○月×日 23:16 三階防火シャッター前
にゃ
確かに、にゃ、と聞こえた
普通に話していたように聞こえたが、最後に「にゃ」ってついた
20代男性の声で、語尾が「にゃ」だった
何か、聞いてはいけないものを聞いてしまったような、そんな錯覚
確かに、にゃ、と聞こえた
普通に話していたように聞こえたが、最後に「にゃ」ってついた
20代男性の声で、語尾が「にゃ」だった
何か、聞いてはいけないものを聞いてしまったような、そんな錯覚
「…?先生?どうかしたのか?」
「何かあったのですか?」
「何かあったのですか?」
二階から、次々と皆が登ってくる
固まっている場合ではない
何か、行動を起こさなければ
固まっている場合ではない
何か、行動を起こさなければ
「防火シャッター…この向こうに、ハーメルンの笛吹きが?」
「…そのはずなんだが」
「…そのはずなんだが」
「ハーメルンの?そう言えば、聞き覚えのある声だけど」
そう言って、コーラを持った青年が小さく首を傾げた
声に聞き覚えはあるものの、語尾のせいで、防火シャッターの向こうにいるのがハーメルンの笛吹きであると、確信がもてないようだ
占い師は、じ、と防火シャッターの「向こう側」を見詰めて…
声に聞き覚えはあるものの、語尾のせいで、防火シャッターの向こうにいるのがハーメルンの笛吹きであると、確信がもてないようだ
占い師は、じ、と防火シャッターの「向こう側」を見詰めて…
「……なぜか、ネコミミの生えた成年男子の姿が見えるな。語尾がおかしいのは、そのせいか」
「おや?こっちの様子が見えるのかにゃ?」
「おや?こっちの様子が見えるのかにゃ?」
占い師の呟きが聞こえたのか、上田がどこか愉快そうにそう口を開いた
「見えているのなら、この防火シャッターをどうにかしてくれるとありがたいにゃ。ご覧の通り、閉じ込められているからにゃ」
「…残念ながら、そう言う訳にはいかないな」
「…残念ながら、そう言う訳にはいかないな」
上田の言葉に答えたのは、「にゃ」の衝撃から戻ってきたTさん
やや厳しく、防火シャッターを睨む
やや厳しく、防火シャッターを睨む
「「13階段」が、お前をそこから出したら解除した能力を発動させる、と言って来ていてな」
「それに…あなたが、何の目的でここに来ているのか。それがわからない以上、うかつにあなたをそこから解放する訳には行きません」
「それに…あなたが、何の目的でここに来ているのか。それがわからない以上、うかつにあなたをそこから解放する訳には行きません」
Tさんの言葉に気づいたのは、二階からあがってきた黒服D
防火シャッターごしとは言え、やや警戒するように自分の契約者たちを庇うように立っている
防火シャッターごしとは言え、やや警戒するように自分の契約者たちを庇うように立っている
「あの…ハーメルンの笛吹き、って…?」
「……子供、未成年だけを狙う、連続大量殺人鬼だ」
「……子供、未成年だけを狙う、連続大量殺人鬼だ」
未来の言葉に、ぼそりと答えたのは不良教師
彼もまた、防火シャッターの向こう側を警戒していて
…そして、彼の言葉で、今まで無警戒だった面子すら、警戒をとる
彼もまた、防火シャッターの向こう側を警戒していて
…そして、彼の言葉で、今まで無警戒だった面子すら、警戒をとる
「…随分と嫌われたもんだにゃ」
「日頃の行い、って言葉知ってるかしら?」
「日頃の行い、って言葉知ってるかしら?」
ぶらんぶらん
鼠が絡まったままの鎖を軽くふりつつ、はないちもんめが防火シャッターの向こう側にそう声をかける
ちゅうちゅう、かつてハーメルンの笛吹きに操られていた鼠は、今は野生に戻って嫌そうに鳴いている
鼠が絡まったままの鎖を軽くふりつつ、はないちもんめが防火シャッターの向こう側にそう声をかける
ちゅうちゅう、かつてハーメルンの笛吹きに操られていた鼠は、今は野生に戻って嫌そうに鳴いている
「解放したら「13階段」発動…となると、解放するわけには行かないか」
戦力になるのならば…と、一瞬は考えた占い師であったが
どうやら、危険人物である以上、そう言う訳には行かない
……未来とて、ハーメルンの笛吹きが狙う対象に当て嵌まる年齢なのだから
どうやら、危険人物である以上、そう言う訳には行かない
……未来とて、ハーメルンの笛吹きが狙う対象に当て嵌まる年齢なのだから
「酷いにゃ。今回はマッドガッサーを止める為にきてやったというのににゃ」
「…信用するとでも思ってんのか?」
「…信用するとでも思ってんのか?」
「日焼けマシン」の契約者が低く呟く
防火シャッターを睨みつけ、今にでも能力を発動しそうな状態だ
はっきりとした殺意すら、漲らせている
