喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
小宴1
今日は、マスターの件でお世話になった都市伝説の関係者を招待しての宴だ
顔馴染みもいれば、初めて顔を合わせる様な者達もいる
顔馴染みもいれば、初めて顔を合わせる様な者達もいる
輪は店内を見回して、顔ぶれをチェックするが
つい先日会った黒服のサンタにもこの宴会の事を伝えておけば良かったと今更ながらに思う
他にも来ていない者達もいる
皆それぞれに、今日もどこかで事件と遭遇しているのだろう
無事を祈り
生きていればまた逢えるさ
そう再会を願う
つい先日会った黒服のサンタにもこの宴会の事を伝えておけば良かったと今更ながらに思う
他にも来ていない者達もいる
皆それぞれに、今日もどこかで事件と遭遇しているのだろう
無事を祈り
生きていればまた逢えるさ
そう再会を願う
「こんばんは、輪」
「こんばんは、ジャック……ええと、マスターとは初めてだったね」
「はじめまして、ジャックさん」
「ジャックと呼ばれています……今日はお招き頂きありがとうございます」
「うちの子がお世話になっているそうで、本当にありがとうございます」
「いえ……礼には及びません……むしろ、お世話になっているのは私の方ですから」
「輪が?本当に?」
「ええ、まぁ……その……言い難い事ではありますが、情報提供をしてもらっています」
「情報提供……ですか」
「うん、確かに情報提供だね……ある人物についての……ね」
「こんばんは、ジャック……ええと、マスターとは初めてだったね」
「はじめまして、ジャックさん」
「ジャックと呼ばれています……今日はお招き頂きありがとうございます」
「うちの子がお世話になっているそうで、本当にありがとうございます」
「いえ……礼には及びません……むしろ、お世話になっているのは私の方ですから」
「輪が?本当に?」
「ええ、まぁ……その……言い難い事ではありますが、情報提供をしてもらっています」
「情報提供……ですか」
「うん、確かに情報提供だね……ある人物についての……ね」
輪の視線が左右へと動き、一点で固定される
視線を辿るとそこにはサチ……そして、カシマの姿
視線を辿るとそこにはサチ……そして、カシマの姿
「ああ、なるほど……軍人さんとの話は輪から聞いていますよ」
「なッ?!……話したのですか?輪ッ!」
「うん、口止めされてなかったし」
「そこはそれ、暗黙の了解というものがですねッ」
「暗黙の了解?ボクこどもだから難しい事を要求されても困るよ」
「ッ……貴方……判っていてやっていますね?」
「わざとじゃないよ、ジャックは気持ちを隠す必要ないと思っているだけだから」
「……それは……どういう意味ですか?」
「うまくいく……と、輪はそう考えているそうだよ」
「本当ですか?!」
「この子は中々勘が働くからね」
「勘じゃないよ、観察の結果だよ」
「観察した結果、直感するんだろう?勘と同じ様なものじゃないか」
「受ける印象が違うのっ」
「私が……カシマと……」
「印象や雰囲気は大事だとは思うよ、でも、言葉はその本質を捉えていれば良いんじゃないかな?」
「もうっ、これだから……この場合はジャックの受け取り方の問題だから
勘よりも、観察した結果って言われた方が説得力あるでしょ?!」
「なるほど……確かにそうだね……まぁ、でもね……彼女を見てごらんよ」
「……何か……ふわふわしてるね」
「だろう?」
「なッ?!……話したのですか?輪ッ!」
「うん、口止めされてなかったし」
「そこはそれ、暗黙の了解というものがですねッ」
「暗黙の了解?ボクこどもだから難しい事を要求されても困るよ」
「ッ……貴方……判っていてやっていますね?」
「わざとじゃないよ、ジャックは気持ちを隠す必要ないと思っているだけだから」
「……それは……どういう意味ですか?」
「うまくいく……と、輪はそう考えているそうだよ」
「本当ですか?!」
「この子は中々勘が働くからね」
「勘じゃないよ、観察の結果だよ」
「観察した結果、直感するんだろう?勘と同じ様なものじゃないか」
「受ける印象が違うのっ」
「私が……カシマと……」
