小さく、咳き込む
口の中に広がった血の味に舌打ちし、錠剤を口内に放り込んだ
口の中に広がった血の味に舌打ちし、錠剤を口内に放り込んだ
長くもって、半年
それが、今の状態が続いた場合の、己の残りの命の時間
残った復讐対象の中に、一筋縄では行かない相手が居る
だからこそ、「賢者の石」を体内に仕込んだ
この状態ならば、そう簡単には殺されないから
だが
それが、今の状態が続いた場合の、己の残りの命の時間
残った復讐対象の中に、一筋縄では行かない相手が居る
だからこそ、「賢者の石」を体内に仕込んだ
この状態ならば、そう簡単には殺されないから
だが
(思ったよりも…俺の体の崩壊が早い、か?)
…つまるところ
そこまで、自分には未練があった、ということか
なんとも、情けない話ではないか
そこまで、自分には未練があった、ということか
なんとも、情けない話ではないか
しかし、後戻りをするつもりはない
前に踏み出したからには、その先に進むまでだ
その先が地獄でしかなかったとしても、もう、自分にはそれしか選択肢がないのだから
前に踏み出したからには、その先に進むまでだ
その先が地獄でしかなかったとしても、もう、自分にはそれしか選択肢がないのだから
「さて、と……とにかく、彼女に会わないとな」
軽く、首を振って思考を切り替える
異常増加している悪魔の囁き
それが、己の担当契約者にとり憑いていないかどうか、確認をとらなければ
まずは、「合わせ鏡に死に顔が映る」と契約している、あの少女から
会う約束は、もうとりつけている
今日は、両親が仕事で家にいないそうだから、家を尋ねて確認するつもりだった
玄関チャイムを鳴らせば、すぐに少女が顔を出してくる
異常増加している悪魔の囁き
それが、己の担当契約者にとり憑いていないかどうか、確認をとらなければ
まずは、「合わせ鏡に死に顔が映る」と契約している、あの少女から
会う約束は、もうとりつけている
今日は、両親が仕事で家にいないそうだから、家を尋ねて確認するつもりだった
玄関チャイムを鳴らせば、すぐに少女が顔を出してくる
「あ、Hさんいらっしゃい。何か、検査するんだっけ?」
「あぁ。まぁ、すぐに終わるから安心しとけ」
「あぁ。まぁ、すぐに終わるから安心しとけ」
家に上がりながら、そう言っておく
検査自体は、一瞬だ
すぐに終わる
検査自体は、一瞬だ
すぐに終わる
「…変な検査じゃ、ないよね?」
「うん?………変な、って、どんなんだ?」
「うん?………変な、って、どんなんだ?」
しゅるり
かすかに髪を伸ばし、ニヤリと笑ってそう言ってやった
さて、どんな反応を返してくれるか?
それを楽しみにしながら、少女を見つめていると
かすかに髪を伸ばし、ニヤリと笑ってそう言ってやった
さて、どんな反応を返してくれるか?
