まるで風に流れるように、それは飛んできた
糸を吐きながら飛ぶそれは、小さな、小さな、蜘蛛
ふわふわ、風に流され飛んで…
糸を吐きながら飛ぶそれは、小さな、小さな、蜘蛛
ふわふわ、風に流され飛んで…
…ぴたり
一人の、頭頂部の寂しい全裸マッスル男の肩に、降りた
一人の、頭頂部の寂しい全裸マッスル男の肩に、降りた
「む?」
即座に、蜘蛛の存在に気づいた男……黒服K-No.711
その、小さな小さな蜘蛛から……濃密な、都市伝説の気配を感じた
その、小さな小さな蜘蛛から……濃密な、都市伝説の気配を感じた
『K-No.711だな。日本のH-No.360から伝言がある』
K-No.711の脳裏に響く、声
テレパシーだ
この蜘蛛は、「組織」上層部メンバーの能力の影響下にあるメッセンジャーなのだ
K-No.711がアメリカに来てから、何度かこうやって蜘蛛が指令を届けに来ている
テレパシーだ
この蜘蛛は、「組織」上層部メンバーの能力の影響下にあるメッセンジャーなのだ
K-No.711がアメリカに来てから、何度かこうやって蜘蛛が指令を届けに来ている
ふむ…?と、K-No.711は、筋肉で考える
恐らく、これは「組織」の正式な連絡ではない
H-No.360からの、個人的な伝言なのだろう
何故、上層部が、一構成員の個人的な伝言をわざわざ届けたのか?
それは疑問ではあるが…正直、貴重な情報であるのは、事実
恐らく、これは「組織」の正式な連絡ではない
H-No.360からの、個人的な伝言なのだろう
何故、上層部が、一構成員の個人的な伝言をわざわざ届けたのか?
それは疑問ではあるが…正直、貴重な情報であるのは、事実
「伝言、確かに受け取りました」
K-No.711がそう告げると…肩に乗っていた蜘蛛は、ころり、肩から落ちた
恐らく、ただの蜘蛛に戻ったのだろう
今までもそうだった
恐らく、ただの蜘蛛に戻ったのだろう
今までもそうだった
「…さて、と、どうしましょうか」
あの、ハーメルンの笛吹きがアメリカに………
筋肉をたぎらせながら、K-No.711は、思案をめぐらせた
筋肉をたぎらせながら、K-No.711は、思案をめぐらせた
……同日、昼間
「組織」アメリカ支部にて
「S-No.0は見付かったか!?」
「いえ、また部屋にいません!!」
「えぇい、またか、あの色ボケ上司!!!どこに女捕まえに行きやがった!?今度は誰があの人のワイフに言い訳すりゃあいいんだよぉおおお!!??」
「いえ、また部屋にいません!!」
「えぇい、またか、あの色ボケ上司!!!どこに女捕まえに行きやがった!?今度は誰があの人のワイフに言い訳すりゃあいいんだよぉおおお!!??」
…とある、上層部メンバーの直属の部下達が、激しく頭を悩ませていたのだが
恐らく、頭を悩ませている当人は、その事に関してさっぱり関心は払っていないだろう
恐らく、頭を悩ませている当人は、その事に関してさっぱり関心は払っていないだろう
…何せ
彼は悠々と、ニューヨークの街中をハンバーガー食べつつ散歩中だったからだ
彼は悠々と、ニューヨークの街中をハンバーガー食べつつ散歩中だったからだ
「さーてっと。K-No.711への伝言は終わったし。あいつからの頼み事は終了したわけだが…」
どうするかなー?と彼は考える
褐色の肌に、編みこみの髪形の長い黒髪
風に揺れるその髪形は、見ようによっては蜘蛛の足のように見えた
褐色の肌に、編みこみの髪形の長い黒髪
風に揺れるその髪形は、見ようによっては蜘蛛の足のように見えた
「…っし、折角だし、あいつらにも教えてみるかな」
そう呟くと…彼の服の袖口から、一匹の蜘蛛が姿を現した
それは、糸を吐きながらどこかへと飛んでいく
それは、糸を吐きながらどこかへと飛んでいく
彼は、S-No,0
「組織」上層部メンバーの一人
彼の正体は「イクトミ」
…アメリカを代表する、トリックスターの一人である
「組織」上層部メンバーの一人
彼の正体は「イクトミ」
…アメリカを代表する、トリックスターの一人である
……同日、夜
「……おや」
高級レストランの個室で食事をしていたその人物は、肩に蜘蛛が乗ってきた事に気づいた
それが、長年の友人のメッセンジャーである事にすぐに気づき、耳を傾ける