「印象や雰囲気は大事だとは思うよ、でも、言葉はその本質を捉えていれば良いんじゃないかな?」
「もうっ、これだから……この場合はジャックの受け取り方の問題だから
勘よりも、観察した結果って言われた方が説得力あるでしょ?!」
「なるほど……確かにそうだね……まぁ、でもね……彼女を見てごらんよ」
「……何か……ふわふわしてるね」
「だろう?」
などと親子が仲良く議論していると……
カラン・コロン……カラン・コロン……来客を告げるベル
ボクサーが少し遅れてやって来た様だった
「よっ、遅れて悪ぃな」
「どうせ遅れてくると思ってたよ」
「遅れてくるのはヒーローの条件のひとつだからなぁ」
「ボクサーくん、こんばんは」
「マスターこんばんは~、今日はたくさん食べれる様に激しくないヤツを長めにやってきたんだ」
「後でカロリー低めの料理を教えるから、たくさん食べていっておくれよ」
「あざースッ!いつも気ぃ使ってくれてうれしいっス!」
「どうせ遅れてくると思ってたよ」
「遅れてくるのはヒーローの条件のひとつだからなぁ」
「ボクサーくん、こんばんは」
「マスターこんばんは~、今日はたくさん食べれる様に激しくないヤツを長めにやってきたんだ」
「後でカロリー低めの料理を教えるから、たくさん食べていっておくれよ」
「あざースッ!いつも気ぃ使ってくれてうれしいっス!」
言うと、今度はきょろきょろと見回してサチを探すボクサー
「全く、マスターはボクサーさんに甘すぎるよ」
「まぁ、毎日の様に通ってくれるから……お得意様は大事にしないとね……ふふ」
「お得意様っていうか、アホの子で面白いからだよね」
「そんな事を言ってはいけないよ、輪……ふふ」
「もう……笑ってると説得力ないよ?」
「ごめんごめん……でも、本当に何だか微笑ましくてね」
「むぅ……」
「?……ほら、そんな顔しないで」
「……」
「でも、嬉しいよ……この先いつかは邪魔者扱いされる日が来るだろうからね」
「?!……ボク、べ、別に嫉妬とかしてないからッ」
「ああ、わかっているよ」
「それって、絶対わかってるフリだよね……大人って……ずるいよ」
「まぁ、毎日の様に通ってくれるから……お得意様は大事にしないとね……ふふ」
「お得意様っていうか、アホの子で面白いからだよね」
「そんな事を言ってはいけないよ、輪……ふふ」
「もう……笑ってると説得力ないよ?」
「ごめんごめん……でも、本当に何だか微笑ましくてね」
「むぅ……」
「?……ほら、そんな顔しないで」
「……」
「でも、嬉しいよ……この先いつかは邪魔者扱いされる日が来るだろうからね」
「?!……ボク、べ、別に嫉妬とかしてないからッ」
「ああ、わかっているよ」
「それって、絶対わかってるフリだよね……大人って……ずるいよ」
店内に流れる緩やかなBGMに合わせる様に、優しい時間が流れる
そんなゆっくりとした時の流れに逆行する様にして、彼らは出逢う
出逢ってしまう
出逢ってしまう
「あッ!アイツ?!……シスコンイケメンホストじゃねぇかっ!!」
唐突に指された指に、びくりと驚くジャック
しまった!という表情の輪
しまった!という表情の輪
「うぉぉぉぉ、お前イイヤツだよなぁ!!」
「は?!」
「は?!」
困惑するジャックをよそに、一方的に話しを続けるボクサー
「感動したぞ、お前の優しさに!下着選びに俺は感動したっ!」
「はいっ?!何なんですか?!貴方は」
「おぅ、俺の名前は、ぼぼぉりッ?!!」
「ボボーリ?!」
「はいっ?!何なんですか?!貴方は」
「おぅ、俺の名前は、ぼぼぉりッ?!!」
「ボボーリ?!」
配膳用のトレーで、ポカンとボクサーの頭を叩くサチ
「ちょっとボクサーさん、静かにしてくださいっ」
「サチ?……お、おぅ……悪ぃ」
「ちょっとこっちに来て下さいっ」
「サチ?……お、おぅ……悪ぃ」
「ちょっとこっちに来て下さいっ」
隅の方へと連行されていく
「何だったんでしょうか……ボボーリさん、ですか……」
「いや、違うと思うが……」
「?!……カシマ?!」
「こんばんは、ジャック」
「……こんばんは」
「ボクサーと知り合いではないのか?」
「ボクサー?先程のボボーリさんの事ですか?」
「いや、だからだな……まぁ、良いか……そのボボーリだが」