それを楽しみにしながら、少女を見つめていると
「え?あ、その……ぬ、脱ぐ必要とか、あるのかなー?って…」
「………?」
「………?」
…いつもと、反応が違う
いつもなら、もっと、こう……勢いよく…
いつもなら、もっと、こう……勢いよく…
………………
「Hさん?」
ぴたり
足を止めたHの様子に…少女が、首を傾げてきた
じっと、Hは少女を見つめ…サングラスの下、目を細めて、表情を歪ませる
足を止めたHの様子に…少女が、首を傾げてきた
じっと、Hは少女を見つめ…サングラスの下、目を細めて、表情を歪ませる
「…お前、鏡からどうやって出た?」
「え?」
「……佳奈美は、どこだ?まだ、彼女はお前達をこちら側に出せないはずだ…佳奈美を、どうした」
「え?」
「……佳奈美は、どこだ?まだ、彼女はお前達をこちら側に出せないはずだ…佳奈美を、どうした」
きょとん、とHを見つめてくる少女
何か、言おうとして……しかし、何やら頭を振って
にこり、微笑んできた
何か、言おうとして……しかし、何やら頭を振って
にこり、微笑んできた
「どうして、気づいたの?」
「反応が違うんだよ。佳奈美だったら、セクハラに対してはもっとオーバーリアクションで返してくる」
「そう言う判断の仕方もどうかなー」
「反応が違うんだよ。佳奈美だったら、セクハラに対してはもっとオーバーリアクションで返してくる」
「そう言う判断の仕方もどうかなー」
むぅ、と不満そうな少女
…他にも、気づいた理由はある
自分はかつて、これと同じ都市伝説の契約者と接し続けていたのだ
そのせいか、勘が働きやすかったのかもしれない
…他にも、気づいた理由はある
自分はかつて、これと同じ都市伝説の契約者と接し続けていたのだ
そのせいか、勘が働きやすかったのかもしれない
「答えろ。佳奈美をどうした?」
「厳密に言えば、あたしもあたしなんだけど…まぁ、いっか。鏡の中。そうすれば、あたしはずっと消えずにすむでしょ?」
「厳密に言えば、あたしもあたしなんだけど…まぁ、いっか。鏡の中。そうすれば、あたしはずっと消えずにすむでしょ?」
…ゆっくりと
Hは、少女に近づく
少女は、Hから逃げない
Hは、少女に近づく
少女は、Hから逃げない
「それは、お前の意思でやったことか?」
「うん、そうだよ?」
「うん、そうだよ?」
当たり前でしょ?と
少女は、どこまでも無邪気に微笑む
少女は、どこまでも無邪気に微笑む
「…そうかねぇ?」
やや、疑いの眼差しを、少女に向けて
Hは…目の前の、少女の分身から、都市伝説の気配を探ろうとした
「組織」の黒服としての能力
今の彼の体の崩壊を早める力
それを、躊躇なく使って
Hは…目の前の、少女の分身から、都市伝説の気配を探ろうとした
「組織」の黒服としての能力
今の彼の体の崩壊を早める力
それを、躊躇なく使って
「………ったく。よりによって、お前にか………!」
「にゃ?え、Hさん、ちょっと、怖いよ?」
「にゃ?え、Hさん、ちょっと、怖いよ?」
じり、と
Hから離れようとする少女
が、しゅるり
伸びたHの髪が、少女を捕えた
そのまま、自分の目の前まで引き寄せる
Hから離れようとする少女
が、しゅるり
伸びたHの髪が、少女を捕えた
そのまま、自分の目の前まで引き寄せる
「今日、検査にきて良かったよ……いや、もっと早く来るべきだった」
「え、あ、ど、どう言う事?」
「お前の中にいる悪魔の囁きを、駆除する。ちょっとじっとしてろ」
「え、あ、ど、どう言う事?」
「お前の中にいる悪魔の囁きを、駆除する。ちょっとじっとしてろ」
Hの、その言葉に
少女の分身が、ぴくりと体を震わせた
少女の分身が、ぴくりと体を震わせた
「…ヤだよ。あたしだって、人生を楽しみたい。ずっと、鏡の中なんて…誰かの人生を受け取るだけなんて、嫌」
「悪魔の囁きは、そうやってお前を誑かしたか?」
「悪魔の囁きは、そうやってお前を誑かしたか?」
少女の分身にとり憑いてしまった、悪魔の囁き
まだ、そう深くは根付いていない
今の状態ならば、薬で駆除できる
黒服Hが、スーツのポケットから取り出したその小さな薬瓶を、見て
少女の分身が、身を固める
まだ、そう深くは根付いていない
