「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦編-23

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○月×日 23:52 中央高校屋上


 笑いの渦が、ようやく治まろうとしていた頃

「…あれだ。焦りすぎてて、ガスマスクはすぐ手元に戻せる事忘れてた」
「っち、卑怯な」
「舌打ちするなっ!?」

 ぶーぶー不満を述べるTさんの契約者に、ガスマスクを再び装着したマッドガッサーが盛大に突っ込んだ
 どうやら、帽子は手元に戻せないようで、その艶やかな銀髪は露になったままだが

 ……と
 っふ、と、上空にさした影

 -----どさっ!!と
 何者かが、上空から降ってきた
 殴られた痕があり、きゅう、と気を失っているそれは…バイトちゃんには、見覚えがありすぎる男
 …彼(彼女)の旧友だった

「ひっひっひぃ!怪しい動きをしていたから、とりあえず気絶させておいたよぉ?」
「死んでないから大丈夫だろ、多分」

 ふわり
 魔女の一撃が主を箒に乗せてゆっくりと降りてきた
 たん、と屋上に降り立った魔女の一撃の契約者は…ややふらつきながらも、しっかりとした足取りをしている
 …一瞬、彼は「日焼けマシン」の契約者に視線をやって…酷く、申し訳無さそうな顔をした
 その表情に、「日焼けマシン」の契約者が、複雑そうな表情を浮かべる

「そいつの傍、怪しい影はなかったか?……俺達のような、黒服の姿は」
「いいやぁ?なかったよぉ?」

 黒服Hの言葉に、即答する魔女の一撃
 ふむ、と黒服Hは、やや難しそうな顔をする

「「アメリカ政府の陰謀論」が、先ほどの件に絡んでいると?」
「…どーも、それっぽい気配がするんだよ」

 バイトちゃんの言葉に、黒服Hは面倒くさそうに答えた
 ガスマスクが外れた直後のマッドガッサーの罵声を聞くに、どうやら彼の兄……彼の片割れたるマッドガッサーは、死亡したらしい
 確か、あれは「アメリカ政府の陰謀論」に目をつけられていた
 その片割れが死んで、目標がこちらのマッドガッサーに移ってもおかしくはないのだ
 マッドガッサー自身も、それをわかっているからこそ、あの罵声が出たのだろう

 マッドガッサーも、魔女の一撃とその契約者から話を聞いて…考え込んでいるようだ
 「喉から手が出る」の作動が、そちらの陰謀だったとしたら……それが失敗したならば、別の手段をとってくる可能性もある
 今、この状況とて、見張られているかもしれない……

 ……と
 マッドガッサーが、何やら「爆発する携帯電話」に、ぼそぼそと耳打ちを始めた
 「爆発する携帯電話」は、一瞬、悩んだ表情を浮かべたが……こくり、小さく頷く

「…悪いが、厄介な連中にたった今、狙われているらしいんで…こっちは、退散させてもらうぜ」

 す、と
 マッドガッサー一味が…一箇所に、集まりだした
 気のせいか?
 マッドガッサー一味が、一行に申し訳なさそうな表情や、ニヤニヤ笑いを向けてきているような…

「………で。申し訳ないんだが、相談が。っつか、むしろ答えを聞かずに実行させてもらうんだが」
「…嫌な予感しかしないな」

 銀髪の青年が、Tさんが…警戒しだす
 この期に及んで、彼らが問題を起こす事はないだろう
 ただ……今、彼らは「アメリカ政府の陰謀論」を振り払う為に、何かをしようとしていて

 それに、一行を巻き込もうとしているのは、確実だった

「アレだ、あとで解毒剤は順番に渡していくんで……勘弁してくれ」


 ---ピピピピピピピピピピピピピピピピ
 じりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりり
 トゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル………!


 響き渡る、電話の着信音
 はっとして視線をやれば…何時の間にか、「爆発する携帯電話」が、しっかりと携帯電話を握り緊めていた

「ッ爆風でも起こして逃げる気か!?」
「ですが、どの携帯電話を……?」

 一行の携帯は、何の音も発していない
 音は、どこかくぐもった感じで、どこからともなく響いていて

 ……ちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅ!?と
 はないちもんめの少女の鎖に絡まっている鼠が、何かを感じたようにじたばたと、逃げ出そうとしだす

「……っ、あ、あそこ!あの、ミサイルの中です!!」

 銀髪の青年の契約者たる少女が、透視によって、それを見つけた


 マッドガッサーが精製したガスが詰まった、ミサイルの、中
 その中に、どうやって設置したのか……携帯電話が、貼り付けられていて
 五基のミサイル全ての中に設置されたそれらが、光を発し、今にも爆発しそうになっていた


 ガスがたまったミサイル
 それが爆破されたら…………どうなる?