「知り合いではありません」
「そうか……何やらキミの優しさに感動していた様だが?」
「さぁ?良く分かりません……逢った記憶もありませんし」
「ふむ、ボボーリは野生的な勘を持っているからな……それで分かったのかも知れぬ」
「何をです?」
「だから、キミの優しさをだ」
「……」
「……」
「いや、違うと思うが……」
「?!……カシマ?!」
「こんばんは、ジャック」
「……こんばんは」
「ボクサーと知り合いではないのか?」
「ボクサー?先程のボボーリさんの事ですか?」
「いや、だからだな……まぁ、良いか……そのボボーリだが」
「知り合いではありません」
「そうか……何やらキミの優しさに感動していた様だが?」
「さぁ?良く分かりません……逢った記憶もありませんし」
「ふむ、ボボーリは野生的な勘を持っているからな……それで分かったのかも知れぬ」
「何をです?」
「だから、キミの優しさをだ」
「……」
「……」
二人の会話が止まる
賑やかな店内、周りからも切り離されて時も止まる様な───錯覚
賑やかな店内、周りからも切り離されて時も止まる様な───錯覚
*
隅の方でしゃがみ込み、ヒソヒソと会話をする二人
「ボクサーさん、静かに出来ますか?」
人差し指を立て、唇にあてるサチ
「ぉぅ……静かにする……ところでよぉ」
静かに応えるボクサー
「何です?」
「あの金髪のヤツって誰?」
「ジャックさんですか?」
「ジャックって言うのか……で、お前とどんな関係なんだ?」
「わたしとの関係というか、カシマさんとの関係があるんですよ」
「カシマさんと?」
「ええ、まぁカシマさんの恋人?というかですね」
「ぅお?……どゆこと?……カシマさんってソッチの世界の人だったの?!」
「ソッチってどっちですか……彼らは至ってノーマルなですね……」
「男女?カシマさんとアイツが?……じゃあ……え?!カシマさんって女だったの?!!」
「なんでそうなるんですかっ!!」
「だって、ジャックって男だろ?格好も名前も男名だし……」
「名前は男名ですけど、ジャックさんは女性なんですよ」
「難しいな」
「難しくありませんっ!良く見て下さいっ!」
「サチ、声でかいよ」
「すみません……ってもう……ボクサーさんのせいですよ?」
「そうだな、悪かった」
「はい、それで……良く見て下さい……彼女の体型」
「背が高くて、足もスラッと長くて、引き締まった腰……胸板も厚いな」
「胸板って……胸です、ムネ」
「おっぱい?」
「そうです、おっぱ……」
「チッ」
「チッってなんですか、チッて……」
「反省してま~す」
「どこのボーダーですか貴方は……はぁ……」
「おぅ……なるほど……確かに胸だ……女だと思って見たら女にしか見えねぇ」
「だからさっきから言ってるじゃないですか」
「そうか、ジャックはカシマさんの女なのか……」
「女というか……恋人になる予定というか、応援しているというかですね」
「ま、いいんじゃね?イイヤツそうだし」
「やっぱり、そう思いますよね?」
「という事はだ……ジャック……さんは……ええと呼び捨てはまずいよなぁ」
「呼び捨てはまずいですね」
「じゃあ、姐さんだな」
「姐さん?」
「いや、カシマさんの女になる予定なんだしな」
「……ま、まぁ、良いですよ……呼び方はボクサーさんの自由ですもんね」
「おぅ!……そういや、呼び方と言えばよぉ」
「何です?」
「俺の名前なんだけどよぉ」
「名前ですか……」
「何で未だにボクサーって言われてるんだ?」
「……」
「TVで試合が放送されてたりするだろ?知ってるよな?俺の名前……」
「……」
「ぉぃ……何か言ってくれょ」
「……創造主……神の意思です(ボソッ)」
「神の意思?」
「……触れてはいけない話題なんです」
「そうだったのか……じゃあ、仕方ない」
「仕方ないです……でも、確かに名前は大事です……例えば、わたしは"碓氷サチ"ですが」
「おぅ」
「わたし……明らかに幸が薄いです」
「ぉ、ぉぅ……そうだな……でもよぉ」
「何です?」
「お前……名前変えられるだろ」
「え?……あ、家庭裁判所で審議してもらって許可されれば良いんですよね」
「いや、俺が言ってるのはもっと簡単な方法でだなぁ」
