アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-54a

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
 はらり、はらりと桜が舞い落ちる
 はらりと落ちた花びらが、望の頭に落ちてきて
 まるで、髪飾りのようにすら見える
 己の膝の上で穏かに眠る望を、大樹は優しく見つめ、そっと頭を撫でた

「…んぅ~…」

 もぞもぞ
 撫でられるのが心地よいのだろうか
 眠りながら、笑みを浮かべる望

 …かつて、平穏とは無縁の過酷環境で生きざるを得なかった望
 これからは、平穏の中で幸せに生きて欲しいと願う

 ……自分に、そんな権利も力もないと、知りながらも
 大樹は、望を護り続けたいと願うのだ
 それが、かつて過酷な環境に生きていた望を見つけ出す事ができなかった自分にできる、せめてもの彼女への償いであると、大樹は考えていた

 望が、自分に向けてくれている好意には
 まだ………完全には、気付いていない
 かすかに、気付きつつはあるのだが
 それが、男女の恋愛感情であるとは、まだ気付いていないのだ

 そもそも、男女の恋愛と言うものを経験した事がない、この男
 …自分が、そんな感情を抱く可能性についてすら、考えた事もないのだが

「……起きる様子がないな」
「えぇ…やはり、この子には、まだお酒は早すぎます」

 声をかけてきた赤い靴に、大樹は苦笑してみせた
 …未成年が、アルコールを摂取するべきではない
 翼が未成年の時もそれは感じていたが、望は翼のあの時よりも、まだ幼いのだ
 ……これからは、もっと気をつけなければ

「あなたは、契約者のお傍にいらっしゃらなくとも良いのですか?」
「向こうで楽しそうに話しているしな。邪魔をするつもりはないさ」

 見れば、赤い靴の契約者である美樹は、詩織やヘンリエッタ、友美と楽しそうに話している
 やはり、近い年頃同士、気が合うのだろうか
 いつもの彼女のより、ほんの少し、棘がとれているようにも見える

「そう言えば、あなたもお知り合いと話されていたようですが…」
「ん?…あぁ、ディランか。ひとまず、あっちの用事は終わったさ」

 ふぅ、と小さくため息をついている赤い靴
 思えば、赤い靴が、あの褐色肌の青年とどこか深刻そうに話していたから、美樹は詩織達と話していたのかもしれない
 ……あの青年と話していた時の赤い靴は……どこか、今まで見せた様子とは、全く違ったから
 傍に、居ずらかったのかもしれない

「どうした?」
「いえ…あなたも、あぁ言う表情をなさるのだと思いまして」
「………そこまで、普段と違ったか?」

 はい、と正直に頷く大樹
 …それは、契約者である美樹を護る為に行動している時とも、どこか違う
 何か……忠誠心にも似た、感情を感じるのだ

 赤い靴は、美樹と契約しているのだ
 彼女に対しても、忠誠心は抱いているはず
 だが、赤い靴は美樹に対しては、それと同時に……どこか、保護者のような、そんな感情も抱いているように、大樹は感じていた
 ……それに、対して
 先ほど、褐色肌の青年と話していた時の赤い靴からは
 どこまでも真っ直ぐな、忠誠心を感じた

「…彼女と契約する前の、知り合いに関する事で、ちょっとな……悪い奴じゃあないんだが、どうにも少し、問題が」
「そうなのですか…」

 どこか、呆れたように言っている赤い靴だが
 しかし、同時に、その相手の事を深く尊敬しているであろう感情が伝わってくる
 …その相手は、契約者である美樹とは別な意味で、赤い靴にとってかけがえのない存在なのだろう
 それを理解し、黒服はどこか微笑ましさを感じながらも、彼の苦労を心配するのだった



 …あぁ、本当に
 よく、似ている

 赤い靴は、大樹に気付かれぬよう、小さく苦笑した

 初めに遭遇した時、正直驚いた
 ……似ている、と
 姿かたちは、さほど似ている訳ではない
 だが、その行動が、思考が
 恐ろしい程、ダレンによく似ているのだ

 その優しさ、慈悲深さ、お人好しさ
 そして、誰かのためならば、平気で自分の身を投げ出す行為
 人を惹きつけるそれに、気付かぬところ
 己が死ぬことで、周囲にどんな影響を与えるのか
 己と言う存在が、どれだけ周囲に影響を与えるのか
 まったく気付いていない、鈍感さ

 恐ろしい程、似ていた
 持っている力の強大さは、正直雲泥の差だ
 だが、その存在は、ダレンにとてもよく似ていて

 だから、恐ろしいと思った
 この男も、「組織」によって殺されそうになるのではないか
 命を奪われるのではないか、と
 そして、もし、「組織」によって命を奪われたならば
 それが、どんな事態を引き起こすのか

 想像して、寒気すら感じた

 幸い、この男もまた、周囲によって護られている
 自分達がダレンを護るように、この男の周囲にもまた、護ろうとする存在がたくさんいる
 そのお陰で、生き続ける事ができている

 ダレンによく似た男
 それが、「組織」で生き続けられる奇跡
 「組織」に存在し続けられる事は、奇跡であると赤い靴は考える

 ……だが
 きっと、「組織」内部に、その奇跡をよく思わぬ者は存在するだろう
 それは、容易に想像できる
 どうせ、「組織」はそんな連中が集まっているのだ
 ダレンや、この男のような存在は、「組織」の、あぁ言う連中にとって……邪魔者以外の、何物でもないだろうから


 もし
 もし、また
 「組織」が、同じ過ちを繰り返すのだとしたら


「…………その時は………今度こそ、ザンの奴を「組織」にけしかけてみるかね……………あいつなら、その気になれば、全部消せるだろ」


 ぽつり、呟かれた物騒な呟きは
 誰の耳にも届かず、虚空に消えていった



to be … ?





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー