「……そうですかそれでは、今回の騒動に関しては、決着がついたのですね?」
「あぁ、まぁ、大まかなことに関しては、な」
「あぁ、まぁ、大まかなことに関しては、な」
学校町の警察ではそれなりの地位を持つ女性警官、広瀬 美緒は、「組織」からの連絡員である黒服Hから、今回の悪魔の囁きやコーク・ロアの騒動に関して、ある程度の決着がついたと言う連絡を受けていた
首謀者が大胆に行動を起こしたあの日、美緒も部下と共に現場に出ている
…聞えてきた、恐ろしい咆哮に、一瞬、意識を失いかけたりもしたが
それでも、何とか気絶する事なく、部下に指示を出し続ける事が出来たのは奇跡的なことだった
都市伝説を嫌悪する美緒は、都市伝説に対する耐性をあまり持っていない
…あの時聞えてきた、まるで竜の咆哮を思わせる…実際、竜が姿を現していたらしいが、「組織」による隠蔽が働いたため、美緒はその姿を目撃してはいない…あの轟音は、美緒に強い恐怖心を抱かせるには充分すぎた
あの時、意識を失わずにすんだのは、部下の前で失態を犯すわけにはいかない、というプライドと
首謀者が大胆に行動を起こしたあの日、美緒も部下と共に現場に出ている
…聞えてきた、恐ろしい咆哮に、一瞬、意識を失いかけたりもしたが
それでも、何とか気絶する事なく、部下に指示を出し続ける事が出来たのは奇跡的なことだった
都市伝説を嫌悪する美緒は、都市伝説に対する耐性をあまり持っていない
…あの時聞えてきた、まるで竜の咆哮を思わせる…実際、竜が姿を現していたらしいが、「組織」による隠蔽が働いたため、美緒はその姿を目撃してはいない…あの轟音は、美緒に強い恐怖心を抱かせるには充分すぎた
あの時、意識を失わずにすんだのは、部下の前で失態を犯すわけにはいかない、というプライドと
……彼がいたからかもしれない、と美緒はこっそりと考える
影守 蔵人
ある事件をきっかけに知り合った、「組織」所属の契約者
あの青年の前では、どうにも自分はおかしくなる、と美緒は考えていた
普段の自分では考えられないほど、感情が表に出てしまう
彼の前で、弱い姿を見られたくないと、普段以上に考えてしまう
影守 蔵人
ある事件をきっかけに知り合った、「組織」所属の契約者
あの青年の前では、どうにも自分はおかしくなる、と美緒は考えていた
普段の自分では考えられないほど、感情が表に出てしまう
彼の前で、弱い姿を見られたくないと、普段以上に考えてしまう
惹かれている、とでも言うのだろうか
まさか、と美緒はこっそりと苦笑する
彼は、あくまでも仕事場の関係者だ
そんな事があるはず、ない
………あっては、いけないのだ
まさか、と美緒はこっそりと苦笑する
彼は、あくまでも仕事場の関係者だ
そんな事があるはず、ない
………あっては、いけないのだ
「ん?どうした?」
「…いえ、何でもありません」
「…いえ、何でもありません」
不思議そうな顔をしてきた黒服Hに、美緒は淡々と応じる
……失踪した兄の、失踪当時の姿によく似た外見をしているこの黒服が、美緒は苦手だ
この黒服を見ていると、嫌でも兄のことを思い出してしまう
生きているのか、死んでいるのかも、わからぬ兄
父親が口裂け女に殺され、唯一の肉親となった兄すらも都市伝説が関係していると思われる事件で行方不明となり
……ゆえに、美緒は都市伝説を憎む
都市伝説は彼女にとって、大切なものを奪っていく存在なのだ
……失踪した兄の、失踪当時の姿によく似た外見をしているこの黒服が、美緒は苦手だ
この黒服を見ていると、嫌でも兄のことを思い出してしまう
生きているのか、死んでいるのかも、わからぬ兄
父親が口裂け女に殺され、唯一の肉親となった兄すらも都市伝説が関係していると思われる事件で行方不明となり
……ゆえに、美緒は都市伝説を憎む
都市伝説は彼女にとって、大切なものを奪っていく存在なのだ
関連して、都市伝説関係者…都市伝説契約者に対しても、美緒はあまり友好的には対応ができなかった
……だと、言うのに
影守 蔵人に対して、だけは………
……だと、言うのに
影守 蔵人に対して、だけは………
俯き、考え込む美緒
そんな美緒の様子に……黒服Hが一瞬、複雑そうな表情を浮かべた事に
彼女は、気付いていない
そんな美緒の様子に……黒服Hが一瞬、複雑そうな表情を浮かべた事に
彼女は、気付いていない
その日
「よぉ、影守」
「…?何か用ですか?黒服さん」
「…?何か用ですか?黒服さん」
黒服Hは、たまたま遭遇した影守に対し
まるで、世間話でもするように近づいて
まるで、世間話でもするように近づいて
「お前さん、最近、警察幹部の美人さんといい感じなんだって?」
「…誰ですか、そんな事言いふらしてるのは」
「…誰ですか、そんな事言いふらしてるのは」
黒服Hの言葉に、苦笑してくる影守
黒服Hは、そんな影守に対して、にやにやと笑ってきて
黒服Hは、そんな影守に対して、にやにやと笑ってきて
----刹那
酷く真剣に、影守を見つめて
酷く真剣に、影守を見つめて
「………………美緒を、頼んだ」
「……え?」
「……え?」
呟くような、声
聞き漏らしてしまいそうなほどのその小声を、しかし、影守は確かに、聞き届けて
聞き漏らしてしまいそうなほどのその小声を、しかし、影守は確かに、聞き届けて
「…んー、いや、別に?ま、せっかく美人さんと知り合えたんだ、仲良くしとけよ?」
と、どこかからかうように笑って
何か仕事でもあったのか、さっさと影守の前から立ち去ってしまった
何か仕事でもあったのか、さっさと影守の前から立ち去ってしまった
---美緒を、頼んだ
まるで、肉親を託すかのような、その言葉に
影守は、どこか違和感を覚えたのだった
影守は、どこか違和感を覚えたのだった
to be … ?