「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 悪意が嘲う-14

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 ーーーそれは始め、ただのちっぽけな、一匹の蛇でしかなかった
 厳密に言えば、ちっぽけな蛇の姿をした存在でしかなかった
 弱く、もろい存在
 そのままでは、その存在は、「教会」によって駆逐されるだけだっただろう

 もっとも、その存在は駆逐されたとしても、いくらでも生まれ出てくる存在だ
 悪魔の囁き
 古き時代から存在し続ける都市伝説
 人間が、己が犯す悪事を「悪魔にそそのかされたせいだ」と言い訳し続ける限り、それは生まれ続ける

 だが
 それは、死を恐れた
 弱くもろい存在である己を呪った

 生きたい、と
 ただ退治され続けるだけの己の存在を嫌い、生きたいと願った

 -----神とは、敵対すべきはずの悪魔にすら、慈悲を差し伸べるのだろうか
 それは、彼と出会ったのだ

 それは気づいた
 彼の強い強い願いに、欲望に
 だから、彼に囁いた

『ナァ、アンタ、叶エタイ願イガアルンダロォ?ダッタラ、俺ガソノ願イヲ叶エル手伝イヲシテヤロウカァ?』

 その囁きを、彼は初めは無視してきた
 囁いてくるその存在を嫌悪するように、耳を貸さなかった

 それでも、それは彼に囁き続けた
 生きたかったから
 あっけなく退治される事を恐れ、派手に悪事を起こしたいと思っていたそれは、彼に囁き続けた

 そして、ある日
 とうとう、彼はそれに答えてきた

『…………いいだろう……………貴様の存在、その骨の髄まで、利用し尽くしてやる』

 それは、歓喜した
 素晴らしい悪事に、自分は加担できるのだと
 素晴らしい悪事をそそのかしたのだ、と
 素晴らしい悪事を起こすために、自分は利用されるのだ、と

 自分が、たとえ、消滅寸前までこき使われるのだとしても
 その悪事に関われる事を、それはどこまでも歓喜したのだ




 けたけたと、7つの首の蛇が笑う
 巨大な巨大な、王冠をかぶった7つ首の蛇
 それが、朝比奈 秀雄が契約し、その力を増していった悪魔の囁きの姿だった
 悪魔の囁きは、契約者である朝比奈 秀雄に対してすら、甘美な声で囁き続ける

『ホラホラ、ゴ主人様。ゴ主人様ノ願イヲ叶エルニハ、あれヲ手ニ入レルシカナインダ。ココデ負ケル訳ニハイカナイヨナァ??』
「…… 言われなくとも、わかっている、化け物が……………貴様はただ、私に使われていればいいのだっ!!」
『---ヒャッハハハハハハハハ!!!ソレデコソ俺ノゴ主人様!!モットモット、俺ヲコキ使ッテクレヨナァ!!!』

 朝比奈が、憎悪の篭った眼差しで……黒服を、睨み付けた
 己から、「黄金伝説」のドラゴンと言う牙を奪った、黒服を
 己から、息子を奪った黒服を

「--っ!」

 攻撃を加えようと、駆け出してきた朝比奈に、黒服は光線銃を向けた
 正確には、朝比奈に絡みつく、悪魔の囁きに向けられた銃口
 悪魔の囁きは、ぴったりと朝比奈に絡み付いてはいるが…その体が、大きすぎる
 たとえあの状態でも、充分に朝比奈を巻き込むことなく攻撃できるほどの巨体
 黒服は、そんな悪魔の囁きに光線銃を放った

 --ピチュン!!と
 その攻撃は、7つの首の一つに直撃した
 通常の悪魔の囁きならば、このたった一撃ですら、致命傷
 しかし

『ソノ程度カァアアアアア!?』

 効かない
 いや、効いていない訳ではない
 ダメージは与えたようなのだが、致命傷に至っていないのだ

 朝比奈はそのまま黒服に接近し、一撃を加えようとする
 だが

「このっ!!」

 っが!!と
 間に、翼が入り込んだ
 朝比奈の拳の一撃を蹴りで受け止める
 じゃらん!!と
 直後、悪魔の囁きの7つの首の一つに、望の5円玉のチェーンが絡んだ

「買って嬉しい……………っ!?」

 ぶちんっ!!
 チェーンが絡みついたのと、別の首が……そのチェーンを、噛み砕いた
 攻撃力など持たないはずのその本体が、攻撃能力を得ている!?

 翼は、何時の間にか拾っていたらしい鉄筋を、能力で熱しながら悪魔の囁きに叩き付けた
 じゅう、と焼け焦げる音と共に悪魔の囁きの悲鳴があがる
 だが

『グ、ガァ……ッ…………ガ、マダ、マダァアアアアアアア!!!!サァサ、ゴ主人様ァ!!攻撃ハ俺ガ受ケ止メルカラ、全力デヤッチマエヨォオオオオ!!!』
「そうだ、盾になれ…私の為に」

 己に絡みつく悪魔の囁きという存在を盾にし、防御を捨てた攻撃を繰り出してくる朝比奈
 翼と詩織、それに、身体能力を強化した望が、その攻撃を受け止める

「……っく」
「ちょっと……推定50代で、ドーピング有とは言え、この攻撃力ってあり?」

 朝比奈の一撃を受け止めた詩織がぼやく
 いかに、悪魔の囁きによって身体能力が僅かにあがっているとは言え…朝比奈の身体能力は、とても50代のそれとは思えない
 いや、むしろ、これがピークの能力ではない……ピークの能力ではないのにこれ、と考えるべきなのだろうか?

