とろり、と
甘い香りが部屋を満たす
とろり、とろり
思考まで侵されそうな、甘いあまぁい、匂い
甘い香りが部屋を満たす
とろり、とろり
思考まで侵されそうな、甘いあまぁい、匂い
「…何作ってんだ?」
その、甘い匂いで起こされた黒服
呪われた歌の契約者のエプロン姿にしゅる……と、髪を伸ばしつつ起き上がった
呪われた歌の契約者のエプロン姿にしゅる……と、髪を伸ばしつつ起き上がった
「あら、起こしてしまいました?」
「いや、いいけどよ……随分、甘ったるい匂いだな」
「いや、いいけどよ……随分、甘ったるい匂いだな」
ぺとん
呪われた歌の契約者にもたれかかる黒服
くすり、と呪われた歌の契約者は、そんな彼の行為に幸せそうに微笑んだ
たとえ、愛されていなくとも…ただ、こうしてくれるだけで、とても嬉しい
呪われた歌の契約者にもたれかかる黒服
くすり、と呪われた歌の契約者は、そんな彼の行為に幸せそうに微笑んだ
たとえ、愛されていなくとも…ただ、こうしてくれるだけで、とても嬉しい
「生キャラメル、ですわ。正確には生キャラメル風なのですが…テレビで、作り方をやっていたものですから」
とろり、とろり
…そろそろ、いいだろうか
つい、と混ぜていたそれを救い上げ、それを指先につけて味見しようとして
…そろそろ、いいだろうか
つい、と混ぜていたそれを救い上げ、それを指先につけて味見しようとして
「………あ」
その手をとられ…………ぴちゃり
指先が、黒服の口内に招かれた
指先が、黒服の口内に招かれた
ぬるり、舌が指先に絡む感触
ぞくり、背筋を何かが走りぬける
ぞくり、背筋を何かが走りぬける
「……うん、甘くて美味い。お前は料理がうまいよな?」
にんまり、笑う黒服
頬を赤く染め上げて…彼女は、幸せに笑った
頬を赤く染め上げて…彼女は、幸せに笑った
この甘い時間が、嘘だったとしても私は構わない
嘘でも構わないから、あなたに喜んで欲しいのです
嘘でも構わないから、あなたに喜んで欲しいのです
fin