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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-72d

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匿名ユーザー

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「…それで。翼君にだけ行かせたのですか?」
「本当ならば、我が行きたかったのだがな。なぜか皆に止められた」
「でしょうね」

 ----深夜 学校町 とある墓地の一角

 体が半透明の女性と鎧武者が、そこで向き合っていた
 「怪奇同盟」の盟主と、「首塚」首領、平将門だ

 悪魔の囁き、及び、コーク・ロア支配型の騒動の黒幕と、今わかっている時点でのその部下の情報
 それを、盟主に持ってきた将門であったが…盟主はどこで知ったのか、あのお人好しの黒服の電話番号を手に入れていたようで、そちらからすでに情報を手に入れてしまっていた
 あの黒服の性格を考えれば、盟主相手であれば迷う事なく、情報を渡すだろう
 盟主と会う口実を潰された事は、やや面白くないが……まぁ、あの黒服相手では、仕方あるまい
 そう考えて、将門は諦めていた
 …口実を潰されたにせよ、どちらにせよ、盟主とは顔を会わせたかったのだ
 それを、誰かに阻止される言われはない

「…あれは、近頃酷く、気を落ち込ませている。これ以上の負担はかけたくなかったのだが、な」
「むしろ……他の事を請け負う事で、その時だけでも、背負っているそれから、目をそらそうとしたのかも、しれませんね」

 …情報のやり取りの、代わりに
 二人が話していたのは、この日、喫茶ルーモアに…「首塚」を代表して謝罪に向かった、翼のことだった
 冒頭でのやり取りの通り、本来ならば、将門が自ら、出向くつもりだった
 しかし…たとえ、客足が途絶える時間帯に、とは言えだ
 喫茶店を訪れる、怨念とか色々と背負った鎧武者
 ………どう考えても、営業妨害以外の何物でもない
 よって、「首塚」メンバーほぼ全員(幸運の眉毛コアラと契約している幸太と、一年生になったらの契約者を除く)に全力で止められてしまったのだ
 …ならば、誰が行くか?
 そうなった時、立候補したのは、翼だった
 ルーモアのマスターの命を、一度は奪った男である魔法使い
 それと、交戦経験がある分、縁があるから、と
 翼に任せることを、「首塚」の構成員達は、迷った
 …翼が、今、何らかの精神的な問題を抱えている事は、明らかだったからだ
 普段から、どちらかと言えば明るい性分の彼が、このところ、心からの笑顔をほとんど浮かべていない
 口をつく言葉も、どこか威勢の弱いものになってしまっていきつつある
 ---翼と、今、学校町を騒がせている悪意の大元…朝比奈 秀雄が実の親子である事は、「首塚」構成員達も全員はまだ知らない
 だが、何らかの関係があるのでは…と、薄々、察してはいた
 翼が落ち込んだ様子を…何か、悩んでいるような様子を見せ始めたのは、悪魔の囁きとコーク・ロア支配型の騒動が、活発化し始めた時期と、重なっていたから
 そんな状態だからこそ、翼に任せることを、皆迷った
 しかし、翼は引こうとせず…結局、一人でルーモアに向かったのだ
 結果として、ルーモアでの出来事を将門に報告してきた翼は………少し
 ほんの、少し……背負っていた物の重さが、軽減したような
 そんな印象を、受けた
 …もっとも、それはまた時が経てば、元の重さに戻ってしまうのではないか、と言う危うさも含んでいたのだが
 朝比奈 秀雄を止めない限り…翼は、追い込まれ続けるだろう
 あの男は、ただ、翼を追い込む為だけに…翼を、自分にとっての都合のいい操り人形にするためだけに、この学校町を犠牲にしようとしていて
 その事実が、翼の心を追い詰め続けているのだから

「あれは、何もかも背負い込みすぎる」

 自分のせいで、と
 一瞬でも、そう思ってしまったならば
 その責任を、何もかも、自分1人で背負い込もうとしてしまって
 そして、自分1人で、その何もかもを解決しようとしてしまう