 囲まれるのは不利と見てか、後ろに下がる朝比奈
 光線銃や熱された鉄筋での攻撃で、悪魔の囁きの7つの首のうち二つが、苦しげに悶えている

「あれが、諸悪の根源か」

 舞達の様子を気にしつつも、朝比奈を倒さなければ……悪魔の囁きという、朝比奈の最後の最後に残った牙をもがなければ、事態は好転しないと見たのだろう
 Tさんもまた構える

「悪魔の囁きだけを打ち抜けば、幸せだっ!!」

 試行される幸せ
 白い光が、悪魔の囁きを打ち抜く

『グ、ゥ………!マダ、マダマダマダマダマダマダマダァ……!」

 じゅるじゅるとくねる首
 それは、辺りを見回して…

 そして、首の一つが
 何かを見つけてニヤリ、笑った

 ぐん、と首が伸びる
 その先に、いたのは

「…う~ん、あれ、私……………って、ふぇ!?」
「!マゾ!?」

 -----ガブリ
 朝比奈の炎と翼の厨2病の炎
 その二つの炎のぶつかり合いにうっかりと巻き込まれ、その体を灰にしていたマゾに…悪魔の囁きの首の一つが、噛み付いた
 首筋に鋭く噛み付き……じゅるり
 血………では、なく
 何か、別の何かを、吸い上げている

 ----どくんっ
 脈動する音が、その場にいる全員の耳に、届いた


「な……何よ、これ……」

 ちゅちゅちゅちゅちゅちゅ!!と、望のポケットの中のノロイが、目の前の危険に暴れ続けている
 じゅるり
 マゾサンタの首に噛み付き、何かを吸い上げている悪魔の囁き
 それが負ったはずの、傷が……再生していっているのだ
 光線銃で打ち抜かれ、熱された鉄筋で焼かれ、白い光に打ち抜かれた体が、再生していっている

『……ヒャハハハハッハ!!!コリャアイイ!!サイッコウノ栄養源ガアッタジャネェカァ!!』

 じゅるじゅると
 マゾサンタから、彼女の強い願い、欲望の力を吸い取って、悪魔の囁きが笑う
 欲望を栄養源に孵るはずの卵が、孵らず消滅するほどの強い欲望
 だが、この悪魔の囁きは、それに耐え抜き……むしろ、自分の栄養源として、活用している
 負ったダメージを回復し、そして、自分の力に還元しようと、それを吸い上げ続けている

「あぁ、もう、厄介な奴だねぇ!!」

 マドカのフィラデルフィア計画が発動する
 それは、朝比奈の体を床に縫いつけようとして

「----っな!?」
「うわ、こっち来たっ!?」

 しかし
 朝比奈は、その効果発動範囲から、一瞬で飛びのいて、そのままマドカに向かって突進してきた
 強化された拳が、ほぼ身動きできぬマドカに届こうとして
 だが、届かない
 その直前、山田がマドカと舞の間に転移、二人とリカちゃんを連れて、再び転移したからだ
 ギリギリで届かなかった拳
 だが、それは当たれば、普通の人間程度の防御能力しかないマドカに、確実に致命傷を与えただろう
 絡みつく悪魔の囁きの、その首の一つが、マゾサンタというある意味で荷物になる存在を咥えたままでありながら、それだけの動きを見せてきたのだ

 ………と、その時
 山田の、頭の上に…唐突に、デビ田が実体化してきた
 突然の事に、山田が慌ててデビ田に声をかける

「おい!?どうした、こんな時に出てきて!?」
『……ウ、煩ェ……!出テキタクテ、出テキタ訳ジャネェヨ……っ!!』

 突然現れたデビ田に、翼や望が警戒を見せたが…デビ田からしてみれば、それどころではない
 ぐぐぐ、と山田の頭に必死にしがみ付き、離れないようにするので、精一杯だ

 けたけた、けたけた
 そんなデビ田を見て、朝比奈の悪魔の囁きの、7つ首の一つが笑う

『サァ、ドウシタァ?来イヨォ、オ前モォ!!!俺ニ戻ッテ、一緒ニゴ主人様ノ役ニタトウジャアナイカァ!!??』
『ジ………冗談ジャネェッテンダ……!誰ガ、自分ヲ殺ソウトシタ奴ノ為ナンカニ、ナルカッテンダヨ……!』

 悪魔の、囁きが
 デビ田を…吸収しようとしている
 一度自分から分離した存在を元に戻し、己の力に還元しようとしているのだ
 マゾサンタから、無限に近い栄養素を吸い取り続けながら、まだ足りない、とでも言うように、貪欲に力を求めて
 しかし、デビ田はそれに抗い、山田にしがみ付き続けている
 けたけたけたけたけたけたけた
 悪魔の囁きは笑い続ける
 歓喜の笑い声を上げ続ける
 己の契約者の力になれることを、利用される事を歓喜して、狂気の笑い声を上げ続ける


 ----めき、と
 その体が、変化を始めていた
 マゾサンタから吸い上げた栄養源がさらに悪魔の囁きに力を与える
 その、本来脆弱でしかないはずの存在に、力を与えていく
 蛇のようなその顔が……まるで、鰐か何かのように、変化していっている
 いや、鰐、じゃない………角すら生え始めたそれは、最早、「竜」と呼ぶに相応しい
 王冠を被った7つの首に、10本の角
 ……そんな姿へと変貌した悪魔の囁きは、契約者たる朝比奈を護るようにその体に絡みつきながら
 マゾサンタの首を、一つの首が咥え続けた状態のまま
 けたけたけたけた、笑い続けているのだった



to be … ?




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