今の状態ならば、薬で駆除できる
黒服Hが、スーツのポケットから取り出したその小さな薬瓶を、見て
少女の分身が、身を固める
「…飲まないからね。絶対に」
そう言って、硬く、口を閉じられた
…注射器で血管に注入する、と言う方法もあるが…残念ながら、今は注射器は手元にない
以前、YがOを正気に戻す為につかった銃弾タイプも、一応持ってはいる
が、自分は拳銃を持っていないため、それは使えない
…注射器で血管に注入する、と言う方法もあるが…残念ながら、今は注射器は手元にない
以前、YがOを正気に戻す為につかった銃弾タイプも、一応持ってはいる
が、自分は拳銃を持っていないため、それは使えない
……あぁ、いや
あの銃弾タイプは、悪魔の囁きを宿した者の体内に入れば、その体内で溶けて薬が効果を発揮するから…
あの銃弾タイプは、悪魔の囁きを宿した者の体内に入れば、その体内で溶けて薬が効果を発揮するから…
「…こっちにしとくか」
「?」
「?」
薬瓶を閉まったHの様子に、少女の分身は首をかしげる
代わりに、Hは小さな、薬入りの銃弾を取り出した
代わりに、Hは小さな、薬入りの銃弾を取り出した
「Hさん?何、を………………っ!?」
その銃弾を、口に含んで
そっと、少女の分身の顎に、手を添えて
そっと、少女の分身の顎に、手を添えて
Hは、少女の分身に口付けた
「-----------っ!!??」
じたばた、じたばた
突然の事に、暴れ出す少女の分身
が、髪で束縛された状態では逃れる事は不可能だ
つ、とHの舌が、少女の分身の口内に入り込んで……銃弾が、少女の口内へと、移動する
突然の事に、暴れ出す少女の分身
が、髪で束縛された状態では逃れる事は不可能だ
つ、とHの舌が、少女の分身の口内に入り込んで……銃弾が、少女の口内へと、移動する
「ん、んん………………ぅ!?」
体内へと入り込んだ銃弾は、溶けて
薬品が、少女の分身の中へと投与される
それは、少女の分身の中の、悪魔の囁きを……まだ、心に深く根付いていなかった、それを
その存在を、完全に消滅させた
薬品が、少女の分身の中へと投与される
それは、少女の分身の中の、悪魔の囁きを……まだ、心に深く根付いていなかった、それを
その存在を、完全に消滅させた
「…さて」
悪魔の囁きは、駆除できたのだが
「そこまで、刺激が強かったかねぇ?」
ぷしゅう
気を失っている少女の分身
さて、口付けされた事が原因で気絶したのか、それとも、悪魔の囁きを駆除した衝撃で気絶したのか、どっちだ
気を失っている少女の分身
さて、口付けされた事が原因で気絶したのか、それとも、悪魔の囁きを駆除した衝撃で気絶したのか、どっちだ
「…まぁ、気絶してくれて…助かった、か」
ごほ、と
急きこみ始めるH
しゅるり、髪を解き、少女の分身を壁に持たれかけさせ、座らせた
急きこみ始めるH
しゅるり、髪を解き、少女の分身を壁に持たれかけさせ、座らせた
咄嗟に洗面台へと向かって……そこで、耐え切れずに吐血した
体内で、崩壊と再生が繰り返され、常人ならば正気を失うほどの激痛がHを襲う
取り出した銃数錠の錠剤を摂取する事で、それは収まったが
体内で、崩壊と再生が繰り返され、常人ならば正気を失うほどの激痛がHを襲う
取り出した銃数錠の錠剤を摂取する事で、それは収まったが
「……あぁ、また、寿命が縮んだか、ね……」
己の体の状態に、Hは苦笑する
「組織」の黒服の能力を使ったことで、また、己の体の崩壊が早まったことを悟る
「組織」の黒服の能力を使ったことで、また、己の体の崩壊が早まったことを悟る
「…まぁ、いい……佳奈美を助ける事の方が、優先だ」
約束したから
自分を、化け物ではなく人間と呼んでくれた彼女との、約束だから
自分を、化け物ではなく人間と呼んでくれた彼女との、約束だから
約束だから?
ただ、それだけか?
ただ、それだけか?
…ただ、それだけだ
彼女との約束を守る
それは、自分に残された数少ない、人間としての要素なのだから
彼女との約束を守る
それは、自分に残された数少ない、人間としての要素なのだから
Hは、自分にそう言い聞かせ続ける
己の本心すら、欺き続けながら
己の本心すら、欺き続けながら
to be … ?