「簡単な方法……ですか?」
「結婚すれば変わるだろぉ?」
「?!」
「まだ結婚できる年齢ギリギリくらいだろうから、考えつかなったかもしれねぇけどなぁ」
「……わたしが結婚するんですか?」
「お前が結婚しないでどうやって名前変えんだよぉ」
「そう……ですよね……だ、誰と?」
「そこはそれ……やっぱ、俺じゃね?」
「……どんなヒトと結婚するんだろうなぁ~わたし」
「おい……サチさんやぁ」
「……素敵な姓のヒトがいいなぁ~」
「お~い、聞いてるかぁ~、未来の旦那はここにいるぞぉ~」
「……え~と、確か……水を張った洗面器とカミソリで……」
「あの金髪のヤツって誰?」
「ジャックさんですか?」
「ジャックって言うのか……で、お前とどんな関係なんだ?」
「わたしとの関係というか、カシマさんとの関係があるんですよ」
「カシマさんと?」
「ええ、まぁカシマさんの恋人?というかですね」
「ぅお?……どゆこと?……カシマさんってソッチの世界の人だったの?!」
「ソッチってどっちですか……彼らは至ってノーマルなですね……」
「男女?カシマさんとアイツが?……じゃあ……え?!カシマさんって女だったの?!!」
「なんでそうなるんですかっ!!」
「だって、ジャックって男だろ?格好も名前も男名だし……」
「名前は男名ですけど、ジャックさんは女性なんですよ」
「難しいな」
「難しくありませんっ!良く見て下さいっ!」
「サチ、声でかいよ」
「すみません……ってもう……ボクサーさんのせいですよ?」
「そうだな、悪かった」
「はい、それで……良く見て下さい……彼女の体型」
「背が高くて、足もスラッと長くて、引き締まった腰……胸板も厚いな」
「胸板って……胸です、ムネ」
「おっぱい?」
「そうです、おっぱ……」
「チッ」
「チッってなんですか、チッて……」
「反省してま~す」
「どこのボーダーですか貴方は……はぁ……」
「おぅ……なるほど……確かに胸だ……女だと思って見たら女にしか見えねぇ」
「だからさっきから言ってるじゃないですか」
「そうか、ジャックはカシマさんの女なのか……」
「女というか……恋人になる予定というか、応援しているというかですね」
「ま、いいんじゃね?イイヤツそうだし」
「やっぱり、そう思いますよね?」
「という事はだ……ジャック……さんは……ええと呼び捨てはまずいよなぁ」
「呼び捨てはまずいですね」
「じゃあ、姐さんだな」
「姐さん?」
「いや、カシマさんの女になる予定なんだしな」
「……ま、まぁ、良いですよ……呼び方はボクサーさんの自由ですもんね」
「おぅ!……そういや、呼び方と言えばよぉ」
「何です?」
「俺の名前なんだけどよぉ」
「名前ですか……」
「何で未だにボクサーって言われてるんだ?」
「……」
「TVで試合が放送されてたりするだろ?知ってるよな?俺の名前……」
「……」
「ぉぃ……何か言ってくれょ」
「……創造主……神の意思です(ボソッ)」
「神の意思?」
「……触れてはいけない話題なんです」
「そうだったのか……じゃあ、仕方ない」
「仕方ないです……でも、確かに名前は大事です……例えば、わたしは"碓氷サチ"ですが」
「おぅ」
「わたし……明らかに幸が薄いです」
「ぉ、ぉぅ……そうだな……でもよぉ」
「何です?」
「お前……名前変えられるだろ」
「え?……あ、家庭裁判所で審議してもらって許可されれば良いんですよね」
「いや、俺が言ってるのはもっと簡単な方法でだなぁ」
「簡単な方法……ですか?」
「結婚すれば変わるだろぉ?」
「?!」
「まだ結婚できる年齢ギリギリくらいだろうから、考えつかなったかもしれねぇけどなぁ」
「……わたしが結婚するんですか?」
「お前が結婚しないでどうやって名前変えんだよぉ」
「そう……ですよね……だ、誰と?」
「そこはそれ……やっぱ、俺じゃね?」
「……どんなヒトと結婚するんだろうなぁ~わたし」
「おい……サチさんやぁ」
「……素敵な姓のヒトがいいなぁ~」
「お~い、聞いてるかぁ~、未来の旦那はここにいるぞぉ~」
「……え~と、確か……水を張った洗面器とカミソリで……」
などと、会話が成立しなくなった二人をよそに
宴は和やかに進行する
宴は和やかに進行する