「…それで。翼君にだけ行かせたのですか?」
「本当ならば、我が行きたかったのだがな。なぜか皆に止められた」
「でしょうね」
「本当ならば、我が行きたかったのだがな。なぜか皆に止められた」
「でしょうね」
----深夜 学校町 とある墓地の一角
体が半透明の女性と鎧武者が、そこで向き合っていた
「怪奇同盟」の盟主と、「首塚」首領、平将門だ
「怪奇同盟」の盟主と、「首塚」首領、平将門だ
悪魔の囁き、及び、コーク・ロア支配型の騒動の黒幕と、今わかっている時点でのその部下の情報
それを、盟主に持ってきた将門であったが…盟主はどこで知ったのか、あのお人好しの黒服の電話番号を手に入れていたようで、そちらからすでに情報を手に入れてしまっていた
あの黒服の性格を考えれば、盟主相手であれば迷う事なく、情報を渡すだろう
盟主と会う口実を潰された事は、やや面白くないが……まぁ、あの黒服相手では、仕方あるまい
そう考えて、将門は諦めていた
…口実を潰されたにせよ、どちらにせよ、盟主とは顔を会わせたかったのだ
それを、誰かに阻止される言われはない
それを、盟主に持ってきた将門であったが…盟主はどこで知ったのか、あのお人好しの黒服の電話番号を手に入れていたようで、そちらからすでに情報を手に入れてしまっていた
あの黒服の性格を考えれば、盟主相手であれば迷う事なく、情報を渡すだろう
盟主と会う口実を潰された事は、やや面白くないが……まぁ、あの黒服相手では、仕方あるまい
そう考えて、将門は諦めていた
…口実を潰されたにせよ、どちらにせよ、盟主とは顔を会わせたかったのだ
それを、誰かに阻止される言われはない
「…あれは、近頃酷く、気を落ち込ませている。これ以上の負担はかけたくなかったのだが、な」
「むしろ……他の事を請け負う事で、その時だけでも、背負っているそれから、目をそらそうとしたのかも、しれませんね」
「むしろ……他の事を請け負う事で、その時だけでも、背負っているそれから、目をそらそうとしたのかも、しれませんね」
…情報のやり取りの、代わりに
二人が話していたのは、この日、喫茶ルーモアに…「首塚」を代表して謝罪に向かった、翼のことだった
冒頭でのやり取りの通り、本来ならば、将門が自ら、出向くつもりだった
しかし…たとえ、客足が途絶える時間帯に、とは言えだ
喫茶店を訪れる、怨念とか色々と背負った鎧武者
………どう考えても、営業妨害以外の何物でもない
よって、「首塚」メンバーほぼ全員(幸運の眉毛コアラと契約している幸太と、一年生になったらの契約者を除く)に全力で止められてしまったのだ
…ならば、誰が行くか?
そうなった時、立候補したのは、翼だった
ルーモアのマスターの命を、一度は奪った男である魔法使い
それと、交戦経験がある分、縁があるから、と
翼に任せることを、「首塚」の構成員達は、迷った
…翼が、今、何らかの精神的な問題を抱えている事は、明らかだったからだ
普段から、どちらかと言えば明るい性分の彼が、このところ、心からの笑顔をほとんど浮かべていない
口をつく言葉も、どこか威勢の弱いものになってしまっていきつつある
---翼と、今、学校町を騒がせている悪意の大元…朝比奈 秀雄が実の親子である事は、「首塚」構成員達も全員はまだ知らない
だが、何らかの関係があるのでは…と、薄々、察してはいた
翼が落ち込んだ様子を…何か、悩んでいるような様子を見せ始めたのは、悪魔の囁きとコーク・ロア支配型の騒動が、活発化し始めた時期と、重なっていたから
そんな状態だからこそ、翼に任せることを、皆迷った
しかし、翼は引こうとせず…結局、一人でルーモアに向かったのだ
結果として、ルーモアでの出来事を将門に報告してきた翼は………少し
ほんの、少し……背負っていた物の重さが、軽減したような
そんな印象を、受けた
…もっとも、それはまた時が経てば、元の重さに戻ってしまうのではないか、と言う危うさも含んでいたのだが
朝比奈 秀雄を止めない限り…翼は、追い込まれ続けるだろう
あの男は、ただ、翼を追い込む為だけに…翼を、自分にとっての都合のいい操り人形にするためだけに、この学校町を犠牲にしようとしていて
その事実が、翼の心を追い詰め続けているのだから
二人が話していたのは、この日、喫茶ルーモアに…「首塚」を代表して謝罪に向かった、翼のことだった
冒頭でのやり取りの通り、本来ならば、将門が自ら、出向くつもりだった
しかし…たとえ、客足が途絶える時間帯に、とは言えだ
喫茶店を訪れる、怨念とか色々と背負った鎧武者
………どう考えても、営業妨害以外の何物でもない
よって、「首塚」メンバーほぼ全員(幸運の眉毛コアラと契約している幸太と、一年生になったらの契約者を除く)に全力で止められてしまったのだ
…ならば、誰が行くか?
そうなった時、立候補したのは、翼だった
ルーモアのマスターの命を、一度は奪った男である魔法使い
それと、交戦経験がある分、縁があるから、と
翼に任せることを、「首塚」の構成員達は、迷った
…翼が、今、何らかの精神的な問題を抱えている事は、明らかだったからだ
普段から、どちらかと言えば明るい性分の彼が、このところ、心からの笑顔をほとんど浮かべていない
口をつく言葉も、どこか威勢の弱いものになってしまっていきつつある
---翼と、今、学校町を騒がせている悪意の大元…朝比奈 秀雄が実の親子である事は、「首塚」構成員達も全員はまだ知らない
だが、何らかの関係があるのでは…と、薄々、察してはいた
翼が落ち込んだ様子を…何か、悩んでいるような様子を見せ始めたのは、悪魔の囁きとコーク・ロア支配型の騒動が、活発化し始めた時期と、重なっていたから
そんな状態だからこそ、翼に任せることを、皆迷った
しかし、翼は引こうとせず…結局、一人でルーモアに向かったのだ
結果として、ルーモアでの出来事を将門に報告してきた翼は………少し
ほんの、少し……背負っていた物の重さが、軽減したような
そんな印象を、受けた
…もっとも、それはまた時が経てば、元の重さに戻ってしまうのではないか、と言う危うさも含んでいたのだが
朝比奈 秀雄を止めない限り…翼は、追い込まれ続けるだろう
あの男は、ただ、翼を追い込む為だけに…翼を、自分にとっての都合のいい操り人形にするためだけに、この学校町を犠牲にしようとしていて
その事実が、翼の心を追い詰め続けているのだから
「あれは、何もかも背負い込みすぎる」
自分のせいで、と
一瞬でも、そう思ってしまったならば
その責任を、何もかも、自分1人で背負い込もうとしてしまって
そして、自分1人で、その何もかもを解決しようとしてしまう
一瞬でも、そう思ってしまったならば
その責任を、何もかも、自分1人で背負い込もうとしてしまって
そして、自分1人で、その何もかもを解決しようとしてしまう
今の、ままでは
翼は、恐らく…朝比奈 秀雄と言う、己の父親を
己の手で殺すという解決法を、選んでしまう
あの、悪意の塊のような男を説得する事など、恐らく釈迦でも仏でも不可能な事なのだろう
ならば、それを止める為に、どうするか?
…………実力で止めるしか、ない
その命の鼓動を止めるという、その手段で
命の炎を吹き消す事でしか、止められない
それが、今、示されている自体の解決法の中で、唯一、はっきりと認識できるもの
翼は、それを己の手で実行しようとしてしまうだろう
自分のせいだから、とそう考えてしまって
翼は、恐らく…朝比奈 秀雄と言う、己の父親を
己の手で殺すという解決法を、選んでしまう
あの、悪意の塊のような男を説得する事など、恐らく釈迦でも仏でも不可能な事なのだろう
ならば、それを止める為に、どうするか?
…………実力で止めるしか、ない
その命の鼓動を止めるという、その手段で
命の炎を吹き消す事でしか、止められない
それが、今、示されている自体の解決法の中で、唯一、はっきりと認識できるもの
翼は、それを己の手で実行しようとしてしまうだろう
自分のせいだから、とそう考えてしまって
子供が、実の親を殺す
…親殺しの罪
昔から、そのような事態は存在しなかった訳ではない
将門も、盟主も……実の親子同士ですら、血で血を争う事も珍しくなかった時代を知っている
知ってはいる、が
それを肯定する訳ではない
今の時代の流れの中、そんな悲劇や惨劇は起きるべきではない
起こすべきではない、と心から思う
…親殺しの罪
昔から、そのような事態は存在しなかった訳ではない
将門も、盟主も……実の親子同士ですら、血で血を争う事も珍しくなかった時代を知っている
知ってはいる、が
それを肯定する訳ではない
今の時代の流れの中、そんな悲劇や惨劇は起きるべきではない
起こすべきではない、と心から思う
「あなたの言葉で、彼を止める事はできませんか?」
「…我に、その権利はない………翼にとって、父親を討つ事は、復讐でもある。幼き日の、物のように扱われ続けた日々への、復讐にもなり得る……ゆえに、我には止められぬ」
「あなたが、復讐を肯定する祟り神だから……ですか」
「…我に、その権利はない………翼にとって、父親を討つ事は、復讐でもある。幼き日の、物のように扱われ続けた日々への、復讐にもなり得る……ゆえに、我には止められぬ」
「あなたが、復讐を肯定する祟り神だから……ですか」
「首塚」は復讐を肯定する
