こつ、こつ、こつ
夜道に、ハイヒールの音が響く
こつ、こつ、こつ
暗い夜道を、広瀬 美緒は一人、帰路に付いていた
普段ならタクシーを使うのだが、この日は珍しく、徒歩で帰宅していたのだ
こつ、こつ、こつ
彼女のはいているハイヒールの音が、静かな夜道に響き渡る
夜道に、ハイヒールの音が響く
こつ、こつ、こつ
暗い夜道を、広瀬 美緒は一人、帰路に付いていた
普段ならタクシーを使うのだが、この日は珍しく、徒歩で帰宅していたのだ
こつ、こつ、こつ
彼女のはいているハイヒールの音が、静かな夜道に響き渡る
こつ、こつ、こつ
……ひた、ひた、ひた
……ひた、ひた、ひた
「………」
……何か
何か、誰かが、ついてきている足音
こちらから、一定の距離を保って付いて来る足音
ただ、同じ道を歩いているだけの相手か
それとも、変質者か通り魔か
それとも……都市伝説か
広瀬は、判断に迷う
同じ道を歩いているだけの相手なら、いい
変質者か通り魔なら、自分が対応すればいい
……だが、都市伝説相手で、あったならば
自分が対応しきれる相手ではない
自分は、都市伝説契約者ではないのだ
何の力も持たない、ただの人間
もし、万が一襲われたならば、対処のしようがない
何か、誰かが、ついてきている足音
こちらから、一定の距離を保って付いて来る足音
ただ、同じ道を歩いているだけの相手か
それとも、変質者か通り魔か
それとも……都市伝説か
広瀬は、判断に迷う
同じ道を歩いているだけの相手なら、いい
変質者か通り魔なら、自分が対応すればいい
……だが、都市伝説相手で、あったならば
自分が対応しきれる相手ではない
自分は、都市伝説契約者ではないのだ
何の力も持たない、ただの人間
もし、万が一襲われたならば、対処のしようがない
「……………」
こつ、こつ、こつ、こつ
ひた、ひた、ひた、ひた
ひた、ひた、ひた、ひた
一定の距離を保ち続ける足音
…このように、夜道で人の後を付いて来る都市伝説は、古来より無数に存在する
ただ、付いて来るだけ…と言う者もいれば、立ち止まった瞬間に襲い掛かってくるような相手もいる
…このように、夜道で人の後を付いて来る都市伝説は、古来より無数に存在する
ただ、付いて来るだけ…と言う者もいれば、立ち止まった瞬間に襲い掛かってくるような相手もいる
どうする?
……どうする?
……どうする?
広瀬は、判断に悩みながら歩き続ける
まだ、自宅までは遠い
「組織」の、黒服Hに連絡を取るべきか…
…いや、ダメだ
まだ、都市伝説相手と決まった訳ではない
それに…できれば、あの男とは顔を合わせたくないのだ
まだ、自宅までは遠い
「組織」の、黒服Hに連絡を取るべきか…
…いや、ダメだ
まだ、都市伝説相手と決まった訳ではない
それに…できれば、あの男とは顔を合わせたくないのだ
こつ、こつ、こつ、こつ、こつ、こつ、こつ、こつ
ひた、ひた、ひた、ひた、ひた、ひた、ひた、ひた
ひた、ひた、ひた、ひた、ひた、ひた、ひた、ひた
こつ、こつ、こつ、こつ、こつこつこつこつこつこつこつこつ
ひた、ひた、ひた、ひた、ひたひたひたひたひたひたひたひた
ひた、ひた、ひた、ひた、ひたひたひたひたひたひたひたひた
早足になれば、それにあわせるように早足になる
…どうする?
思案をめぐらせていて……そのせい、だったろうか
…どうする?
思案をめぐらせていて……そのせい、だったろうか
こつこつこつこつこつこつこつこつこつっが!!!