防火シャッターを睨みつけ、今にでも能力を発動しそうな状態だ
はっきりとした殺意すら、漲らせている
「…解放したら、って言うけど。出しても殺しちゃえば、問題ないんじゃないかな?」
コーラを持った青年も、にっこりと微笑みながら物騒な事を言い切った
…コーラのペットボトルの蓋は、何時の間にか空いている
この二人、以前ハーメルンに逃げられた事がある為…「日焼けマシン」の契約者の場合、今回、親友がハーメルン操る鼠に襲われたせいもあるが…、恨みのようなものが篭っている
…コーラのペットボトルの蓋は、何時の間にか空いている
この二人、以前ハーメルンに逃げられた事がある為…「日焼けマシン」の契約者の場合、今回、親友がハーメルン操る鼠に襲われたせいもあるが…、恨みのようなものが篭っている
「そうね、殺してしまえば問題ないわね」
ぼそり、はないちもんめも呟いた
…今、鎖で絡めとっているネズミがハーメルンの笛吹きの仲間に該当するならば、居間にでも能力を発動するのだが…
…今、鎖で絡めとっているネズミがハーメルンの笛吹きの仲間に該当するならば、居間にでも能力を発動するのだが…
「……あ、あの?どうして、そんな物騒な方向で話が進んでるんですか…?」
『そ、その、問答無用で殺すのは、流石に』
『そ、その、問答無用で殺すのは、流石に』
女装少年や骨格標本といった温厚なメンバーが、ようやくその物騒な会話を打ち切ろうとする
黒服Dも、困ったようにはないちもんめの少女に声をかける
黒服Dも、困ったようにはないちもんめの少女に声をかける
「駄目ですよ。殺してしまうのは…彼だって、悔い改めてくれるかもしれないのですから」
「でも、黒服」
「でも、黒服」
あんな奴まで、信じるの?
そうとでも言いたそうな少女に…黒服は、優しく続ける
そうとでも言いたそうな少女に…黒服は、優しく続ける
「ですから、せめて……九割殺しくらいに、してあげてください」
「ちょっと待てニャ。微妙に止めてないにゃ」
「ちょっと待てニャ。微妙に止めてないにゃ」
黒服Dの、その言葉に
上田が、防火シャッターの向こう側から真っ先に突っ込んだが…それを聞き入れる者はいない
上田が、防火シャッターの向こう側から真っ先に突っ込んだが…それを聞き入れる者はいない
「…せめて、もう一声いけない?」
「もう一声と言いますと、10割しかありませんが……」
「そこで悩むのかにゃ。そこで悩んだらほとんど殺すのと同じだにゃ」
「もう一声と言いますと、10割しかありませんが……」
「そこで悩むのかにゃ。そこで悩んだらほとんど殺すのと同じだにゃ」
再び、突っ込みの言葉が飛ぶ
そのとおりである
10割殺したら、ほぼ殺したようなものである
そのとおりである
10割殺したら、ほぼ殺したようなものである
「あの……黒服、さん?」
「…黒服さんも、ハーメルン相手には色々と思う事があるようで」
「…黒服さんも、ハーメルン相手には色々と思う事があるようで」
恐る恐る、と言った感じで黒服に声をかけるTさんの契約者と、苦笑しているTさん
…Tさんの推察通り、いくらこの黒服でも、ハーメルンの笛吹きの行いには怒りを覚えている
それでも、いつか悔い改めてくれるだろうとも、思っているのだが
…Tさんの推察通り、いくらこの黒服でも、ハーメルンの笛吹きの行いには怒りを覚えている
それでも、いつか悔い改めてくれるだろうとも、思っているのだが
「そうだよね。防火シャッターごと溶かしちゃえばいいかな?」
「…あいつが防火シャッターに寄りかかってるなら、俺があぶり焼くぞ」
「限りなく本気で殺る気の人が二人もいる!?っちょ、ま、待ってください!」
「…あいつが防火シャッターに寄りかかってるなら、俺があぶり焼くぞ」
「限りなく本気で殺る気の人が二人もいる!?っちょ、ま、待ってください!」
あわあわあわ
女装少年が止めようとするが、コーラを持った青年も、「日焼けマシン」の契約者も殺気を隠そうともしない
…なお、花子さん契約者は、この物騒な会話を花子さんに聞かせたくないのか、先ほどから花子さんの耳を塞いだままである
女装少年が止めようとするが、コーラを持った青年も、「日焼けマシン」の契約者も殺気を隠そうともしない
…なお、花子さん契約者は、この物騒な会話を花子さんに聞かせたくないのか、先ほどから花子さんの耳を塞いだままである
「……いっそ、このままの方が安全か、にゃ?」
防火シャッターの向こうの物騒な会話を耳にし、ネコミミをぴくぴくと動かしながら
上田は、己の嫌われ具合に、ちょっとだけ凹んだのだった
上田は、己の嫌われ具合に、ちょっとだけ凹んだのだった
とぅーびー??