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連載 - 三面鏡の少女・小ネタ-04

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小ネタその4 白い鎧の戦士


それは暑い夏の夜
ぽつぽつと街灯が並ぶだけの人気の無い道
あちこちに農地が見られる北区の一角で、一人の青年がふと足を止める
それまで聞こえていた虫の声がぴたりと止んでおり、辺りにはただならぬ気配が漂っていた
「またか」
青年はふうと溜息を吐くと、神経を研ぎ澄ませ周囲を警戒する
ずるり、と
泥まみれの何かを引き摺るような音がする
街灯の下を這うそれは、人型をした泥
人間の骨格に泥を盛り付けたような
人間の肉が泥のように腐り落ちたような
そんな中で黄ばみ濁ったとはいえ白に近い色をした目玉と歯だけが浮き上がるようにはっきりと見える
「田をぉぉぉぉぉぉ返せぇぇぇぇぇぇぇぇ」
泥田坊と呼ばれる妖怪が、べちゃりべちゃりと手足を蠢かせにじり寄ってくる
醜怪なその姿に気後れする様子もなく、青年はゆっくりと腕を回し、ぐっと力を込め
「固着!」
叫ぶと同時に青年の膝の辺りから白いものが噴き出すように溢れ出し、あっという間にその全身を覆う
白い装甲となったそれは、石灰質の殻を持つ甲殻類――フジツボ
「こっちから退治をして回るつもりは無いが、害意を持って襲ってくるなら容赦はしない!」
ぐん、と姿勢を低くした体性から勢い良く片足が振り抜かれる
泥田坊との距離はまだ数メートル離れていて、その蹴りは当たるはずも無かったのだが
「蔓脚!」
フジツボから伸ばされた触手状のものが絡み合い束ねられ、鞭のように泥田坊の身体を薙ぎ払い真っ二つに切り裂いた
地面にべちゃりと這いつくばる泥田坊に、青年は白い拳を突きつけ
「無柄!」
拳に張り付いたフジツボが弾丸のような勢いで雨霰と発射され、泥田坊はその身体を削り落とされるように小さくなっていく
「だああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁああぁぁ」
その首がどちゃりと地面に落ち
「をぉぉぉぉぉおおおぉぉおぉお」
ぎょろりとした目玉が青年を見据えた、次の瞬間
「かぁぁぁぁぁええええぇぇぇぇぇぇえぇええぜぇぇぇぇえええぇぇぇえぇぇ!!!!!」
顎を開く力だけで地面を打ち、凄まじい勢いで頭部が青年に向かって飛び掛る
だが青年はそれを見越していたように
「顎脚!」
「ごぁぶっ!」
肘と膝が打ち鳴らされ、牙のように並んだフジツボが泥田坊の頭を食い千切った
どろりと崩れ落ちて、道路の染みとなり消える泥田坊
「悪いな。次に生まれてくる時は、無闇に人を襲うんじゃないぞ」
再び襲ってこないのを確認して、青年は身体を覆うフジツボを払い落とす
それまで装甲のようにがっしりと身体を覆っていたフジツボは、あっさりと身体から剥がれ落ちて地面に転がり、磯くささを残しながらも崩れ落ちていく
残されたのは泥の染みと、石灰をぶちまけたような白い跡
青年が立ち去った後、それらは生温い夜風に吹き散らされて
何事も無かったかのように消え去っていた


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