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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-72a

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だれでも歓迎! 編集
 …それは、Tさん達が玄宗家の玄関から、外に出ようとした時だった
 Tさんの携帯と、直希の携帯が、ほぼ同時に着信を告げる

「すまない……む、黒服さんからか」
「いや、こちらこそ………。……?誠から?」

 Tさんには、黒服から
 直希には、誠から電話がかかってきたのだ
 ほぼ同時の、このタイミング
 …嫌な予感が、しなくもない

「へ?黒服さんと、魔女の一撃の兄ちゃんから電話?」
「……?黒服さんと、誠君から?」

 舞とエリカも、その奇妙なタイミングの一致に、首をかしげる
 嫌な予感を感じながら、Tさんも直希も、電話に応じる

「黒服さん?どうしたんだ?」
「誠、どうし……………落ち着け。緊急事態ならば、とりあえず用件のみを」

 黒服からの電話は…やや沈みながらも、落ち着いた声なの、だが
 直希にかかってきた誠からの電話は、誠がやや冷静さを欠いているのだろうか
『……っの、腐れ外道野郎が!!』
 と、半ば怒鳴っているかのようなその声が、受話器から漏れ出してきている

「…!また、翼が襲われたか」
「………っ!よりによって……!」

 ほぼ、同時にかかってきた、その電話の内容は
 かけてきた相手こそ違えど、内容はほぼ、同じもので

「わかった。そちらに向かっても大丈夫か?」
「…僕も、すぐに翼の元に向かう。誠は先に………あぁ、言うまでもなかったか」

 電話を切ったのも、ほぼ、同時だ
 二人の言葉から、大体のことを察したらしい舞とエリカが、二人に問い掛ける

「何、またチャラい兄ちゃんが襲われたのかよ!?」
「ナオ君?翼君に、また何かあったの?」
「……あぁ」
「怪我はないようだし、相手の黒幕がわかったのは良いのだが………正直、最悪だな」

 翼が、またコーク・ロア支配型の被害者に襲われた
 もっとも、傍に望や詩織が一緒にいる時だったし、途中で黒服も駆けつけたようだから、翼はたいした怪我もしていない
 …怪我、は
 ただ、翼を狙っていた、そのコーク・ロアと悪魔の囁きの騒動の黒幕も、姿を現して
 ……何よりも、それが問題なのだ
 Tさんに連絡してきた黒服は、言葉を濁してきてその人物に付いて、まだ語ってこなかったが
 誠からの連絡を受けた直希は、その名前を聞いて…その、いつもは感情の薄い顔に、暗さを含んだ感情を浮かべていた

「翼君の所に行くなら、車出すわよ?」
「すまない、姉さん。頼む……Tさん達も、翼の元へ向かうなら、乗っていくといい」

 ぱたぱたと、車庫に向かっていく姉の背中に視線をやりつつ、そう言って来た直希
 すまん、とTさんが苦笑する

「なぁ、相手の黒幕もわかった、って…チャラい兄ちゃんを狙ってる奴が、わかったのか?」
「わかったのー?」
「…………あぁ」

 舞の疑問に…直希が、表情を暗くして、答える

「…黒幕は、悪魔の囁きの契約者は……朝比奈 秀雄」

 朝比奈
 その苗字に、Tさんが反応を見せた
 …確か、その苗字は、翼の母親の
 では、その、男は…

「……翼の、父親だ」

 そう、口にした直希の表情は、どこまでも暗く沈んでいた




 数分後
 学校町東区 住宅街の一角、とある住宅にて…


「大丈夫だって、そんな、大袈裟に心配しなくとも」

 心配して駆けつけてきた誠に、翼はそう言って苦笑してきた
 だが、その表情は、明らかに無理をしているものだ

「どこが大丈夫なのよ。そんな酷い顔色して」
「無理するなって、いつも言ってるだろ?」
「いや、本当に大丈夫だから…」

 口々にそう言って来た望と誠に、翼はそう言って誤魔化そうとしたが

 ……ちゅちゅー
 ハムスターケージを抜け出したノロイが、てちてちと翼に近づいた
 にじにじと、ソファーに座っていた翼の膝の上まで登ってきて、ぺとし、翼に寄り添ってくる

