喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
XII 万能の水の霊/苦しみ
気が付くと独り廊下に立っていた
広く、長い廊下だった
一直線に奥へと続くその廊下は、果てが無いかの様に見える
振り向くと、そこには扉があり
その大きさから考えて、重さや厚みも相当なものだと思えたが
その大きさから考えて、重さや厚みも相当なものだと思えたが
何よりも印象的なのは───
XII
万能の水の霊
苦しみ
───と刻まれている事だった
長い廊下と大きな扉を見比べ逡巡するも、意を決し足を踏み出す
自分の力ではとても動きそうに無い扉を前に
息を吐き、そして吸う
両手を扉へと着き、脚、腰、背、腕へと力を込めていく
息を吐き、そして吸う
両手を扉へと着き、脚、腰、背、腕へと力を込めていく
びくともしない様に思えた扉だったが
やがて、ゆっくりとだが動き始め
隙間から光が漏れ出てくる
やがて、ゆっくりとだが動き始め
隙間から光が漏れ出てくる
その眩しい光の中へと身を滑り込ませると、視界が一気に開けた───
*
「おい……」
「え?……何……これ……」
扉を開くと、そこには奇妙な光景が……
「え?……じゃねぇよ……お前……」
「ボクサーさん?」
「どっからどう見てもボクサーさんですよぉ……輪ちゃんよぉ……」
「ボクサーさん?」
「どっからどう見てもボクサーさんですよぉ……輪ちゃんよぉ……」
眼前にはボクサーがいる
「扉は?」
振り向いても扉は無く、喫茶店───ルーモアの前の道が伸びているだけだ
「扉ぁ?……入り口ならソコにあるだろぉ」
アゴを使って指し示す先には、ルーモアの入り口のドア
「……いや……その扉じゃなくてさ……おかしいなぁ……」
「オカシイのは扉とかじゃなくて、俺の今の状況だろぉ?……だろぉ?」
「オカシイのは扉とかじゃなくて、俺の今の状況だろぉ?……だろぉ?」
ボクサーは天地が逆転した状態で、不満そうな顔をしていた
「……まぁ、そうだね」
左右に揺れている……そして……
吊るされている
手足を束縛された上、これでもかという感じでグルグルとロープに巻かれ
街路樹へと、逆さ吊りにされているのである
街路樹へと、逆さ吊りにされているのである
「もぅ……ワケが分かんねぇ……」
「うん……それにはボクも同意するよ……意味が判らない」
「ピラ♪っとしたら、ゴーン!!ってなって、グルグル~のブラ~ンだぞぉ!?」
「……嗚呼……何となく判った気がする」
「そうかぁ?……まぁいいけどよぉ……で、お前さ、占い師のとこに行ってたんだって?」
「え?……占い師?……そうだ……鑑定してもらいたい物があって……それで……」
「だいじょうぶか?お前……なんかオカシイぞ?」
「うん……それにはボクも同意するよ……意味が判らない」
「ピラ♪っとしたら、ゴーン!!ってなって、グルグル~のブラ~ンだぞぉ!?」
「……嗚呼……何となく判った気がする」
「そうかぁ?……まぁいいけどよぉ……で、お前さ、占い師のとこに行ってたんだって?」
「え?……占い師?……そうだ……鑑定してもらいたい物があって……それで……」
「だいじょうぶか?お前……なんかオカシイぞ?」
状況を把握しきれない
だが、確かに扉と廊下はあった
手にも腕にも扉の重い感触が残っている
手にも腕にも扉の重い感触が残っている
「そうだ、マスターに聞いてみよう……何か判るかもしれない……」
ルーモアのドアへと向かう
「あ!?……おい?!……ちょっと!これ!……助けてくれねぇの?!!」
ボクサーの声が背中に刺さったが、後回しで良いと判断し……
「お~~~い!……輪!……たすけてくれよぉ~~~!!」
悲痛な叫びを無視して、ドアを開けると───