アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-54e

最終更新:

guest01

- view
だれでも歓迎! 編集
 明日が、ファミレスに入り込んできた「悪魔の囁き」にとり憑かれたと思わしき人物を叩きのめした、その直後
 恋路からの連絡を受けた黒服Hが駆けつけてきた
 もう一人…こちらは、明日の見覚えのない黒服
 身長2mを超えているのではないかという高身長に加えて、がっちりとした体格の巨体
 それに、顔にまるで大袈裟な手術痕のような縫い目が走っているという……まるで、フランケンシュタインの怪物を思わせる、そんな外見の黒服もやってきた
 黒服Hは、目撃者の記憶消去をそちらの黒服に任せ、明日を労ってくる

「お疲れさん。タチの悪い都市伝説と契約してる奴だったみたいだからな。素早く対処してくれて助かった」
「いえ、正義の味方として当然の事ですから」

 黒服Hの言葉に、即答する明日
 人々に迷惑をかける存在を放っておく事なんて、明日にはできない
 明日のその真っ直ぐな言葉に、黒服Hは小さく苦笑した

「流石、正義の味方だねぇ?だが、無理はすんなよ?俺みたく、適度に休みはとっておけ」
「……お前は、仕事をサボりすぎだ」

 ぬぅ、と
 どうやら、記憶消去などの対処を終えたらしいもう一人の黒服が、明日の背後に立ち、黒服Hを睨みツk他
 その威圧感に、自分が睨まれている訳でもないと言うのに、明日までプレッシャーを感じてしまう
 …いや
 黒服Hの方は、特にプレッシャーも何も、感じてない様子で、いつも通り笑っているが

「何言ってんだよ。俺は真面目に仕事してるだろ?」
「………貴様がサボった分のツケは、全てD-No.962が背負ってしまっているのだが」
「あー。あいつは真面目すぎんだよ。もっと積極的に休みとらせとけ。また倒れるぞ」

 …仕事をサボっていることを、肯定しているのか否定しているのか
 曖昧な態度で笑っている黒服H
 巨体の黒服は、呆れたようにため息をついた
 その視線が、明日と恋路に向けられて…二人は思わず、びくりと体を跳ねらせる

「…よりによって、こんな男が、君達のような真面目な人材の担当になってしまって、申し訳ない。何かあったら、いつでも言ってくれ。特に、この馬鹿が仕事をサボったならば、特に」
「あ、は…はい」

 こくこく
 思わず頷く、明日と恋路
 巨体の黒服は二人に小さく頭を下げると、この場を後にした

 その背中を見送って、黒服Hが肩をすくめる

「ったく。Gの野郎も真面目すぎていけないな」
「Gさん、って言うんですか?」
「あぁ。G-No.1。俺の上司だよ」
「へぇ………って、あの態度、上司に対する態度として色々間違ってる!?」

 もっともな事を突っ込む明日
 気にするな、と黒服Hは笑った


 所詮、「表向き」の上司だ
 本来ならば、立場上は同僚である
 …それも、「一応」でしかないが


「ま、とりあえずご苦労さん。今日はもうゆっくり休んどけ」

 そう明日に告げて…あぁ、と黒服Hは、何か想い返したように笑う

「…あぁ、それともデートの続きか?」
「あ……」
「え、Hさん。からかうように言うの、やめてくれます?」

 くっく、と
 明日と恋路の二人を見て、楽しげに黒服Hは笑う
 どう見ても、二人をからかいの対象として見ている表情だ
 どうにも、黒服Hは隙あらば、担当契約者である二人をからかって遊んでくるような節がある
 子供扱いされているようで、明日はそれが少々苦手だ

「正義の味方の彼女なんて、恋路ちゃん、大変だろ?っつか、気が気じゃないだろ」
「そうなんですよー。いつ命の危険に直面するか心配で心配で。って言うか、実際何度か死にかけてるし」
「あぁ、やっぱりなぁ」
「っちょ、二人とも…」

 ちょっと、勘弁してほしい
 慌てて、楽しそうに話し出した黒服Hと恋路の間に割り込もうとする明日
 …けっして、ヤキモチ焼いたとかそう言うではない、などと自分に言い訳しつつ

