それは、同族殺しの襲撃で破壊された「第三帝国」のドクターたちの診療所の修復改築工事が終わった頃の事
「……うん?」
お使いから帰って来たバイト君は、診療所に入る直前、視線を感じて立ち止まった
…敵意は感じない
しかし、どこか、探ってきているような視線だ
視線の先を探ると、そこには
…敵意は感じない
しかし、どこか、探ってきているような視線だ
視線の先を探ると、そこには
「…子供?」
黒いゴスロリ服を纏い、黒いレース生地の日傘を差した少女が
じっと、じっと、バイト君を…否
診療所を、見つめていた
じっと、じっと、バイト君を…否
診療所を、見つめていた
……敵、だろうか?
かすかに警戒するバイト君
敵意は感じないし、見かけは子供に見えるが、油断はできまい
かすかに警戒するバイト君
敵意は感じないし、見かけは子供に見えるが、油断はできまい
どう、対応したらいいものか、その判断に迷っていると
「うん?どうしたのかね?」
がちゃり
入り口の前で立ち止まっていたバイト君を、不審に思ったのだろうか
ドクターが、診療所から顔を出した
入り口の前で立ち止まっていたバイト君を、不審に思ったのだろうか
ドクターが、診療所から顔を出した
「あ、ドクター。その…」
「…おや、随分と可愛らしいお嬢さんだ」
「…おや、随分と可愛らしいお嬢さんだ」
ドクターも、すぐにその視線に気付いた
そして、すぐにバイト君は気づく
ドクターの姿を確認した途端…少女の視線に、鋭さが増した事に
そして、すぐにバイト君は気づく
ドクターの姿を確認した途端…少女の視線に、鋭さが増した事に
てとてとてと
少女が、ゆっくりと、バイト君とドクターに歩み寄ってくる
少女が、ゆっくりと、バイト君とドクターに歩み寄ってくる
「…ドクター、念のため、診療所の中に」
「敵意は感じない。それに、どうやらあの少女は、僕に用があるようだ。あんな可愛らしいお嬢さんが会いに来てくれたに、相手をしない訳にはいかないだろう」
「敵意は感じない。それに、どうやらあの少女は、僕に用があるようだ。あんな可愛らしいお嬢さんが会いに来てくれたに、相手をしない訳にはいかないだろう」
えぇい、この人は!!
バイト君が突っ込みの言葉を入れるよりも、前に
バイト君が突っ込みの言葉を入れるよりも、前に
「お前が、「第三帝国」所属の、ドクターかの?」
と、少女が、外見に似合わぬ、どこか年寄りめいた話し方で、そう話しかけてきた
ふむ、とドクターは少女と視線を合わせるよう屈んで、答える
ふむ、とドクターは少女と視線を合わせるよう屈んで、答える
「その通りだが、君は?」
「妾か?妾はヘンリエッタ・ホークウッドと言う者じゃ」
「妾か?妾はヘンリエッタ・ホークウッドと言う者じゃ」
ドクターの問いかけに、少女…ヘンリエッタは、正直にそう答えてきた
そして、じっと、じっと
じっと、ドクターを
…否、ドクターの、豊満な胸元を見詰めてくる
そして、じっと、じっと
じっと、ドクターを
…否、ドクターの、豊満な胸元を見詰めてくる
「むむぅ……」
そして
今度は、じっと…己の、平たい胸元に視線を落としている
ヘンリエッタは、何度か交互に、ドクターと自分の胸元を見比べて
今度は、じっと…己の、平たい胸元に視線を落としている
ヘンリエッタは、何度か交互に、ドクターと自分の胸元を見比べて
「…H-No.360め。妾よりも、このムチプリを選ぶと言うのか」
と、そうぼそり、呟いた
「……H-No.360……?」
聞き覚えのあるシリアルナンバーに、眉をひそめるドクター
確か、それは、広瀬 辰也の「13階段」内で亡者達が憎悪と共に吐き出していた…
確か、それは、広瀬 辰也の「13階段」内で亡者達が憎悪と共に吐き出していた…
「あやつめ、妾のメンテナンスよりも、こちらのムチプリにメンテナンスされる事を選んだか!?えぇい、妾だって、その気になればこれくらいのムチプリにはなれるというのに!?」
面白くなさそうに、そう言ってくるヘンリエッタの言葉に、ドクターの思考は中断されてしまった
っき!とドクターを睨んでくるヘンリエッタ
…ちょっぴり、悔しそうな涙目なのは、気のせいか
っき!とドクターを睨んでくるヘンリエッタ
…ちょっぴり、悔しそうな涙目なのは、気のせいか
「ムチプリよ!妾からH-No.360は奪わせぬぞ!妾は、絶対あやつを取り返してみせるのじゃ!!」
「あ……」
「あ……」
くるり
踵を返し、走り去ってしまったヘンリエッタ
後には、ドクターと、ヘンリエッタの言葉に呆然としていたバイト君が残される
踵を返し、走り去ってしまったヘンリエッタ
後には、ドクターと、ヘンリエッタの言葉に呆然としていたバイト君が残される
「…ドクター、どこかで、恋人ありの女性を引っ掛けましたか?」
「失礼な、他人のものを奪うのは主義に反する…………H-No.360か………」
「失礼な、他人のものを奪うのは主義に反する…………H-No.360か………」
恐らく、それはあの、髪の伸びる黒服の事
それでは、先程、口走っていた内容から見て、あの少女は…
少女が走り去っていったその先を見つめながら、ドクターは静かに思考を思案の海へと沈ませた
それでは、先程、口走っていた内容から見て、あの少女は…
少女が走り去っていったその先を見つめながら、ドクターは静かに思考を思案の海へと沈ませた
終われ