「逃げるのはいいが、こちらを巻き込むのは勘弁してもらいたい……!」
「リカちゃん!」
「わかったの」

 銀髪の青年が、ミサイル内に設置された携帯電話に干渉しようとする
 Tさんもまた、リカちゃんに頼んで携帯の主導権を握ってもらおうとして…………

「-------っ!?」
「あれ???」

 銀髪の青年が、驚愕に目を見開き
 リカちゃんが、きょとん、と首をかしげる

「ど、どうしたんですか?」
「…あの携帯電話に…干渉、できない」
「リカちゃん、どうした!?」
「しゅどーけんをにぎれないの」

 ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ
 携帯電話は、光り続けていて……

『-------ヒャッハハハハハハハハハハハハ!!!』

 その音に混じって、響いた声
 ハっとして、Tさんが己の携帯電話を取り出すと…その、画面に
 見覚えのない、デジタル画像の男性が現れていて、ケタケタと笑っていた

『ザァンネン!!しゅどうけんヲにぎルのうりょくハ、オジョーチャンヨリモおれさまノほうガうえダッタミテェダナァ!!』
「----ッスーパーハカーか!?」

 ミサイルの中の携帯電話の主導権は、スーパーハカーが握っている
 既に他の都市伝説が干渉しているがゆえに、占い師の能力で干渉できず
 主導権を握るその能力は、まだ幼いリカちゃんよりも、スーパーハカーの方が上で……


「----BOM」


 どこか、おどけた声がした、その直後
 ミサイルの中に設置された携帯電話が、一斉に爆発して

 ミサイル内に充満していた女体化のガスが、中央高校屋上と、校舎三階の一部を、一瞬で包み込んだ




 …我ながら、よく間に合ったものだと思う
 赤い靴は、自らを自画自賛したい気分だった
 ガスの炸裂の瞬間…彼は、確かにTさんとの約束を守った
 彼の契約者とリカちゃんを、己の作り出した異空間内へと、ガスを吸い込むよりも前に引っ張り込んだのだ
 そこには、己の契約者と…もう一人、姿を見かけたナイスロリータを異空間に隔離させた
 これで、彼女たちはガスを吸わずにすんでいるはずだ

「……うん、頑張ったぞ、俺……!」

 ぐら、と思考が揺れる
 女体化のガスは、女性相手には強烈な媚薬効果を持っている
 女体化している赤い靴には、このガスは強烈な媚薬の効果を表していた
 ぐらぐらと揺れる思考を、必死に抑える
 が、体を支えきれずに、ガックリと膝をついた

 …ロリが助かったなら、それでいい
 そう考えながら、赤い靴は己の状態を制御しようと、必死なのだった



 視界が、ショッキングピンクのガスで覆われている
 けほ、と少しガスを吸い込んでしまい、黒服Dは咳き込んだ
 …パワーストーンの結界を発動させるのが、間に合わなかった
 自分は、今回の任務につくさいに、既に「征露丸」を飲んでいるから大丈夫だが、他の者達は……
 せめて、はないちもんめの少女にも「征露丸」を飲ませたかったのだが、手元にあったのは一錠のみ
 彼女に飲ませたかったのだが、彼女は「黒服が飲んで」と聞かず、自分が飲むしかなかった

 ……つまり
 はないちもんめの少女も、無防備な状態で、このガスを吸ってしまっている訳……で……

 がし、と
 己の足に、誰かがしがみ付いてきた事に、黒服Dは気づき…それが、はないちもんめの少女である事も、すぐに気づいた

「…くろ、ふく」

 じっと
 己を見上げてくる眼差しは、熱が篭っていて…

「っお、落ち着いてください。その効果は一時的なもののはずですから、すぐに消え……っ!?」

 がし、と
 反対側から腕にしがみ付いてきた、誰か

「…黒服ぅ」

 じっと、己を見上げてきているのは…「日焼けマシン」の契約者
 …女体化しているから、その身に及んでいる効果は、当然媚薬で……!?

「っふ、二人とも、落ち着いてください!冷静になって!?」
「…冷静よ、私たちは。誰よりもね…!」
「っつ、翼!あなたは元々男なのですから…っ」
「……お前、相手なら……いい……」

 ----この、混沌とした状況の中、彼らの会話は誰の耳にも届く事はなく
 黒服Dがどうなったのかも、この濃すぎるガスのせいで、誰にも見えない




「今ほど、透視能力が欲しいと思った瞬間はねぇな」」

 まピンクのガスの中
 その効果を受けていない、黒服H
 黒服Hは、マッドガッサー達が今までの被害者達を放置していたビルに乗り込む際に「征露丸」を飲んでいたのだ
 混沌とした状況の中、それ故に彼は冷静だった

 聞こえてくる、大きな鳥がはばたく音
 恐らく、サンダーバードが降りて来て、一行を回収しているのだろう
 サンダーバードのはばたきによって、ガスはある程度流されているはずなのだが…それでも視界は晴れない
 一体、どれだけの量がここに充満しているのか

「よーし、しっかり逃げろよー。「組織」も、某マッスル禿の事後処理で、少なくとも今はお前さん達を追いかける余裕はないからな」

 聞こえてはいないだろう
 そうわかっていながら、黒服Hは続ける

「…しっかり生きろよ、辰也。お前さんが生き延びてくれんなら、とりあえず俺は満足だ」

 はばたく音が遠ざかっていく
 視界が効かない中、黒服Hはくっくっく、となんとも上機嫌に笑い続けていたのだった




 …この、混沌とした状況より、数分後
 マッドガッサーのガスの解毒剤を持ったゲデが、屋上に到達した訳だが
 彼は、解毒剤をばら撒くよりも前に…そのカオスな現状を見下ろし、ぐ!と親指をたてて

「グッジョォオオオブ!であるよ!か~~~っらからからからからからからから!!!」

 と、愉快に笑ったのだそうな




 なお、余談だが
 意図して連れて行かれたのか、それとも、サンダーバードの足にでも引っかかったのか
 「壁に耳あり」の契約者の姿がない事に誰かが気づくのは、大分後になってからだったと言う









to be … ?



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