途中、うっかりと大変な騒ぎがおきつつも
全体的に見れば、花見は平和だった
…あれだけの騒ぎがおきて、まだ、平和と呼べるのだ
何か、もっと致命的な大きな事件が起きている時と比べれば、ずっとマシだ
全体的に見れば、花見は平和だった
…あれだけの騒ぎがおきて、まだ、平和と呼べるのだ
何か、もっと致命的な大きな事件が起きている時と比べれば、ずっとマシだ
「…辰也」
くいくい、と、恵が辰也の服の裾を引っ張った
どうした?と視線を向けてやれば
恵は、じっと、辰也を見上げてきていて
どうした?と視線を向けてやれば
恵は、じっと、辰也を見上げてきていて
「…これ」
「ん?…あぁ、翼が作ったほうの桜餅な」
「ん?…あぁ、翼が作ったほうの桜餅な」
錯羅喪血と違い、安全に食べられる物だ
…一体、何をどうすれば、同じレシピであそこまで違う物体を作り上げられるのだろう…?
…一体、何をどうすれば、同じレシピであそこまで違う物体を作り上げられるのだろう…?
「…翼、が……さっきの騒ぎの詫び、と言って、もって来てくれた……一緒に、食べよう…?」
見あげてくる眼差しに、幸せを覚える
しかし、同時にかすかに、恐怖する
この眼差しを向けられるのが、当たり前になれば
今度は、それを失うことを恐れる
しかし、同時にかすかに、恐怖する
この眼差しを向けられるのが、当たり前になれば
今度は、それを失うことを恐れる
-----近い内に迎えに行くぞ、H-No.96
「……っ」
「…?辰也…?」
「…いや、何でもない。一個、もらうぞ?」
「………けけっ」
「…?辰也…?」
「…いや、何でもない。一個、もらうぞ?」
「………けけっ」
恵から、桜餅を一つ受け取る
…頭の中に響いた、その声を無理矢理無視して、それを口に含んだ
じわり、ほど良い甘さが口内に広がる
…頭の中に響いた、その声を無理矢理無視して、それを口に含んだ
じわり、ほど良い甘さが口内に広がる
…あの時
一瞬、すれ違った相手は
あの声は、間違いなく…H-No.1だった
己の、最大の復讐相手
己に無数の投薬を施し、数え切れないほどの実験を行ってきた、男
一瞬、すれ違った相手は
あの声は、間違いなく…H-No.1だった
己の、最大の復讐相手
己に無数の投薬を施し、数え切れないほどの実験を行ってきた、男
己に
人を殺すすべを、教えてきた、男
人を殺すすべを、教えてきた、男
しばし姿を隠し、行方不明になっていたH-No.1
その存在を認識した時点で、後を追うべきだった
殺すべきだった
だと言うのに、自分はそれができなかった
その存在を認識した時点で、後を追うべきだった
殺すべきだった
だと言うのに、自分はそれができなかった
何という失態
…恵と一緒にいる所を、見られた
いや、たとえあの場に、恵がいなかったとしても……さっさと、あの男を殺すべきだったのだ
あちらに、自分の今の状況を知られている
護るべき存在がいる事が、知られてしまっている
…恵と一緒にいる所を、見られた
いや、たとえあの場に、恵がいなかったとしても……さっさと、あの男を殺すべきだったのだ
あちらに、自分の今の状況を知られている
護るべき存在がいる事が、知られてしまっている
すれ違った時の、H-No.1の、声は
こちらを、実験動物としてみていたあの声、そのままだった
そして、何故なのかはわからないが、H-No.9と同様に、こちらに執着してきている
こちらを、実験動物としてみていたあの声、そのままだった
そして、何故なのかはわからないが、H-No.9と同様に、こちらに執着してきている
辰也は、H-No.1と言う男を知っている
目的の為ならば、手段を選ばない
今のままでは、恵達を巻き込んでしまう
目的の為ならば、手段を選ばない
今のままでは、恵達を巻き込んでしまう
失うことが恐ろしい
その恐怖に、辰也は飲み込まれそうになって
その恐怖に、辰也は飲み込まれそうになって
「………辰也」
「……っ!?」
「……っ!?」
ぽふ、と
引き寄せられ、頭を抱えられる感覚
引き寄せられ、頭を抱えられる感覚
…恵に、頭を抱き寄せられたのだ、と言う事実に
気付くのが、遅れた
頭を胸元に抱き寄せられ、薄い胸に顔を押し付けられる
気付くのが、遅れた
頭を胸元に抱き寄せられ、薄い胸に顔を押し付けられる
「---っけ、恵!?」
「…辰也、何か、怖い…?」
「…辰也、何か、怖い…?」
じ、と
心配するように、恵が見つめてくる
抱えていた考えを見抜かれた事に、う、と声を詰まらせると
恵に、そっと頭を撫でられた
心配するように、恵が見つめてくる
抱えていた考えを見抜かれた事に、う、と声を詰まらせると
恵に、そっと頭を撫でられた
「…大丈夫、辰也は、一人じゃないから……皆、一緒なら、何も、怖くないから…」
「………恵」
「………恵」
違う
違うのだ
「一人ではないから」恐ろしいのだ
失う恐怖がここまで恐ろしいなどと
自分は知ってしまったのだ
違うのだ
「一人ではないから」恐ろしいのだ
失う恐怖がここまで恐ろしいなどと
自分は知ってしまったのだ
恵は、ゆっくり
ゆっくりと、続けてくる
ゆっくりと、続けてくる
「……辰也が、何かを怖がっているのなら。俺が、傍にいるから………辰也が、怖くなくなるまで、ちゃんと傍にいるから」
「………」
「………」
駄目だ
そんな事をしたら、お前を巻き込む
お前だけは、巻き込みたくない
そんな事をしたら、お前を巻き込む
お前だけは、巻き込みたくない
…巻き込みたく、ないと言うのに
「……ありがとうな、恵」
だと、言うのに
今のこの幸せに、自分は溺れてしまい
そう、答えてしまった
今のこの幸せに、自分は溺れてしまい
そう、答えてしまった
その答えに、恵が笑ってくれた事で
少し、ほんの少し
恐怖が晴れてくれたのが、せめてもの救いだった
少し、ほんの少し
恐怖が晴れてくれたのが、せめてもの救いだった
to be … ?