…まぁ、それはよくある、仕事の愚痴というやつである
「ったく、上の連中、どうして俺を使わないんだよ…」
不満そうに、そう愚痴る青年
モンスの天使の契約者だ
彼の向かいには、中性的な雰囲気の青年が座っていて優雅に本をめくっていた
…こちらが青年、とわかるのは、その服装のせいだ
女物を来ていたら、女性に見えたことだろう
それくらいに、今、モンスの天使とお茶をしているこの青年は中性的だった
とまれ、モンスの天使契約者の言葉に、青年は相槌を打ってきている
その表情の乏しさから、ちゃんと話を聞いているかどうかは酷く曖昧なのだが、モンスの天使契約者は、それを基にしている様子はない
モンスの天使の契約者だ
彼の向かいには、中性的な雰囲気の青年が座っていて優雅に本をめくっていた
…こちらが青年、とわかるのは、その服装のせいだ
女物を来ていたら、女性に見えたことだろう
それくらいに、今、モンスの天使とお茶をしているこの青年は中性的だった
とまれ、モンスの天使契約者の言葉に、青年は相槌を打ってきている
その表情の乏しさから、ちゃんと話を聞いているかどうかは酷く曖昧なのだが、モンスの天使契約者は、それを基にしている様子はない
「…僕から見て、君は優秀な人材だと思うのだがね。君の言うその人物は、君以上に優秀なのかな?」
モンスの天使契約者の言葉が途切れた頃、その青年はぽつりとそう口にしてきた
む、とモンスの天使契約者は、不機嫌に答える
む、とモンスの天使契約者は、不機嫌に答える
「俺の方が優秀だよ」
「あぁ、君と比べて、という意味ではないよ。君が優秀なのは間違いない。ただ、その人物は、世間一般で言う所の優秀な人材であるのか、ということさ」
「あぁ、君と比べて、という意味ではないよ。君が優秀なのは間違いない。ただ、その人物は、世間一般で言う所の優秀な人材であるのか、ということさ」
即座に、言いなおしてきた青年
モンスの天使契約者は、ブラックコーヒーを口にして……考え込み、答える
モンスの天使契約者は、ブラックコーヒーを口にして……考え込み、答える
「…まぁ、優秀っちゃ優秀かもな。高い威力で広範囲の攻撃が可能なんだし」
「なるほど…だが、それならば、君とて同じように高い威力で広範囲の攻撃が可能なのだがな」
「威力なら、俺のモンスの天使の方が上さ」
「なるほど…だが、それならば、君とて同じように高い威力で広範囲の攻撃が可能なのだがな」
「威力なら、俺のモンスの天使の方が上さ」
恥ずかしげもなく言い切る、モンスの天使の契約者
彼は、自分の契約している都市伝説こそが最強であると、信じて疑っていない
そして、今、彼と話している青年は、それを否定してくる様子はない
…心の中では、どう思っているのかわからないが
彼は、自分の契約している都市伝説こそが最強であると、信じて疑っていない
そして、今、彼と話している青年は、それを否定してくる様子はない
…心の中では、どう思っているのかわからないが
「だからよ。これは絶対、誰かの陰謀だよ」
「ふむ?それはつまり、君と言う人材に、「組織」の仕事をさせないようにしている何者かがいる、と?」
「ふむ?それはつまり、君と言う人材に、「組織」の仕事をさせないようにしている何者かがいる、と?」
青年の言葉に、あぁ、とモンスの天使契約者は頷く
そうだ、これは陰謀なのだ
マッドガッサーの事件後から、ずっと自分は「組織」内の権力闘争の陰謀に巻き込まれてしまっているのだ
そうに決まっている
そうじゃなければ、突然担当の黒服が穏健派の黒服に変わったりしないだろうし、「組織」内の裏切り者を始末するという己の本来の仕事数が激減したりするはずがない
…自分よりも、あの嘘吐き、と言うより、嘘だらけの言動の「ファフロツキーズ」の契約者が重鎮されるはずがないのだ
これは、全て陰謀だ
そうだ、これは陰謀なのだ
マッドガッサーの事件後から、ずっと自分は「組織」内の権力闘争の陰謀に巻き込まれてしまっているのだ
そうに決まっている
そうじゃなければ、突然担当の黒服が穏健派の黒服に変わったりしないだろうし、「組織」内の裏切り者を始末するという己の本来の仕事数が激減したりするはずがない
…自分よりも、あの嘘吐き、と言うより、嘘だらけの言動の「ファフロツキーズ」の契約者が重鎮されるはずがないのだ
これは、全て陰謀だ
「…なるほど、ね。君の不満ももっともだ」
ぱたん、と青年は、その分厚い難しそうな本を閉じた
紅茶を口にし、言葉を続ける
紅茶を口にし、言葉を続ける
「…ならば、君はどうしたいのかな?その不満を抱えたまま、「組織」内で燻り続けるのかい?」
「まさか」
「まさか」
燻り続けるつもりなど、ない
「ならば、どうするんだい?」
「決まってる……何故、俺よりもファフロツキーズの契約者が重鎮されてるのか。その理由を調べる。あいつに指示を出している奴を調べれば、きっと何かわかる」
「決まってる……何故、俺よりもファフロツキーズの契約者が重鎮されてるのか。その理由を調べる。あいつに指示を出している奴を調べれば、きっと何かわかる」
そうして
その裏に、本当に誰かの陰謀が動いていたならば
その裏に、本当に誰かの陰謀が動いていたならば
「…「組織」内の裏切り者を、危険因子を始末する。それが「組織」の始末屋の俺の仕事だ。陰謀を抱えている連中なんざ、全部俺が始末してやる」
「なるほど、君らしい考え方だ」
「なるほど、君らしい考え方だ」
小さく、青年が笑ってきた
じっと、モンスの天使契約者を見つめてくる
じっと、モンスの天使契約者を見つめてくる
「だが、無理はしないようにな」
「わかってるって。「組織」の強大さはよくわかってる。一歩間違ったら俺が始末されるからな」
「…僕でも、力になれる事があるならば、力になろう。もっとも、「組織」に所属している訳でもない僕にできる事など、たがか知れているだろうがね」
「わかってるって。「組織」の強大さはよくわかってる。一歩間違ったら俺が始末されるからな」
「…僕でも、力になれる事があるならば、力になろう。もっとも、「組織」に所属している訳でもない僕にできる事など、たがか知れているだろうがね」
友人である青年の言葉に、モンスの天使契約者はありがとうな、と笑った
やはり、この友人に相談して良かった
愚痴を全て口に出した事で、少しすっきりしたし
持つべきものは、なんでも話せる友人だ
契約都市伝説であるモンスの天使達に話すのとは、また違う
同性の友人と言うのも、貴重なものなのだ
やはり、この友人に相談して良かった
愚痴を全て口に出した事で、少しすっきりしたし
持つべきものは、なんでも話せる友人だ
契約都市伝説であるモンスの天使達に話すのとは、また違う
同性の友人と言うのも、貴重なものなのだ
「こっちこそ、俺が手伝えることがあったら言えよ?」
「…そうだね。頼りにさせてもらおうか」
「…そうだね。頼りにさせてもらおうか」
友人の言葉に、モンスの天使契約者は満足げに笑い、セルフサービスであるコーヒーのお変わりを取りに向かう
…その、後ろ姿を見送って
「…焚きつけるような事を言ってしまったな……まったく、僕は卑怯者だ」
と、青年……仲介者は、自嘲するように呟いたのだった
fin