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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 喫茶ルーモア・隻腕のカシマ-53a

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rumor

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喫茶ルーモア・隻腕のカシマ


隻腕の鹿島


ワタシは眠っている──これは夢だ──と自覚している

場景から、過去の事だと判る……だが、これは……

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戦争は終わり、鹿島は日本へと帰って来ていた

戦地で負傷した者も多い
そして鹿島もまた、仲間の踏んだ地雷に巻き込まれ左腕を失っていた

大きな外傷を受けつつも生き残った者達は、帰国したものの
すぐに故郷へは帰れず、帰り着いた港辺りで療養をしてから帰った者もいる

だが、戦地で戦後の処理にあたった者もいる
現地の言葉を覚え、尚且つ現地民との問題を解決できる能力を持つ者
鹿島もまたその一人であった

その為、日本へと帰国した時には終戦から数年を遅れる形となってしまっていた

家族へと連絡を取ろうと苦心したが戦後の混乱残る中
とうとう連絡はつかず、自分が帰る事でしか家族の安否は確認できそうにない

やっとの思いで地元へと帰り着いた時には、想定以上の月日が流れており
懐かしいあの町並みはどこにもなく
鹿島の生家も、稽古場も空襲で焼失していた

父と母は、老人達の避難を助けているところを空襲に巻き込まれ死亡
恩人である先輩は、数年前に戦地で死亡している事が確認されている
そして、唯一生き残ったはずの姉の行方を知ることが出来ないままでいた

そんな途方にくれていた時、鹿島はひとりの青年と出逢う
青年も戦争で負傷していた

"こんな格好では家族に会うのも躊躇われたから……まだ家には帰っていないんだ"

そう言って快活に笑うので

"お互い、大変な目に会ったものだ"

と笑いあった

意気投合した彼等は、次第に顔を合わせる機会も増える

鹿島は雨をしのぐ為、橋の下にねぐらを決め
食べられるものは何でも食べた
小銭を稼ぐ為にどんな雑用でもした
だが、障害のある鹿島には辛い毎日が続く……
その日を生きるので精一杯だった

青年の方も似た様なものだった

*



ある日、鹿島は提案した

"帰る家があるのだから、帰郷してみてはどうだ?"

と……青年は最初、拒んでいたが

"家族とは暖かく、優しいものだ……きっと受け入れてくれるさ"

鹿島の言葉に、意を決し帰る事に決めた様だった

"君には世話になった……帰る時には一緒に行ってくれないか?"
"いや、迷惑になるだろうからな……謹んで辞退するよ"
"そうだ、この町を出る前に挨拶もしておかないといけないヒトもいるね"
"おい……"
"君もちゃんと挨拶は済ませておけよ?"
"辞退すると言ったんだが……"
"そうと決まれば早速行動だ!明日にしよう!"
"待ってくれ……"
"時間は……そうだな、午前11時に駅で待ち合わせよう"
"仕方ない……乗りかかった船だ……最後まで付き合うとしよう"

そう言って、その日は別れた
お互い世話になった人はたくさんいる
別れの酒を振舞われ、朝方まで呑んでそのまま駅へと向かう

*



帰るその当日、青年は自宅に電話をした

"これから帰るんだけど、他に行くところがない友達を連れて帰りたいんだ
 家で一緒に住んでもいいかな?"

息子の連絡に狂喜した両親は、勿論!と泣きながら答える

"でも、一つだけ言っておきたいことがあるんだ……彼は地雷に巻き込まれてね
 片腕片足を失ってしまったんだよ……でも、僕は彼を家に連れて帰りたいんだ"

その台詞に、両親は押し黙ってしまう

"数日ならいいけれど、障害者の世話は大変よ……家にいる間に
 そのお友達が住める所を一緒に探しましょう……あなたにも私たちにも
 自分達の人生があるのだから、そのお友達の世話に一生縛られるなんて無理よ"

やっとのことで母親がそれだけ言うと、息子は黙って電話を切った

翌日、約束の場所へと鹿島が行くと……青年はどこにもいなかった
1時間ほど待ったが青年は現れなかったので
仕方なく、ねぐらにしていた橋の下へと帰ろうと諦めた
その帰り道で、小さなビル街を通ると……人だかりが出来ている
嫌な臭いがした……血の臭いだった
囁かれる言葉の断片を組み合わせていく……

