ふい、と顔をそらした佳奈美
その佳奈美に、Hはそっと、手を伸ばし
その佳奈美に、Hはそっと、手を伸ばし
「----にゃっ!?」
ぽふん、と
優しく、その体を抱きしめた
突然の事に、佳奈美はきょとんとして
優しく、その体を抱きしめた
突然の事に、佳奈美はきょとんとして
「…え、ええええ、Hさん!?」
ぼしゅう!!
己の状態を理解し、頬を赤らめる
己の状態を理解し、頬を赤らめる
「……悪かった」
「え」
「もう少し早く、悪魔の囁きの検査に来ていれば、あぁはならなかった」
「え」
「もう少し早く、悪魔の囁きの検査に来ていれば、あぁはならなかった」
分身が悪魔の囁きに憑かれたと、もっと早くわかっていれば
佳奈美が、鏡の世界に閉じ込められる事もなかった
佳奈美が閉じ込められてすぐ、状況を把握できたから、良かったものを
そうじゃなければ…どうなっていたか、わからない
佳奈美が、鏡の世界に閉じ込められる事もなかった
佳奈美が閉じ込められてすぐ、状況を把握できたから、良かったものを
そうじゃなければ…どうなっていたか、わからない
約束、したと言うのに
その約束を護れぬところだった
その約束を護れぬところだった
「え、ぁ、そ、その…だ、大丈夫だよ、結局、何とかなったんだし」
あぅあぅと
うまく、言葉をつむぎだせずに…それでも、何とかそうHに告げた佳奈美
その佳奈美を、Hは真正面からじっと見詰め…
うまく、言葉をつむぎだせずに…それでも、何とかそうHに告げた佳奈美
その佳奈美を、Hは真正面からじっと見詰め…
そして、告げる
「…解除してもいいだぞ?」
「にゃ?」
「合わせ鏡の、契約を。そうすれば、もう今回のような経験することもないだろ…それに」
「にゃ?」
「合わせ鏡の、契約を。そうすれば、もう今回のような経験することもないだろ…それに」
都市伝説と契約し、都市伝説契約者でいる限り
自然と、都市伝説同士は引かれ合い、必ず遭遇してしまうから
自然と、都市伝説同士は引かれ合い、必ず遭遇してしまうから
「…都市伝説に襲われる事も、少なくなるだろ。学校町って場所だから、0になるとは言い切れないが」
「え、でも…そうなると」
「まぁ、「組織」のことやら何やらは、忘れてもらう事になるけどな」
「え、でも…そうなると」
「まぁ、「組織」のことやら何やらは、忘れてもらう事になるけどな」
…記憶消去装置は、銃と違って、いつでも持ち歩いている
もし、ここで、佳奈美が合わせ鏡との契約を解除して
都市伝説契約者であると言う立場を、放棄するならば…自分は、佳奈美から、都市伝説やら「組織」やらの記憶を、消去するだけだ
……己の事を、含めて
もし、ここで、佳奈美が合わせ鏡との契約を解除して
都市伝説契約者であると言う立場を、放棄するならば…自分は、佳奈美から、都市伝説やら「組織」やらの記憶を、消去するだけだ
……己の事を、含めて
「どうする?」
じ、と佳奈美を見つめ続け、尋ねる
佳奈美は、Hをじっと、見つめ返して…
佳奈美は、Hをじっと、見つめ返して…
……そして、やんわりと笑みを浮かべて、答えた
「…ううん、解除しないよ」
「いいのか?」
「うん。そりゃあ、その。使い道なさそうなどころか、今回みたいな目にあったり、毎回分身にからかわれてばっかりだけどさ…」
「いいのか?」
「うん。そりゃあ、その。使い道なさそうなどころか、今回みたいな目にあったり、毎回分身にからかわれてばっかりだけどさ…」
でも、と
かつてあった出来事を思い出したように、佳奈美は続ける
かつてあった出来事を思い出したように、佳奈美は続ける
「契約していたから、私はHさんや、歌手のおねーさんと知り合えたから」
もし、都市伝説契約者では、なかったら
きっと、出会う事はなかっただろうから、と
きっと、出会う事はなかっただろうから、と
「契約、していたから……秋祭りの時、ちょっとだけかもしれないけど。誰かの役に、たてたから」
Hや、Dが教えてくれた
合わせ鏡の力のお陰で、「鮫島事件」の発動を阻止する事ができた、と
合わせ鏡の力のお陰で、「鮫島事件」の発動を阻止する事ができた、と
「どれもこれも、契約していなかったら…私は、関わる事ができなかったから」
それに、と
佳奈美は、Hに笑って見せた
佳奈美は、Hに笑って見せた
「都市伝説とか「組織」のこと、忘れなきゃ駄目なんでしょ?…Hさんとか、歌手のおねーさんの事も」
「…そうだな」
「それは、嫌だから」
「…そうだな」
「それは、嫌だから」
だから
「契約したままで、いいの……その、もしかしたら、またHさんに迷惑、かけちゃうかもしれないけど…」
「……そうか」
「……そうか」
抱きしめたままの、その佳奈美の頭を
Hは、酷く優しく撫でた
Hは、酷く優しく撫でた
「お前がそう決めたなら、それでいいさ。俺が口出しする問題じゃない」
佳奈美が決めたのならば
自分は、ただ、護るだけだ
約束を、護る為に
自分は、ただ、護るだけだ
約束を、護る為に
タダ、ソレダケノタメニ?
「とりあえず、何かあったら、すぐ連絡するようにな?」
「うん。わかった……その、ありがとう」
「うん。わかった……その、ありがとう」
ぽしゅ、と
抱きしめられたままの体勢のままか、佳奈美はまた、ほんのりと頬を赤らめてきて
その様子を見て、Hは笑い……しゅるり
一瞬、髪を伸ばした
抱きしめられたままの体勢のままか、佳奈美はまた、ほんのりと頬を赤らめてきて
その様子を見て、Hは笑い……しゅるり
一瞬、髪を伸ばした
---己の中で動いた感情から、目をそらして
あなたの心を縛る鎖を絡めた人は
きっと、もうこの世にはいないのでしょう
きっと、もうこの世にはいないのでしょう
その人だけが解ける鎖は
もう、二度と解けぬままなのでしょう
もう、二度と解けぬままなのでしょう
もし
もし、解ける人がいたとしても
それは、私ではないのです
もし、解ける人がいたとしても
それは、私ではないのです
aika harukaze