「ふ~っ」
ぼすんっ、と彼女はベッドに腰掛けた
あぁ、今日も一日疲れた
お風呂上り、濡れた髪をわしわしとタオルでふきつつ、ぼんやりする
もう、夜も遅い
今日は、さっさと寝てしまおうか
そう考え、灯かりを消そうと起き上がって
あぁ、今日も一日疲れた
お風呂上り、濡れた髪をわしわしとタオルでふきつつ、ぼんやりする
もう、夜も遅い
今日は、さっさと寝てしまおうか
そう考え、灯かりを消そうと起き上がって
「…………?」
…感じる、視線
「おばーちゃん?」
一瞬、自分が契約している都市伝説の視線かと思った
…それなら良かった、と、違うと気付いた瞬間に思う
…それなら良かった、と、違うと気付いた瞬間に思う
『…いるよ』
「えぇ」
「えぇ」
わかっている
別の、都市伝説の気配
どこのどいつだ、うら若き乙女の部屋に入り込む変態都市伝説は
どこにいる?
彼女は、ざっと部屋中を見回し、視線の主を探す
別の、都市伝説の気配
どこのどいつだ、うら若き乙女の部屋に入り込む変態都市伝説は
どこにいる?
彼女は、ざっと部屋中を見回し、視線の主を探す
「おばーちゃんの位置から、見える?」
『…駄目だねぇ。鏡の死角の位置にいるみたいだよ』
『…駄目だねぇ。鏡の死角の位置にいるみたいだよ』
化粧台の鏡に映る鏡婆が、困ったように言ってきた
彼女との契約により、学校からも移動できるようになった鏡婆だが、鏡に映らない範囲は完全に死角のままだ
…だからと言って、部屋中鏡だらけにする訳にもいかない
それじゃあ、落ち着かないし
ごそ、と彼女は手鏡を取り出すと、自分とは別の位置に向ける
彼女との契約により、学校からも移動できるようになった鏡婆だが、鏡に映らない範囲は完全に死角のままだ
…だからと言って、部屋中鏡だらけにする訳にもいかない
それじゃあ、落ち着かないし
ごそ、と彼女は手鏡を取り出すと、自分とは別の位置に向ける
…一瞬前まで化粧台の鏡にいた鏡婆は、彼女の持つ手鏡へと移動した
油断なく、二人で部屋中を見回す
油断なく、二人で部屋中を見回す
(…ベッドの下、ではないといいんだけど)
ベッドの下の殺人鬼
よく聞く都市伝説だ
す、と鏡をベッドの下に向ける
よく聞く都市伝説だ
す、と鏡をベッドの下に向ける
『いないようだよ』
…良かった、それではなかったか
…じゃあ、相手はどこに?
この部屋に、隠れられる場所なんてそう多くない
それこそ、ベッドの下以外は
それ以外に……あんな隙間とかに、隠れられるなんて、よっぽど小さな都市伝じゃないと………
この部屋に、隠れられる場所なんてそう多くない
それこそ、ベッドの下以外は
それ以外に……あんな隙間とかに、隠れられるなんて、よっぽど小さな都市伝じゃないと………
「…………な!?」
まさか、と
思った場所にいるのが、都市伝説だとでも言うのか
部屋の中の、箪笥と本棚の隙間
その、細い細い、ほんの一cm程度の隙間に……それは、いた
その細い隙間に、ぴったりと密着する形で、細い細い、人間とは思えない細さの男が、立っていて
じっと、じっと…こちらを見つめてきている!!
思った場所にいるのが、都市伝説だとでも言うのか
部屋の中の、箪笥と本棚の隙間
その、細い細い、ほんの一cm程度の隙間に……それは、いた
その細い隙間に、ぴったりと密着する形で、細い細い、人間とは思えない細さの男が、立っていて
じっと、じっと…こちらを見つめてきている!!