それが、長年の友人のメッセンジャーである事にすぐに気づき、耳を傾ける
「どうなさったの?」
そんな彼に声をかけたのは、上品な日本人女性
夫と並んで座っているその様子は、まさしく美男美女夫婦
見る者が見れば、カメラのシャッターを押したくなる光景
何せ、夫は有名なハリウッド男優だし、妻の方も世界的に有名な、バイオリン奏者だからだ
夫と並んで座っているその様子は、まさしく美男美女夫婦
見る者が見れば、カメラのシャッターを押したくなる光景
何せ、夫は有名なハリウッド男優だし、妻の方も世界的に有名な、バイオリン奏者だからだ
「あぁ、ちょっと悪友から伝言が。日本の、それも学校町を騒がせた都市伝説が、こっちに来るらしくてな」
野性味を感じさせる彼が、そう呟くと、彼の隣に座っていた、彼のもう一人の友人が、ほぉ?と関心を抱いてくる
「学校町って言うと、お前達の子供がいる街だよな?」
「そうだな…あそこを騒がせた、か。さて、どいつが来るのか…」
「ハーメルンの笛吹き、だってよ」
「あら、怖い」
「そうだな…あそこを騒がせた、か。さて、どいつが来るのか…」
「ハーメルンの笛吹き、だってよ」
「あら、怖い」
そう言いながらも、女性はくすくすと微笑んでいる
怖がっている様子はこれっぽっちもない
怖がっている様子はこれっぽっちもない
「安心しろ、梨花、お前の事は、俺が必ず護るからな」
「ふふ、ありがとう、あなた」
「「このバカップル夫婦め」」
「ふふ、ありがとう、あなた」
「「このバカップル夫婦め」」
見事に、男二人の突っ込みがハモッた
それはもう、物の見事に
それはもう、物の見事に
「コヨーテもワタリガラスも、いい加減身を固めたらどうだ?」
「ばっか、てめぇ、都市伝説がそう簡単に身を固められるか。相手がいないっつの、相手が」
「ホワイトバッファロー・ウーマンは、触ろうとすると雷落ちるしよぉ…」
「ばっか、てめぇ、都市伝説がそう簡単に身を固められるか。相手がいないっつの、相手が」
「ホワイトバッファロー・ウーマンは、触ろうとすると雷落ちるしよぉ…」
やってらんねぇ、とぼやくコヨーテと呼ばれた青年とワタリガラスと呼ばれた青年
あらら、と梨花と呼ばれた女性が苦笑した
あらら、と梨花と呼ばれた女性が苦笑した
「なかなか、難しいものね」
「…まぁ、俺も、お前と会えてなかったら、どうなったかわからないしな」
「…まぁ、俺も、お前と会えてなかったら、どうなったかわからないしな」
そう言うものさ、と梨花の夫が苦笑する
…何時の間にか、コヨーテの肩に乗っていた蜘蛛は、役割を終えて消えていた
…何時の間にか、コヨーテの肩に乗っていた蜘蛛は、役割を終えて消えていた
「さて、それにしても、学校町を騒がせたハーメルンの笛吹きか…見つけたら、好きにしてもいいのだろうか?」
「あらあら、あなたったら……きっと、その方を恨んでいる人はたくさんいらっしゃるわ。その方々が仇を取れなくなったら大変だから、半殺しで許して差し上げてね」
「相変わらず怖い夫婦だな、おい」
「あらあら、あなたったら……きっと、その方を恨んでいる人はたくさんいらっしゃるわ。その方々が仇を取れなくなったら大変だから、半殺しで許して差し上げてね」
「相変わらず怖い夫婦だな、おい」
コヨーテが、ステーキに喰らいつきつつ苦笑した
…この夫婦に育てられた子供の性格が、なんとも心配だ
…この夫婦に育てられた子供の性格が、なんとも心配だ
この日、この個室に集まっていたのは4人
イクトミと並び、アメリカを代表するトリックスター「コヨーテ」と、同じくトリックスターの「ワタリガラス」
そして、日本人である…一方は、ヨーロッパ系の血も引いているが…世界的に有名な、玄宗夫婦
イクトミと並び、アメリカを代表するトリックスター「コヨーテ」と、同じくトリックスターの「ワタリガラス」
そして、日本人である…一方は、ヨーロッパ系の血も引いているが…世界的に有名な、玄宗夫婦
この四人に、確実に
ハーメルンの笛吹きがアメリカにやってくると言う情報が、伝わったのだった
ハーメルンの笛吹きがアメリカにやってくると言う情報が、伝わったのだった
to be … ?