どうか、泣かないで
あなたが悪い訳ではないのです
あなたが悪い訳ではないのです
どうか、泣かないで
あなたのせいではないのです
あなたのせいではないのです
これほどまでに血が流れたのは
私たちを噂する誰かのせいではありますが
その誰かにすら、罪は存在しないのです
私たちを噂する誰かのせいではありますが
その誰かにすら、罪は存在しないのです
Red Cape
むくり、暗闇の中、起き上がる
時計を見れば、もう少しで時刻が変わる時間
…そろそろ、両親も寝ているだろう
俺はそっと部屋を抜け出し、トイレに向かう
時計を見れば、もう少しで時刻が変わる時間
…そろそろ、両親も寝ているだろう
俺はそっと部屋を抜け出し、トイレに向かう
……中学の頃、仲の良かった友人が通っている中学校で、血塗れの死体が発見された
予測するに、トイレに出現する都市伝説に襲われた…と、推理できる
俺の通っている学校に出現した訳ではないが、友人が万が一襲われたら、と思うとやはり不安であり
ならば、こちらからその学校に乗り込んで、退治すべきだと考えたのだ
不良教師たちの助力は得られないが…俺と花子さんだけで、やってみせる
予測するに、トイレに出現する都市伝説に襲われた…と、推理できる
俺の通っている学校に出現した訳ではないが、友人が万が一襲われたら、と思うとやはり不安であり
ならば、こちらからその学校に乗り込んで、退治すべきだと考えたのだ
不良教師たちの助力は得られないが…俺と花子さんだけで、やってみせる
トイレの前についた
小さく深呼吸し…三回、ノックする
小さく深呼吸し…三回、ノックする
「花子さん」
「は~い!」
「は~い!」
がちゃ!
トイレの扉が開き、姿をあらわした花子さん
花子さんは、トイレからトイレへと自由に移動できる能力を持っている
そう、こんな個人宅のトイレへも、移動可能なのだ
どこにでも移動できる分、時折、移動場所を間違えてしまう事もあるらしいが
トイレの扉が開き、姿をあらわした花子さん
花子さんは、トイレからトイレへと自由に移動できる能力を持っている
そう、こんな個人宅のトイレへも、移動可能なのだ
どこにでも移動できる分、時折、移動場所を間違えてしまう事もあるらしいが
「それじゃあ、行くか」
「うん……あれ?けーやくしゃ、それ、な~に?」
「うん……あれ?けーやくしゃ、それ、な~に?」
かっくん
俺がもっている「これ」を見て、花子さんは首を傾げてきた
あぁ、と、俺は曖昧に答える
俺がもっている「これ」を見て、花子さんは首を傾げてきた
あぁ、と、俺は曖昧に答える
「ちょっと、な。まぁ、俺も自分の身くらいは護れないと駄目だから」
「み?けーやくしゃは、私が護るから大丈夫だよ?」
「み?けーやくしゃは、私が護るから大丈夫だよ?」
そう言ってくれるのは、ありがたいのだが
…以前、ジャージデーモンと戦った時、実感したのだ
俺も、少しは戦うべきだと
戦う力を、少しは持っておくべきだ、と
このところ、花子さんの力だけで倒せる相手が多くて、失念していた
俺だって、妹に取り付いた花子さんと戦った時に、花子さんの力を借りてとは言え、戦っている
…あの時のように、戦うべき時もあるのだ
だから…ちょっと、念のために、武器を少々
俺が家から持ち出せるのは、これくらいだ
こんなもん、使わなくてすむ方がいいのだが
…以前、ジャージデーモンと戦った時、実感したのだ
俺も、少しは戦うべきだと
戦う力を、少しは持っておくべきだ、と
このところ、花子さんの力だけで倒せる相手が多くて、失念していた
俺だって、妹に取り付いた花子さんと戦った時に、花子さんの力を借りてとは言え、戦っている
…あの時のように、戦うべき時もあるのだ
だから…ちょっと、念のために、武器を少々
俺が家から持ち出せるのは、これくらいだ
こんなもん、使わなくてすむ方がいいのだが
「ほら、行くぞ、花子さん」
「うん」
「うん」
ぐ、と花子さんが俺の手を掴み、俺は花子さんと一緒にトイレに入る
…直後
トイレの中の光景が、一変した
移動が、完了したのだ
トイレの中の光景が、一変した
移動が、完了したのだ
……うん
完了したのはわかる
それは、いい
完了したのはわかる
それは、いい
だが
「み?」
「あ~…」
「あ~…」
…え~と
あれ??
