わかっていた
わかりきっていた
自分は、失敗してしまったから
自分は、役立たずだから
それが、自分の契約者にバレたら、殺される
わかりきっていた
自分は、失敗してしまったから
自分は、役立たずだから
それが、自分の契約者にバレたら、殺される
人間の姿に変えられてもまだ、沙々耶と名付けられたその悪魔の囁きは、己の契約者の事を恐怖していた
人間になった今、その契約者とのつながりは切れている
だが、それでも、いつかバレてしまうのではないかと、恐ろしくて、恐ろしくて………
人間になった今、その契約者とのつながりは切れている
だが、それでも、いつかバレてしまうのではないかと、恐ろしくて、恐ろしくて………
「やだー、そとはやだー」
「君は、これから人間として生きるんだぞ?篭り切りでいる訳にもいかないだろう」
「やだー。ひきこもりすねかじりのにーとでいいー。そとはやだー」
「…まったく」
「君は、これから人間として生きるんだぞ?篭り切りでいる訳にもいかないだろう」
「やだー。ひきこもりすねかじりのにーとでいいー。そとはやだー」
「…まったく」
外に出るのを嫌がる沙々耶の様子に、ドクターは苦笑した
優しくその手を握り、ドクターは街中を歩く
少しでも、沙々耶に人間の生活に慣れてもらいたい
そんな想いからだったのだが……
優しくその手を握り、ドクターは街中を歩く
少しでも、沙々耶に人間の生活に慣れてもらいたい
そんな想いからだったのだが……
この日、そんな想いは、裏目に出てしまう事になる
「………っひ」
「うん?……む、犬か」
「うん?……む、犬か」
野良犬だろうか
てとてとと、尻尾を振りながら忙しなく歩いている
てとてとと、尻尾を振りながら忙しなく歩いている
沙々耶は、酷く犬を怖がる
それが原因で、いまだ「第三手国」日本担当の総統に会わせられずにいるくらいだ
今、目の前にいる野良犬の事も、沙々耶は酷く怖がり、ドクターの背中に隠れてしまった
それが原因で、いまだ「第三手国」日本担当の総統に会わせられずにいるくらいだ
今、目の前にいる野良犬の事も、沙々耶は酷く怖がり、ドクターの背中に隠れてしまった
「道を変えようか」
「イヌコワイイヌコワイイヌコワイイヌコワイイヌコワイイヌコワイ」
「イヌコワイイヌコワイイヌコワイイヌコワイイヌコワイイヌコワイ」
かたかたと震える沙々耶の手を引き、道を変える
「……む」
「………っ」
「………っ」
そこにも、犬が
こちらも、首輪をつけていないところを見ると、脱走犬などではなく、野良犬だ
ゴミ箱を漁っているようである
こちらも、首輪をつけていないところを見ると、脱走犬などではなく、野良犬だ
ゴミ箱を漁っているようである
別の道に
そこにも犬が
別の道に
そこにも、また、犬が
そこにも犬が
別の道に
そこにも、また、犬が
「…ぁ、あ」
「そう怖がるな。偶然だ」
「ち、ちがう……ぜったい、ちがう」
「そう怖がるな。偶然だ」
「ち、ちがう……ぜったい、ちがう」
完全に、怯えきってしまっている沙々耶
…これは、一度診療所に戻った方が良さそうだ
ドクターは、沙々耶と共に診療所に戻ろうと…
…これは、一度診療所に戻った方が良さそうだ
ドクターは、沙々耶と共に診療所に戻ろうと…
「………!!」
「ひぃ………っ!?」
「ひぃ………っ!?」
そこには、犬が
たくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんの
たくさんの、野良犬達が、集まって
その全てが、沙々耶を見つめていた
たくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんの
たくさんの、野良犬達が、集まって
その全てが、沙々耶を見つめていた
-----ぉぉぉおん
どこからか、犬の遠吠えが聞こえてくる
どこからか、犬の遠吠えが聞こえてくる
「ぁ……い、いや………」
じり、じり、と
包囲を狭めてくる犬達
…逃げ場は、ない
包囲を狭めてくる犬達
…逃げ場は、ない
「…おかしい。どうして気づいたんだ」
「や、や………だ………」
「や、や………だ………」
だんっ!と
一匹が地を蹴ったのを、合図に
数十匹の犬達が、沙々耶に向かって、飛び掛る
一匹が地を蹴ったのを、合図に
数十匹の犬達が、沙々耶に向かって、飛び掛る
「----い、いや、だ、わがあるじ、ころさないで……っ!!」
「く……っ」
「く……っ」
ドクターが沙々耶を護るように抱きしめるが、犬達は構わず、飛び掛ってきて
その牙が、爪が、ドクターに届こうとした、その時
その牙が、爪が、ドクターに届こうとした、その時
「動くなっ!!!」
響き渡った、声
その声に…ぴたり
犬達が、止まった
その声に…ぴたり
犬達が、止まった
「…総統閣下?」
「間に合ったか」
「間に合ったか」
ほっと、息を吐いたのは…数匹の犬のリードを握る、総統
動きを止めた犬達は…支配がとけたのだろうか
不思議そうに首をかしげたり、人間の姿を見て、慌てたように逃げ出す
動きを止めた犬達は…支配がとけたのだろうか
不思議そうに首をかしげたり、人間の姿を見て、慌てたように逃げ出す
支配の上書き
総統の声により、一瞬とは言え洗脳された犬達は、自分達を操っていた何者かから、解放されたのだ
総統の声により、一瞬とは言え洗脳された犬達は、自分達を操っていた何者かから、解放されたのだ
「散歩中に犬達の様子がおかしくなったのでな。話に聞いていた犬を操る能力者の仕業と見たのだが………ふむ、この子は?」
「元・悪魔の囁きです……人間になったのですから、元の契約者からは、もはや認識されないと思ったのですが…」
「元・悪魔の囁きです……人間になったのですから、元の契約者からは、もはや認識されないと思ったのですが…」
何故、気づいたのか
もしかしたら、異常に犬を怖がる沙々耶の様子に、気付いたのかもしれないが
もしかしたら、異常に犬を怖がる沙々耶の様子に、気付いたのかもしれないが
かたかた、かたかた
沙々耶は、ドクターの腕の中で震え続けていた
沙々耶は、ドクターの腕の中で震え続けていた
「沙々耶」
「…………い」
「…………い」
囁くような、その声で
沙々耶は、ただ延々と呟き続ける
沙々耶は、ただ延々と呟き続ける
「わたしはなにもはなしません。あるじたちのことも、なにもかも、はなしません。あるじのじょうほうをもらしたりなんかしません。あるじのふりえきにつながることはなにもしません」
だから
だから
だから
「だから…ころさないで、しにたくない。いや、けさないで。しにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくない………」
かたかたかたかたかたと
いつまでも、いつまでも、震え続けながら
ただ、沙々耶はそう呟き続けていた
いつまでも、いつまでも、震え続けながら
ただ、沙々耶はそう呟き続けていた
to be … ?