「セイレーン、か」
「えぇ」
「えぇ」
Tさん達は場所を玄宗姉弟の自宅に移動し、エリカから、彼女が遭遇したコーク・ロア支配型契約者の口をふさいできた相手…セイレーン、もしくはその契約者の話を聞いていた
相手の戦力が、またひとつ判明する
相手の戦力が、またひとつ判明する
「それって、相当厄介じゃね?歌聴いたらアウトなんだろ?」
直希が大量買いしていたタイヤキを分けてもらいつつ、舞がそうぼやく
確かに、歌声を聞いてしまえば操られる、となると、かなり厄介な存在だ
舞の言葉に、エリカはんー、と考えて
確かに、歌声を聞いてしまえば操られる、となると、かなり厄介な存在だ
舞の言葉に、エリカはんー、と考えて
「歌われる前に、やっつけちゃえばいいんじゃないかしら」
と、さらりと言い切ってきた
「少々乱暴だが、それが手っ取り早いといえば、手っ取り早いな」
歌声を聴かないようにする、と言う対策もない訳ではないが、少々面倒だ
やや乱暴ではあるが、エリカの言うとおり、歌われる前に倒してしまうのが得策だろう
ただし、相手は空中を飛び回る能力を有している
そのあたりの対策も、考えなければならないが
やや乱暴ではあるが、エリカの言うとおり、歌われる前に倒してしまうのが得策だろう
ただし、相手は空中を飛び回る能力を有している
そのあたりの対策も、考えなければならないが
「あぁ、それで、相手の顔だけどね…」
そう言って、エリカは紙の上に、さらさらと鉛筆を走らせ始めた
あっと言う間に、似顔絵が完成する
あっと言う間に、似顔絵が完成する
「……こんな感じだったわ」
どうぞ、とエリカは描き終えたその似顔絵を、Tさん達に手渡す
「うわ、写真見てぇ」
「じょうずなの」
「ふふっ、ありがと。おねーさん、絵を描くのがお仕事だから」
「じょうずなの」
「ふふっ、ありがと。おねーさん、絵を描くのがお仕事だから」
舞とリカちゃんの言葉に、エリカは嬉しそうに微笑んだ
似顔絵を見つめ、ふむ、とTさんはその顔を覚えこむ
似顔絵を見つめ、ふむ、とTさんはその顔を覚えこむ
「あの、ゲーム系統の都市伝説といい、空中戦力が二人か。上にも警戒しなければならないと言うのはちと、面倒だな」
「僕ならば、上空への警戒は問題ないのだが」
「僕ならば、上空への警戒は問題ないのだが」
タイヤキを口にしつつ、そう言ってくる直希
確かに、直希の「光輝の書」で天使を呼べば、上空の警戒は心配がない
もっとも、直希がその場にいれば、だが
確かに、直希の「光輝の書」で天使を呼べば、上空の警戒は心配がない
もっとも、直希がその場にいれば、だが
「情報、感謝する」
「こちらこそ。あなた達には、翼君も助けられてるみたいだし。それなら、おねーさんも、あなた達の味方よ」
「こちらこそ。あなた達には、翼君も助けられてるみたいだし。それなら、おねーさんも、あなた達の味方よ」
くすり、微笑むエリカ
…そして、彼女の視線は、舞とリカちゃんに向けられ
キュピリーン!!と、一瞬、光を放ったように見えた
…そして、彼女の視線は、舞とリカちゃんに向けられ
キュピリーン!!と、一瞬、光を放ったように見えた
びくっ!と、何か感じたリカちゃんが、ごそごそと舞の鞄へと避難を開始する
「あぁっ!?逃げないで!!おねーさん、ちょっとお洋服作ってあげたいだけだからっ!?」
「いや、視線が怖いんだよ、色んな意味でっ!」
「いや、視線が怖いんだよ、色んな意味でっ!」
思わず突っ込む舞
エリカ自身に悪気はないのかもしれないが、その……確かに、若干、視線が怖い
エリカ自身に悪気はないのかもしれないが、その……確かに、若干、視線が怖い
「まぁまぁ、そんな事言わないで。さ、おねーさん、ちょっと布と針と糸持ってくるから!」
「この場で作る気かよ!?」
「……申し訳ない。ちょっと、姉さんの好きにさせてくれると、ありがたい」
「この場で作る気かよ!?」
「……申し訳ない。ちょっと、姉さんの好きにさせてくれると、ありがたい」
立ち上がって、自分の部屋に向かったエリカに舞が突っ込むと、少し困っているような表情で、直希がそう言って来た
ぱらり、本をめくりつつ、続ける
ぱらり、本をめくりつつ、続ける
「いくつかの厄介事に首を突っ込んで、どれも問題が滞っている最中。少し、気分転換をしたいのかもしれない…まぁ、服を作るだけならば、問題はないか、と」
「…いや、まぁ、俺はいいけどよ」
「およーふく、もらえるの?」
「…いや、まぁ、俺はいいけどよ」
「およーふく、もらえるの?」
ぴょこん
舞の鞄から顔を出し、首をかしげるリカちゃん
Tさんは、小さく苦笑する
舞の鞄から顔を出し、首をかしげるリカちゃん
Tさんは、小さく苦笑する
「なかなか、元気なお姉さんだな」
「…あぁ、様々な意味で」
「…あぁ、様々な意味で」
小さく、直希がため息をつく
直希からすれば、早く姉を何とかできる存在が待ち遠しいのかもしれない
直希からすれば、早く姉を何とかできる存在が待ち遠しいのかもしれない
「我等が主、お紅茶、お代わりいります?」
「うん?……あぁ、頼む、ハニエル」
「うん?……あぁ、頼む、ハニエル」
ふわり
何時の間にか姿を現していた、長い金髪に真っ赤な花飾りをつけた女性天使が、直希の言葉にはぁい、と頷き、直希のティーカップを持ってキッチンに向かう
その後ろ姿を何気なく見送って、舞が呟く
何時の間にか姿を現していた、長い金髪に真っ赤な花飾りをつけた女性天使が、直希の言葉にはぁい、と頷き、直希のティーカップを持ってキッチンに向かう
その後ろ姿を何気なく見送って、舞が呟く
「あの天使のねーちゃん、こないだ、俺が写真取らせてもらった天使だよな?」
「あぁ。どうにも、君達の傍に居ると心地よいらしくてな。積極的に姿を現したがるようだ」
「…どゆ事??」
「あぁ。どうにも、君達の傍に居ると心地よいらしくてな。積極的に姿を現したがるようだ」
「…どゆ事??」
首をかしげる舞
心地よい??
