第二の箱『バトルルーム:龍神の間』
「何もないな…誰もいないし」
植物温室を抜け、進んだ先。友人は何もない部屋へとたどり着いた。
植物温室を抜け、進んだ先。友人は何もない部屋へとたどり着いた。
「『植物温室』を抜けたようだな、侵入者君」その部屋に、先ほどより反響してあの声が響き渡る。
「今君がいるのが第二の箱、バトルルーム。名付けて『龍神の間』だ。
ここはQ-No.18、通称龍爺が君のお相手をする。老人だからとみくびってかかると痛い目にあうぞ~?」
ここはQ-No.18、通称龍爺が君のお相手をする。老人だからとみくびってかかると痛い目にあうぞ~?」
「…老人も何も、誰もいないが」
「…え」「壁に大きな穴があいてるだけだぞ」
…しばらくの沈黙。
「…んのやろ~!洗脳しきれてなかったのか…!また逃げやがって!だから人間育ちの黒服は嫌いなんだ!!」
…何やら不測の事態が起こったようで。
「…まぁいい。お前の墓場はこの次の部屋、バトルルームその二、名付けて『植神の間』になるのだからな!」
…いいのか。
「…まぁいい。お前の墓場はこの次の部屋、バトルルームその二、名付けて『植神の間』になるのだからな!」
…いいのか。
「まぁいいや。とっとと先に…ん?」
次の部屋への出口と、この部屋の入り口とのちょうど間。つまり、この部屋の中央当たり。
何やら紙が落ちている。
「…誰かのメッセージが書いてある…しかしえらく達筆だな…」
次の部屋への出口と、この部屋の入り口とのちょうど間。つまり、この部屋の中央当たり。
何やら紙が落ちている。
「…誰かのメッセージが書いてある…しかしえらく達筆だな…」
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侵入者さんへ
侵入者さんへ
今君がこれを呼んでいるということは第一の箱を抜けてきたということじゃろう。
あの部屋を抜けてきた君なら、28を救い出すことができるじゃろう。
わしは君と戦うつもりは毛ほどもない。いや、戦って君の実力を試してもいいのじゃが…
そこまですると君の体が持たないと思って逃げさせてもらった。
とまあ、No-0の言葉を借りるならば「エゴ」な言い方にはなってしまうが、君に28の救出を託す。
ついでと言っては何だが、ここの一番上のNo-0のアホな企みも潰してやってくれ。
あやつは自分しか信じとらんでな、わしが何を言っても曲げられんのだ。
まぁあまり長くしても面倒じゃから、わしからの伝言はここで終わりにさせてもらう。
追伸
28の救出に成功したら、あやつの好きなようにさせてやってくれ。
28の救出に成功したら、あやつの好きなようにさせてやってくれ。
なにぶん、外の世界を知らんもんで興味のあるものは何でもしたがるんでな。
それに、外の世界を見せてやることが、孫娘のような28に対するわしの願いじゃからの…
龍爺ことQ-No.18
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「…頼まれなくっても、救い出してやるっつーの」
元々誰かに頼まれてやっているわけではない。俺が助けたいからやってるんだ。
「No-0とやらも一発ぶん殴ってやりたいし」
さっきの部屋で聞いた奴の野望。まったくもって意味が分からん。
正直『組織』なんてどうなろうが知ったこっちゃないが、雪歩ちゃんを巻き込むのは許せん。
正直『組織』なんてどうなろうが知ったこっちゃないが、雪歩ちゃんを巻き込むのは許せん。
エゴイストだ何だといわれても、やらなきゃならないことがある。
「正義ってのはいつも、独りよがりなもんだからな」
雪歩ちゃんを助け出す。今はそれが、俺の正義だ。
それのついでにNo-0をぶん殴る。連れ去った主犯なんだからそのくらいのことやっても許されるだろ。
「誰に何言われても自分の正義を貫け、って言ってたかな、あいつは」
「だったら、俺は俺の正義を貫くまでだ。誰が正しい、とかじゃねぇんだ」
「ようやくお終いか…暇もすっかり吹き飛んじまった」
研究所の入り口に、幾人もの黒服の山。その上に座る忠二が呟く。
「俺も侵入、と言いたいところだが…これ以上はもたねぇかな」
疲労感が今まで以上にどっぷりと来ており、正直歩くのもしんどいくらいだ。
「俺も侵入、と言いたいところだが…これ以上はもたねぇかな」
疲労感が今まで以上にどっぷりと来ており、正直歩くのもしんどいくらいだ。
「ま、俺の目的は果たしたし帰るかな……」
黒服の山から下りて、研究所の門へと向かおうとしたとき。
ギャオォォォォォン!