 今の、ままでは
 翼は、恐らく…朝比奈 秀雄と言う、己の父親を
 己の手で殺すという解決法を、選んでしまう
 あの、悪意の塊のような男を説得する事など、恐らく釈迦でも仏でも不可能な事なのだろう
 ならば、それを止める為に、どうするか?
 …………実力で止めるしか、ない
 その命の鼓動を止めるという、その手段で
 命の炎を吹き消す事でしか、止められない
 それが、今、示されている自体の解決法の中で、唯一、はっきりと認識できるもの
 翼は、それを己の手で実行しようとしてしまうだろう
 自分のせいだから、とそう考えてしまって

 子供が、実の親を殺す
 …親殺しの罪
 昔から、そのような事態は存在しなかった訳ではない
 将門も、盟主も……実の親子同士ですら、血で血を争う事も珍しくなかった時代を知っている
 知ってはいる、が
 それを肯定する訳ではない
 今の時代の流れの中、そんな悲劇や惨劇は起きるべきではない
 起こすべきではない、と心から思う

「あなたの言葉で、彼を止める事はできませんか?」
「…我に、その権利はない………翼にとって、父親を討つ事は、復讐でもある。幼き日の、物のように扱われ続けた日々への、復讐にもなり得る……ゆえに、我には止められぬ」
「あなたが、復讐を肯定する祟り神だから……ですか」

 「首塚」は復讐を肯定する 
 その復讐が正当なものである限り
 その復讐に、復讐に関係のない者を巻き込まない限り
 その復讐の相手を…………間違えない、限り
 「首塚」は復讐を肯定し、それに手を貸す
 将門は、祟り神になって以来、何人かの人間と契約をし、その復讐を手助けしたことすらある……もっとも、契約をした人間達は、復讐を果たした直後、将門という存在に飲み込まれたり、飲み込まれることを拒んで死を選んできたが

 そのような存在である、将門だから
 先ほどの言葉の通り、翼の決意を止める事ができないのだ
 都市伝説は、長く生きていればいるほどに、己を生み出した伝説から意識を外し、それに反した行動も取りやすくなる

 …だが、反対に
 長く生き続ければ生き続けるほどに、己を生み出した伝説に縛られ続ける可能性も、ある
 将門は、まさにその後者の典型的な例と言ってもよいだろう
 もっとも、祟り神と言う側面以外に、英雄としての側面が混ざるようになっただけ、まだマシなのだが

「翼を止める事は、我の役目ではない。他の、誰かだ」

 他の誰かに、その役目を譲るしか、ない
 …それしか、できないのだ

「…平将門公」
「うん?」
「あなたは……今の、彼が。朝比奈 秀雄に。打ち勝てると…そう、思いますか?」

 盟主の
 その、静かな静かな、問いかけに
 …将門は、ゆっくりと、答える

「…わからぬ。ただ…その男が契約しているらしい、最後の都市伝説の正体…それがつかめぬ限りは。そして、それを打ち破る方法を見つけぬ限り。それは、難しいだろう」

 それは
 翼が、朝比奈を殺そうとして
 逆に……殺されてしまう可能性を、示唆していて

「それでも。あなたは、彼を止める事ができないのですか?」
「……我は、このような存在だからな」

 止めたくても…止める事は、できないのだ
 将門は、静かに夜空を見上げた

「我には、翼を信じる事しか、できぬ」

 「組織」に仇なそうと、配下を集め始めた時
 一番初めに見つけた青年だった
 「組織」への強い敵対心
 そして、かなえようとする願いへの執着の強さ
 …己の配下として加えるに、相応しかった
 だから、配下として選んだ

 あの日
 己の配下となる事を選んできた、翼
 あの時、自分に向けてきた表情は
 畏怖と、羨望と、そして


 手に入れられなかった、何かを
 こちらに、重ね合わせてみてきているような
 ……そんな表情だった


「…盟主よ」
「何です?」
「……場合によっては。我が、朝比奈 秀雄を討つ………邪魔をしてくれるなよ?」
「学校町が壊れない範囲でお願いしますよ?」
「相手の出方次第だ」

 将門の言葉に、盟主は全く…と、ため息をついてきたのだった


to be … ?




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