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連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-34

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 …意識が覚醒する
 その瞬間まで、確かに何かの夢を見ていたはずであるのだが、思い出せない
 思い出すことを本能が拒んでいるような錯覚
 ……つまるところ、ロクな夢ではないのだ

「…新年早々、不吉、ってか?」

 苦笑しながら、その黒服は起き上がった
 そして、違和感

「…うん?」
「むにゅぅ…」

 すぴすぴ
 傍らで寝ているロリが一人
 なんとも心地よさそうに眠っていて

「…お嬢さん?」
「むにゅ?」

 ……むにむにむに
 ロリが、眠たそうに目をこすりながら起き上がる

「…むぅ、まだ早いではないか、もう少し寝かせい」
「なんでお嬢さんが俺のベッドにいるんだ?」

 むにーーーーー
 二度寝に入ろうとしたロリを起こす
 本当、何故いる?
 「組織」上層部メンバーである彼女は、「組織」本部からほぼ出られないはずなのだ
 …まぁ、彼女が本気になれば、抜け出す事など簡単なことだろうが

 むにゅん、となんとか目を覚ましてくれた彼女…お嬢さんは、堂々と言い切ってくる

「うむ!H-No,360よ、妾を「ハツモーデ」とやらに連れて行くのじゃ!!」
「初詣に?」
「そうじゃ!」

 好奇心剥き出しの表情で、そう言ってくるお嬢さん
 …なるほど、中世ヨーロッパ生まれのお嬢さん
 「組織」に所属するようになってからは、上層部メンバーであるが故に、ほぼ本部から出る事ができていない
 ……日本に来たものの、初詣なんて行った事もないだろう
 だが

「その為に、なんで俺のとこに来てんだよ。Gの野郎にでも連れ出してもらえ」
「Gはケチなのじゃ。妾をちっとも外に連れ出してくれんのじゃ!」

 ぷぅ、と子供っぽく頬を膨らませるお嬢さん
 可愛らしい様子にも見えるが…実際年齢を考えると婆自重しろ

「じゃから、お前が妾を初詣に連れて行くのじゃ!」
「新年早々の命令がそれかい」

 苦笑する黒服
 …Gは、このお嬢さんの我侭に日々振り回されているのだ
 同情しなくもないが…できれば、もうちょっとちゃんと彼女を見張っていて欲しいものだ

「ハツモーデに行きたいのじゃー!お願い事するのじゃー!おみくじを引きたいのじゃー!」
「わかったわかった」

 仕方ない
 新年早々だが…お嬢さんの我侭に付き合うとしようか
 そうしないと、このお嬢さんは諦めてはくれないだろう

「だが、せめて朝飯は食わせてくれよ」
「オゾーニとオセチじゃな!妾も食べたいのじゃ」
「…まぁ、彼女が作ってくれて渡してくれたもんがあるけどよ」

 雑煮もおせちも、呪われた歌の契約者が作ってくれた物がある
 雑煮は温めればすぐに食べられる状態だ。いい餅を使ってくれたようで、餅が溶け着る事もない

「…お嬢さん、雑煮とか食わせてやるから、俺の血をデザートに、ってのは勘弁してくれよ」
「む…仕方ない。諦めるのじゃ」

 吸う気だったのか
 吸う気だったのかよ、お嬢さん


 …黒服Hは新年早々、己の不運を呪うしかなく


 初夢の悪夢のことを考える余裕などないのだった


終われ





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