「ッ!な、何だ!?」
不意に、何かが叫ぶような声。人ではない、何かが。
不意に、何かが叫ぶような声。人ではない、何かが。
声の方向を見ると…
「…ド、ドラゴンじゃねぇか…」
研究所の脇に、ドラゴンが飛んでいた。
いや、その風貌は龍と呼んだほうがしっくりくるだろうか。
ヘビのような体に申し訳程度についた手。長い紐のような髭に、立派なツノ。
まるで水墨画に描かれているような、真っ黒な体。
ヘビのような体に申し訳程度についた手。長い紐のような髭に、立派なツノ。
まるで水墨画に描かれているような、真っ黒な体。
ギャオォォォォォン!
黒い龍は、聞く者すべての身を震え上がらせるような大きな雄叫びをあげて上空へと飛び立っていく…
その神々しい姿に、忠二は思わず見とれてしまった…
その神々しい姿に、忠二は思わず見とれてしまった…
……
「…ありゃ、『組織』の…?それとも、何か別の…あら?」
忠二の目の前に、一枚の紙が落ちている。
「さっきまでなかったよな、これ…」
その紙を拾い上げて見てみる。何かのチケットのようで、何かが書いているが…
忠二の目の前に、一枚の紙が落ちている。
「さっきまでなかったよな、これ…」
その紙を拾い上げて見てみる。何かのチケットのようで、何かが書いているが…
「…達筆すぎて、読めん…」
達筆というか草書体に近い文字で書かれたそれは、忠二には読むことができない…
「将門様なら読めるかね、これは…?」
達筆というか草書体に近い文字で書かれたそれは、忠二には読むことができない…
「将門様なら読めるかね、これは…?」
第三の箱『バトルルーム:植神の間』
「ここが、最後か…」「その通り…そしてこの部屋でお前の相手をするのが、部屋の中央に立っているH-No.88、元名信子だ」
そこに立っていた、いやあったのは、蔦の塊のようなもの。
「…人なの?これ人なの?」「もちろん。いや、『元』人間と言ったほうが正しいかな」
ゆっくりと、蔦の塊がほどけていく。その中央に、人影が見て取れる。
ゆっくりと、蔦の塊がほどけていく。その中央に、人影が見て取れる。
が。
「…ひと?」
友人が見た者は、誰がどう見てもサボテンであった。
確かに人のような形をしてはいるが、緑の肌にトゲ。どう見てもサボテンにしか見えない。
違うのが、頭にあたる部分から髪の毛が生えていること。それと、頭にとても大きな花がある事か。
地にまでつきそうなほどの長髪。
それに加え、サボテンらしからぬとても大きな花を頭に咲かせている。
「あの…どう見てもサボテンなんだが」「あぁ、人間の体に寄生させてるからな」
寄生?
「ちょいと昔話をしてあげよう。
この研究所が活動し始めた当初、まぁ十数年前ね。その当時の目的…それは一人の少女にあった。
その昔、組織のとある研究施設で大きな事故のようなものがあってね。そこで一命は取り留めたが意識が戻らないという少女が一人。
その少女は組織の中でも異端でね。トップでさえもその少女の契約した都市伝説を知らなかったんだ。
これをチャンスと思ったのか何なのか…組織はその少女の都市伝説をここぞといわんばかりに調べさせた」
この研究所が活動し始めた当初、まぁ十数年前ね。その当時の目的…それは一人の少女にあった。
その昔、組織のとある研究施設で大きな事故のようなものがあってね。そこで一命は取り留めたが意識が戻らないという少女が一人。
その少女は組織の中でも異端でね。トップでさえもその少女の契約した都市伝説を知らなかったんだ。
これをチャンスと思ったのか何なのか…組織はその少女の都市伝説をここぞといわんばかりに調べさせた」
「その少女が、今俺の前に立ってるサボテン人間か?」
「話は最後まで聞きなよ。まぁ結論的にはそうなんだけどね。
結局、彼女の都市伝説は今でも不明のまま。そして今も彼女は昏睡状態の植物人間さ」
「話は最後まで聞きなよ。まぁ結論的にはそうなんだけどね。
結局、彼女の都市伝説は今でも不明のまま。そして今も彼女は昏睡状態の植物人間さ」
植物人間…!?
「てめぇ…まさか」「そう、そのまさかさ」
「彼女は今、間違いなく植物人間。人間でもあり、植物でもある。植物となった体を、寄生花たちが操る。
寄生花たちは僕の忠実なしもべ。つまり彼女は今もっとも僕に忠実な最高の手駒というわけさ!」
寄生花たちは僕の忠実なしもべ。つまり彼女は今もっとも僕に忠実な最高の手駒というわけさ!」
そんな状態の人間まで利用するなんて…!
