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「やー、たらふく食った!」
「おいしかったの!」
チャラい兄ちゃんが食ってけって言うから遠慮なく晩飯をたらふく食わせてもらってたらいつの間にか日も完全に暮れて夜になっていた。
「去年≪首塚≫に世話になってた時にも思ったけどやっぱチャラい兄ちゃん飯作るの上手いよな」
ものすごい豪華な飯で更にメチャクチャ美味いんでついつい箸が進む進む。
「なんか今日は直希の兄ちゃんとこで紅茶とかもらったし、人ん家で食って飲んでしてばかりな気がするな……」
腹ごなしに徒歩で帰る道すがらそんなことを話す。
初めてお宅訪問したわけだけど、黒服さんとチャラい兄ちゃんと≪はないちもんめ≫の嬢ちゃんは一緒に暮らしてるみたいだ。なんか≪はないちもんめ≫の嬢ちゃんがもう一人いたけどきっと双子かなんかだろう。うん。
そんなことよりも、とさっき話してもらった≪コーク・ロア≫や≪悪魔の囁き≫の事について考えを巡らせた。
「チャラい兄ちゃんの親父が今回の件の黒幕なんだよな?」
確認するようにTさんに目を向ける。Tさんは俺の意図に気付いて首を縦に振った。「おーけーおーけー」と相槌を打ってまた言葉を続ける。
「目的が……えーと、なんだっけ? ……そうだ、チャラい兄ちゃんが持ってる日景とかいう家の次期当主の権利を利用して権力を手に入れる事……だったよな?」
「本人に聞いてみなければ正確な所は分からんが、概ねその認識で問題無いだろう」
「ふんふん、それでチャラい兄ちゃんが狙われてるわけだ」
父親だかなんだか知らねえけどつくづくムカつく野郎だな。
そう思いながらTさんを見ると、Tさんはなんか考えている様子だった。
「どした? Tさん?」
「いや……」
Tさんはなんでもない。と気のない返事をすると歩を進めた。それに追いすがってリカちゃんと一緒に言葉を投げかける。
「飯食ってる時もなんか言いたそうだったじゃねえか」
「お兄ちゃん、ごはんのときもむずかしそうなおかおしてたの」
二人で声をかけるとTさんは「そこまで表情に出した憶えはない」と薄らと笑った。
「うるせえ、カマかけたんだよ文句あっか?」
「あっかー?」
「いや、無いな」
悪い言葉を真似しないように。とリカちゃんに言って、Tさんは「先程の話し合いの件だ」と口を開いた。
「もし仮に、≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年が朝比奈秀雄と接触することになるのなら、日景の家に関わる事情を知ることにもなるだろう。いっそ今教えた方がいざという時に動揺する可能性が減るのではないのかと思ってな」
「んー、なるほど」
そりゃ、まあそうだ。何も事情を知らない状態でチャラい兄ちゃんが知るよりも、先に話しておいた方が良いっちゃ良いに決まってる。
「じゃあなんで言わなかったんだ?」
「黒服さんや青年の友人たち、彼らが伝えないようにしていたからな。意を酌んだ……と言うよりも俺が口を出すべきでないと判断した。
彼らの方が青年とは付き合いが長いのだし、彼らが近くに居ればどうも精神的に参っているらしい青年も持ち直すだろうしな」
「んなこと言いつつそこまで割り切れてるようにゃ見えないんだけど?」
さっきからなんか考えてるっぽいし。
「それはまた別の問題のせいだな」
Tさんはそう言うと苦笑する。
「朝比奈秀雄が契約している正体不明の最後の一つの都市伝説、先の戦闘で≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の能力を防いだ上に強力な切断力も発したそうだからな。それと相対すると言っていた黒服さんが気にかかる」
「あー、あの人戦うの得意じゃなさそうだもんな」
Tさんはああ、と頷き、
「大事に至らなければ良いがな」