"男ががビルの屋上から飛び降りて死んだ……どうやら自殺らしい"

運び出されていく死体、ぐしゃりと潰れた体が目に入る
片腕片足は無く……奇跡的に潰れず残った顔……あの青年だった
鹿島は絶句し、泣き崩れていた

*



後に青年の親から電話でした話の内容を聞いた

そして

心の中で

死を選んだ彼を責めた

負傷兵を、自分の息子を受け入れてくれなかった彼の母を責めた

そして何よりも、彼に帰郷するようにと勧めた己を責めた


この苦しい想いから逃げる様に、安酒を飲み
ひとを殴り、ひとに殴られ、ゴミ屑の様に打ち捨てられた
何の意味も持たない行為を何十回と繰り返し、それでも忘れられず
いつしか鹿島は自責の念に押しつぶされていた

アイツに足があれば、俺に腕があれば
家族がそばにいてくれたら、姉がそばにいてくれたら、先輩がそばにいてくれたら
少しはましな結末が待っていたのか……

先輩だったらどうしていたのだろう……
先輩ならきっとアイツを救うことが出来たのではないだろうか……
憧れた、先輩の様になりたいと思い、先輩を目指し
判断に迷った時はいつも"先輩ならどう判断するか"を考えることで乗り切ってきた

だが、この時ばかりは乗り切れそうに無かった……

*



父さん……母さん……先輩……もう逢えないのか……
姉さん……何処にいるんだ……
そうか……相手は……だが、あの人以上の人など……

ふ、と気付いた様に左腕を見る
腕が……ない……うで……が……ない……
ウォァアァァァァァァァアァァァァァァァァァァァァァァ!!
うでがッ!ウデガっ!!ウでがッ!!!
何処だ?!どこにある?ない?何故?!!何処に?いない?!ドコ?!
ドコにある?!どこにイル?!カアさん?ネエさん?トオさん?センパイ?
ドコだ?ドコだ?!!どこにイッタ?!!
何処に?無い?どこに?どうして?いない?

何処にいってしまったんだろうか……ミンナは……

ドコにあるんだろうか……自分のウデは……

おい、君……ウデをミなかったか?
あ、そこのカタ……そう、アナタだ……そのウデ……カしてもらえないか?
アナタのソレはジブンのウデではないのか?
カエシテクレナイカ?ウデヲ
チガウ?ジブンニハウデガナイ?
ソウカ……セキワンナノカ……セキワンノカシマトヨバレテイタノダツタ……
ハハハ……ハハハ……ソウカ……
セキワンノカシマ……ソウダツタ……
ジブンハ、セキワンノカシマトヨバレテイタノダツタ

ドウホウカラハ、セキワンノカシマトヨバレテイルノダツタ

=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=


*


携帯が着信を告げていた
マスターから、そのまま使って良いと言われているが
掛けるのも掛けてくるのも相手もはサチとジャックくらいのものだ

「ん~、サチ?……おはよう」
「寝てた?ごめんね輪君、でも大事な用があるの、聞いてくれる?」
「……え?……うん、大丈夫、目が覚めてきた……あ、もうお昼前だったんだ……」
「うん、もうお昼前なのに、カシマさんが起きてくれないの」
「え?カシマさんが?……二日酔いなの?」
「そうじゃないみたいで、息はちゃんと規則正しくしてるのに……」
「声を掛けたり、揺すったりしても起きないの?」
「うん、いつもだったら……わたしが起きる前には絶対起きてるのに……」
「お酒のせいじゃないんだよね?」
「あんまり強くはないって言ってたけど、昨日は帰る時の足取りもしっかりしてて」
「確かに昨日はあんまり飲んでなかったと思う」
「わたしじゃ対処できそうにないの……病院に行くわけにもいかないし」
「そうだね……」
「だから、ジャックさんなら何か分かるかもしれないと思って……」
「分かった、連絡してみるよ」
「お願い」
「すぐに行ってもらうから、落ち着いて……むしろジャックがあわてちゃいそうだけどね」
「あはは、そうだね~、じゃあ、待ってるね」
「うん」


舞い散る桜花の様に、ゆっくりと日常は終わり始めていた


*


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