「とりあえず、薬は補充しといたからな。お前、ここんとこどれだけ「組織」の黒服能力使ってんだよ」
「使いたくて使ってんじゃねぇよ。使わざるを得ない状況が続いてんだ」
「使いたくて使ってんじゃねぇよ。使わざるを得ない状況が続いてんだ」
…明日からの連絡を聞き終え、ハーメルンの笛吹きの処遇について若干悪巧みをした後
黒服Hのピルケースにどす黒い錠剤を詰め終えた辰也
さっさと帰る準備をし始める
そんな辰也に、黒服Hは申し訳無さそうに笑った
黒服Hのピルケースにどす黒い錠剤を詰め終えた辰也
さっさと帰る準備をし始める
そんな辰也に、黒服Hは申し訳無さそうに笑った
「…悪ぃな、お前に、あの連中みたいな真似をさせて」
「お前に死なれたら、こっちも不便なんだよ。「組織」の情報はお前から仕入れるのが速い」
「スーパーハカーもいるだろ?」
「流石に「組織」関連のコンピュータは、気軽に入れる場所じゃないらしいからな」
「お前に死なれたら、こっちも不便なんだよ。「組織」の情報はお前から仕入れるのが速い」
「スーパーハカーもいるだろ?」
「流石に「組織」関連のコンピュータは、気軽に入れる場所じゃないらしいからな」
現在、辰也は都市伝説や都市伝説組織に関わる様々な「情報」を商品に、ある程度の取引をしている
…それくらいしか、自分ができる仕事が思い浮ばなかったのだ、血生臭い物を除けば
後はせいぜい、誠の友人だと言う「仲介者」から流される仕事くらいしか、できない
仲間達と生活するうえで、自分だけが働かないと言う状況も嫌で、辰也はそうやって生活していた
「組織」の情報も、貴重な商品だ
…それくらいしか、自分ができる仕事が思い浮ばなかったのだ、血生臭い物を除けば
後はせいぜい、誠の友人だと言う「仲介者」から流される仕事くらいしか、できない
仲間達と生活するうえで、自分だけが働かないと言う状況も嫌で、辰也はそうやって生活していた
「組織」の情報も、貴重な商品だ
「……それに。「俺達の復讐」は、まだ終わっちゃいないだろ?」
「…………まぁな」
「…………まぁな」
くっく、と黒服Hは暗く笑う
二人の共通の「復讐相手」は、まだ残っている
もう、あと残り3,4人といったところだが…それら全員に復讐を終えるまで、黒服Hは死ぬつもりはないだろうし、辰也も黒服Hを死なせるつもりはない
黒服Hが復讐の為に「組織」に居続けていることを、辰也はよく知っているし
二人の共通の「復讐相手」は、まだ残っている
もう、あと残り3,4人といったところだが…それら全員に復讐を終えるまで、黒服Hは死ぬつもりはないだろうし、辰也も黒服Hを死なせるつもりはない
黒服Hが復讐の為に「組織」に居続けていることを、辰也はよく知っているし
今、復讐に向けて「切り札」を体内に仕込み…それが原因で、「組織」でのメンテナンスをまともに受ける訳にはいかない状態になっているのも
ここ最近の黒服Hの不調が、そのメンテナンスを受けていないのが原因である事も、よく知っている
だからこそ、黒服Hの体を保つ為に、辰也が薬を精製して、それを渡しているのだから
ここ最近の黒服Hの不調が、そのメンテナンスを受けていないのが原因である事も、よく知っている
だからこそ、黒服Hの体を保つ為に、辰也が薬を精製して、それを渡しているのだから
「んじゃあな。「組織」の監視切ってるとは言え、「第三帝国」と関わってる事がバレないとも限らないから、気をつけとけ」
「わかってるさ」
「わかってるさ」
黒服Hを置いて、部屋を出る
すると、ドクターが辰也が部屋を出るのを待っていたようだった
腕を組み、じっと見つめてきている
すると、ドクターが辰也が部屋を出るのを待っていたようだった
腕を組み、じっと見つめてきている
「…あの馬鹿が迷惑かけたな。それじゃあ」