あれ??
「誰よ、あなたたち」
………
あれ??
移動先のトイレに、先客が
いや、それが女性なのはいいのだ
花子さんが移動した先は、女子トイレのはずだから
そこは、いい
そこは、なんら問題はないのだ
……ただ
あれ??
移動先のトイレに、先客が
いや、それが女性なのはいいのだ
花子さんが移動した先は、女子トイレのはずだから
そこは、いい
そこは、なんら問題はないのだ
……ただ
「み?けーやくしゃ?」
そっと
俺は、慎ましく花子さんの視界をふさいだ
見せられるかっ!
全力で見せるのは阻止するべきだろう!
花子さんの教育に悪い!
俺は、慎ましく花子さんの視界をふさいだ
見せられるかっ!
全力で見せるのは阻止するべきだろう!
花子さんの教育に悪い!
「…一つ、質問してもいいだろうか?」
「まぁ、突然現れた事については追求しないであげる。いいわよ」
「何故、あんたは俺と同年代くらいと推測できる男性を椅子にしているんだ」
「まぁ、突然現れた事については追求しないであげる。いいわよ」
「何故、あんたは俺と同年代くらいと推測できる男性を椅子にしているんだ」
そう
目の前に居る、女性は
俺と同年代くらいの男を、椅子にしていた
そう、椅子
具体的に説明するならば、四つん這いにあった男の背中に、女が座っているのである
目の前に居る、女性は
俺と同年代くらいの男を、椅子にしていた
そう、椅子
具体的に説明するならば、四つん這いにあった男の背中に、女が座っているのである
見せられるか、花子さんにっ!
それぞれの恋愛の表し方とかその辺に突っ込む気は毛頭ないが、花子さんの教育に悪いから見せられるかっ!!
それぞれの恋愛の表し方とかその辺に突っ込む気は毛頭ないが、花子さんの教育に悪いから見せられるかっ!!
ふふん、と、その女は笑ってくる
「簡単ね。この男が下僕だからよ!」
っく!?
なんと清々しい堂々とした答え!?
これ以上の突っ込みは不可能…だと…!?
なんと清々しい堂々とした答え!?
これ以上の突っ込みは不可能…だと…!?
「それじゃあ、こっちも質問しても、いいかしら?」
すぅ、と
女性の視線が、鋭くなる
む…これは、ヤバイか?
女性の視線が、鋭くなる
む…これは、ヤバイか?
「花子さん、すぐにでも、移動できるか?」
「み?できるよ?」
「み?できるよ?」
よし、ならいい
予測するに、出てくるトイレを間違えたようだ
何か邪魔してしまったみたいだし、即刻、ここを離れるべきだろう
予測するに、出てくるトイレを間違えたようだ
何か邪魔してしまったみたいだし、即刻、ここを離れるべきだろう
「え?花子さん?」
「あら?同類?」
「あら?同類?」
そんな、相手の声を聞きつつ、俺たちは、すぐにでも逃げられる体勢をとって…
「…あぅぅ!?あ、危ないのです!避けてなのです!?」
「む!?流石に個室トイレに六人は定員オーバーだぞ!?」
「む!?流石に個室トイレに六人は定員オーバーだぞ!?」
…どこからか、乱入者が現れた
ちょ!?
何者かは知らないが、確かに個室トイレに六人は定員オーバー!?
しかも、この赤い乱入者共は、喪の凄い勢いでトイレに現れたわけで
何者かは知らないが、確かに個室トイレに六人は定員オーバー!?
しかも、この赤い乱入者共は、喪の凄い勢いでトイレに現れたわけで
「うわっ!?」
「みー!?」
「きゃっ!?」
「うぉっ!?」
「みー!?」
「きゃっ!?」
「うぉっ!?」
俺たちは、まとめてトイレの外へと放り出された
ぼすっ!と何とか花子さんをキャッチする
ごっ!!