俺の中の何かが音を立てて切れた。
「…てめぇは俺が許さねぇ…お前のところまで行って、死ぬまでぶん殴る!いや、死んでもぶん殴る!」
「ほぉ。それは面白い。…でもお前はそこで屍になるからそれは果たせないねぇ!行けNo.10!」
「ほぉ。それは面白い。…でもお前はそこで屍になるからそれは果たせないねぇ!行けNo.10!」
声に反応してサボテン人間が活動を開始し、右腕の先から茨が伸び始める。
「先手必勝!」
そう叫び、一直線に友人が向かっていく。その右腕は、大量のGに覆われて。
「先手必勝!」
そう叫び、一直線に友人が向かっていく。その右腕は、大量のGに覆われて。
「恨みはねーが、通らせてもらうっ!」
走り込んだ勢いそのままに、サボテンに拳を振るう。
走り込んだ勢いそのままに、サボテンに拳を振るう。
ガッ……!
「……なっ!?」
友人の拳は、サボテンには届いていなかった。
友人の拳は、サボテンには届いていなかった。
友人が殴ろうとしたちょうど左頬の部分。そこから蔦が何本も伸びて拳を受け止めていた。
そしてその蔦は友人の右腕を丸ごと包み込む…!
そしてその蔦は友人の右腕を丸ごと包み込む…!
「うわっ、ちょ…!」
一瞬のうちに、後方へ投げ飛ばされてしまった。
そのうちにサボテンからは、数多の蔦が天井全体に張り巡らされていく。
一瞬のうちに、後方へ投げ飛ばされてしまった。
そのうちにサボテンからは、数多の蔦が天井全体に張り巡らされていく。
「っんなろっ!」ビシュッ!
空中に放り出されたまま、右腕のGたちをブーメラン状に変えてサボテンへ投げる。
空を裂いて、Gスラッガーが蔦へと一直線に突き進む…
空中に放り出されたまま、右腕のGたちをブーメラン状に変えてサボテンへ投げる。
空を裂いて、Gスラッガーが蔦へと一直線に突き進む…
それに反応してか、蔦から何かが生えてくる。
現れたのは、二枚貝のような形をした葉。
Gが近づくにつれて、その葉はどんどんと大きさを増していく…
そして、その葉にGが当たろうとしたとき。
Gが近づくにつれて、その葉はどんどんと大きさを増していく…
そして、その葉にGが当たろうとしたとき。
バクンッ!
…目にもとまらぬ速さで、Gの塊を丸のみにしてしまった。。
「食虫植物か…また厄介な、っとおわぁ!」ズダダダ…
空中で体制を整え着地したそこからすぐに退く。その直後、その場所に何かが大量に降ってきた。
見上げると、大きな実がいくつも成っている。その裂けた部分からは赤い果実が飛び出している。
「食虫植物か…また厄介な、っとおわぁ!」ズダダダ…
空中で体制を整え着地したそこからすぐに退く。その直後、その場所に何かが大量に降ってきた。
見上げると、大きな実がいくつも成っている。その裂けた部分からは赤い果実が飛び出している。
「ありゃ、柘榴か?…品種改良甚だしいな」
弾けた実が落ちた部分には、いくつもの穴。
「どうすりゃいいんだ…ん?」
違和感を感じ、再び上を見上げる。蔦には続々と成っている実に加えて花まで咲き始めている。
その花は真っ赤な花弁を堂々と咲かせる。
「どうすりゃいいんだ…ん?」
違和感を感じ、再び上を見上げる。蔦には続々と成っている実に加えて花まで咲き始めている。
その花は真っ赤な花弁を堂々と咲かせる。
…そして、その花は萼ごと落ちる…
ドン!
「…嘘だろ」
その花が地面にふれた瞬間、大きな爆発が起きた。
花が落ちたところには、既に先ほどまで開いていた小さな穴たちはなく、大きなクレーターができていた。
「こうなったら作戦変更だ!とっととこの部屋を抜け…て…」
その花が地面にふれた瞬間、大きな爆発が起きた。
花が落ちたところには、既に先ほどまで開いていた小さな穴たちはなく、大きなクレーターができていた。
「こうなったら作戦変更だ!とっととこの部屋を抜け…て…」
で、出口はどこだ…?
いつの間にか天井だけでなく、壁までもが蔦に覆われている。
360度蔦に覆われていて。最早どこから入ってきたのかさえもわからない。
しかも蔦はうねうねと動いており、近づいただけで飲みこまれそうだ。
360度蔦に覆われていて。最早どこから入ってきたのかさえもわからない。
しかも蔦はうねうねと動いており、近づいただけで飲みこまれそうだ。
「結局…倒さな通れないわけかね」
改めてサボテンに向き直る。その手には、すでにGがたくさん。
改めてサボテンに向き直る。その手には、すでにGがたくさん。
「とっとと倒して、雪歩ちゃんを助ける!そしてNo.0をぶん殴るッ!」
…続く