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連載 - 三面鏡の少女-24

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三面鏡の少女 24


「よしっ、準備完了っ」
以前、首塚の宴の折にメアリーとミツキに着せられたドレス
サイズも合わせた一点ものという事で結局貰ってしまったのだが
「これなら前に見てもらってるし、気付いてもらえるかな?」
三面鏡の前でくるりと回る
「ねー、下着はー?」
「折角貰ったんだしさー」
「出会いがあるかもしんないしさー」
「あの男の子に会えばスカート捲られるから見てもらえるよー?」
「却下っ! というか小学生にあんなの見せていいわけないでしょ!?」
「あー、あんなのとか言ったー」
「折角プレゼントに貰ったのにねー」
「高級品だよー?」
「贈り物は感謝するけど人に見せれるものかどうかは別っ!」
ぱたんと三面鏡を閉じて、コートに袖を通してバッグを提げる
「それじゃいってきまーす、おかーさん、ケーキ全部食べちゃダメだよー?」
「はいはい、気をつけてね。いってらっしゃい」
相変わらず台所から聞こえてくる母の声を背に、少女は家を後にした

―――

「……で、なんか空が大惨事です」
ディナーショーが行われるホテルへ向かう道中、町の中心部の上空に見えた三つ巴の大戦争を、少女はとりあえず見なかった事にした
「何が原因かわかんないけど、黒服さん達はアレどうするんだろ」
また黒服Dが主体となって火消しに奔走しているのだろうか
そう考えると、これからのんびりとディナーショーを楽しみにいくという事に抵抗感が湧いてしまう
「ちょいとそこのお嬢ちゃん」
足が鈍る三面鏡の少女の背後から、胡散臭いというものを凝縮したような声が掛けられた
少女は今までの経験から、振り返りもせずに即座に全力ダッシュ
「お、ちょ、待てコラ!? せめてこっちを向けっての!」
だが普段着の時とは違い、お出掛け用の正装である
声を掛けた存在、都市伝説である『恐怖のサンタ』相手では逃げ切る事は出来なかった
「ぜぇ……ぜぇ……いかんなぁ……く、クリスマスプレゼントを……あげようと思ってたというのに」
「いらない! 絶対いらない!」
「そう遠慮すんな、折角来てやったんだからなぁ」
そう言ってごそごそと袋の中を探る『恐怖のサンタ』
そして袋の中から出てきたのは――黒服H
死体ではない、本人そのものが袋から転がり出てきたのだ
「うお、一体何があった」
流石に即座には状況を把握できない黒服H
それ以上に状況を把握できてない、三面鏡の少女と『恐怖のサンタ』
「……まあ何だ、とりあえず仕事しなきゃいかん状況だという事は把握した」
ぎゅるん、と
即座に髪の毛に絡め取られて動けなくなる『恐怖のサンタ』
「お前さんが『恐怖のサンタ』だとして……なんつーかアレか、トラウマ級か俺」
もがく事もできず絞め上げられる『恐怖のサンタ』
その袋には、かつて少女の危機を救った白色の救世主たるアヒルのおまるが顔を覗かせていた
「なるほど、これが込みか。それならちょっと納得しておこう」
「あ、あの……何が起きてるんですか、Hさん」
状況が全く把握できてない三面鏡の少女
「いんや、別に? ちょいと悪戯好きのサンタさんを懲らしめるはずが、組織の不手際でゴタゴタしててな。まあ町にはそれほど被害は無いだろうから気にするな」
少女はあまり納得したような顔はしていなかったが
「それより、ディナーショー行くとこなんだろ? 俺はこの通り仕事中だし、代わりにしっかり顔を見せてあいつを安心させてやってくれ」
「あ、うん、そういう事なら。ちゃんと後で報告するから!」
「おう、気をつけてな。まあ出会うのが『恐怖のサンタ』だったら俺が対応する事になると思うが」
時計を見て、何度か振り返り手を振りながら走り去っていく少女を見送り
その姿が視界から消えたのを確認して、力を込める
ごきり、と鈍い音がして
泡を吹いて意識を失った『恐怖のサンタ』が地面に転がされた
「また引っ張り出された時に血の臭いがしちゃ困るからな。あの子に感謝しとけよ」


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