隣では、さっきまで椅子になっていた男が、女の下敷きになっていた
む、あの体勢、どう見てもスカートの中が男に見えて………あ、踏まれた
ぼすっ!と何とか花子さんをキャッチする
ごっ!!
隣では、さっきまで椅子になっていた男が、女の下敷きになっていた
む、あの体勢、どう見てもスカートの中が男に見えて………あ、踏まれた
「あぅあぅあぅあぅあぅ!?ご、ごごごごご、御免なさいなのです!?」
「すまない、お嬢さんたち。少々、緊急事態だね」
「すまない、お嬢さんたち。少々、緊急事態だね」
あぅあぅ、と半泣きの…赤いはんてんを着た、少女と
どこか気障ったらしい仕草をする…赤いマントの、若い男
どこか気障ったらしい仕草をする…赤いマントの、若い男
……「赤」?
「っ!」
咄嗟に、俺は警戒態勢をとった
……赤
見付かった死体は、血塗れだった
そう、背中が、真っ赤に染まって
見付かった死体は、血塗れだった
そう、背中が、真っ赤に染まって
…まるで、赤い「マント」か「はんてん」か、「ちゃんちゃんこ」でも着たような…
「あぅぅ!?そ、そんなに怒ってるですか!?」
あぅあぅ
はんてんを着た少女が、赤いマントの後ろに隠れた
見ると、男と女も立ち上がり、警戒態勢をとっていた
…女の方は、「花子さん」と言う言葉に「同類?」と言っていた
それじゃあ、彼女も「花子さん」なのだろうか?
できれば、味方であればありがたいとは思うのだが…
はんてんを着た少女が、赤いマントの後ろに隠れた
見ると、男と女も立ち上がり、警戒態勢をとっていた
…女の方は、「花子さん」と言う言葉に「同類?」と言っていた
それじゃあ、彼女も「花子さん」なのだろうか?
できれば、味方であればありがたいとは思うのだが…
「全く、今夜は騒がしいわね」
「赤いの二人とは…どっちかが犯人か、もしくは、両方犯人?」
「赤いの二人とは…どっちかが犯人か、もしくは、両方犯人?」
…よし、多分、味方だろ
味方じゃなかったら、その時は全力で逃げるまでだ
味方じゃなかったら、その時は全力で逃げるまでだ
「あぅぅ!?あ、赤マント、私たち、誤解されてるのです!?」
「ふむ、どうやらそうらしいな」
「ふむ、どうやらそうらしいな」
誤解?
何を言っているのだろうか
とにかく、警戒は解かず…
何を言っているのだろうか
とにかく、警戒は解かず…
(……ん?)
おや?
花子さんが、さっきから、赤いはんてんをきた少女を、じっと見つめている?
まさか、そっちが犯人……
花子さんが、さっきから、赤いはんてんをきた少女を、じっと見つめている?
まさか、そっちが犯人……
「みー?はんてんちゃん?」
「…!!あぅぅ、花子さん!誤解を解いてくださいなのですーー!!」
「…!!あぅぅ、花子さん!誤解を解いてくださいなのですーー!!」
………
は???
は???
「花子さん、知り合いか?」
「うん!はんてんちゃんは友達なの!」
「うん!はんてんちゃんは友達なの!」
にぱ~っ、と笑う花子さん
ここぞとばかりに、はんてんを着た少女が続けてくる
ここぞとばかりに、はんてんを着た少女が続けてくる
「そうなのです!私たちは悪い事をしない平穏に生きたい都市伝説なのです!」
「まぁ、今のように、うっかりと他の都市伝説に襲われたりはしているがね」
「まぁ、今のように、うっかりと他の都市伝説に襲われたりはしているがね」
ふっ、と無駄にかっこつけて言って来る赤いマントの男
とりあえず、そのマントを翻す動作は、余計だ
とりあえず、そのマントを翻す動作は、余計だ
「悪い事はしない、ねぇ……本当?」
っひゅ!と
手に、何時の間にか白い鞭のようなものを持っている「花子さん」と思わしき女
いや、鞭ってか…トイレットペーパー?