「ノロイ?」

 ちゅちゅちゅー
 小さく、鳴き声をあげて、翼を見あげるノロイ
 どうやら、心配してきているようで

「小動物にまで心配されてどうするのよ」

 詩織にそう言われて、う、と押し黙る翼
 黒服は小さく苦笑して、気遣うように翼の頭を撫でた
 申し訳無さそうに、翼も苦笑する

「……御免」
「あなたが謝る必要など、どこにもありません。あなたには、何の責任もないのですから」
「でも………よりによって、あの糞親父が、黒幕だったなんて」

 吐き出すようにそう言った翼の声には、憎悪と…絶望が、含まれていた
 わずか、ほんのかすかにだけれども……抱いていた希望を、打ち壊されたような
 そんな、絶望感が
 本当の父親のことを、まだ、ほんの少しは、父親だと思いたかった、思いも
 …もしかしたら、ほんの少しは、その父親から、普通に、息子らしく、扱ってもらえるのではないか…そんな、思いも
 全て、壊されたのだ
 結局、あの男は、翼を都合のいい道具としてしか見てないのだと、それを再確認させられた

「…そう言えば、黒服。あなた、あの場に来た時点で、あの男が騒動の黒幕だって、わかってたみたいだったわね。どうして?」

 ふと、思い立った疑問を望が黒服にぶつけると
 黒服は、翼を気遣いつつ、答える

「「組織」で、長く人にとり憑くタイプの悪魔の囁きが発生した場所や時期について、調べていたんです」

 そうすれば、どこで、誰が、悪魔の囁きと契約し……どこが、事件の発祥となったのか
 それが、わかると思ったからだ
 調べていくと…始めに発生が確認されたそこは、朝比奈 秀雄が失踪した国であり、また、失踪した時期であり
 嫌な予感がして、当時の残っている資料などを、全て調べた
 「組織」の力だけではなく、「薔薇十字団」の力も得て、調べつくした、その結果が

「朝比奈 秀雄は6年前、ヨーロッパにて、悪魔の囁きとクールトー。そして、もう一つ、何らかの都市伝説と契約をしたようです。以降、世界中で悪魔の囁きの卵をばら撒き、騒動の広がり具合などを実験していたようですね」
「6年前、って…俺が、家を出た後か?」

 翼の言葉に、はい、と黒服は頷く
 翼が両親の元を飛び出し、翼の両親が離婚した、その直後
 …その直後に、朝比奈 秀雄は、歪んだ力を手に入れてしまったのだ

「そこから調べていきますと、昨年、朝比奈 秀雄が、「組織」の人間と接触した記録があったんです」
「…それで、黒幕だと感づいた訳ね?」
「はい。そこまで調べたところで、あなた達が戦闘している気配を感じましたので」
「駆けつけてきてくれた、って訳ね」

 己の契約者の状態感知能力
 黒服のそれは、初詣の時その力を手に入れて以来、どんどん精度が上がってきている
 それだけ、黒服が望と翼を大切にしている証拠だ

「……翼」

 そして 
 その能力を持っている、からこそ
 今、翼がどれだけ精神的に追い込まれた状態なのか、黒服はわかってしまう
 それでも、翼は大丈夫だ、とでも言うように、振舞おうとしているのだ
 それが、酷く痛々しい

「いいさ。相手がわかったんだ。それじゃあ、あの糞親父をぶっ倒せばいい。それだけだ」

 黒幕がわかったから、それでいい、と
 翼は、そう自分自身に言い聞かせるように、そう言ってくる

「糞親父の狙いが俺なら……他の奴らに糞親父が迷惑かける前に、俺がぶっ倒してやればいい」


 ………たとえ、殺す事になろうとも


 翼が口の中で呟いたそれは、しかし、黒服の耳に届いてしまって
 黒服は、酷く心配そうに翼を見つめた

 翼は、父親である朝比奈 秀雄を恨んでいたし、憎んでいた
 しかし、殺したいほど、とまではいってはいなかったのだ
 そんな翼が、父親殺しなど
 …もし、それを実行したならば、翼は

