じで終わってたと思うんや」
どすり、と言葉の槍がマッドガッサーの臓腑を抉るように突き刺さる
「でもな、結果としてはそれで良かったと思ってるねん。やっぱ自分に正直にならんと後々辛いなーって」
「……正直にって?」
「そんな長くもないけど一緒に歩いて、一緒にご飯食べて、一緒に戦って。そうやってるうちに、マッドはんの事が好きになってん」
身体を抱き合い、その表情は見えない
「だから、役に立ちたいっちゅうんもあるけど。本音はただマッドはんとのもっと深い繋がりが欲しかっただけやねん。だから……契約がダメなら抱いてくれるだけでもええ。それも嫌ならすっぱり拒絶してくれてええ。すぱっと切ってくれれば元の関係に戻るのは簡単やと思うねん」
ふ、と
背中に回された手が解かれ
そっと身体を離すように押し退けられる
「……やっぱりアカンかった?」
「お前はホント気が早いな」
そう言うとマッドガッサーは自らガスマスクを外して素顔を晒す
「ちゃんとするなら、ガスマスクつけたままじゃダメだろ」
やや汗ばんだ銀髪を掻き上げながら、不意を打つように強引に抱き寄せて唇を重ね
そのままゆっくりとベッドに倒れ込んだ

―――

秋も終わり冬の到来を感じさせる季節
窓の外は既に暗く、カラスの鳴き声が遠ざかっていくのが聞こえる
「朝チュンならぬ夜カー……語呂が悪いな」
自分の腕を枕に小さく寝息を立てている似非関西弁女の姿に、何やらむず痒いものを感じながら
「……そういや飯まだ食ってないんだよな」
そんな事を思い出して、ふとある問題点に思い当たる
と同時に、部屋のドアががちゃりと音を立てて開いた
「……そろそろ晩御飯……起きれる……か?」
言い掛けたところで言葉が止まる、爆発する携帯電話の契約者
「……あ、いや、これはだな?」
「……くけ」
何か言い訳をする暇もなく、事後の証拠が色々な似非関西弁女の裸身を見て、鼻血を出してぶっ倒れる爆発する携帯電話の契約者
「おい、何があった!? 大丈夫……か……?」
何故か即座に駆けつけてくる十三階段の契約者
慌てて似非関西弁女の身体に毛布を掛けて隠すが時既に遅し
騒ぎが騒ぎを呼び、結局は仲間全員に対して事情を説明する羽目になったマッドガッサー
そんな騒動も苦労も露知らず、ついでに関係が仲間全員にモロバレになった事も知らないまま、似非関西弁女は幸せそうな笑顔でベッドで丸くなっていたのだった


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