喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
忘れられし者
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暗い、ここは暗い
何も見えず、何も感じず、何も分からない
何も見えず、何も感じず、何も分からない
時間の感覚が麻痺し
長い時間が過ぎたのか、それとも一瞬だったのか
長い時間が過ぎたのか、それとも一瞬だったのか
かつて覚えていた激情は過ぎ去り
今はただ、静かに受け入れている、この状況を
今はただ、静かに受け入れている、この状況を
うな垂れていた首を上げると
遠くに小さな光が見えた
遠くに小さな光が見えた
腰を上げ、歩き出す
一歩一歩、引き寄せられる様に
一歩一歩、引き寄せられる様に
男の声が聞こえた気がした
懐かしい、落ち着いた声
懐かしい、落ち着いた声
男の苦悩が、悲しみが、怒りが、喜びが
伝わってくる
伝わってくる
だが、その中に
自分達を想う心はなかった
自分達を想う心はなかった
"俺は……ひとりになってしまった……俺達を必要とはしてくれないのか"