その復讐が正当なものである限り
その復讐に、復讐に関係のない者を巻き込まない限り
その復讐の相手を…………間違えない、限り
「首塚」は復讐を肯定し、それに手を貸す
将門は、祟り神になって以来、何人かの人間と契約をし、その復讐を手助けしたことすらある……もっとも、契約をした人間達は、復讐を果たした直後、将門という存在に飲み込まれたり、飲み込まれることを拒んで死を選んできたが
その復讐が正当なものである限り
その復讐に、復讐に関係のない者を巻き込まない限り
その復讐の相手を…………間違えない、限り
「首塚」は復讐を肯定し、それに手を貸す
将門は、祟り神になって以来、何人かの人間と契約をし、その復讐を手助けしたことすらある……もっとも、契約をした人間達は、復讐を果たした直後、将門という存在に飲み込まれたり、飲み込まれることを拒んで死を選んできたが
そのような存在である、将門だから
先ほどの言葉の通り、翼の決意を止める事ができないのだ
都市伝説は、長く生きていればいるほどに、己を生み出した伝説から意識を外し、それに反した行動も取りやすくなる
先ほどの言葉の通り、翼の決意を止める事ができないのだ
都市伝説は、長く生きていればいるほどに、己を生み出した伝説から意識を外し、それに反した行動も取りやすくなる
…だが、反対に
長く生き続ければ生き続けるほどに、己を生み出した伝説に縛られ続ける可能性も、ある
将門は、まさにその後者の典型的な例と言ってもよいだろう
もっとも、祟り神と言う側面以外に、英雄としての側面が混ざるようになっただけ、まだマシなのだが
長く生き続ければ生き続けるほどに、己を生み出した伝説に縛られ続ける可能性も、ある
将門は、まさにその後者の典型的な例と言ってもよいだろう
もっとも、祟り神と言う側面以外に、英雄としての側面が混ざるようになっただけ、まだマシなのだが
「翼を止める事は、我の役目ではない。他の、誰かだ」
他の誰かに、その役目を譲るしか、ない
…それしか、できないのだ
…それしか、できないのだ
「…平将門公」
「うん?」
「あなたは……今の、彼が。朝比奈 秀雄に。打ち勝てると…そう、思いますか?」
「うん?」
「あなたは……今の、彼が。朝比奈 秀雄に。打ち勝てると…そう、思いますか?」
盟主の
その、静かな静かな、問いかけに
…将門は、ゆっくりと、答える
その、静かな静かな、問いかけに
…将門は、ゆっくりと、答える
「…わからぬ。ただ…その男が契約しているらしい、最後の都市伝説の正体…それがつかめぬ限りは。そして、それを打ち破る方法を見つけぬ限り。それは、難しいだろう」
それは
翼が、朝比奈を殺そうとして
逆に……殺されてしまう可能性を、示唆していて
翼が、朝比奈を殺そうとして
逆に……殺されてしまう可能性を、示唆していて
「それでも。あなたは、彼を止める事ができないのですか?」
「……我は、このような存在だからな」
「……我は、このような存在だからな」
止めたくても…止める事は、できないのだ
将門は、静かに夜空を見上げた
将門は、静かに夜空を見上げた
「我には、翼を信じる事しか、できぬ」
「組織」に仇なそうと、配下を集め始めた時
一番初めに見つけた青年だった
「組織」への強い敵対心
そして、かなえようとする願いへの執着の強さ
…己の配下として加えるに、相応しかった
だから、配下として選んだ
一番初めに見つけた青年だった
「組織」への強い敵対心
そして、かなえようとする願いへの執着の強さ
…己の配下として加えるに、相応しかった
だから、配下として選んだ
あの日
己の配下となる事を選んできた、翼
あの時、自分に向けてきた表情は
畏怖と、羨望と、そして
己の配下となる事を選んできた、翼
あの時、自分に向けてきた表情は
畏怖と、羨望と、そして
手に入れられなかった、何かを
こちらに、重ね合わせてみてきているような
……そんな表情だった
こちらに、重ね合わせてみてきているような
……そんな表情だった
「…盟主よ」
「何です?」
「……場合によっては。我が、朝比奈 秀雄を討つ………邪魔をしてくれるなよ?」
「学校町が壊れない範囲でお願いしますよ?」
「相手の出方次第だ」
「何です?」
「……場合によっては。我が、朝比奈 秀雄を討つ………邪魔をしてくれるなよ?」
「学校町が壊れない範囲でお願いしますよ?」
「相手の出方次第だ」
将門の言葉に、盟主は全く…と、ため息をついてきたのだった
to be … ?