いや、鞭なんだろう
鞭にしか見えないし
手に、何時の間にか白い鞭のようなものを持っている「花子さん」と思わしき女
いや、鞭ってか…トイレットペーパー?
いや、鞭なんだろう
鞭にしか見えないし
「あぅあぅあぅ!?い、いつぞやのSMプレイなお二人さんなのです!?
し、信じて欲しいのですよ!!」
「うむ、我々はうっかりと他の都市伝説から逃走中なのだよ。決して、怪しい者ではない」
し、信じて欲しいのですよ!!」
「うむ、我々はうっかりと他の都市伝説から逃走中なのだよ。決して、怪しい者ではない」
いや、二人の組み合わせ的に相当怪しい…
…いや、こっちも人のこと言えないか
花子さんは、あの「赤いはんてん」と推理できる少女よりも年下な外見だし
俺は……「こんな物」を持ってるし
正直、こっちも充分不審人物か
…いや、こっちも人のこと言えないか
花子さんは、あの「赤いはんてん」と推理できる少女よりも年下な外見だし
俺は……「こんな物」を持ってるし
正直、こっちも充分不審人物か
……ん?
待て?
赤マントと推理できる男の言葉が、一つ、引っかかった
待て?
赤マントと推理できる男の言葉が、一つ、引っかかった
「…逃走中?」
花子さんと思われる女と一緒に居た男も、それに気付いたのだろう、首をかしげた
そうだ
都市伝説と思わしきこいつらが、逃走中?
…こいつらは
「何」から逃げているんだ?
そうだ
都市伝説と思わしきこいつらが、逃走中?
…こいつらは
「何」から逃げているんだ?
「うむ、それは…」
赤マントが口を開こうとした、その時
ざわりっ、と
背筋を走りぬけた、悪寒
生暖かく、血生臭い風が…ふわりっ、と
俺達を、包み込んだ
そして…不気味な声が、響き渡る
ざわりっ、と
背筋を走りぬけた、悪寒
生暖かく、血生臭い風が…ふわりっ、と
俺達を、包み込んだ
そして…不気味な声が、響き渡る
「……赤いちゃんちゃんこはいらんかぇ~?」
「………っ!!」
「………っ!!」
…「赤いちゃんちゃんこ」!!
トイレに多数存在する都市伝説
そんな都市伝説も、大きく二つのタイプに分けることが可能だ、と俺は考えている
一つは、花子さんたちのように、呼びかけによって出現するタイプ
もう一つが…このように、突然、問い掛けてくるタイプ
この手の奴には、答えるべきではない
もし、答えたら……っ!!
トイレに多数存在する都市伝説
そんな都市伝説も、大きく二つのタイプに分けることが可能だ、と俺は考えている
一つは、花子さんたちのように、呼びかけによって出現するタイプ
もう一つが…このように、突然、問い掛けてくるタイプ
この手の奴には、答えるべきではない
もし、答えたら……っ!!
「赤いちゃんちゃんこは、いらんかぇ?」
「………っ!!」
「………っ!!」
背後から
耳元から聞こえてきた、不気味な声
俺は、とっさに持っていた「それ」を抜いて、振り向きざまに切りかかる
…しかし
耳元から聞こえてきた、不気味な声
俺は、とっさに持っていた「それ」を抜いて、振り向きざまに切りかかる
…しかし
「きひひひひひひひひひっ!!」
不気味に笑い、そいつは俺の攻撃をあっさりと避けた
ふわり、トイレの天井スレスレの所に浮かび上がる
そこにいたのは、赤いちゃんちゃんこを身に纏った、皺だらけの小柄な老婆
その両手の爪が、まるで鋭い刃のように伸びている…!
ふわり、トイレの天井スレスレの所に浮かび上がる
そこにいたのは、赤いちゃんちゃんこを身に纏った、皺だらけの小柄な老婆
その両手の爪が、まるで鋭い刃のように伸びている…!
「あぅ!?も、もう追いつかれちゃったのです!?」
あぅあぅ、赤いはんてんが赤マントのマントの裾をぎゅーっと握り緊めている
…こいつら、赤いちゃんちゃんこから逃げていたのか!?
