悪魔の囁きが、燃え尽きて
…朝比奈 秀雄は、意識を失い、倒れている
悪魔の囁きとの契約を解除した反動か…それとも、「黄金伝説」のドラゴン達との契約を強制解除された反動が、表面に出てきたのだろうか
その年齢の割りに黒々としていた髪に、白が混じり灰色へと変わっていっている
まるで、この一瞬の間に、数十歳も歳を取ってしまったかのような錯覚を覚えさせる光景だ
死んではいないようだが、起き上がる様子も見せない朝比奈
…朝比奈 秀雄は、意識を失い、倒れている
悪魔の囁きとの契約を解除した反動か…それとも、「黄金伝説」のドラゴン達との契約を強制解除された反動が、表面に出てきたのだろうか
その年齢の割りに黒々としていた髪に、白が混じり灰色へと変わっていっている
まるで、この一瞬の間に、数十歳も歳を取ってしまったかのような錯覚を覚えさせる光景だ
死んではいないようだが、起き上がる様子も見せない朝比奈
…今度こそ、戦いは終わったのだ、と
一同は、それを実感した
一同は、それを実感した
「……っとと」
「翼!」
「ん、俺は大丈夫だよ」
「翼!」
「ん、俺は大丈夫だよ」
…それを実感して、気が抜けたのだろうか
一瞬、体をふらつかせた翼の様子に、黒服が慌てて声をかけた
が、翼は大丈夫だと言って、笑ってみせる
…大丈夫、ではないだろう
「厨2病」との多重契約による炎を、命に関るかどうかのギリギリの回数まで使った上、「はないちもんめ」の影響下に自分から入ることで、無理矢理に身体能力を上げたのだ
ヘタをすれば、明日は起き上がることすら不可能な状態になっているだろう
流石に疲れがにじみ出ているのか、翼はその場に座り込む
ちょろり、ノロイが肩から膝へと降りていって、ちゅう、と心配そうに翼を見あげる
一瞬、体をふらつかせた翼の様子に、黒服が慌てて声をかけた
が、翼は大丈夫だと言って、笑ってみせる
…大丈夫、ではないだろう
「厨2病」との多重契約による炎を、命に関るかどうかのギリギリの回数まで使った上、「はないちもんめ」の影響下に自分から入ることで、無理矢理に身体能力を上げたのだ
ヘタをすれば、明日は起き上がることすら不可能な状態になっているだろう
流石に疲れがにじみ出ているのか、翼はその場に座り込む
ちょろり、ノロイが肩から膝へと降りていって、ちゅう、と心配そうに翼を見あげる
…朝比奈を殴った拳は、握られたままだ
「翼」
「ん、望…お前、怪我とかしてないか?」
「してないわよ……それよりも、いいの?」
「ん、望…お前、怪我とかしてないか?」
「してないわよ……それよりも、いいの?」
望の言葉に、何が、と首をかしげる翼
望は、ちらりと、意識を失っている朝比奈に視線を向けて、続ける
望は、ちらりと、意識を失っている朝比奈に視線を向けて、続ける
「……一発、だけで」
一撃、殴りつけただけで
恨みは晴れたのか、と
そう、問いたかったようだ
恨みは晴れたのか、と
そう、問いたかったようだ
望のその問いかけに、翼は力なく笑う
「…一発殴ったら、俺の分は、もう、いいや」
「そう……」
「そう……」
聞いてしまったから
知ってしまったから
知ってしまったから
あの悪魔の囁きが、朝比奈が抱いた考えのその本音を、知らせたきたから
…決して、恨みや怒りが軽減された訳ではない
だが、一発殴ってしまったら……何だか、それで満足してしまったのだ
…決して、恨みや怒りが軽減された訳ではない
だが、一発殴ってしまったら……何だか、それで満足してしまったのだ
だから、後は
「後は……どう裁かれるか、だろ」
……悪魔の囁きの影響があったとは言え
朝比奈 秀雄が、数々の悪事を働いてしまった事破
…命を奪ってきた事は、事実
後は、それがどう裁かれるか
朝比奈 秀雄が、数々の悪事を働いてしまった事破
…命を奪ってきた事は、事実
後は、それがどう裁かれるか
………翼には、それに口を出す権利は、ないのだ
「…ありがと、何とか歩けそうだよ」
「そうか、良かった!」
「よかったの」
「そうか、良かった!」
「よかったの」
ガスピアイの効力で、脚の傷を癒したマドカ
まだ、完治した訳ではないが、もう歩行には支障は出なさそうだ
まだ、完治した訳ではないが、もう歩行には支障は出なさそうだ
マドカは、静かに、気絶している朝比奈に視線を向ける
「………あの、馬鹿」
小さく、呟かれた言葉
それは、ほんの少し、悲しそうで
それは、ほんの少し、悲しそうで
ややよろめきながらも、朝比奈に近づいていこうとするマドカ
舞は、それを止めるべきかどうか、悩んで…
舞は、それを止めるべきかどうか、悩んで…
----ぐるるるるるる、と
犬の呻き声が、聞えてきた
犬の呻き声が、聞えてきた
「………っ!!」
マドカの「フィラデルフィア計画」の能力で、床に脚を埋め込まれていたクールトー
それが、何時の間にか…床を、脱出していた
その四肢は、血で染まっている
