それは、6年程前のこと
黒服H-No.360と呼ばれる存在が、人間ではなくなってから、5年ほど経ち…ようやく、H-No.0とG-No.1によって、その身柄を確保された頃の事
黒服H-No.360と呼ばれる存在が、人間ではなくなってから、5年ほど経ち…ようやく、H-No.0とG-No.1によって、その身柄を確保された頃の事
「…すげぇな。体の痛みがほとんどねぇ」
ちゃぷり
液体に全身を浸していたH-No.360は、意識を取り戻し、ゆっくりと上半身を起こした
ぽたり、彼が浸かっていた薬品の雫が、髪から零れ落ちる
液体に全身を浸していたH-No.360は、意識を取り戻し、ゆっくりと上半身を起こした
ぽたり、彼が浸かっていた薬品の雫が、髪から零れ落ちる
この薬品に浸かる前まで…この薬品を投薬されるまで、黒服と化してしまってからずっと感じていた体の内部の痛みが、完全に消えている
H-No.360の言葉に、やや疲れた様子のH-No.0が答える
H-No.360の言葉に、やや疲れた様子のH-No.0が答える
「都市伝説という存在として、内部から崩れてきておった体を固定させたからの…しかし、薬の効果はその内切れる。そうなると、また今回のように薬を投薬せねばならぬ」
「…化け物になっちまった上に、俺は薬なしじゃ生きていけない体になったってか?」
「…化け物になっちまった上に、俺は薬なしじゃ生きていけない体になったってか?」
皮肉気に……そして、憎悪すら込めて、H-No.0に視線をやって、そう言ったH-No.360
彼の言葉に、H-No.0は申し訳無さそうな表情を浮かべて、答える
彼の言葉に、H-No.0は申し訳無さそうな表情を浮かべて、答える
「…すまぬ……何故、お前の体がそのように内側から崩れていってしまうのか、妾達には、まだ理由がわからぬのじゃ。それも、これから調べねばならぬ」
「そうかい」
「そうかい」
まぁ、仕方ないか
H-No.360はざぱり、薬品で満たされた、そのプールのような場所から出る
置かれていたタオルで、適当に体を拭き始める
H-No.360はざぱり、薬品で満たされた、そのプールのような場所から出る
置かれていたタオルで、適当に体を拭き始める
「その内部から崩れていく状態がなんとかなりゃあ、薬ともおさらば、って事か」
「うむ。じゃが、この薬は劇薬と言っても良い代物じゃからの…なるべく早く、これに頼らぬ状態になった方が良いじゃろうな」
「うむ。じゃが、この薬は劇薬と言っても良い代物じゃからの…なるべく早く、これに頼らぬ状態になった方が良いじゃろうな」
原因の究明を急ごう、と言ってきたH-No.0
確かに、その通りなのだろうが…H-No.360からしてみれば、今日はもう、体を調べられるのはこりごりだ
H-No.0が、本当にこちらの事を心配してきているのはわかっているが…彼からして見れば、この少女のような姿をした相手もまた、憎むべき相手の一人でしかない
なるべく、体を弄りまわされたくないのも、また事実
確かに、その通りなのだろうが…H-No.360からしてみれば、今日はもう、体を調べられるのはこりごりだ
H-No.0が、本当にこちらの事を心配してきているのはわかっているが…彼からして見れば、この少女のような姿をした相手もまた、憎むべき相手の一人でしかない
なるべく、体を弄りまわされたくないのも、また事実
「それよりも、お嬢さんよ。あのツギハギ野郎、さっさと治してやった方がいいんじゃねぇのか?あいつ、あの状態じゃ身動きひとつとれねぇだろ?」
…まぁ、あそこまでバラバラにしてやったのは、自分だが
H-No.360の言葉に、H-No.0は考え込んだ様子で……
H-No.360の言葉に、H-No.0は考え込んだ様子で……
「…わかった。妾は、ジェラルドの体を縫い直してくる。お前は、ここで休んでおると良い。ここには、タチの悪い連中も居るでの。なるべく、部屋の外には出ん方が良いじゃろ」
「あぁ、わかった」
「あぁ、わかった」
では、と部屋を後にするH-No.0
…縫えば治るのか、あれ
多分、ツギハギ増えるんだろうなぁ、と他人事のようにH-No.360は考えた
…縫えば治るのか、あれ
多分、ツギハギ増えるんだろうなぁ、と他人事のようにH-No.360は考えた
「………まぁ、いいさ。あのお嬢さんも、あのツギハギ野郎も……存分に、利用させてもらうとするか」
己の、復讐の為に
H-No.360は一人残されたその部屋で、暗く、暗く、笑った
H-No.360は一人残されたその部屋で、暗く、暗く、笑った
この日から
彼の、本格的な復讐は、ゆっくりと始まっていたのだ
彼の、本格的な復讐は、ゆっくりと始まっていたのだ
to be … ?