…こいつら、赤いちゃんちゃんこから逃げていたのか!?
「ちょっと、何なのよあいつ!?」
「あぅあぅ、赤いちゃんちゃんこなのです。問いかけに対して「欲しい」と答えたらざっくり切られるですよ!」
「きひひひ…その通り!」
「あぅあぅ、赤いちゃんちゃんこなのです。問いかけに対して「欲しい」と答えたらざっくり切られるですよ!」
「きひひひ…その通り!」
無気味に笑う赤いちゃんちゃんこ
ぎらり…その両手の爪が、トイレの窓から入ってくる月光に照らされ、不気味に光る
ぎらり…その両手の爪が、トイレの窓から入ってくる月光に照らされ、不気味に光る
「まぁ……アタシは答えてもらえなくても、血塗れにしてやるけどねぇっ!!!」
爪を光らせ、踊りかかってくる赤いちゃんちゃんこ
ぎゅん!と腕が伸び、この場における二人の人間
…すなわち、俺と、もう一人の「花子さん」との契約者と思わしき男に襲い掛かる!!
ぎゅん!と腕が伸び、この場における二人の人間
…すなわち、俺と、もう一人の「花子さん」との契約者と思わしき男に襲い掛かる!!
「っと!?」
ぎん!と
俺は持っていた「それ」で、爪を防いだ
俺は持っていた「それ」で、爪を防いだ
っひゅん!!
風を切る音がして…赤いちゃんちゃんこのもう一本の腕が、切り落とされる
風を切る音がして…赤いちゃんちゃんこのもう一本の腕が、切り落とされる
「私の下僕に、汚い手で触れないでくれる?こいつに痛い目を見せてもいいのは私だけなのよ?」
なんと言う発言
だが、今は突っ込む余裕はない!
だが、今は突っ込む余裕はない!
「花子さん」
「うん!」
「うん!」
ごぽぽぽ!
花子さんがトイレから水を出現させ、赤いちゃんちゃんこに向かって打ち出す!
これで撃ち落してやる!
……しかし
花子さんがトイレから水を出現させ、赤いちゃんちゃんこに向かって打ち出す!
これで撃ち落してやる!
……しかし
「きひひひひぃ!甘いよぉ!!」
ぼごぉっ!!
切り落とされたはずの赤いちゃんちゃんこの片腕が、一瞬で再生した
ざんっ!と、花子さんが打ち出した水を、真っ二つに切り伏せる!
切り落とされたはずの赤いちゃんちゃんこの片腕が、一瞬で再生した
ざんっ!と、花子さんが打ち出した水を、真っ二つに切り伏せる!
「な…!?」
何だ、あの馬鹿みたいな再生力!?
赤いちゃんちゃんこって、あんなに強いもんか!?
赤いちゃんちゃんこって、あんなに強いもんか!?
「あぅぅ!あの赤いちゃんちゃんこは、誰かと契約しているのですよ!」
「ふむ、そのせいで能力がパワーアップしている、なんとも厄介」
「ふむ、そのせいで能力がパワーアップしている、なんとも厄介」
…な!?
契約者付き!?
その言葉に、俺は若干の衝撃を受ける
今まで、俺と花子さんが一緒に戦ってきた都市伝説は、基本的にフリーの都市伝説だった
……そう
「誰とも契約していない」都市伝説たちだったのだ
俺は、都市伝説と言うものは、人間と契約すれば悪事を働かないものだと思っていた
その都市伝説の契約者が、そんな事はさせないと…そう、思っていたから
だから、こそ
誰かと契約していると言う赤いちゃんちゃんこが、人間を襲っている、と言う事実に、俺は驚いた
契約者付き!?