心地よい??
「あぁ。ハニエルは愛の天使だからな。愛し合う二人の前は、なんとも心地がいいらしい」
「あぁ、なるほ…………へ!?」
「あぁ、なるほ…………へ!?」
ぼしゅっ
思わず、頬を赤らめる舞
いや、その
Tさんとは確かに、その、あれだが
そう、具体的にストレートに言われると、照れてしまう
頬を赤らめている舞の様子に、直希は小さく首を傾げた
思わず、頬を赤らめる舞
いや、その
Tさんとは確かに、その、あれだが
そう、具体的にストレートに言われると、照れてしまう
頬を赤らめている舞の様子に、直希は小さく首を傾げた
「どうかしたのだろうか?」
「あ、いや、その…だってなぁ?Tさん」
「あ、いや、その…だってなぁ?Tさん」
ちらり
Tさんに視線をやる舞
そこで話を振られても困るのだろうか
Tさんは、どう答えたらいいものか、ふと悩んで
Tさんに視線をやる舞
そこで話を振られても困るのだろうか
Tさんは、どう答えたらいいものか、ふと悩んで
…その、悩んでしまったのが、不味かったのだろうか
ふむ、と直希もまた、考え込んで
ふむ、と直希もまた、考え込んで
「愛し合う、という事は、知られると恥ずかしい事なのだろうか?」
と、首をかしげ、舞に尋ねてきた
「あ、いや、その、恥ずかしいっつーか」
…って、何を言おうとしているのだ、自分は?!
つか、聞いて来る方も聞いて来るほうだ、と思うのだが
しかし、舞が突っ込みの言葉を紡ぎだすよりも先に、直希が続けてくる
つか、聞いて来る方も聞いて来るほうだ、と思うのだが
しかし、舞が突っ込みの言葉を紡ぎだすよりも先に、直希が続けてくる
「僕達の両親は、愛し合う事を一切隠す様子がなかったが…そこは、一によって違うのだろうか」
「う、うん、まぁ、違うんじゃね?」
「それは、人それぞれだろうな」
「う、うん、まぁ、違うんじゃね?」
「それは、人それぞれだろうな」
あぅあぅ、何とか言葉を紡ぎだしている舞と、それをフォローしているTさん
ふむ…と、直希はまた、考え込んで、尋ねる
ふむ…と、直希はまた、考え込んで、尋ねる
「…愛する、と言うのは、どう言った感覚なのだろうか?」
「ど、どう言った、って…」
「どうすれば、そのような感情に、気づけるのだろうか?」
「ど、どう言った、って…」
「どうすれば、そのような感情に、気づけるのだろうか?」
感情の薄い淡白な表情で、首を傾げてくる直希
…いっそ、好奇心丸出しの表情で言われれば、まだ、突っ込みやすかっただろうか
何を考えているのかわからぬ表情で尋ねられ、どう答えたらいいものか、わからない
…いっそ、好奇心丸出しの表情で言われれば、まだ、突っ込みやすかっただろうか
何を考えているのかわからぬ表情で尋ねられ、どう答えたらいいものか、わからない
「青年には、その感覚がわからないのか?」
赤くなっている舞の様子に苦笑しつつ、Tさんが逆に直希に尋ねた
すると、直希はふむ…と、また考え込む様子を見せる
すると、直希はふむ…と、また考え込む様子を見せる
「…よく、わからないんだ。どうにも、僕は愛という感情が、よくわからない」
………だから、翼のあの時の辛さを、完全に理解してやれない
小さく、呟かれたその言葉は、少なくとも、耳まで赤くなりつつある舞には、届いていないだろう
小さく、呟かれたその言葉は、少なくとも、耳まで赤くなりつつある舞には、届いていないだろう
「だから、知りたいのだよ。愛という感情について。誰かを愛する、と言うのがどう言う事かについて、ね」
「そ、それって、人に聞いて知ることじゃないんじゃね?」
「わからないからには、経験者に聞くのが一番早いかと」
「そ、それって、人に聞いて知ることじゃないんじゃね?」
「わからないからには、経験者に聞くのが一番早いかと」
じ、と舞とTさんを見つめてくる直希
悪気と言うものは一切なく、純粋にただ知りたくて、尋ねてきているようで
悪気と言うものは一切なく、純粋にただ知りたくて、尋ねてきているようで
「おねーちゃん?おかお、まっかなの」
「そ、そそそそそ、そうか?そ、そんな事はないぞ???」
「そ、そそそそそ、そうか?そ、そんな事はないぞ???」
やれやれ、と大分思考が羞恥やら照れで染められてきつつある舞の姿と、直希の純粋な視線を前に
Tさんは、困ったように笑うしかないのだった
Tさんは、困ったように笑うしかないのだった
終われ