三面鏡の少女 50
「おとーさーん、ごめんなさいってばー」
寝室のドアを叩きながら、困り果てた声を上げる佳奈美
しばらくの間登校拒否に陥っていた佳奈美が元気になったという事で、両親にその事で少し話をしたのだが
原因を訊ねられた折に、言葉を濁しながらも彼氏ができた事を漏らしてしまったのだ
別に反対された訳でも、問いただされた訳でもない
「相談しなかったのは、頼りないからとかそういう事じゃないんだってばー。機嫌直してよー」
異性との関係で悩んでいた事を相談されなかったのが、自分が頼りない存在だったのかとか、妻にばかり愛情を注いでいて娘には足りなかったのかとがっくり落ち込んでしまったのだ
「佳奈美、どう?」
様子を身に来た母に、佳奈美は首を振って応える
「中学の時以来ね、ここまで拗ねちゃったの」
「あの時ほどショッキングじゃないと思うんだけどなぁ」
中学の三年間ほぼ丸々といじめを受けていたという事実を隠していたのが発覚した折に、佳奈美の父はこんな風に自分を責めて引き篭もってしまった事があった
「お父さん、自分の事は平気なのに他人事だと打たれ弱いのよねぇ。佳奈美のお父さんなだけあるわね、ホント」
「おかーさん、言う事キツイ」
げんなりした顔の佳奈美に、母は微笑を浮かべる
「しょうがないわねぇ、晩御飯作ってくるからもう少しお話してみててくれる?」
「うーん、お母さんがお話した方が良くないかな?」
「原因はあなたなんだから、ちゃんと納得させないとダメよ? それに晩御飯の支度、佳奈美一人じゃできないでしょ」
「あぅ」
言葉に詰まる佳奈美を置いて、ぱたぱたとキッチンに戻っていく母
困った顔でドアの傍らに座り込む佳奈美
「おとーさん、内緒にしてたわけじゃなくてね? あたしも何を相談していいのかわかんないぐらいだったんだってばー」
結局、顔を合わせて話をして落ち着くまでには相当な時間を要する事になる
そして――近いうちに彼氏を紹介する、そんな約束を母に取り付けられたりして佳奈美が頭を抱えたりもしていた
これが、外で黒服Hと共に戦っている手塚星の『佳奈美と、佳奈美の家族が、この騒動の間家から出ない』という状況を望んだ結果という事は、星本人以外は全く知る由も無かったのであった
寝室のドアを叩きながら、困り果てた声を上げる佳奈美
しばらくの間登校拒否に陥っていた佳奈美が元気になったという事で、両親にその事で少し話をしたのだが
原因を訊ねられた折に、言葉を濁しながらも彼氏ができた事を漏らしてしまったのだ
別に反対された訳でも、問いただされた訳でもない
「相談しなかったのは、頼りないからとかそういう事じゃないんだってばー。機嫌直してよー」
異性との関係で悩んでいた事を相談されなかったのが、自分が頼りない存在だったのかとか、妻にばかり愛情を注いでいて娘には足りなかったのかとがっくり落ち込んでしまったのだ
「佳奈美、どう?」
様子を身に来た母に、佳奈美は首を振って応える
「中学の時以来ね、ここまで拗ねちゃったの」
「あの時ほどショッキングじゃないと思うんだけどなぁ」
中学の三年間ほぼ丸々といじめを受けていたという事実を隠していたのが発覚した折に、佳奈美の父はこんな風に自分を責めて引き篭もってしまった事があった
「お父さん、自分の事は平気なのに他人事だと打たれ弱いのよねぇ。佳奈美のお父さんなだけあるわね、ホント」
「おかーさん、言う事キツイ」
げんなりした顔の佳奈美に、母は微笑を浮かべる
「しょうがないわねぇ、晩御飯作ってくるからもう少しお話してみててくれる?」
「うーん、お母さんがお話した方が良くないかな?」
「原因はあなたなんだから、ちゃんと納得させないとダメよ? それに晩御飯の支度、佳奈美一人じゃできないでしょ」
「あぅ」
言葉に詰まる佳奈美を置いて、ぱたぱたとキッチンに戻っていく母
困った顔でドアの傍らに座り込む佳奈美
「おとーさん、内緒にしてたわけじゃなくてね? あたしも何を相談していいのかわかんないぐらいだったんだってばー」
結局、顔を合わせて話をして落ち着くまでには相当な時間を要する事になる
そして――近いうちに彼氏を紹介する、そんな約束を母に取り付けられたりして佳奈美が頭を抱えたりもしていた
これが、外で黒服Hと共に戦っている手塚星の『佳奈美と、佳奈美の家族が、この騒動の間家から出ない』という状況を望んだ結果という事は、星本人以外は全く知る由も無かったのであった
―――
「うん、ネタバレしたら怒られそうだから絶対言わないでおこう」
「何か言ったか?」
「ううん、別にー?」
『コーク・ロア』の被害者をまた一人組み伏せ、その力で無力化しながら
星は共に戦う男に、内心でこっそり頭を下げていた
「何か言ったか?」
「ううん、別にー?」
『コーク・ロア』の被害者をまた一人組み伏せ、その力で無力化しながら
星は共に戦う男に、内心でこっそり頭を下げていた