……クールトーは、己の四肢を、全て噛み切ったのだ
そうすることで床を脱出し、朝比奈との契約で得た強い再生力で、四肢を復活させたのだろう
それが、何時の間にか…床を、脱出していた
その四肢は、血で染まっている
……クールトーは、己の四肢を、全て噛み切ったのだ
そうすることで床を脱出し、朝比奈との契約で得た強い再生力で、四肢を復活させたのだろう
クールトーは、素早い動きで、一同には目もくれず、朝比奈の元へと駆けた
そして、朝比奈を庇うような位置に立ち、威嚇するように唸る
そして、朝比奈を庇うような位置に立ち、威嚇するように唸る
「まだ、戦うつもりなのか!?」
「…朝比奈 秀雄は、お前達を目的の為の道具としてしか見なしていなかった…そんな男のために、まだ、戦うか?」
「…朝比奈 秀雄は、お前達を目的の為の道具としてしか見なしていなかった…そんな男のために、まだ、戦うか?」
そんな、クールトーに
黒服が、一歩前に出て、静かに声をかける
黒服が、一歩前に出て、静かに声をかける
「…私達は、朝比奈 秀雄が戦う意志を見せないならば……もう、彼と戦うつもりは、ありませんよ」
クールトーは、唸り続けている
黒服は、ゆっくり、静かに続ける
黒服は、ゆっくり、静かに続ける
「「黄金伝説」のドラゴンも、悪魔の囁きも、もう朝比奈 秀雄には残っていません……彼に残っている牙は、残るはクールトー、あなただけです」
まだ、クールトーは唸り続ける
今にも飛び掛ってきそうなクールトーの様子に、Tさんが構えた
しかし、それを制して、黒服は続ける
今にも飛び掛ってきそうなクールトーの様子に、Tさんが構えた
しかし、それを制して、黒服は続ける
「…あなたが、戦う意志を見せなければ……もう、彼と戦う理由は、私たちにはありませんよ」
……クールトーが
唸るのを、止めた
くぅん、と小さく鳴いて、朝比奈を気遣うように、その傍らに腰を下ろす
……その様子は、飼い主に忠実な、ただの犬に見えなくも、ない
唸るのを、止めた
くぅん、と小さく鳴いて、朝比奈を気遣うように、その傍らに腰を下ろす
……その様子は、飼い主に忠実な、ただの犬に見えなくも、ない
戦う意志を消滅させたクールトーの様子に、黒服がほっと息を吐いた
「…無茶をする」
「戦わずにすむのでしたら、それにこしたことはありませんから」
「戦わずにすむのでしたら、それにこしたことはありませんから」
やや呆れた様子のTさんの言葉に、そう答える黒服
クールトーは、本来、人間とそう易々契約するような存在ではない
朝比奈と契約したと言う事は、その存在を認めたか……もしくは、力で強引に屈服させられたかの、そのどちらか
そのどちらだったとしても、クールトーが朝比奈を主と認めたことは事実なのだ
ならば、クールトーは主である朝比奈のことを最優先にするだろう、と黒服は考えたのだ
己の脚を食いちぎってまで、朝比奈の傍へ行こうとしたのが、その何よりの証拠だ
朝比奈と契約したと言う事は、その存在を認めたか……もしくは、力で強引に屈服させられたかの、そのどちらか
そのどちらだったとしても、クールトーが朝比奈を主と認めたことは事実なのだ
ならば、クールトーは主である朝比奈のことを最優先にするだろう、と黒服は考えたのだ
己の脚を食いちぎってまで、朝比奈の傍へ行こうとしたのが、その何よりの証拠だ
…………かつん、と
マドカが、そんな朝比奈に、ゆっくりと近づいていく
かつん、かつん、と
朝比奈の傍らまできて、そこで静かに腰を下ろし
マドカが、そんな朝比奈に、ゆっくりと近づいていく
かつん、かつん、と
朝比奈の傍らまできて、そこで静かに腰を下ろし
…………っべち!!
「あ」
朝比奈を、叩いた
その様子に、クールトーがぐるるるるる!!と再び唸るが…マドカは、それを恐れた様子もなく
その様子に、クールトーがぐるるるるる!!と再び唸るが…マドカは、それを恐れた様子もなく
「…まったく、この馬鹿亭主が」
と
今度は、そっと…朝比奈を、撫でた
その様子に、クールトーは唸るのをやめ、首をかしげる
今度は、そっと…朝比奈を、撫でた
その様子に、クールトーは唸るのをやめ、首をかしげる
意識を失っている朝比奈を、静かに、優しく撫でるマドカの様子は
今までの、どこか猛々しい様子とは違い……酷く、優しげな
一人の男の、妻としての顔で
今までの、どこか猛々しい様子とは違い……酷く、優しげな
一人の男の、妻としての顔で
「………本当に………馬鹿、だよ………」
俯いた、その顔が、泣いていたように見えたのは
きっと、目の錯覚では、なかったのだろう
きっと、目の錯覚では、なかったのだろう
戦いが終わった雑居ビル……いや、最早、元・雑居ビルと言うべき、崩れ落ち、は解され尽くしたその場所
今度こそ、完全に、戦いの終止符は打たれたのだった
今度こそ、完全に、戦いの終止符は打たれたのだった
to be … ?