ドクター64
マンションの地下駐車場屈み込みで、真紅のバイクのメンテナンスを行っている巨漢と、傍らに座り込みぼんやりとそれを眺めている犬メイド
「外は大騒ぎだけど、バトりに行かないのか?」
「操られている程度の輩や畜生に興味は無い。あんなものを斬ってもつまらん」
「違いがよくわからん」
「あ゛ー」
首を傾げる犬メイドの胸の谷間で、小悪霊が意図の読めない呻き声を上げる
「騒動の親玉なんかすげぇ強そうだろ。真っ先に突っ込んでいくかと思ったんだが」
「あれには因縁を持った者が居る。俺が手を出したところで満足のいく戦いにはならん」
「……なんか事情とか知ってるのか?」
「勘だ」
「アテになるのかよ」
「俺は俺のやりたいようにする、それだけだ」
手を油で汚しながら、黙々と作業を続ける呂布
「無駄話をしているほど暇なら、飯の支度か情報収集でもしてこい」
「飯はともかく、情報収集ってもなぁ」
目を盗んで呂布に命令を出している存在の情報を集めているとも言えず、犬メイドは言葉を濁す
「上田明也や、追撃者とかいう嬢ちゃんやら、他にも野良の都市伝説やフリーの契約者……あんだけ戦えば充分だろ、あんたの雇用主からしても」
「生憎と、契約者の恋人はまだ解放されておらんのでな」
整備は終わったのが、がちゃがちゃと工具を片付けて呂布は立ち上がる
「第一、一番戦ってみたい相手とは未だ戦ってはいない……武人、平将門とはな」
「すまん、アレとあんたが戦うってのは俺にとって超ド級の死亡フラグなんだが」
「戦いの場に立ち会え等とは言わん」
「いやいや、あんたと一緒にいるのが将門公にバレたら、復讐の依頼でもしたのかと勘違いされそ……で……」
溜息混じりに呟いた言葉が、息苦しいまでの覇気で押し留められる
「なるほど……俺と奴が戦えば、立っているのは奴の方だと、お前はそう言うのだな」
「いっ……いや……そういう、意味、じゃ」
あまりの威圧感に声が上手く出せない
心臓がきゅうきゅうと悲鳴を上げ、意識が飛びそうになる
「俺の戦いを見ていながらそのような感想を持つか。なるほど、心躍るというものだ」
呂布の笑みに呼応するように、キーを挿していないはずの赤兎のエンジンが嘶くように高らかに唸りを上げた
「外は大騒ぎだけど、バトりに行かないのか?」
「操られている程度の輩や畜生に興味は無い。あんなものを斬ってもつまらん」
「違いがよくわからん」
「あ゛ー」
首を傾げる犬メイドの胸の谷間で、小悪霊が意図の読めない呻き声を上げる
「騒動の親玉なんかすげぇ強そうだろ。真っ先に突っ込んでいくかと思ったんだが」
「あれには因縁を持った者が居る。俺が手を出したところで満足のいく戦いにはならん」
「……なんか事情とか知ってるのか?」
「勘だ」
「アテになるのかよ」
「俺は俺のやりたいようにする、それだけだ」
手を油で汚しながら、黙々と作業を続ける呂布
「無駄話をしているほど暇なら、飯の支度か情報収集でもしてこい」
「飯はともかく、情報収集ってもなぁ」
目を盗んで呂布に命令を出している存在の情報を集めているとも言えず、犬メイドは言葉を濁す
「上田明也や、追撃者とかいう嬢ちゃんやら、他にも野良の都市伝説やフリーの契約者……あんだけ戦えば充分だろ、あんたの雇用主からしても」
「生憎と、契約者の恋人はまだ解放されておらんのでな」
整備は終わったのが、がちゃがちゃと工具を片付けて呂布は立ち上がる
「第一、一番戦ってみたい相手とは未だ戦ってはいない……武人、平将門とはな」
「すまん、アレとあんたが戦うってのは俺にとって超ド級の死亡フラグなんだが」
「戦いの場に立ち会え等とは言わん」
「いやいや、あんたと一緒にいるのが将門公にバレたら、復讐の依頼でもしたのかと勘違いされそ……で……」
溜息混じりに呟いた言葉が、息苦しいまでの覇気で押し留められる
「なるほど……俺と奴が戦えば、立っているのは奴の方だと、お前はそう言うのだな」
「いっ……いや……そういう、意味、じゃ」
あまりの威圧感に声が上手く出せない
心臓がきゅうきゅうと悲鳴を上げ、意識が飛びそうになる
「俺の戦いを見ていながらそのような感想を持つか。なるほど、心躍るというものだ」
呂布の笑みに呼応するように、キーを挿していないはずの赤兎のエンジンが嘶くように高らかに唸りを上げた
―――
「傷付け合う」
「殺し合う」
「より大きな力がぶつかり合う」
「蟲毒はより練り込まれる」
「だが此度の戦いも沈静に向かっている」
それぞれが身動ぎ一つせず、唇すら動かさずに会話を続ける
「かの男は呂布などよりも随分と毒を濃くしてくれたものだ」
「予定よりも随分と早く事は起こせそうだ」
「この町を毒で満たしその毒を以って」
老若男女の囲む水鏡の底で脈打つ肉塊に包まれた女の姿
「『太歳星君』を我らの手で完全に掌握するのだ」
「殺し合う」
「より大きな力がぶつかり合う」
「蟲毒はより練り込まれる」
「だが此度の戦いも沈静に向かっている」
それぞれが身動ぎ一つせず、唇すら動かさずに会話を続ける
「かの男は呂布などよりも随分と毒を濃くしてくれたものだ」
「予定よりも随分と早く事は起こせそうだ」
「この町を毒で満たしその毒を以って」
老若男女の囲む水鏡の底で脈打つ肉塊に包まれた女の姿
「『太歳星君』を我らの手で完全に掌握するのだ」