 黒服Hは、なんともなんとも、楽しそうに笑って
 …そして、ふいに
 真面目な表情になった

「まぁ、正義の味方に憧れる、って気持ちはわからんでもないがな」
「…Hさん?」
「なぁ」

 じっと
 黒服Hは、明日と恋路を見つめて、問い掛けてくる

「俺が、人間だった頃。警官目指してたって言ったら、信じるか?」
「え……-----」
「うっそだー」

 どう答えるべきか、明日は一瞬、悩んだが
 代わりに、恋路が容赦なく答えた
 恋路の答えに、黒服Hは苦笑してくる

「うわ。ひっでぇ」
「警官になって、その立場を利用して堂々と違法AVとかをチェックしようって理由で目指したんなら、わかるけど」
「うわ。もっとひでぇ。明日、恋路ちゃんの言葉が、俺のガラスハートに容赦なく突き刺さるんだが」
「Hさんのハートは、硝子はガラスでも擦りガラスだと思います。しかも、鉄芯入りの」
「うわ、カップル揃ってひでぇ」

 わざとらしく、傷ついた表情を浮かべてくる黒服H
 …真面目な空気が大分薄れて、いつもの調子に戻ってきている
 だが、その癖して…やはり、普段とはどこか違うような、そんな違和感

「これは、嘘じゃないんだぜ?昔は、マジで警官目指してたんだ」
「……マジで?」
「あぁ。親父が警察官でな。親父みたいになりたくて、餓鬼の頃から、ずっと真面目に警察官を目指してたよ」

 黒服Hの意外な言葉に、明日も恋路も、目を白黒とさせる
 それは、普段の黒服Hから感じる印象からは、大分遠ざかる過去だ

「まぁ、その親父は殉職しちまって。途中からは、その仇討ちで目指してた、ってのもあるけどな」

 ……一瞬
 その表情が、暗く、沈んだのを
 明日は、確かに見てしまった

「親父は、俗に言う正義の味方だったよ。誰から見てもな。それに俺は憧れた訳だが…まぁ、今の現状は、これさ」

 都市伝説に飲み込まれた存在、「組織」の黒服である自分を、自嘲するように黒服Hは笑ってくる

「だからよ、明日。お前は、都市伝説に飲み込まれるなよ?お前が目指したい正義の味方、って奴を、とことん目指してみろや。ただし、恋路ちゃんに迷惑かけない程度にな」
「はぁ…」


 …どうして
 どうして、突然、黒服Hが、こんな事を言ってきたのか?


 ふと思い出すのは、ファミレスで、恋路と交わしていた会話

『やばいことに巻き込まれているというよりは身体に異常が有るみたい』

 そう言った、恋路の言葉
 そして……以前、見た光景
 明日の目の前で吐血していた、黒服Hの姿が、脳裏をよぎった
 あの時吐き出していた血の量は、尋常な量ではなかった
 恋路の言う通り、黒服Hは、体に異常を抱えている状態なのだろう
 もしかしたら、命に関るのかもしれない

「あぁ、そうだ、明日」
「何です?」

 そろそろ、立ち去ろうとしていたらしい黒服H
 が、不意に立ち止まり…こう、告げてくる

「もし、俺の身に何かあって。お前さん達の担当を続行できなくなったら…D-No.962、って黒服を頼れ」
「え?」
「あいつは穏健派だ。その上、超がつくお人好しだからな。お前さん達のことも面倒見てくれるだろ」

 突然
 突然、何を言い出すのだ?
 先ほど、話してきた内容といい
 これでは、まるで

「…やめてくださいよ、縁起でもない。まるで、遺言みたいじゃないですか」
「ん?そう聞こえたか?」

 振り返って、笑ってきた表情は、いつも通りの、どこかからかってくるような笑顔
 だと言うのに……まるで、今すぐにでも、目の前から消えてしまいそうな、そんな錯覚を覚える

「もしもの為だよ、もしもの為。黒服なんて、どうせいつ死ぬか殺されるか消されるかわからない存在なんだしな。備えは大事だろ?」
「…そう、ですけど」
「あぁ、そうそう。D-No.962は、ぶっちゃけ「組織」内過労死候補ナンバー1な奴でな。苦労かけるのに罪悪感感じるなら、さっきのG-No.1。そっちを頼っとけ。あいつも穏健派だからな。どうにかしてくれるだろ」

 ひらひらと、手を振って
 黒服Hは、歩き出す

「じゃあな。頑張れよ、正義の味方候補」

 明日と恋路の前から、立ち去る黒服H
 …いつもと変わらぬ、後ろ姿
 しかし、その姿は、なぜかもう会えなくなるのでは?とそう錯覚してしまうような、そんな気配を感じてしまって

 何か、不吉の足音が近づいてきているような
 そんな予感を、明日は感じたのだった




to be … ?




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー