---まだ速い、と自覚はしていた
あともう少しとは言え、まだ大学を卒業してもいないのに、何をしているのか、と自問自答もした
…それでも、俺は彼女に指輪を渡した
あともう少しとは言え、まだ大学を卒業してもいないのに、何をしているのか、と自問自答もした
…それでも、俺は彼女に指輪を渡した
「気に入らなかったら、受け取らなくてもいい。気に入ったなら…好きな指に、つけておけ」
そう言って、渡したそれを
彼女は、微笑んで受け取ってくれて
彼女は、微笑んで受け取ってくれて
思えば、あれが最後に見た、彼女の笑顔だった
『…友、どうしたであるか?』
「ん?……あぁなんでもねぇよ」
「ん?……あぁなんでもねぇよ」
同族殺しとの戦いの翌日
ゲデとの連絡の最中、少し意識が飛んでいたらしい
…そこまで、ヤバイ状態になっている自覚はないのだが
ゲデとの連絡の最中、少し意識が飛んでいたらしい
…そこまで、ヤバイ状態になっている自覚はないのだが
『それならいいであるがなぁ?いかに「賢者の石」を体内に仕込んだとは言え、友の体はメンテナンスなしでは、常にギリギリ崖っぷちであるよ。我輩、流石に心配である』
「俺は大丈夫だよ。それより、お前はブリジットの機嫌を損ねない方法でも考えておけ。マッドガッサー達の騒動の後、しばらく姿見ねぇと思ったら、彼女に本国に強制連行されてたんだろ?ローゼンクロイツの旦那から聞いたぞ」
『か~~~っらからからから!!我輩のワイフはちょっぴりヤキモチ焼きであるよ』
「俺は大丈夫だよ。それより、お前はブリジットの機嫌を損ねない方法でも考えておけ。マッドガッサー達の騒動の後、しばらく姿見ねぇと思ったら、彼女に本国に強制連行されてたんだろ?ローゼンクロイツの旦那から聞いたぞ」
『か~~~っらからからから!!我輩のワイフはちょっぴりヤキモチ焼きであるよ』
からからと、電話口の向こうでゲデが笑う
…だが、その声はすぐに真面目な調子に戻った
…だが、その声はすぐに真面目な調子に戻った
『……本当、友はもっと、自分の体の状態を自覚するべきであるよ。このままでは、友は長くもっても…』
「…わかってるって」
「…わかってるって」
自分の体のことだ
今のまま、まともなメンテナンスを受けない状態で、どれだけ体が持ってくれるか
…そのタイムリミットくらいは、わかる
今のまま、まともなメンテナンスを受けない状態で、どれだけ体が持ってくれるか
…そのタイムリミットくらいは、わかる
「死ねぇよ、俺は。護ると約束した相手がいるからな………それに」
周囲に、誰もいない事をいい事に
暗く、暗く、笑う
暗く、暗く、笑う
「…俺とあいつの復讐は、まだ終わっちゃいないからな」
『復讐が終わったら、死ぬつもりではないであるな?』
「何言ってんだ、護ると約束した相手が居るって言ってるだろ?少なくとも、彼女が生きている間は、俺も死ぬつもりはねぇよ」
『復讐が終わったら、死ぬつもりではないであるな?』
「何言ってんだ、護ると約束した相手が居るって言ってるだろ?少なくとも、彼女が生きている間は、俺も死ぬつもりはねぇよ」
そうだ
護ると約束した
だから、彼女を護る為に、死ぬ訳にはいかない
護ると約束した
だから、彼女を護る為に、死ぬ訳にはいかない
「お前の見立てじゃあ、彼女は当分死なないんだろ?」
『その通りであるよ。彼女は当分、我輩がお迎えに行く必要ナッスィング!!!である』
「なら、問題ねぇって。俺は死なないさ」
『その通りであるよ。彼女は当分、我輩がお迎えに行く必要ナッスィング!!!である』
「なら、問題ねぇって。俺は死なないさ」
それじゃあな、と通話を切って
…小さく、小さく、呟く
…小さく、小さく、呟く
「あぁ、そうだ、彼女が生きている限り…死ぬ訳には、いかねぇからな」
そう、死ねない
約束を守る
約束を守る
その行為は自分にとって、数少なく、自分に「人間らしい」部分を自覚できる行為で
…その約束を、破るわけにはいかない
…その約束を、破るわけにはいかない
せめて
「……せめて、佳奈美を護る役目を託せる奴が見付かるまでは…………な」
それまでは
自分は、殺してしまった彼女の元へはいけないだろう
いや、自分と彼女が、死後、同じ場所にいけるとは思ってはいないが
自分は、殺してしまった彼女の元へはいけないだろう
いや、自分と彼女が、死後、同じ場所にいけるとは思ってはいないが
あの血溜まりの中
自分が殺してしまった彼女の肉片が散らばっている中
落ちていた、彼女の左手の薬指に……自分が渡した指輪がはめられていた事を、思い出しながら
自分が殺してしまった彼女の肉片が散らばっている中
落ちていた、彼女の左手の薬指に……自分が渡した指輪がはめられていた事を、思い出しながら
黒服Hは小さく咳き込み、ピルケースからどす黒い錠剤を数錠取り出し、一気に飲み込んだのだった
to be … ?