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連載 - Tさん、エピローグに至るまで-コーク・ロア-11

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 南区、賑やかな通りから少し外れた路地裏にてTさんは携帯を開いていた。通話相手は黒服だ。
「――状況はだいたい掴めた。≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年や≪はないちもんめ≫の少女もそうだが、黒服さんも十分注意してほしい……特に朝比奈秀雄には」
『はい、Tさんたちもお気をつけて』
「ああ」
 答えてTさんは携帯を切る。
 さて、どう立ち回るか……。
 そう考えながら先程の通話の声から伝わってきた悄然とした気配に不安を感じずには居られなかった。
 携帯をしまうと、そのタイミングを見計らって舞が言う。
「Tさん、こいつらどうする?」
 そう言う舞の足元には幾人かの男女とそれ以上の数の犬が倒れている。皆突然襲い掛かって来た≪コーク・ロア≫や≪クールトー≫の影響を受けた者達だ。
「そうだな……」
 そう言いながらTさんは倒れている者達へと手をかざした。
「目が覚めたら≪コーク・ロア≫の影響が抜けていれば幸せだ」
 ≪ケサランパサラン≫への祈祷が為され、応えるように光が淡く放射された。
「これで良いだろう」
 告げるTさんに舞はほっとした顔をし、次いで怪訝そうに口を開いた。
「はぁ……まったく、なんでまたこんなにイカれた奴らが湧いて出たんだ? ……やっぱり春だからか?」
 今まで南区のような人通りの多い場所で≪コーク・ロア≫の被害者達に出会うようなことは無かった。いったいどういうことだろうか?
 そう疑問する舞にTさんはつい先ほど得た答えを示した。
「どうやら朝比奈秀雄が派手に動きだしたらしい」
 言葉に、舞は「うぇ」と嫌そうに顔を顰めながら納得したように頷いた。
「こいつら全員朝比奈のおっちゃんの被害者か……」
 まったく迷惑な。と文句を垂れる舞にTさんも同意する。と、
「お兄ちゃん、さっきのおでんわ、なんだったの?」
 鞄から様子を窺っていたリカちゃんが舞に頭の上をねだりながら訊いてきた。
「黒服さんから、どうやら彼らは元を叩きに行くようだな」
 その言葉にリカちゃんを頭上にセットしていた舞が、ん? と声を上げた。
「っつーことは敵さんの居場所ってわかってんの?」
「そのようだ」と答え、Tさんは指をその方向へと向けて突き出した。
「向こう、繁華街の端、そこにある雑居ビルが朝比奈秀雄の隠れ家だそうだ」
「繁華街ってーとここら辺のことだよな。結構近いじゃねえか」
 舞が驚きに目を瞠る。
「いくの?」
 舞の頭上で首を傾げたリカちゃんに舞が力強く頷く。
「だな。臭いは元から絶たねえと」
「その方がいいだろうな」
 朝比奈秀雄を止めれば≪悪魔の囁き≫も止まる。彼の取り巻き達も大人しくなるだろう。
 それに、
 朝比奈秀雄が動いていることは今回の件の情報を持っている者が今目の前に倒れているような者達の様子を見ればだいたい分かる。
 そうなると、
「そういやTさん、マドカ姐ちゃんに連絡しなくて良いのか?」
 それだ……。
 舞の言葉にTさんは眉間に皺を寄せた。
「……彼女への連絡だが」
 以前、何かあったら伝えると彼女と約束はしたが……。
 朝比奈秀雄の居場所には黒服や翼が向かっている。正直に言ってこの中に彼女を一人で行かせるのはとても躊躇われた。
 しかし連絡をしないのは不義理か……。
 Tさんはしばし考え、結論を下した。
「……向こうから連絡が無い限り、もう少し……そうだな、せめて俺たちが件の雑居ビルに辿りつくまでは黙っていることにしよう」
 現場の人間関係に思いを馳せたのか、舞が「あー了解」と重々しく頷いた。リカちゃんはよく理解できていないのか首を傾げている。
「では、行こうか」
 そう言ってTさん達は倒れている者を表通りに放りだして後、裏道を繁華街の端へと向かって移動しだした。



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