「------っ!?」
小石か何かに、躓いてしまっただろうか
躓き、そのまま転んでしまう
ぐきりっ
その拍子に………足首も、捻ってしまった
無様に、地面に倒れこむ
躓き、そのまま転んでしまう
ぐきりっ
その拍子に………足首も、捻ってしまった
無様に、地面に倒れこむ
その、瞬間
おぉぉん………と、遠吠えのような音が、聞こえてきて
おぉぉん………と、遠吠えのような音が、聞こえてきて
「……っ!?」
自分の後をついてきていた存在を、初めて認識する
それは、犬……いや、違う
狼だ
ギラギラと瞳を輝かせ、広瀬を見つめるその様子は……獲物を狙う、野生動物そのもの
それは、犬……いや、違う
狼だ
ギラギラと瞳を輝かせ、広瀬を見つめるその様子は……獲物を狙う、野生動物そのもの
「…っ送り狼、ですか…!」
日本の、古来の民間伝承
夜道を一人で歩いていると、後ろから送り狼が付いて来る
送り狼は、対象が足を止めたり転んだ瞬間を狙って襲ってくる
だから、脚を止めたり転ぶ時は、休憩を装わなければいけない…それならば、送り狼は襲っては来ないから
夜道を一人で歩いていると、後ろから送り狼が付いて来る
送り狼は、対象が足を止めたり転んだ瞬間を狙って襲ってくる
だから、脚を止めたり転ぶ時は、休憩を装わなければいけない…それならば、送り狼は襲っては来ないから
途中転ぶ事なく、帰る事ができたならば…送り狼に狙われる事はない
むしろ、その場合、送り狼は旅人の守護者になりうるのだから
むしろ、その場合、送り狼は旅人の守護者になりうるのだから
今から、休憩したふりを、しても…
…もう、間に合わない
…もう、間に合わない
送り狼は雄叫びをあげて、広瀬に襲い掛かる
咄嗟に、懐から銃を取り出そうとした
だが、それも間に合いそうにない
送り狼の牙は、広瀬の首元を狙って………
だが、それも間に合いそうにない
送り狼の牙は、広瀬の首元を狙って………
-------っぱ、と
鮮血が、飛び散る
鮮血が、飛び散る
「………え?」
どさり
送り狼の首が………落ちた
どさり
その体も落ちて……その体は、光の粒子となって消えていく
送り狼の首が………落ちた
どさり
その体も落ちて……その体は、光の粒子となって消えていく
「大丈夫ですか?」
「…あなた、は」
「…あなた、は」
…刀を持った青年
それは、以前…男性を襲う卑猥な都市伝説の退治を、依頼した「組織」所属の都市伝説契約者だ
確か、名前は…
それは、以前…男性を襲う卑猥な都市伝説の退治を、依頼した「組織」所属の都市伝説契約者だ
確か、名前は…
「影守蔵人さん、でしたか」
「はい」
「はい」
…無様な所を見られてしまった
広瀬は、小さくため息をついた
広瀬は、小さくため息をついた
「危ない所を助けていただき、ありがとうございます」
「いえ、「組織」所属の者として、当然の事をしただけですよ…あの、立てますか?」
「腰は抜けていません。問題はありません」
「いえ、「組織」所属の者として、当然の事をしただけですよ…あの、立てますか?」
「腰は抜けていません。問題はありません」
そう答えて、立ち上がろうとして
-----ずきり
捻ってしまった足に、激痛が走る
-----ずきり
捻ってしまった足に、激痛が走る
「大丈夫ですか?…あぁ、足を捻ってしまったんですね」
「…問題ありません」
「…問題ありません」
これ以上、無様な姿を見せる訳には行かない
無理にでも立ち上がろうとして…しかし、強く捻ってしまったのか、立ち上がれない
そうしていると……ふわり
広瀬の体が、浮かんだ
無理にでも立ち上がろうとして…しかし、強く捻ってしまったのか、立ち上がれない
そうしていると……ふわり
広瀬の体が、浮かんだ
「…何をなさるのですか?」
「え?」
「え?」
すぐに、自分の状態を自覚する
…この青年に、抱き上げられたのだ
横抱きの体勢で
…この青年に、抱き上げられたのだ
横抱きの体勢で
「歩けないんでしょう?家まで送りますよ」
「…タクシーを呼びますから。このようなことをしていただく必要はありません。降ろしてください。さもなくば訴えますよ。勝ちますよ」
「タクシーが来るまでに、別の都市伝説に襲われたらどうするんですか…ほら、家は、どっちの方向ですか?」
「…タクシーを呼びますから。このようなことをしていただく必要はありません。降ろしてください。さもなくば訴えますよ。勝ちますよ」
「タクシーが来るまでに、別の都市伝説に襲われたらどうするんですか…ほら、家は、どっちの方向ですか?」
…反論しても無駄、ということか?
広瀬は、再び小さくため息をつく
広瀬は、再び小さくため息をつく
「…せめて、この体勢はどうにかならないでしょうか?」
「何か問題がありますか?」
「何か問題がありますか?」
……この、青年は
せめて、この横抱きの体勢は、やめてほしい
思い出してしまうから
自分の兄も、自分が転んだりして、歩けなくなってしまった時、こうやって横抱きに抱き上げてくれた
小さな頃はそれを無邪気に喜んだが、大きくなってきてからは、それが恥ずかしくなって
でも、どんなに反論しても、兄はそれをやめてくれなかった覚えがある
思い出してしまうから
自分の兄も、自分が転んだりして、歩けなくなってしまった時、こうやって横抱きに抱き上げてくれた
小さな頃はそれを無邪気に喜んだが、大きくなってきてからは、それが恥ずかしくなって
でも、どんなに反論しても、兄はそれをやめてくれなかった覚えがある
やめて、やめて
いなくなってしまった兄さんを、思い出してしまうから
いなくなってしまった兄さんを、思い出してしまうから
「………辰也、兄さん………」
「え?」
「え?」
思わず、小さく、兄の名前を口にした広瀬
首を傾げた青年と、目を合わせる事もできず、告げる
首を傾げた青年と、目を合わせる事もできず、告げる
「…何でも、ありません…」
…どうして、こんな年下の青年相手に、兄を思い出してしまったのか
広瀬は、己の中に浮かぶその想いを、必死に振り払うのだった
広瀬は、己の中に浮かぶその想いを、必死に振り払うのだった
to be … ?