三面鏡の少女 49
「ああ、あいつ買い物に行くところだったのか。わざわざ連絡済まんな」
愛華からの電話に、安心しながらも何か納得していないような顔をしている宏也
もっとも、顔には出しているものの声には全く出ていないのだが
話によると家の買い物の用事だったらしいのだが、顔を合わせた途端にパニックを起こして逃亡するような理由は無い
それを愛華に聞くのは、こう、何か悔しい気がしていた
「厄介な連中がうろついてるし、そいつらの手勢を削いで状況は佳境に近付いてる。お前も気をつけろよ」
電話を切って、ふうと溜息を吐く
佳奈美には今まで散々セクハラを敢行してきたが、抵抗をする事はあっても逃げ出す事は無かった
そもそも最近は忙しかったり、彼女を守る事に徹していたりしたせいで、あまりセクハラ行為はしていなかったのだが
「溜まってると思われてたりしないだろうな」
そう呟いて携帯電話をポケットにしまい込んだ、その直後
メールの着信を知らせる音と振動が手に伝わってきた
改めて取り出した携帯を開きメールの内容を見て
「……佳奈美?」
愛華からの電話に、安心しながらも何か納得していないような顔をしている宏也
もっとも、顔には出しているものの声には全く出ていないのだが
話によると家の買い物の用事だったらしいのだが、顔を合わせた途端にパニックを起こして逃亡するような理由は無い
それを愛華に聞くのは、こう、何か悔しい気がしていた
「厄介な連中がうろついてるし、そいつらの手勢を削いで状況は佳境に近付いてる。お前も気をつけろよ」
電話を切って、ふうと溜息を吐く
佳奈美には今まで散々セクハラを敢行してきたが、抵抗をする事はあっても逃げ出す事は無かった
そもそも最近は忙しかったり、彼女を守る事に徹していたりしたせいで、あまりセクハラ行為はしていなかったのだが
「溜まってると思われてたりしないだろうな」
そう呟いて携帯電話をポケットにしまい込んだ、その直後
メールの着信を知らせる音と振動が手に伝わってきた
改めて取り出した携帯を開きメールの内容を見て
「……佳奈美?」
《宏也さん、突然逃げてごめんなさい。こないだの事がなんか恥ずかしくて自分でもよくわかんない事になってました。でも嫌いとかそういうのじゃなくてむしろ大好きです。よくわかんないメールでごめんなさい》
メールの内容を表示したまましばらく画面を見詰め、このメールを打っていたであろう佳奈美の姿を想像して苦笑する
「きっと布団の中であーあー自己嫌悪に陥りながら、真っ赤な顔で涙目になって何度も打ち間違えしつつ送ってきたんだろうな」
「きっと布団の中であーあー自己嫌悪に陥りながら、真っ赤な顔で涙目になって何度も打ち間違えしつつ送ってきたんだろうな」
―――
「へくちっ」
あーあー自己嫌悪に陥りながら、真っ赤な顔で涙目になって何度も打ち間違えしながらメールを送り終え、携帯を抱いたまま布団に潜っていた佳奈美
突然出たくしゃみに、布団からもぞりと這い出てティッシュで鼻をかむ
「ホントに風邪引いたりしてないよね」
くしくしとティッシュで鼻を擦り、丸めたちり紙をゴミ箱にぽいと放り込む
「にゅー、すぐ逃げちゃったけど宏也さんの顔見たらちょっと落ち着いたかもにょ!?」
抱き締めていた携帯電話が着信を告げ、その相手を見て素っ頓狂な声が出る
「わ、え、誰、はわ、宏也さんっ!?」
慌てて受信ボタンを押し、裏返りそうな声を押さえ付ける
《ん、走ってたし元気だとは思ったんだが。病気系の都市伝説がうろうろしてたし、学校休んでたならと思ってちょっとな》
「にゃ、えぅ、さ、さささ、さっきはごめんね!? なんかこう、気が動転して!」
《気にすんな。体調悪いとかが無けりゃいいんだ。まあその辺はついでなんだが》
「ふにゃ? ついで?」
《ああ、顔合わせたらなんか声も聞きたくなった。その場にいたら抱き締めてて仕事にならんだろうし丁度良かったかもしれん》
「ふぇえ!? だ、だだだだ、だっ、だ」
布団内部温度を激しく急上昇させながら、もう言葉にならない有様になる佳奈美
《色々落ち着いたら、二人でどっか遊びに行こうな。仕事ばっかりの男ですまん》
「そ、そんな事ないよ!? 宏也さんがお仕事してるって事は、あたしってなんか守られてるんだなぁって幸せ気分で一杯だし! あ、いや、別にあたしだけ守られてるわけじゃなくて町全体なんだけど!」
あからさまにパニックを起こす佳奈美に、宏也は楽しげに笑う
《とりあえず元気そうで安心した。いつも物騒な町だが、今は殊更物騒だから気をつけてな。何かあったらすぐ駆けつける、遠慮せずに呼べよ》
「うん、ありがと……宏也さんも気をつけてね」
ようやく落ち着きを取り戻し、電話を切ってぽすりと枕に倒れ込む
「やさしーな、宏也さん……心配掛けないようにあたしも色んな意味で強くならないと」
あーあー自己嫌悪に陥りながら、真っ赤な顔で涙目になって何度も打ち間違えしながらメールを送り終え、携帯を抱いたまま布団に潜っていた佳奈美
突然出たくしゃみに、布団からもぞりと這い出てティッシュで鼻をかむ
「ホントに風邪引いたりしてないよね」
くしくしとティッシュで鼻を擦り、丸めたちり紙をゴミ箱にぽいと放り込む
「にゅー、すぐ逃げちゃったけど宏也さんの顔見たらちょっと落ち着いたかもにょ!?」
抱き締めていた携帯電話が着信を告げ、その相手を見て素っ頓狂な声が出る
「わ、え、誰、はわ、宏也さんっ!?」
慌てて受信ボタンを押し、裏返りそうな声を押さえ付ける
《ん、走ってたし元気だとは思ったんだが。病気系の都市伝説がうろうろしてたし、学校休んでたならと思ってちょっとな》
「にゃ、えぅ、さ、さささ、さっきはごめんね!? なんかこう、気が動転して!」
《気にすんな。体調悪いとかが無けりゃいいんだ。まあその辺はついでなんだが》
「ふにゃ? ついで?」
《ああ、顔合わせたらなんか声も聞きたくなった。その場にいたら抱き締めてて仕事にならんだろうし丁度良かったかもしれん》
「ふぇえ!? だ、だだだだ、だっ、だ」
布団内部温度を激しく急上昇させながら、もう言葉にならない有様になる佳奈美
《色々落ち着いたら、二人でどっか遊びに行こうな。仕事ばっかりの男ですまん》
「そ、そんな事ないよ!? 宏也さんがお仕事してるって事は、あたしってなんか守られてるんだなぁって幸せ気分で一杯だし! あ、いや、別にあたしだけ守られてるわけじゃなくて町全体なんだけど!」
あからさまにパニックを起こす佳奈美に、宏也は楽しげに笑う
《とりあえず元気そうで安心した。いつも物騒な町だが、今は殊更物騒だから気をつけてな。何かあったらすぐ駆けつける、遠慮せずに呼べよ》
「うん、ありがと……宏也さんも気をつけてね」
ようやく落ち着きを取り戻し、電話を切ってぽすりと枕に倒れ込む
「やさしーな、宏也さん……心配掛けないようにあたしも色んな意味で強くならないと」