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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-52a

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 世の中には、他人に強い影響を与える存在が少なからずいる
 良い意味でも、悪い意味でも、本人の望む望まざるに関わらず、そう言う連中は他人に影響を与え続ける

 例えば、あの究極のお人好しの黒服
 優しすぎて、どこまでも真っ直ぐで、間違いなく、生善説を信じているであろう男
 あの考え方を甘いと考えながらも、その理想に惹かれる者は少なくない
 優しさに慣れない人間が、あの優しさに触れてしまえば、ころりと心はあの男に傾くだろう
 あの黒服に、その自覚は全くない
 だからこそ厄介で、その優しさはどこまでも他人に浸透し影響を与え続ける

 例えば、あの最悪の殺人鬼、ハーメルンの笛吹き男
 あの男の言葉は、麻薬だ
 他人の心に、相手すら知らぬままに浸透していくかのような麻薬
 恐らくは、あの男もそれをある程度自覚している
 そして、自分の言葉で踊らされる相手を見下しているかのような、そんな男
 あの男の言葉を長く聞いていてはいけない
 あんな野郎の暗示になんざ、かかって溜まるか


 もう一人、麻薬のような男を知っている
 そいつも、恐らく自分がそのような存在である事を自覚している
 いや、むしろ、そのような存在であろうとしている節すらある

 あの男はせんみつだ
 せんみつであろうとしている
 この世の何もかも、自分に関わる全てを欺き
 己の本心すら欺こうとしている

 その言葉で他人を煙に巻き続ける
 己の真の本心を悟らせぬまま生き続け、牙を隠し続けている
 牙を剥くべき相手が残っている限り
 その牙は折られる事なく、砥がれ続ける

 牙剥くべき対象は、残り四人
 その全てに牙を剥いたならば、あの男はどうするつもりなのか

 あの男と言う麻薬の影響を受けている俺は、ある程度の予測がついている
 だが、それを止める資格が自分にあるとは思えないし
 別に、それを止める理由も、俺には存在しない



『あー?お前、名前ないのか?』
『ある訳ないだろ。俺は実験体だぞ』
『……ったく、これだから上層部の連中は……よし、じゃあ、俺が名前をつけてやる』
『…は?』
『ついでだ。色々と教えてやるよ』
『………何を』
『全てを』



「……」

 ふとした拍子に思い出したその記憶に、広瀬辰也は小さく首を振った
 確かに、まぁ、名前をつけられたことには、それなりに感謝はしているが
 だが、この名前が何なのか知った今では、複雑さもある
 それでも、自分はこの名前にすがるしかない現実がある
 自分にはこの名前以外、名前が存在しないのだから

 買出しの帰り道、荷物を抱えて帰路に着く
 …毎日、誰かしらが買出しに行かなければいけない理由は…まぁ、一つしかない
 マリは、人食いを自重している最中だ
 ならば、普通の食料が大量に必要に決まっている
 …いや、多分、人食いを自重していても、あそこまで食べる必要性は、多分、ない
 だと言うのにあれだけ食べるのは…つまるところ、「食欲」と言う欲望に忠実なだけだ
 様々な意味で、マリは欲望に忠実なのだから

 教会への帰路、そんな事を考えながら繁華街を歩いていると

「……お、辰也、買出しか?」
「ん?……宏也か」

 知り合いに声をかけられ、辰也は足を止めた
 そこにいたのは、知り合いの…認めたくはないが、恩のある黒服
 そして、その黒服の隣には、高更生くらいと思われる少女がいた

「Hさん、知り合い?」
「あぁ。俺の息子だ」
「え!?」
「嘘付け」

 即座に、黒服の言葉を否定する
 無茶を言うな
 自分の年齢は、そろそろ、この黒服の外見年齢に近づきつつある
 息子で通じる訳がないだろう
 呆れたように黒服を睨み、辰也は少女に視線をやった
 黒服をHと呼んだ辺りを見ると、恐らくは「組織」の関係者か
 そう言えば、こいつは自分が「組織」に居た時点で、二人の契約者の担当をしていた
 その片割れという事か

「どうでもいいが、援助交際に間違われないようにしとけ」

 買い物をした帰りなのだろうか
 少女が、服などを購入したのだろう買い物袋を持っているのを見て、嫌味交じりにそう言ってやった
 くっく、と黒服は笑ってくる

「なぁに、そうは見られないさ」

 いや
 わりと高い確立でその可能性はあるだろう
 そう言いたかったが、言っても無駄な気がして、辰也は言葉にださなかった
 …この男に、口で勝てる自信もない

「…とりあえず、人前でのセクハラだけ、自重しておけ」
「なぁに、その内耐性がつく」
「耐性って、どんな!?」

 黒服の言葉に、少女が盛大に突っ込んでいる
 どんな耐性か想像はついたが…言わないで置こう
 面倒くさい
 それに、いつまでも重い荷物を抱えていたくない
 さっさと帰ろうと、黒服達の前から立ち去ろうとして…伝えるべき事があった事を思い出し、そちらに視線をやる

「そうだ、宏也」
「うん?」
「お前が諦めた事、実現した奴がいるぞ」


 -----一瞬
 黒服の顔から、表情が消える


 だが、それはほんの一瞬の事で
 すぐに、いつものヘラヘラとした笑い顔に戻った

「そうかい。今度、詳しい事を聞かせてもらおうか」
「わかっている…それじゃあ」

 今度こそ、黒服達の前から立ち去る
 あの黒服が諦めた事…それは、実現された
 時間がかかるとは言っていたが、叶えられるのだ
 あの黒服は、元人間
 ただの都市伝説を人間に変えるよりは、元に戻すという事になる、そちらの方が、意外と処置は早く済むかもしれない
 問題は…

「…俺達の復讐が終わっていない事、か」

 ---残りは、四人
 その全てを殺すまで、あの黒服がそれを承諾するかどうか
 問題は、そこなのだ


 そして
 あの黒服が、人間に戻った時
 決断しなければならぬ事実がある事から、広瀬辰也は、目を逸らす事が、できない




「Hさん、宏也って呼ばれてたけど…」
「あぁ、俺の人間としての名前だよ。身分証明書に「H」って書いとく訳にもいかないだろ」

 なるほどー、と納得している少女…佳奈美の分身が、納得したような声をあげた
 本体を鏡に引き込んでしまった分身
 悪魔の囁きを駆除したものの、一度こちら側に来たからには色々と楽しみたいようで
 いくつかの願いをかなえてやるために、付き合っていたのだ
 これで、多分、佳奈美をこちらに戻してくれるだろう

「…さて、次はどうしたんだ?」
「あ、あの歌手のおねーさんのCD出るって聞いたから、お店に並んでるか見たいんだけど…」
「愛華のか?それだったら、今度、お前に直接渡すって言ってたぞ?」

 佳奈美の分身とそうやって歩いていると…ふと、分身はうーん、と考え込む表情を浮かべる

「どうした?」
「んー…こうしてるとこ、歌手のおねーさんに見付かったら悪いかなー、って」
「そうか?」

 そうだよ、と少々複雑そうな表情の分身


 その複雑さの理由に気づきながら
 黒服は、それに気づかぬふりをした








 わかっています
 私の想いはあなたに届く事はないと

 知っています
 あなたが私の想いに気付きながら、それに答えるつもりはないと

 気づいています
 あなたの心を捕えて、放さない人がいる事に



                    aika harukaze







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