 黒服の思考が、悪い方向へ悪い方向へ、流れていこうとした、その時
 玄関から、来客を告げるチャイムの音が聞こえてきた

「私が出るわ」

 詩織が立ち上がり、玄関に向かう
 ものの、数秒もしないうちに

「あら、Tさん達……あ、ちょっと」

 ぱたぱたぱたと、騒がしい足音が、聞こえてきて

「翼君、大丈夫!?」

 ばたーーーん!!と
 勢いよく扉が開き、エリカがリビングに入ってきた

「エ、エエエエ、エリカさん!?」

 即座に反応したのは、翼
 先ほどまでの暗い表情が吹き飛ぶほど驚き、頬が赤くなっていて
 エリカは、そんな翼に早足で近づくと
 むにょむぎゅ
 翼の体を、優しく、が、強く抱きしめた

「襲われたって聞いたけど、大丈夫!?どこも怪我してない!?」
「…姉さん。翼が目立った負傷をしていない事は、僕が車の中で説明しただろう。あと、その体勢、翼が窒息する」

 つかつかと
 詩織に連れられて、直希やTさん、舞も部屋に入ってきた
 直希の言う通り…ソファーに座っていた翼を、エリカは真正面から、立った体勢で抱きしめた訳で
 その、翼好みのバストが、ものの見事に翼の顔に押し付けられていた訳で

「あら」

 …ぷっしぅ
 翼は様々な要因が重なって、軽く窒息しかけていた


 軽く嫉妬が爆発しそうになった誠を宥めたりで、若干、タイムロスを要したが
 望達に説明したのとほぼ同じ事を、黒服はTさん達にも説明した
 ふむ、とTさんが難しい表情を浮かべる

「三つの都市伝説の、多重契約者か」
「はい。三つ目の都市伝説が何なのか、それがわからないのが不安ですが…」

 …恐らく、だが
 翼の「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力を防いだのは、その三つ目の都市伝説の能力だろう
 ビルを二つ、ほぼ同時に真っ二つにしたあの力も、恐らくはそれ
 はっきりと、何の都市伝説かわからないのは不安だ

「…翼君」

 翼を気遣うように、エリカが翼と視線を合わせる
 顎砕き飴の騒動の直後、彼女に対する想いなどは吹っ切った翼ではあるが…彼女が、憧れの女性である事実に、代わりはなく
 あわせられた視線に、照れやらなにやらで頬を若干染めながら視線をそらし、答える

「俺は、大丈夫ですから。都市伝説の能力が効かないからって、殺せない訳じゃないんだし」

 長く、都市伝説契約者として、戦い続けてきて
 己の契約都市伝説である「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力が通用しない相手とも、翼は何度か戦ってきている
 ……しかし、「最強」の都市伝説や、「無敵」の都市伝説など、所詮、この世には存在しない
 一見、「最強」や「無敵」のように思えても、それ相応のリスクが伴ったり弱点を伴っているのが常だ
 だからこそ、その弱点をつく事で、相手の背負っているリスクを利用する事で…相手を倒すこともまた、可能である

 翼を長く見てきた黒服は、翼がそう言う戦い方もできる事を知っている
 …ただ、やはり問題は
 翼が、「殺せない訳じゃない」と口にした事だ
 翼は、実の父親を殺す覚悟を、背負ってしまっている
 狙われているのは自分だから、と自分の父親が、学校町を悪意の渦に陥れている黒幕だったから、と
 その全ての責任を、一人で背負おうとしてしまっている
 …これでは、翼の心が、もたない

