「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-43g

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○月×日 23:16 三階防火シャッター前


 にゃ
 確かに、にゃ、と聞こえた
 普通に話していたように聞こえたが、最後に「にゃ」ってついた
 20代男性の声で、語尾が「にゃ」だった
 何か、聞いてはいけないものを聞いてしまったような、そんな錯覚

「…?先生?どうかしたのか?」
「何かあったのですか?」

 二階から、次々と皆が登ってくる
 固まっている場合ではない
 何か、行動を起こさなければ

「防火シャッター…この向こうに、ハーメルンの笛吹きが?」
「…そのはずなんだが」

 女装少年の言葉に、赤い靴がやや自信なさげに答える
 そう、ハーメルンの笛吹きが、この向こうにいるはず、なのだ
 「13階段」の言葉を信じるならば
 でも……「にゃ」?

「ハーメルンの?そう言えば、聞き覚えのある声だけど」

 そう言って、コーラを持った青年が小さく首を傾げた
 声に聞き覚えはあるものの、語尾のせいで、防火シャッターの向こうにいるのがハーメルンの笛吹きであると、確信がもてないようだ
 占い師は、じ、と防火シャッターの「向こう側」を見詰めて…

「……なぜか、ネコミミの生えた成年男子の姿が見えるな。語尾がおかしいのは、そのせいか」
「おや?こっちの様子が見えるのかにゃ?」

 占い師の呟きが聞こえたのか、上田がどこか愉快そうにそう口を開いた

「見えているのなら、この防火シャッターをどうにかしてくれるとありがたいにゃ。ご覧の通り、閉じ込められているからにゃ」
「…残念ながら、そう言う訳にはいかないな」

 上田の言葉に答えたのは、「にゃ」の衝撃から戻ってきたTさん
 やや厳しく、防火シャッターを睨む

「「13階段」が、お前をそこから出したら解除した能力を発動させる、と言って来ていてな」
「それに…あなたが、何の目的でここに来ているのか。それがわからない以上、うかつにあなたをそこから解放する訳には行きません」

 Tさんの言葉に気づいたのは、二階からあがってきた黒服D
 防火シャッターごしとは言え、やや警戒するように自分の契約者たちを庇うように立っている

「あの…ハーメルンの笛吹き、って…?」
「……子供、未成年だけを狙う、連続大量殺人鬼だ」

 未来の言葉に、ぼそりと答えたのは不良教師
 彼もまた、防火シャッターの向こう側を警戒していて
 …そして、彼の言葉で、今まで無警戒だった面子すら、警戒をとる

「…随分と嫌われたもんだにゃ」
「日頃の行い、って言葉知ってるかしら?」

 ぶらんぶらん
 鼠が絡まったままの鎖を軽くふりつつ、はないちもんめが防火シャッターの向こう側にそう声をかける
 ちゅうちゅう、かつてハーメルンの笛吹きに操られていた鼠は、今は野生に戻って嫌そうに鳴いている

「解放したら「13階段」発動…となると、解放するわけには行かないか」

 戦力になるのならば…と、一瞬は考えた占い師であったが
 どうやら、危険人物である以上、そう言う訳には行かない
 ……未来とて、ハーメルンの笛吹きが狙う対象に当て嵌まる年齢なのだから

「酷いにゃ。今回はマッドガッサーを止める為にきてやったというのににゃ」
「…信用するとでも思ってんのか?」

 「日焼けマシン」の契約者が低く呟く
 防火シャッターを睨みつけ、今にでも能力を発動しそうな状態だ
 はっきりとした殺意すら、漲らせている

「…解放したら、って言うけど。出しても殺しちゃえば、問題ないんじゃないかな?」

 コーラを持った青年も、にっこりと微笑みながら物騒な事を言い切った
 …コーラのペットボトルの蓋は、何時の間にか空いている
 この二人、以前ハーメルンに逃げられた事がある為…「日焼けマシン」の契約者の場合、今回、親友がハーメルン操る鼠に襲われたせいもあるが…、恨みのようなものが篭っている

「そうね、殺してしまえば問題ないわね」

 ぼそり、はないちもんめも呟いた
 …今、鎖で絡めとっているネズミがハーメルンの笛吹きの仲間に該当するならば、居間にでも能力を発動するのだが…

「……あ、あの?どうして、そんな物騒な方向で話が進んでるんですか…?」
『そ、その、問答無用で殺すのは、流石に』

 女装少年や骨格標本といった温厚なメンバーが、ようやくその物騒な会話を打ち切ろうとする
 黒服Dも、困ったようにはないちもんめの少女に声をかける

「駄目ですよ。殺してしまうのは…彼だって、悔い改めてくれるかもしれないのですから」
「でも、黒服」

 あんな奴まで、信じるの?
 そうとでも言いたそうな少女に…黒服は、優しく続ける

「ですから、せめて……九割殺しくらいに、してあげてください」
「ちょっと待てニャ。微妙に止めてないにゃ」

 黒服Dの、その言葉に
 上田が、防火シャッターの向こう側から真っ先に突っ込んだが…それを聞き入れる者はいない

「…せめて、もう一声いけない?」
「もう一声と言いますと、10割しかありませんが……」
「そこで悩むのかにゃ。そこで悩んだらほとんど殺すのと同じだにゃ」

 再び、突っ込みの言葉が飛ぶ
 そのとおりである
 10割殺したら、ほぼ殺したようなものである

「あの……黒服、さん?」
「…黒服さんも、ハーメルン相手には色々と思う事があるようで」

 恐る恐る、と言った感じで黒服に声をかけるTさんの契約者と、苦笑しているTさん
 …Tさんの推察通り、いくらこの黒服でも、ハーメルンの笛吹きの行いには怒りを覚えている 
 それでも、いつか悔い改めてくれるだろうとも、思っているのだが

「そうだよね。防火シャッターごと溶かしちゃえばいいかな?」
「…あいつが防火シャッターに寄りかかってるなら、俺があぶり焼くぞ」
「限りなく本気で殺る気の人が二人もいる!?っちょ、ま、待ってください!」

 あわあわあわ
 女装少年が止めようとするが、コーラを持った青年も、「日焼けマシン」の契約者も殺気を隠そうともしない
 …なお、花子さん契約者は、この物騒な会話を花子さんに聞かせたくないのか、先ほどから花子さんの耳を塞いだままである

「……いっそ、このままの方が安全か、にゃ?」

 防火シャッターの向こうの物騒な会話を耳にし、ネコミミをぴくぴくと動かしながら
 上田は、己の嫌われ具合に、ちょっとだけ凹んだのだった




とぅーびー??





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