「本当にな……」
そう言って、二人揃って盛大にため息を吐いた。
「おいしかったの!」
チャラい兄ちゃんが食ってけって言うから遠慮なく晩飯をたらふく食わせてもらってたらいつの間にか日も完全に暮れて夜になっていた。
「去年≪首塚≫に世話になってた時にも思ったけどやっぱチャラい兄ちゃん飯作るの上手いよな」
ものすごい豪華な飯で更にメチャクチャ美味いんでついつい箸が進む進む。
「なんか今日は直希の兄ちゃんとこで紅茶とかもらったし、人ん家で食って飲んでしてばかりな気がするな……」
腹ごなしに徒歩で帰る道すがらそんなことを話す。
初めてお宅訪問したわけだけど、黒服さんとチャラい兄ちゃんと≪はないちもんめ≫の嬢ちゃんは一緒に暮らしてるみたいだ。なんか≪はないちもんめ≫の嬢ちゃんがもう一人いたけどきっと双子かなんかだろう。うん。
そんなことよりも、とさっき話してもらった≪コーク・ロア≫や≪悪魔の囁き≫の事について考えを巡らせた。
「チャラい兄ちゃんの親父が今回の件の黒幕なんだよな?」
確認するようにTさんに目を向ける。Tさんは俺の意図に気付いて首を縦に振った。「おーけーおーけー」と相槌を打ってまた言葉を続ける。
「目的が……えーと、なんだっけ? ……そうだ、チャラい兄ちゃんが持ってる日景とかいう家の次期当主の権利を利用して権力を手に入れる事……だったよな?」
「本人に聞いてみなければ正確な所は分からんが、概ねその認識で問題無いだろう」
「ふんふん、それでチャラい兄ちゃんが狙われてるわけだ」
父親だかなんだか知らねえけどつくづくムカつく野郎だな。
そう思いながらTさんを見ると、Tさんはなんか考えている様子だった。
「どした? Tさん?」
「いや……」
Tさんはなんでもない。と気のない返事をすると歩を進めた。それに追いすがってリカちゃんと一緒に言葉を投げかける。
「飯食ってる時もなんか言いたそうだったじゃねえか」
「お兄ちゃん、ごはんのときもむずかしそうなおかおしてたの」
二人で声をかけるとTさんは「そこまで表情に出した憶えはない」と薄らと笑った。
「うるせえ、カマかけたんだよ文句あっか?」
「あっかー?」
「いや、無いな」
悪い言葉を真似しないように。とリカちゃんに言って、Tさんは「先程の話し合いの件だ」と口を開いた。
「もし仮に、≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年が朝比奈秀雄と接触することになるのなら、日景の家に関わる事情を知ることにもなるだろう。いっそ今教えた方がいざという時に動揺する可能性が減るのではないのかと思ってな」
「んー、なるほど」
そりゃ、まあそうだ。何も事情を知らない状態でチャラい兄ちゃんが知るよりも、先に話しておいた方が良いっちゃ良いに決まってる。
「じゃあなんで言わなかったんだ?」
「黒服さんや青年の友人たち、彼らが伝えないようにしていたからな。意を酌んだ……と言うよりも俺が口を出すべきでないと判断した。
彼らの方が青年とは付き合いが長いのだし、彼らが近くに居ればどうも精神的に参っているらしい青年も持ち直すだろうしな」
「んなこと言いつつそこまで割り切れてるようにゃ見えないんだけど?」
さっきからなんか考えてるっぽいし。
「それはまた別の問題のせいだな」
Tさんはそう言うと苦笑する。
「朝比奈秀雄が契約している正体不明の最後の一つの都市伝説、先の戦闘で≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の能力を防いだ上に強力な切断力も発したそうだからな。それと相対すると言っていた黒服さんが気にかかる」
「あー、あの人戦うの得意じゃなさそうだもんな」
Tさんはああ、と頷き、
「大事に至らなければ良いがな」
「本当にな……」
そう言って、二人揃って盛大にため息を吐いた。