その言葉に、俺は若干の衝撃を受ける
今まで、俺と花子さんが一緒に戦ってきた都市伝説は、基本的にフリーの都市伝説だった
……そう
「誰とも契約していない」都市伝説たちだったのだ
俺は、都市伝説と言うものは、人間と契約すれば悪事を働かないものだと思っていた
その都市伝説の契約者が、そんな事はさせないと…そう、思っていたから
だから、こそ
誰かと契約していると言う赤いちゃんちゃんこが、人間を襲っている、と言う事実に、俺は驚いた
「…何を、驚いた顔をしてるの?都市伝説と契約する人間が、全員善人だなんて思ってた訳じゃないでしょうね?」
っひゅん!と鞭を唸らせつつ、俺と同年代くらいの外見をした「花子さん」が言ってくる
…別に、善人、とは思ってはいない
善人の基準なんて、曖昧な物だから
だが…契約者が、赤いちゃんちゃんこの凶行を止めていない、と思うと
どこか、悲しいものがある
…別に、善人、とは思ってはいない
善人の基準なんて、曖昧な物だから
だが…契約者が、赤いちゃんちゃんこの凶行を止めていない、と思うと
どこか、悲しいものがある
「…契約者がいようがどうだろうが、やる事は今までと一緒だ。だな、花子さん?」
「うん、そーだよ!」
「うん、そーだよ!」
にぱ、と笑ってくる花子さん
そうだ、いつも通りやればいい
この赤いちゃんちゃんこを、倒すのだ
…ただ、それだけだ
そうだ、いつも通りやればいい
この赤いちゃんちゃんこを、倒すのだ
…ただ、それだけだ
「ふむ、だが、そうはいかんかもしれんぞ、青少年」
そんな、俺のささやかな希望を打ち砕くように
赤マントが、言って来る
赤マントが、言って来る
「あの赤いちゃんちゃんこが、契約によって得た力は強い再生能力だ
先ほど君たちが見た通り、体の一部を失っても高速で再生する」
「あぅあぅ、だから、私たちは逃げていたのです。攻撃してもすぐに復活されるのです!」
「…それって、ほぼ無敵って事か!?」
先ほど君たちが見た通り、体の一部を失っても高速で再生する」
「あぅあぅ、だから、私たちは逃げていたのです。攻撃してもすぐに復活されるのです!」
「…それって、ほぼ無敵って事か!?」
なんて厄介な!?
なら、花子さんの能力でトイレに流して…
…いや、同じトイレ系都市伝説
もしかしたら、流しても復活してくるかもしれない
なら、花子さんの能力でトイレに流して…
…いや、同じトイレ系都市伝説
もしかしたら、流しても復活してくるかもしれない
「契約によって…って事は、契約を解除させれば、あそこまでの再生力はないのか?」
もう一人の「花子さん」の契約者が、そう呟く
…そうか
契約によって力を得たのなら、契約を解除させればいいのか!
…そうか
契約によって力を得たのなら、契約を解除させればいいのか!
「そこまでわかってるなら、どうして契約者を探さないのよ!」
「きっひひひひ、アタシが追いかけ続けているから、そんな暇は無いのさぁ!!」
「きっひひひひ、アタシが追いかけ続けているから、そんな暇は無いのさぁ!!」
ぎらんっ!
再び襲い掛かる、赤いちゃんちゃんこの爪
それを、水と白い鞭が叩き落す
剥がれる爪、しかし、それもすぐに再生する
再び襲い掛かる、赤いちゃんちゃんこの爪
それを、水と白い鞭が叩き落す
剥がれる爪、しかし、それもすぐに再生する
「まったくもって、その通り。困ったものなのだよ」
「あぅあぅ…でも、そろそろ反撃したいのです!手伝ってほしいのですよ!」
「あぅあぅ…でも、そろそろ反撃したいのです!手伝ってほしいのですよ!」
赤いちゃんちゃんこの攻撃をひらり、交わしながら赤マントと赤いはんてんが言ってきた
赤いはんてんが、き!と赤いちゃんちゃんこを睨みつける
赤いはんてんが、き!と赤いちゃんちゃんこを睨みつける
「ドスをもったお兄さんと、ピアスをつけたお兄さんは、赤マントと一緒に赤いちゃんちゃんこの契約者を探して欲しいのです!
花子さんたちは、私と一緒に赤いちゃんちゃんこと戦ってほしいのですよ!」
花子さんたちは、私と一緒に赤いちゃんちゃんこと戦ってほしいのですよ!」
む…!