『隙間男かい!』
「隙間男?隙間女じゃなくて!?」
「隙間男?隙間女じゃなくて!?」
隙間女なら、聞いた事がある
一人暮らしの男、しかし、部屋の中で視線を感じる
視線の先をたどると、そこには細い細い隙間があって
その隙間に女がいて、じっと見つめている……!
一人暮らしの男、しかし、部屋の中で視線を感じる
視線の先をたどると、そこには細い細い隙間があって
その隙間に女がいて、じっと見つめている……!
まさか、男バージョンもいたとは!?
彼女は鏡を構えたまま、油断なく、その隙間男を睨みつけた
彼女は鏡を構えたまま、油断なく、その隙間男を睨みつけた
「……何の用よ」
まずは、敵意を確認する
ここは自宅、そして自室
あまり、派手な戦いはしたくないのだ
ここは自宅、そして自室
あまり、派手な戦いはしたくないのだ
「………」
隙間男は、じっとこちらを見たまま答えない
…そもそも、こいつは野良都市伝説なのか、それとも契約者がいるのか?
どうにも、判断がつきにくくて困る
…そもそも、こいつは野良都市伝説なのか、それとも契約者がいるのか?
どうにも、判断がつきにくくて困る
「…………ぁ」
「?」
「?」
今
隙間男が、何か…
隙間男が、何か…
「…女子中学生、風呂上り……ハァハァ」
「………」
「………」
すちゃ
彼女は、無言でメリケンサックを装着した
彼女は、無言でメリケンサックを装着した
「おばーちゃん、鏡に引き込まない程度に、吸い寄せて」
『あぁ、わかったよ』
『あぁ、わかったよ』
手鏡の中の鏡婆が、構える
鏡婆の、一番の能力
それは、鏡の中に対象を引き寄せる事
テリトリーである学校からは離れているが…あいつを、隙間から引きずり出すくらいは可能だ!
鏡婆の、一番の能力
それは、鏡の中に対象を引き寄せる事
テリトリーである学校からは離れているが…あいつを、隙間から引きずり出すくらいは可能だ!
「っひ!?」
ずずっずずずずずっずず!!!!
容赦なく、隙間から引きずり出された隙間男
ぺらぺらに近い、不気味な体が引きずり出される
がす!!と
彼女は容赦なくそいつを踏みにじった!!
容赦なく、隙間から引きずり出された隙間男
ぺらぺらに近い、不気味な体が引きずり出される
がす!!と
彼女は容赦なくそいつを踏みにじった!!
「ぐぇ!?」
「……………っの」
「……………っの」
そして!!
メリケンサックを装着した拳を振り上げた!!!!
メリケンサックを装着した拳を振り上げた!!!!
「変態!!スケベ!!!女の敵っ!!!!死ね!!!!!!!」
「っぎゃーーーーーーー!!??」
「っぎゃーーーーーーー!!??」
ごっがっがすっ!!!
彼女の鉄拳が、足が、容赦なく隙間男に叩きつけられる
彼女の鉄拳が、足が、容赦なく隙間男に叩きつけられる
『程々にしてあげるんだよ』
そんな彼女の様子を、鏡の中から見つめながら
鏡婆は、孫を見守る老婆のような微笑で、ほっほっほ、と笑っているのだった
鏡婆は、孫を見守る老婆のような微笑で、ほっほっほ、と笑っているのだった
…なお、余談だが
この日の夜、彼女の家の周囲にて、びくんびくんと痙攣しながら恍惚の表情を浮かべていた不審者…隙間男の契約者が目撃されたらしいが
あまりの不審者ぶりに警察に通報され、その後どうなったのかはまったく不明である
この日の夜、彼女の家の周囲にて、びくんびくんと痙攣しながら恍惚の表情を浮かべていた不審者…隙間男の契約者が目撃されたらしいが
あまりの不審者ぶりに警察に通報され、その後どうなったのかはまったく不明である
終わってしまえ