「…なあ、黒服さん」
「?はい、何でしょう?」

 と
 なにやら考え込んでいた様子の誠が、黒服に話し掛ける
 …ちらり、と
 一瞬、気遣うように、翼に視線をやって
 それに気づいた直希が、腰をあげた

「翼。今回の件の事で、少々、話したい事が。君の部屋で、話したいのだが」
「へ?別に、ここで話せばいいだろ?」

 直希の言葉に、首をかしげる翼
 直希は、ちらり、姉に視線をやって
 それで、エリカには伝わったのだろうか
 エリカは微笑み、立ち上がる

「翼君、おねーさんたちと、あっちでお話しましょ?」
「え、あ、ち、ちょっと、エリカさ」

 ぐい、と
 エリカが、やや強引に翼を立ち上がらせて、ぐいぐいと引っ張っていく
 ころりん、翼が立ち上がった拍子に翼の膝を転がり落ちたノロイが、ちゅうちゅう鳴きながら慌てて翼を追いかけていく

「…悪い、直希」
「構わん。翼には聞かせたくないのだろう」

 翼に聞こえないように、誠と直希は、そう苦笑しあって
 直希は、姉と翼の後を追って、リビングを退出する

「…チャラい兄ちゃんに、聞かせられない話?」
「はい…翼が、朝比奈 秀雄に、狙われた件について」
「でも、それは翼が一番、知るべき事じゃないの?」

 舞の疑問に答えた黒服に、今度は望がそう尋ねる
 すると、黒服はやや困ったような表情を浮かべて、答えてきた

「そう、なのですが…これは、あの子の母親の実家の件、と絡みますので」
「……日景家か」

 Tさんの言葉に、はい、と頷く黒服
 誠が、やや忌々しそうな表情を浮かべる

「翼は、あの家のことを何も知らないからな。母親の実家ってくらいにしか思ってない……まぁ、デカい家だ、って程度の認識はあるだろうけどな」
「…ですが。翼が朝比奈 秀雄に狙われたのは、恐らく、その実家絡みでしょうから」

 日景家
 学校町に古くからある旧家のひとつ
 あちらこちらに影響力を持つ、その家

「そもそも、あの腐れ外道が翼の母親と結婚したのだって、あの家がそう言う家だったからだからな」
「……どゆ事?」
「日景って、たまにニュースで名前見るわね。あちこちに影響力を持つ家って事は…権力を握るのに適してる、って事よね?」

 舞が浮かべた疑問に、何か思いついたらしい望がそう口にした
 あぁ、と誠が頷く

「そう言うこった。はじめはあの外道、日景家に婿養子に入るはずだったんだからな。日景家の傘下に入ることで、その影響力を手に入れようとしたんだろ」
「でも、朝比奈って苗字を名乗ってるって事は、婿養子には入らなかったのね?」

 詩織の言葉に、今度は黒服が頷いた
 結局、朝比奈 秀雄は日景家に婿養子には入らず、日景 マドカが朝比奈家に嫁入りした形になっている

「…少々、色々と問題があったようでして。翼の母親である朝比奈 マドカは、結婚前に日景家から勘当されています」
「それで、婿養子には入れなかった、って訳さ」

 それによって
 朝比奈 秀雄は、日景家の影響力を手に入れることを、失敗した

「んー……あれ?チャラい兄ちゃんの母親は、日景って家から勘当…されたんだよな?じゃあ、どうしてチャラい兄ちゃんは、その日景って苗字を名乗れてるんだ?」
「翼は、両親の元を飛び出した後、誠さんの家にお世話になっていましたが…その後、母親の実家を調べて、少しの間、そちらのお世話にもなっていたんです」
「…まぁ、それを調べたのは、俺の両親なんだけどよ」

 弁護士をしている誠の父親と、探偵をしている誠の母親が、翼の母親の実家を調べて、その住所を聞いた翼はそちらを少しの間、頼ったのあd
 日景家の方でも、勘当したとは言え、娘の事が気がかりだったのだろうか
 孫である翼の存在は知っており…そして、娘は勘当しても、孫は可愛かったのだろうか
 翼のことを、歓迎してくれたのだ

「その際、両親と同じ家名を名乗る事を嫌っていた翼に、「日景」の姓を名乗る事を許したのだと、聞いています」
「翼は、日景家がどう言う家なのかわかってなかったし。当主候補とかそっちの方にも名乗りを上げる気はないから、後継ぎ争いにも縁がないし。親戚連中も口は出さなかったらしいな」
「……なんつーか、複雑なのな」