初対面の相手だが、花子さんの知り合い、と言うのなら、信じるしかあるまい
俺は、花子さんと向かい合い、頷きあった
……が
あちらさんは…
初対面の相手だが、花子さんの知り合い、と言うのなら、信じるしかあるまい
俺は、花子さんと向かい合い、頷きあった
……が
あちらさんは…
「私は「花子さん」じゃないわよ。「花子様」よ!!」
高らかと、そう宣言する「花子さん」……いや、花子様
いや、その
今は、んな事にこだわっている場合じゃあ!?
いや、その
今は、んな事にこだわっている場合じゃあ!?
「あぅあぅ!?わ、わかりましたです!花子様!!手伝ってほしいのですよ!!」
「ついでに聞いておくが、お嬢さんたちは、契約者と離れても問題なく戦えるかね!?」
「ついでに聞いておくが、お嬢さんたちは、契約者と離れても問題なく戦えるかね!?」
こくりっ
今度は、花子さんも、花子様も頷いた
…作戦は決まった
今度は、花子さんも、花子様も頷いた
…作戦は決まった
「ならば…行くとするか」
ばさりっ
赤マントがマントを翻し…
赤マントがマントを翻し…
俺の視界は、赤一色で染め上げられた
くるりっ
赤マントがマントを翻し、自分の契約者と、花子様の契約者を包み込み…そのまま消えてしまったことに、花子さんはびっくりした
しかし、契約者なら大丈夫、とそう判断する
花子さんは、契約者を信じている
契約者は、簡単には誰かに負けたりしないと、そう純粋に信じている
だからこそ、こう言う時でも、慌てたりしない
そう、契約者ならば、大丈夫なのだ
赤マントがマントを翻し、自分の契約者と、花子様の契約者を包み込み…そのまま消えてしまったことに、花子さんはびっくりした
しかし、契約者なら大丈夫、とそう判断する
花子さんは、契約者を信じている
契約者は、簡単には誰かに負けたりしないと、そう純粋に信じている
だからこそ、こう言う時でも、慌てたりしない
そう、契約者ならば、大丈夫なのだ
「っちぃ!逃がさないよ!」
「…それは、こっちのセリフよっ!」
「…それは、こっちのセリフよっ!」
ひゅん!と花子様のトイレットペーパーの鞭が唸る
ぼとりっ!その鞭が、あっけなく赤いちゃんちゃんこの腕を切り落とした
ぼとりっ!その鞭が、あっけなく赤いちゃんちゃんこの腕を切り落とした
「えいっ!」
花子さんも、意識を集中させ、花子様が支配していないトイレットペーパーに意識を集中させた
くるん、勝手に動き出したトイレットペーパーが、赤いちゃんちゃんこを束縛する
その様子を見ていた赤いはんてんが、自らが纏うはんてんを、裏返す
赤いはんてんから、青いはんてんへと姿を変え…赤いちゃんちゃんこに、強烈なパンチを食らわせる!!
くるん、勝手に動き出したトイレットペーパーが、赤いちゃんちゃんこを束縛する
その様子を見ていた赤いはんてんが、自らが纏うはんてんを、裏返す
赤いはんてんから、青いはんてんへと姿を変え…赤いちゃんちゃんこに、強烈なパンチを食らわせる!!
「きひひぃっ!無駄無駄ぁ!!!」
ぼごごっ!
傷を瞬時に再生させていく赤いちゃんちゃんこ
だが、傷を再生させている間は、動きが鈍っている
傷を瞬時に再生させていく赤いちゃんちゃんこ
だが、傷を再生させている間は、動きが鈍っている
「攻撃し続けて!その間は、赤いちゃんちゃんこは彼らを追えないから!」
「み、わかったの!」
「…ふん、駄犬を使い物にならなくされたら、困るものね」
「み、わかったの!」
「…ふん、駄犬を使い物にならなくされたら、困るものね」
女子トイレに集まった、トイレの都市伝説四人
三人の都市伝説が、赤いちゃんちゃんこを睨みつけ
…本格的な戦いの幕が上がる!!
三人の都市伝説が、赤いちゃんちゃんこを睨みつけ
…本格的な戦いの幕が上がる!!