「少し、待ちたまえ。できれば、彼に渡した薬を分けてもらえるとありがたい」
「少し、待ちたまえ。できれば、彼に渡した薬を分けてもらえるとありがたい」
彼を治す意味でも、というドクターの言葉に
辰也は一瞬、悩んだようだったが…ピルケースに入りきらなかった分の、その錠剤を渡した
どす黒いそれを、ドクターはじっと見詰める
辰也は一瞬、悩んだようだったが…ピルケースに入りきらなかった分の、その錠剤を渡した
どす黒いそれを、ドクターはじっと見詰める
「…何の薬だね?」
「都市伝説存在固定剤。「組織」があいつに投与していた物より効果は薄いが、代わりに常習性は薄まっている」
「都市伝説存在固定剤。「組織」があいつに投与していた物より効果は薄いが、代わりに常習性は薄まっている」
「組織」で黒服Hがメンテナンスの度に投与されていた「都市伝説存在固定剤」
…それは本来、都市伝説になりかけた存在を、強制的に都市伝説として存在を固定する物
それによって都市伝説になった存在は、その薬を摂取し続けなければ生きられない、薬を切らせば死ぬ……劇薬のような薬でもある
…それは本来、都市伝説になりかけた存在を、強制的に都市伝説として存在を固定する物
それによって都市伝説になった存在は、その薬を摂取し続けなければ生きられない、薬を切らせば死ぬ……劇薬のような薬でもある
「彼は、この手の薬で都市伝説化した存在と言う訳でもあるまい。この薬のせいで黒服になるとは思えないからな…何故、この薬が彼に必要なのか、わかるかい?」
「……さぁな」
「……さぁな」
視線を逸らし、辰也は曖昧に答えた
…確信はないが、心当たりはある
だが、それを口にするつもりは、今のところはなかった
口に出してしまえば、それが確信に変わってしまうような、そんな錯覚すら、覚える
…確信はないが、心当たりはある
だが、それを口にするつもりは、今のところはなかった
口に出してしまえば、それが確信に変わってしまうような、そんな錯覚すら、覚える
「少なくとも、あいつはその類の薬を飲まないと、体が持たない。特に、「組織」の黒服としての能力を使った後が、きついみたいだな。体の内部がゆっくりと消滅していくらしい」
「……消滅?」
「あぁ。今は何やったんだか、即座にそれが修復される状態みてぇだが…」
「……消滅?」
「あぁ。今は何やったんだか、即座にそれが修復される状態みてぇだが…」
それが、「切り札」の力なのだろう
…何を、体内に仕込んでいるのか、それに関しても心当たりが出てきてしまう
…何を、体内に仕込んでいるのか、それに関しても心当たりが出てきてしまう
「それじゃあ、渡すもんは渡したし、帰るぞ。あの馬鹿が何かセクハラの類をやらかそうとしたら、殴って止めとけ。それでも止まるかどうかは知らんが」
「患者に暴力をふるうつもりはないがね」
「患者に暴力をふるうつもりはないがね」
苦笑するドクターに、辰也は背を向けて…
……ふと、思い出したように、告げる
「そうだ、あの小さな餓鬼二人…それの、妹っぽい方。あいつ、何の都市伝説の影響を受けてる?」
「…?どう言う事だい?」
「本人が気づいてるかどうか知らねぇが、何か、本人が契約してんのと、別の都市伝説の気配が中にあるぞ」
「…?どう言う事だい?」
「本人が気づいてるかどうか知らねぇが、何か、本人が契約してんのと、別の都市伝説の気配が中にあるぞ」
お前達の身内の能力じゃないのか?と
やや、警戒したように言ってくる辰也
ドクターは、その言葉に難しい表情を浮かべる
やや、警戒したように言ってくる辰也
ドクターは、その言葉に難しい表情を浮かべる
「……まぁ、俺の言葉を信じるも信じないも、あんた次第だがな」
と、それだけ告げて
今度こそ、辰也は診療所を後にしたのだった
今度こそ、辰也は診療所を後にしたのだった
to be … ?