 若干、こんがらがってきた様子の舞
 リカちゃんは、すでに話についていけないようで、首をかしげたまま舞の頭の上で固まっている

「…大体の事情は、わかった。だが、それでどうして、「日焼けマシンで人間ステーキ」の青年が、父親に狙われる事に繋がるんだ?」
「翼は、日景家の当主の後継ぎ争いには、興味を抱いていません………が、「日景」の姓を名乗っている、それは事実です」

 Tさんの疑問に、黒服が答えようとして
 それを遮るように、誠が続けた

「あそこの現当主…ようは、翼の爺ちゃんな。孫馬鹿っつーかなんつーか。夫婦揃ってわりと翼の事可愛がってるんだよ。で、勘当した娘の息子とは言え、可愛い孫って事で。翼本人がその気になれば当主候補の序列に加えるつもりなんだ」
「…序列に加わった場合。翼は朝比奈 マドカの弟の日景 薫についで、第2位の序列となります」
「で、翼がいくら嫌っていようが、朝比奈 秀雄は翼の父親だ…もし、翼が当主候補とかになった場合、当然、発言権を得る」

 つまる、ところ
 朝比奈 秀雄が、翼を狙うのは

「…つまり。翼を、権力を得るための道具にしよう、って訳?」

 不快感を露に、望がそう、口にした

 …つまりは、そう言う事なのだ
 朝比奈 秀雄が翼を狙うとなると、それしか理由が考えられない

 一度、手にしそこねた権力を
 朝比奈 秀雄は、再び手に入れようとしているのだ

「……あの、腐れ外道野郎、昔っから権力欲とか、強かったからな。翼の母親と結婚する前にも、警察関係者の娘と関係もって、そっちの権力手に入れようとした時期もあったみたいだからな」

 朝比奈 秀雄への嫌悪感を露に、誠はそう呟いた
 そちら絡みで調べていて、自分の仲間の「本当の」家族に関する事実も知ってしまったからか
 余計に、あの男への憎悪が、増しているのだろう

「……翼は、日景家の事情を知りませんし。日景家の方でも、翼には、そう言った醜い権力争いとは無縁でいて欲しいようですから。あの子の前で話すのは、躊躇われて」
「…なるほど」

 なかなか、厄介な事情だ
 つまり、朝比奈 秀雄はその権力を手に入れるために、学校町全体を巻き込もうとしているのだ
 ……いや
 そもそも、歪んだ形で権力その他に執着しているらしい相手だ
 それすらも、野望の一端でしか、なくて

 全ての始まりに、学校町を選んで
 そして、己の野望を実現していくのに都合がいい翼に目をつけた
 …つまりは、そう言う事なのだ


 翼に絡みついた悪意は、あまりにも大きくて、厄介で
 それでも、翼は周囲を巻き込まないように、一人で背負おうとしてしまう
 一人で戦う事が、あまりにも当たり前になってしまっていたから

『貴様が私の元に戻らぬ限り!!貴様のその大切な者が無事でいられると思うな!!!』

 その言葉が、翼の心を大きく抉る
 手に入れた大切な家族を失う事を、翼は何よりも恐れているから


「………もし」

 …スーツの下の、いつも護身用に持ち歩いている光線銃に、スーツ越しにそっと触れながら
 黒服は、小さく呟く

「もし、もう一度、朝比奈 秀雄と遭遇する事がありましたら……私が、応戦します。翼には、手を汚させません」
「…黒服?」

 決意、したように
 自分に言い聞かせるように、黒服は続ける

「…あの子は、自分の父親との決着を、自分の手でつける気かもしれません……ですが、それが実行されたならば…きっと、あの子の心が、持ちませんから」

 翼は、優しいから
 殺したいほどまで、父親を憎む事ができなかったから
 翼の心は、父親殺しと言う罪には耐えられない
 だから


「朝比奈 秀雄は、私が倒します」


 その命を、奪う事になろうとも


 黒服はこの日、そう、決意を固めたのだった



to be … ?




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