それは、バレンタイン当日の事
街を歩いていた少女、逢瀬佳奈美
街を歩いていた少女、逢瀬佳奈美
「あ……Hさんと、歌手のおねーさん」
黒服Hと、呪われた歌の契約者の女性の姿を見かけた
ちょうど、女性が、黒服にチョコレートを渡していたところだったようだ
……邪魔しちゃ、悪いかな?
少女が、声をかけようかどうか、悩んでいると
ちょうど、女性が、黒服にチョコレートを渡していたところだったようだ
……邪魔しちゃ、悪いかな?
少女が、声をかけようかどうか、悩んでいると
「ん?……よぉ」
「あ」
「あ」
Hに、見付かってしまった
女性も、少女に気づき、笑みを浮かべてくる
ちょっぴりの気まずさを抱えながら、少女は二人に駆け寄った
女性も、少女に気づき、笑みを浮かべてくる
ちょっぴりの気まずさを抱えながら、少女は二人に駆け寄った
「こんにちは。お買い物の帰り?」
「あ、はい……その、Hさん、どうぞ」
「あ、はい……その、Hさん、どうぞ」
おねーさんが渡した後なのに、いいのかな、と思いながらも
す、と少女は黒服に、可愛らしいラッピングのチョコレートを渡した
ちらり、その拍子に、黒服が女性から渡されたチョコレートが入っているであろう、包みに視線が行く
恐らく、女性が自分で包んだであろう物
きっと、手作りだ
す、と少女は黒服に、可愛らしいラッピングのチョコレートを渡した
ちらり、その拍子に、黒服が女性から渡されたチョコレートが入っているであろう、包みに視線が行く
恐らく、女性が自分で包んだであろう物
きっと、手作りだ
「あぁ、ありがとうな」
チョコを受け取り、黒服は楽しそうに笑うと、少女の頭を撫でた
何となく、子供扱いされているような…いや、黒服から見れば、少女はまだ子供だろうが
楽しげに楽しげに笑いながら、黒服は続けた
何となく、子供扱いされているような…いや、黒服から見れば、少女はまだ子供だろうが
楽しげに楽しげに笑いながら、黒服は続けた
「来月、楽しみにしとけよ?」
「来月?………あ」
「来月?………あ」
あ、そうか
3月には、ホワイトデーがあるのだった
ちょっぴり、忘れかけていたけど
3月には、ホワイトデーがあるのだった
ちょっぴり、忘れかけていたけど
…この、黒服のお返し…
………
…………
……………
………
…………
……………
「-----にゃ!?」
なぜか、想像が卑猥な方向に向かって
ぽしゅ!!と少女は頬を真っ赤に染め上げた
ぽしゅ!!と少女は頬を真っ赤に染め上げた
「うん?どうした?」
「な、なななななな、なんでもないです!」
「な、なななななな、なんでもないです!」
あぅあぅあぅ
慌てて、ぶんぶんと首を左右に振る少女
黒服はからかうように笑い、女性はあらあら、と優しく微笑んできている
慌てて、ぶんぶんと首を左右に振る少女
黒服はからかうように笑い、女性はあらあら、と優しく微笑んできている
「んじゃあ、俺はこれで。またな」
「えぇ、さようなら」
「えぇ、さようなら」
ひらひらと、手を振ってこの場を後にする黒服
そんな黒服の背中を見送りながら、少女はやや気まずそうに、女性に話し掛ける
そんな黒服の背中を見送りながら、少女はやや気まずそうに、女性に話し掛ける
「えっと…邪魔、しちゃいました?」
「あら、そんな事はないわ」
「あら、そんな事はないわ」
ふわり、柔らかく笑う女性
彼女は知っている
自分は、彼にとって、恋愛対象にはなりえない事を
それでも、かすかな希望を込めて、想いを送る
自分にできるのは、ただそれだけで
その想いが叶う事は、決してないと知っているから
自分は、彼にとって、恋愛対象にはなりえない事を
それでも、かすかな希望を込めて、想いを送る
自分にできるのは、ただそれだけで
その想いが叶う事は、決してないと知っているから
…だから、何も問題などは、ないのだ
「あぁ、そうだわ。あなたにも、どうぞ」
「ふぇ?」
「ふぇ?」
す、と
小さな、ラッピングされた箱を渡されて
少女はきょとん、とそれを見つめる
小さな、ラッピングされた箱を渡されて
少女はきょとん、とそれを見つめる
「彼に渡した分の、あまりで申し訳ないのだけれども」
「はわわ!?もらっちゃっていいんですか?」
「えぇ。貰い手がいなかったら、自分で食べるしかないのだし」
「はわわ!?もらっちゃっていいんですか?」
「えぇ。貰い手がいなかったら、自分で食べるしかないのだし」
くすくすと微笑む女性
彼女とてモテるのだから渡す候補くらい、たくさんいるはずなのだが…しかし、彼女はあの黒服以外の男性にチョコレートを渡すつもりは、これっぽっちもないのだ
彼女とてモテるのだから渡す候補くらい、たくさんいるはずなのだが…しかし、彼女はあの黒服以外の男性にチョコレートを渡すつもりは、これっぽっちもないのだ
「あ、ありがとうございます……えっと」
す、と
チョコレートの、お返しをするように
少女は、予備で買っておいたチョコレートを取り出す
チョコレートの、お返しをするように
少女は、予備で買っておいたチョコレートを取り出す
「お姉さんにも、どうぞ」
「あら…ありがとう。いただくわね」
「あら…ありがとう。いただくわね」
優しく微笑み、チョコレートを受け取る女性
どこか、暖かな空気が、周囲を包み込む
どこか、暖かな空気が、周囲を包み込む
「---ハッピー・バレンタイン!」
ずい!!!
そんな、暖かな空気に、割り込むように
幼い少女の声が響き、少女と女性に、チョコレートが突きつけられた
そんな、暖かな空気に、割り込むように
幼い少女の声が響き、少女と女性に、チョコレートが突きつけられた
「え?」
「あら?」
「あら?」
ちょーーん
そこには、黒いゴスロリ服に身を包んだ、幼女が一人
どこか、偉そうな表情で立っていた
そこには、黒いゴスロリ服に身を包んだ、幼女が一人
どこか、偉そうな表情で立っていた
「お前達、H-No.360が担当しておる契約者じゃな。それならば、間接的に妾の部下じゃ。受け取るが良い!」
ずずい!
問答無用で突きつけられるチョコレート
勢いに負けて、二人は受け取ってしまった
問答無用で突きつけられるチョコレート
勢いに負けて、二人は受け取ってしまった
「さて、次はH-No.360じゃが……むぅ、あいつめ。何故、妾から逃げ回るのじゃ?あいつには、特別に妾が手作りでチョコレートを作ってやったと言うのに」
くるり、黒いレース生地の日傘を回し
ゴスロリ幼女はてちてちと、嵐のように走り去ってしまった
後には、少女と女性だけが取り残される
ゴスロリ幼女はてちてちと、嵐のように走り去ってしまった
後には、少女と女性だけが取り残される
「……えっと…Hさんの知り合い、だったのかな?」
「そうみたいですわね。あの方も、知り合いが多い方だから」
「そうみたいですわね。あの方も、知り合いが多い方だから」
うにゃーん?と首をかしげる少女
…そんな少女を尻目に、女性は
走り去るそのゴスロリ幼女に…どこか、羨ましいような、妬ましいような、そんな複雑な視線を送っているのだった
…そんな少女を尻目に、女性は
走り去るそのゴスロリ幼女に…どこか、羨ましいような、妬ましいような、そんな複雑な視線を送っているのだった
fin